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第三章 嵌められた刑事

五月十九日 命がけのセックス

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 神野は、意識はあったが、ヘロインで酩酊していて、その後何があったのかは、殆ど覚えていない。
 美羽と激しくセックスしていた記憶が、微かにあったが、意識が少し戻って来た時には、前回同様に、手首をヘッドテーブル部の柵に縛られていた。そして、美羽に激しく手コキされていて、身体中が精液塗れで、目を見開き、口を開き、涎をたらしている。
「あっ、また出る」神野は、その鬼頭の先端から、射精した。
 視線は泳ぎ、身体がガクガクと振えるように痙攣している。
 だが、精液はだらりと鬼頭の先端から滲み出る程しかでず、勢いはない。
 既に、五回も扱かれているので、精液が底をついていたのだ。
「前回は、六回射精できたから、あと一回は出来るん筈よね」
 そう言って、美羽は、フェラして、萎えたペニスをしゃぶる。
 ヘロインで酩酊している神野は、五回も出しているのに、直ぐに大きく堅くなる。
 それを確認すると、漸く、美羽は神野に跨り、騎乗位で挿入した。
 美羽は、腰を激しく振り、神野は、涎を垂れ流したまま、呻き声をあげる。
 そして、暫く楽しんで行きそうになると、美羽は立ち上り、ベッドの左側の引き出しから、直径三センチ、長さ二十センチ程の木の棒を取れ出した。例の仕込み針だ。
 その半分を引き抜くと、長さ十センチ、太さ一ミリ程の針が現れた。
 きらりと、蛍光灯の光を反射している。
「ねぇ、私とあなた、どちらが先に行くか賭けをしましょう。先に行った方が負け。私が負ければ、田村修治殺しの真相を警察で証言してあげる。でも、あなたが負ければ、これをあなたの胸に突き刺して天国行き。あなたは、もう五回も出しているし、薬も切れて来てるでしょう。それに対し、私はもう直ぐいきそう。どう? この勝負してみない」
「ああ、受けるよ」
 神野も、かなり意識が戻って来つつあった。酩酊状態が醒めれば、簡単に行かない自信もある。
 そして、美羽が再挿入して、二人の勝負が始まった。
 神野も下から突き上げ、美羽もしきりに、凶器を握りしめたまま、激しく腰を振る。
「ああ、凄い、行っちゃう。ああ~~~~っ」「ああっ、ダメだ」
 美羽は身体を大きく海老ぞる様に痙攣したが、同時に神野も足をピクンと痙攣させた。
 美羽は、身体を倒す様にして、両手で握り直した凶器の針を、ぐさりと突き立てた。
 だが、その針は神野首の真横の枕に深々と突き刺さる。
 はぁはぁと荒い息づかいをしながら、美羽は神野の胸に甘えながら囁いた。
「この勝負。引き分けみたいね。あと少しだったのに……。でも、良い表情を確認できた。ありがとう」
 美羽は、腰を浮かせて、神野の手の拘束を解き始めた。
「このまま、殺されるかと思った」
「例え、私が勝ったとしても、殺したりしなかったわよ。あくまで、プレーだもの」
「じゃあ、俺が勝っても、証言はしないつもりだったのか?」
「約束だから、そんな事はしない。ちゃんと証言したわ。でも、人殺しは別。あなたは信じないかもしれないけど、本当に私は人を一人も殺してない。確かに殺人教唆や、殺人幇助と言われれば、そうなるかもしれない。けど、直接手を下したりはしない。まぁ、あなたが負けたら、死んだ気になって奉仕して貰らおうとは思ってたけど……」
 神野は解放された手を擦り、今度は体位を入れ替えて、彼女の両手を抑えた。
「そんな言葉を信じる程、お人好しじゃないが、まぁ、そうしといてやるよ」
「もう、立たないんでしょう。放して。お話ししましょう。引き分けだったけど、真由の秘密は、教えてあげる」
「真由の秘密? 黒田の子を宿して堕した以上の秘密があるのか?」
 二人は、全裸のまま横寝して向き合った。
「まあね。あの子、高校二年の時、レイプされて妊娠しているの。それで、男嫌いになって、引き籠りになり、高校を中退している。でも、何かを忘れる様に勉強に打ち込み、卒検を取って、東大に入った。知らなかったでしょう」
 一年浪人して、東大に進んだと彼女の言い分を信じていたし、彼女の両親からも、そんな過去があったなんて、聞いたことがなかった。
「それで、東大に入ってからも、男性不信から、男性と付き合えなかった。だから、私と付き合うようになり、大学時代は、私の玩具だった。なのに、いつの間にか、あなたと結婚し、子供までいると知って、私の方が驚いたんだから。先週、十四年振りに会って、早速、寝た。最初は、する気はなかったんだけど、彼女、本当の事を話そうとしないから、久しぶりに、苛めて上げた。その時の彼女、本当に凄かった。私も凄く興奮して、燃えたもの。だから、先日、翔太君と貴方とに手を出さないでと頼みに来た時も、さっきみたいに拘束して、苛めてあげた。そして、昔の様に、私の忠実な下僕に戻り、昨晩は、小坂をお酒に誘って、小坂真一と寝てくれたわ」
 それを聞いた、神野は再び美羽に覆い被さった。
「真由は、異常な程のセックス好きだが、レズなんかじゃない。いや、百歩譲って、お前の様な両刀使いだったとしても、もう俺を裏切って、小坂と寝る訳がない。小坂だって、それ位の分別はある」
「嘘じゃない。もともと、小坂は真由と寝たいとずっと思ってたのよ。あなたが人殺しをした時も、上手く揉み消して上げると、真由に迫ったくらいだから。真由が誘えば、間違いなく、寝た筈。それに、真由は、ずっと、私の忠実なしもべだった。結婚して、少し変わったけど、私と寝たら、また元に戻ったのよ」
「嘘だ。真由はそんな女じゃない。それに、凛がお前と真由が寝る事を許すわけがないだろう」
「あなたには旦那と紹介したけど、あの子も、私の忠実なしもべの一人。私には、絶対に逆らわずに、何でも忠実に熟す子よ。なのに、最近、凛は嫉妬深くなってきて……。若いし、彼女を手放す気が無いけど、その矯正調教の意味からも、私はどうしても真由に昔の様な忠実なしもべに戻って欲しかった」
「お前は、とんでもない女だ。真由は俺の女で、お前の玩具にはさせない」
 神野は、そう言って、服を着て、美羽の寝室を飛び出し、真由の許へと急いだ。

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