家族に辺境追放された貴族少年、実は天職が《チート魔道具師》で内政無双をしていたら、有能な家臣領民が続々と移住してきて本家を超える国力に急成長

ハーーナ殿下

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第15話:薬草

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村の薬の在庫が減少。薬草採取班を編成して、薬草の生息地へと向かうことにした。

ライル村から出発して、森の入り口にやってきた。いつも狩り班が獣を狩っている森だ。

「みんな、あっちです」

だが今回は森の中に入っていかない。
森を少し迂回しながら、草の生えている場所へと向かう。ボクが前に気になっていた場所だ。

「あっ、あそこです!」

到着したのは、一面に色んな草が群生している場所。森と荒野の境目みたいな地形だ。

「どうですか、シンシアさん?」

村で唯一の薬師の女性シンシアに、薬草の有無を確認してもらう。

「ライル様、間違いありません。ちゃんと薬草があります!」

薬師のお墨付きをもらえ、ひと安心。ボクが狩りした時に偶然見つけたここは、薬草で間違いなかったのだ。

場所が確定して、シンシアが子どもたちに説明を始める。

「それでは皆さん、この草と、この草、あと、この草も集めてください」

「「「はーい!」」」

実際の薬草の形を確認をして、八人の子どもたちが一斉に分散。見本を確認しながら、生息して草を採取していく。

「あっ、あったよ!」
「こっちも、あったよ!」
「これは、どうかな?」
「それは似てるけど、違うんじゃない?」

子どもたちは二、三人のグループになり、元気よく薬草を採取していた。一見すると草遊びをしているように見えるが、薬草採取はれっきとして村の大事な仕事。

間違えて毒草を採取しないように誰もが真剣だ。
そして楽しみながら採取作業をしている。楽しむことは辛い作業を続ける上で、大事なことだ。

「よし、ボクも頑張るか!」

元気いっぱいの子どもたちに、負ける訳にはいかない。シンシアの見本を参考にしながら、薬草を採取していく。

「おっ、あったぞ。あっ、こっちにも!」

予想以上に薬草が生えていた。
アルバート領いた時も、ボクは薬草の採取をしたことはある。だがそれ以上に色んな種類の薬草が、ここには群生していた。

「ここは凄いですね、シンシアさん」

「そうですね。ですが少しだけ心配です」

薬草を採取しながら、薬師シンシアは周囲を警戒している。特に森の中を何度も見ていた。

「どうしかした?」

「実は薬師の師匠に、聞いたことがあるのです。薬草が異常に群生している場所の近くは、魔素が濃いらしい……と」

「えっ……そんなことがあるんですか⁉」

魔素は大陸の場所にたまる“魔の空気”みたいなもの。魔素が濃い場所は、魔物や魔獣が生息しやすい、と言われている。
シンシアが師匠に言われた警告を、採取しながら思い出していたのだ。

「うーん。前に狩りをした感じだと、森の浅い部分は、魔獣とはいなかったんだけど。でも、ちょっと気をつけないとね」

魔獣や魔物は急に出現する時もある。ボクは子どもたちに目を配りながら、薬草を採取していく。

「ん? そういえばセバスチャンは、どこだろう?」

気がつくと、執事セバスチャンの姿が見えない。採取の最初には、いたはずなのに。どこにいったのだろう?

「お待たせしました、ライル様」

そんな時、急に後ろに気配が出現する。

「えっ、セバスチャン⁉」

出現して声をかけてきたのは、探していた執事セバスチャン。何の気配もなく、急にボクの背後に立っていたのだ。

「驚かせて申し訳ありませんでした。実はあちらの丘から、薬草の採取をしてまいりました」

「そうだったんだ。ありがとう……って、なに、それ⁉ 凄いね、その薬草の量は⁉」

セバスチャンは大きな背負いカゴいっぱいに、大量の薬草を詰め込んでいた。ボクたち全員分の採取分を合わせた量よりも、更に多い薬草の種類と数だ。

「どうやって、こんな短時間で、こんなに大量に採取できたの? 何かコツでもあるの?」

「……特に何もございませんが、“採取”も執事としてのたしなみの一つです」

「そうなんだ。ん?」

そんな時、セバスチャンに違和感を発見する。
いつも手に持つ杖の隙間に、薬草みたいなモノが詰まっているのだ。

これはまるで『実は杖は仕込み剣で、斬撃を飛ばして、一気に薬草を採取してきた!』みたいな感じがする。

――――シュッ!

だが次の瞬間だった。
杖の隙間に詰まっていた薬草のようなモノは、何事もなかったかのように消滅していた。
あと、セバスチャンが高速で動いたような気もした。

でも人はそんなに速く動けない。きっと挟まっていた草と動きは、ボクの見間違えだったのだろうか。あまり気にしないでおく。

「ライルお兄ちゃん! カゴがいっぱいになったよ!」
「ボクたちも沢山とったよー!」
「見てよ、ライル兄ちゃん!」

そんな時、子どもたちも駆け寄ってくる。
渡していた子供用にカゴが、採取した薬草で満杯になったのだ。生態系のバランスを守るため、これ以上の採取は止めておいた方がいいだろう。

「ありがとう、みんな! それじゃ、そろそろ村に戻ろうか」

まだ午前中だが、子どもたちはまだ体力がない。仕事を早めに切り上げて、村に戻ることにした。

――――だが、その時だった。

「っ⁉ この気配は……ライル様、私の後ろにお下がりください!」

急にセバスチャンが怖い声を出してきた。丘の向こうを見つめて、何やら構えて凝視している。

「どうしたの、セバスチャン? 何かあったの?」

「はい、ライル様。“何者かの馬車”と……それを追う“魔獣”が、こちらに接近してきます」

「えっ、魔獣が⁉」

まさかの警告。
こうしてか弱い子ども衆と一緒にいるボクは、危険な魔獣の脅威に晒されようとしていた。
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感想 33

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みんなの感想(33件)

shimashima
2020.07.22 shimashima

誤字報告 四話 入手油断→入手手段と思われます。書籍化を望むなら誤字脱字には細心の注意を払うべき

解除
雨@801
2020.07.10 雨@801

とても大好きな作品です!
更新楽しみにしております╰(*´︶`*)╯♡
こんな時期ですのでお体にはお気をつけ下さいませ

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k
2020.06.07 k

作品毎に特色を持たせる方が良い。
主人公の立場が違うだけで毎回同じパターン。
何かの作品で書籍化希望と書いてましたが最低限、誤字脱字は見直して他の方の作品を読み、物語の展開、表現力の向上を学んで下さい。
面白く無い訳では無いのですがこのままでは販売されても買って迄見たい作品にはなりませんよ

解除

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