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第三章 力を持つと人は道を踏み外すのかな

3-7 冷静ではいらいられなかかったのです その1

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「健斗。こっち。フェイの匂いがする」
 僕が街道へに出ると、フェンが脇の獣道から手招きしてきた。
 獣道を百メートル程戻ると、確かに争った様な痕があった。
 そして、道のない藪の中を十メートル程進むとフェイの大きなリュックが落ちていて、更に二十メートル程進むと、顔に拳固で殴られた痣をつくり、青白くなったフェイが横たわっていた。
 急いで鼓動を確認してみたが、やはり心臓は停止していて、身体は冷たくなっていた。
「フェン、偉いでしょう」
 フェンにとっては、フェイは食事をくれた程度の関係なので、悲しくないのかもしれないが、僕は何もいえず、その場に崩れ落ちた。
 あのいつもの黒のワンピースが、剣かナイフで切り裂かれて、乳房が露出し、パンツも片足パンツになっている。陰部はスカートで隠されていて、一見すると、これと言った外傷はない。
 敢えて言うなら、なぜか、両手の指が切り落されているが、この程度の傷が死因とも考えられない。
 やはり、あそこか。
 ファイの足の下の雑草の根元に、どす黒く血の池ができ、生臭い血の匂いを放っているのだ。
 見たくはないが、スカートをそっと捲り上げて確認すると、膣が裂け、そこから大量出血していた。
 膣から剣で内臓まで突き刺すなんて、猟奇的異常者のすることだ。

 よく見ると、藪の雑草が何カ所も燃え、黒ずんでいる。彼女の数少ない攻撃にも使える火炎ヒートの炎で抵抗したに違いない。それで、バーナーを出す人差し指を切ることにし、指を数本、ナイフか剣で切り落としたのだ。
 二メートルほど離れて、血が少しついたフェイのナイフも落ちていた。
 大人しく抱かれていれば、命まで取らなかったかもしれないのに、抵抗するから、命を奪われることになった。
「うお~~~~~~っ」 僕は大声で吠え、地面の石に何度も頭を打ち付けた。
「ちょっと、健斗。どうしちゃったの」
「うるさい。あの時、直ぐに帰っていれば、フェイを助けられたかもしれなかったんだぞ」
「御免なさい。うぇ~ん」
 昼過ぎに帰ったとしても、間に合わなかったに違いないのに、フェンに八つ当たりまでして、情けない。
「御免。僕が悪かった。フェンの所為じゃないのに、どうかしていた」

 その後、僕は『冷静になれ』と何度も自分に言い聞かせ、必死に今、何をすべきかを考えた。
 この世界での死者への供養の仕方が全く分からなかったが、フェイが天国に行けるように弔ってやらなければならない。
 僕は、フェンにお願いして、近くに咲いている花を集めてもらい、僕は周囲の雑草を綺麗にむしり、彼女を寝かせる場所を作った。

 そして、フェンが集めてくれた花をそこに敷いて、その上に、フェイを抱き上げて寝かせた。
 お経何て洒落たものは知らないので、指を組んで跪き、黙祷して、冥福を祈った。
『フェイ、必ず犯人を見つけて仕返しするから、君は安らかに眠ってくれ。転生の女神に僕の事を伝えれば、きっとまた人間に転生させてくれる筈だ。今度は幸せな人生を歩んでくれ。それと、僕の命を救ってくれ、僕なんかを愛してくれて、本当にありがとう。君が一緒にいてくれて、僕の人生は最高に楽しかったよ』
 そう言って立ち上がり、僕は火球を放って、彼女を火葬した。何度も何度も、骨まで灰になる様に、続けざまに火球を放ち続けた。
 そして、完全に灰になったのを確認すると、少し離れた見晴らしのいい丘の獣道脇に、刀を使って穴を掘り、その灰と土とをそこに移動させて、ついでに彼女のリュックも埋めた。
 遺品のリュックの中には、フェイのための首輪やリード、ドックフード、食材のパン、トウモロコシ、大麦、小麦が沢山入っていて、金貨が入った彼女の革のお財布もちゃんと残されていた。
 それを、そのまま冥土の船賃や旅の食事にと、埋めてあげたという訳だ。
 その場所に、少し離れた位置で見つけた大きな石を頑張って運び、墓石代わりにして、改めてもう一度手を合わせた。
 これできっとフェイは天国に行ける。次は仕返しだ。

 空は赤く染まり、太陽が沈みかけているので、もう六時近くになっている。
 スティープの一味『エルデンリング』の仕業だと思うが、猟奇的過ぎて違う気もする。だとすると、どうやって犯人を探し出すか。

「フェン、フェイの匂いが着いた男を探し出す事って可能か?」
「うん。まだ、水浴び等の匂い消しをしていないなら、見つけ出せると思う」
 大量の返り血を浴びていたら別だが、状況からそうなっていない筈なので、昼間から風呂に入るとはあまり考えらない。きっと犯人を見つけ出せるに違いない。

 僕らは、神速を使って一時間弱で、ブリットの街に着いたが、その少し手前で立ち止まり、どうしようかと考えた。
 僕が指名手配されていることもそうだが、フェンの恰好が問題だ。衛兵がこんな格好のフェンをみたら、執拗に質問され、僕が指名手配犯だと発覚して二人とも逮捕されるのは間違いない。
『もしもし、聞こえてるんですよね。フェンを、僕の眷族を影格納できるって、話していたと思うけど、人間形態となった今の状態でも、可能ですか?』
『はい。眷族であるかぎり、影格納可能です。「フェン」を影格納しますか?』
『したいんだけど、環境はどうなのかな。牢屋みたいなつらい場所なら、かわいそうだから』
『無限に広がる雲海の平原で、治癒のそよ風も吹いている快適な空間です。「フェン」を影格納しますか?』
 それならばと、『はい』と応えると、フェンがすっとその場から消えた。
『健斗、どこ。ここから出して』頭の中にフェイの声が聞こえた。
「直ぐに出してあげるから、少しだけ我慢して」
『本当に直ぐに出してよね。約束だからね』
 環境的には申し分無いみたいで、フェンもあっさり了承してくれた。
 僕は、どうどうと歩き、無事に衛兵前を通過することができた。
 指名手配されてるといっても、僕の顔写真が出回っているわけではないし、髪の色も身長も、当時と全く違うので、同一人物だとは思いもしないのだ。
 そして、人目のない場所まで来ると、『フェンを召喚したいんだけどどうするの』と尋ねて、フェンを呼び出した。

 それにしても、酷い格好だ。まずはフェンの服を調達するのが先決だと、閉店まじかだった銀行に駆け込んで、お金を引き出し、服屋に行って、フェンの下着と服と靴を購入した。
 店員に勧められるまま、ワンピースに、サンダルの様なパンプスを買ったが、馬子にも衣装で、結構可愛い少女になった。
 序でに僕の服も新調した。
 この服はフェイに買ってもらった思い出の服ではあるが、168センチだった時にちょっと大きいくらいだったので、185センチの今の僕には胸周りがパンパンできついし、ズボンもウエストが限界で丈も短く、つんつるてんなのだ。
 それにレベル20になれば、更に大きい身体になりそうなので、この際、この身体でも大きいくらいの服とズボンを買う事にした。
 鎖帷子は武具屋でしか手に入らないが、今の僕は鋼の肉体に近いので、そんなものなくても問題ない。
 
 これで犯人探しを始められるが、その前に、どの地点から突け狙われていたのかを確認するため、彼女がこの街で通ったと思わる道順を辿ることにした。
 先ずは、薬屋。
 薬屋の店主グレイの話だと、普段と変わらなず、大金が手に入ったと大喜びしていたのだそう。敢えて違いを言えば、子犬をペットとして飼う事にしたから、お勧めのペットショップを教えて欲しいと言ってきたくらいだと、笑っていた。
「そんなことを訊きまわってるなんて、フェイに何かあったのか」
「街道から、脇にそれた直ぐの所で、何者かに惨殺されていたんだ」
「惨殺。そんな」グレイもその場に崩れ落ちた。
 冷たい男だと思っていたが、彼もフェイのことを心の底から愛していたらしい。

 その後、ペットショップの店員に話を訊いた。美人だったのでハッキリと覚えていると、その時の彼女との会話を事細かに話してくれた。犬のケージについてあれこれ聞いていたらしいが、持って帰れないからと諦めたらしい。
 尾行されていなかったかとも訊いてみたが、店の外は分からないが、店の中には誰も入ってこなかったし、誰かに追われている感じでもなかったという話だった。
 その後、彼女が良く行く食料雑貨店へ行ったが、そこの小母さんの話だと、今日は来ていないそうだ。
 どこか、別の店で、小麦粉等の食材を調達した事になる。
 パン屋の親仁は、フェイが買いに来たような気がするが、朝は忙しくてよく覚えていないと言われてしまった。
 パンをこの店で買ったのは間違いないが、他の食材はどこで手に入れたんだろう。
 その時、この辺では見かけないトウモロコシがフェイのリュックの中に有ったのを思い出した。
 近くの八百屋に行ってみたが、やはりトウモロコシは売っていなかった。トウモロコシは何処で売っているのかと尋ねると、珍しい食材なら朝市で売ってることがあるという。
 朝市なら食料品雑貨も売っていそうで、全ての食材を、その朝市で買った可能性は高い。
 その朝市が開かれる場所を聞き出し、そこに向かったが、当然だが、この時間だとやっていない。
 仕方がないので、その近くの肉屋の店主に、フェイを見かけなかったと聞くと、ちゃんと目撃していて、話もしていた。誰かに尾行されていなかったかと訊いてみると、そういえばと教えてくれた。
 少し離れた位置から、フェイをずっと見つめて付けていた若い冒険者の男がいたのだそう。
 フェイはそのまま帰路についたとの話なので、衛兵が見ているかもと思って、衛兵からも話を訊くことにした。

 指名手配犯だと気づかれないかと、冷や冷やしたが、やはり誰も僕に気づかない。
 今朝の担当者を教えてもらい、その男から話を訊いた。
 フェイはいつもの様に元気に独りで立ち去ったとの話だったが、やはり直ぐ後に、若い冒険者が出て行ったそうだ。名前まではうろ覚えだったが、ジョンという冒険者になって一年も経っていない若者だそうだ。

 冒険者ギルドのローラは、一目で僕だと気づいたが、僕が犯人でないのも知っているので、協力的に、彼の事を教えてくれた。
 ジョンは、レベル12の十七歳のDランク冒険者で、どこのクランにも所属していなかった。
 『エルデンリング』の仕業だと思っていたのに、全くの別人の犯行だった。
 でも、ローラの話が本当なら、真面目な好青年で、あんな猟奇殺人をする印象とは全く違う。
 それに、フェイは弱いといっても、レベル18なので、レベル12の男なら撃退できるばすだ。
 やはり、複数人での犯行としか思えないが、とりあえず彼から詳細な話を聞き出すことにした。
 住所は教えられないと言われたが、どうしても彼から話を訊きたいと拝み倒して、彼の住所も教えてもらった。

 彼のアパートは、例の娼館裏のスラム街にあり、小汚いボロアパートの一階の奥だった。
「間違いない。この部屋の中に、その男がいる」 フェンの鼻でもジョンが犯人だと言ってくれた。
 僕は、そのジョンの部屋の扉をノックした。
「なんだ。僕にようか」
 僕よりも若い冒険者の男が顔をだした。鑑定して確認したが、ジョン本人でまちがいなく、能力値もフェイより劣っていて、水刀ウォーターカッターという水魔法が使えるが、スキルすら持っておらず、彼一人ではフェイにすら勝てないと確信した。
「鉄の魔女の件で、話を訊かせて欲しい」
「知らねぇよ。話す事なんてない」
 慌てて扉を閉めようとしてきたが、靴を差し込んで、そのままドアを押し開けた。
「てめえ、やるきか」
 ジョンは、ベッド脇に立てかけてあった剣を取りに戻り、その剣を構えて身構えた。
 その左手首には真新しい包帯がしてある。きっとフェイのバーナーで火傷を負ったのだろう。
「そんなものは、しまってくれ。僕は、鉄の魔女を襲った時の話を訊きたいだけだ」
「知らないって言ってるだろう。帰らないと、殺すぞ」
 強がっているが、ブルブルと震えていた。
「D級だと、生活も大変だよな。誰かに頼まれて、協力しただけなんじゃないのかい。正直に話してくれれば、危害をくわえるつもりはない」
 にっこりとほほ笑んで、鋭い眼光を送ると、彼は、剣を置いて、ベッドに腰かけた。
 僕には絶対に敵わないと悟ったからか、話してくれるみたいでなによりだ。
「早朝に、声を掛けられ、少しの間、尾行する様に頼まれただけなんだ」
「誰に頼まれたんだ?」 今度は真剣な顔で睨む。
「冒険者ギルドで何度か顔をみたことがあるが、名前は知らない。二十五歳位の剣術士だ」
 そいつが、フェイを手に掛けた真犯人ということらしい。
「でも、尾行して、鉄の魔女を襲ったんだよな」
「あの女が噂の鉄の魔女だったことも、あんたから聞かれるまで、知らなかった。言われた通りに尾行して、街道で合流し、帰ろうとしたら、ついてこいと言われて。まさかあんなことする何て思わなくって」
「あんなことって、なにをしたんだ」
「分かってるんだろう。強姦殺人だよ。あいつが勝手にしただけで、おれは直ぐに逃げ出したんだ」
「直ぐに帰ったんなら、どうして殺人までしたと知っている。最後までいて、しっかり抱いたんだよな」
「俺は、手を抑える様に言われて、手を押さえていただけで、抱いてなんかいない」
 僕がフェンを見ると、首を振って、「あそこから強烈な匂いがする」と言ってきた。
 フェイのアソコはそれほど臭くないが、犬の嗅覚すらすると強烈なんだろう。
「この子は鼻が異常に良くってね。お前の股間からフェイの愛液の臭いがするといってるんだ。嘘をついたらどうなるか、教えてやらないとならなないかな」
 僕は、部屋にあった非常用ローブと台所にあった果物ナイフとを手にして再びベッドにもどり、彼を後ろ手に縛った。そして、彼の首に果物ナイフの刃を押し付けてやった。
「お前、フェイを抱いたんだよな。正直に言わないと、切るぞ」
「お前もだけと言われたから、仕方なく抱いただけだ」
「仕方なくね。まあ、それは信じてやるが、その男がフェイを抱いている時、お前は何をしていたんだ」
「さっきも言った様に、ずっと手を押さえていただけだ。それ以外の事はしていない」
 僕は彼の首からナイフを放し、彼の横に腰かけ、左上腕の包帯をその果物ナイフで切りさいた。そして、治療用のシップを外し、爛れた火傷痕をぎゅっと抓ってやると、彼は顔を顰めた。
「この傷、フェイにやられたんだよな。それでもずっと手を押さえていたという気かな」
「確かに、反撃されたから、殴りもしたが、仕方がなかったんだ」
「お前が殴ったのか。殴っただけか? 指がなくなってたんだがな」
 今度は火傷箇所に果物ナイフを押し当てた。それだけで切れて血が滲んできた。
「あいつが、それでも火で腕をやいてきたから、ぎゃあ」
 つい。怒りから、傷口の肉をえぐり取ってしまった。
「御免、危害は加えないッといったのに。もう酷いことはしないから、話してくれ。二人で抱いた後、どうしてそのまま帰らなかった」
「知らなかったんだ。あいつが、まさかあんなことするとは思わなかったから、つい」
「つい、何をしたんだ?」
「…………」
「フェンは失神してたのか。そうでないなら、大人しくあんなんなことされるわけがないない。必死に暴れた筈だ。お前が足を押さえる係だったんだな」
「足を押さえろと言われて、仕方なく。怖かったんだ。逆らうと殺されそうで。あいつ、頭がおかしいんだ」
「でも、殺しの手伝いまでしたんだな。そうかそうか」
 僕は、そのまま立ち上がり、立ち去る振りをして油断させ、ジョンの顔面を思いっきり殴った。
 そして、ベッドにうつ伏せに寝かせ、傍にあったタオルで猿轡して、声を上げられなくした。
 それから、彼の指をフェイと同じように、右を三本、左を二本切り落して、ヒールで止血した。
「これ食べてもいい?」今まで黙ってみていたフェンが、指を全部拾って訊いてきた。
「そんなものが食べたいなら、好きにしろ」
 フェンはその指をがりがりと食べ始めた。
 可愛い顔をしていても、中身はやはりフェンリルだ。
「フェン、悪いが少し手伝ってくれ、仕上げをするので、足を開いた状態で押さえつけて置いてくれないか」
 そのままでも制裁はできる気がしたが、暴れる可能性もあるので、手伝ってもらった。
 僕は、片足で彼の足を押さえ、もう片足をフェンに押さえてもらい、ズボンを触って肛門の位置を確認し、果物ナイフをブスリと深く差した。
「ううっ」声にならない悲鳴をあげたので解放してやった。
 もんどりうって、苦しんでいる彼を横目に、僕は机の椅子とガムテープとを手に戻り、先ず彼の足首をテープでぐるぐる巻きにして立たせ、そのまま椅子に座らせた。ナイフが柄の部分まで食い込んで、その痛みから彼は意識を失った。
 僕は、彼を椅子にそのままテープでぐるぐる巻きして、目覚めても逃げられないようにした。
 早く発見してもらえれば、助かる筈だが、翌朝まで気づかれなければ、きっと出血多量で死亡する。
 それが分かっていたが、僕は彼をそのまま放置して、アパートから立ち去った。

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