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第二章 ボーナス加護で人生が変わりました
2-5 エルデンリングは極悪ギルドでした
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リットとミミと三人でパーティーを組む様になり、既にひと月以上が経つ。
あれからも、ずっとブリタリスダンジョンを攻略し続け、お金の方はあまり稼げずにいるが、冒険ポイントは面白いよう溜まった。
先週の冒険者ギルドの月間取得冒険者ポイントでは、僕ら三人が一位となり、僕らも有名になった。特にリーダーのリットは、クエストクリーナーという異名までつき、最近は冒険者の仲間から一目置かれている。
冒険者ランクも上がり、僕は早々にCとなり、リットとミミも前回のクエストでBランクへと昇格した。
今の僕の役職は剣士で、武士の様に刀を手に前線で戦っている。
この世界に、日本刀は存在しないが、手ごろな反りの細身のサーベルを購入し、その柄の部分を両手持ち用に改造してもらい、日本刀の様な武器を作ったという訳だ。
治癒回復もかなり熟練し、戦闘中でも二人に援護してもらって敵に襲われない状況になりさえすれば、治癒できるようになった。
能力レベルの方は、レベル差の大きい魔物を二百匹近く討伐してきたのに、まだレベル9だ。
スライム討伐していた時より、レベルアップしないのは、博識の本屋の店主の話だと、取得経験値のルールが原因らしい。
魔物討伐時の各取得経験値は、獲得経験値のダメージ寄与率で分配されるのだが、その討伐時の獲得経験値が、パーティーで討伐すると、かなり小さくなってしまうのだ。
獲得経験値は、魔物のレベルと味方のレベルとで決まるのだが、味方のレベルは、ダメージを与えた者のレベルをダメージ寄与率で、加重平均した値となる。現能力レベルは、僕が9、リットが25で、ミミは24だが、三人で均等に与ダメージを与えたすると、味方のレベルは20弱となってしまうのだ。
そのため、魔物のレベルが25であっても、討伐時の獲得経験値はさほど多くなく、更に三人で分配するので、予想していたよりレベルアップしなかったという訳だ。
それでも、『ボーナス』というチート加護を授けてもらっているので、僕はとんでもなく強くなった。
スキルも『兜割り』以外に、剣士向けのスキル『五月雨切り』『金剛突き』『神速』を手に入れ、レベル35位の実力だと自負している。
そして、リットとミミも一か月前とは見違えるように強くなった。
僕がメキメキと強くなるのに感化され、リットが寝る前に筋トレや素振りを欠かさずするようになり、ミミもそれにつきあい、最近はナイフ格闘術なんかも真剣に練習して、近接戦闘もかなり上達した。
そんな訳で、今回の遠征では、かなりの高難度クエスト、ブリタリスダンジョンの地下八階層のダンジョンボス攻略に挑む。
既にこのダンジョンボスは他のパーティーにより何度も攻略されているが、毎月、ダンジョンボスが再生復活するのだそうで、毎月、この冒険者クエストが掲載される。
通常はレベル30以上の冒険者四人程度で攻略しているそうだが、ボスの攻撃パターンや攻略法も公開されているし、僕ら三人もかなり強くなったので、無謀な挑戦と言う訳ではない。
因みに、報奨金は3万ギルもあり、高難度だが遣り甲斐もある。
このクエスト以外にも、地下八階層を徘徊する魔物、牛魔人ミノタウロス五体討伐のクエストも受注し、この二つのクエストを熟せば、ブリタリスダンジョンのクエストを全てクリアしたことになる。
そういう訳で、朝八時に、準備万端整えて、プリッツを出てすぐの牧場に集合した。
準備万端といったが、フェイの治癒薬が在庫切れして、二個しか買えず、ちょっと質の悪い治癒薬しか手に入らなかった。
フェイは、捕まるのを恐れてどこかに行ってしまったみたいで、あれ以来、薬をこの街に卸していないのだ。
治癒回復があるといっても、やはり戦闘中に簡単に回復できる治癒薬は不可欠で、この回復性能で戦況が大きく左右されるので、それだけが懸念事項だ。
「忘れ物はないかい。よければ、出発しよう」
リットの合図で、僕ら三人は、馬に跨る。
実は、この牧場と一か月契約で馬をレンタルしていて、今はダンジョンまで馬で移動している。
徒歩では半日かかる距離でも、駈歩なら三時間半、速歩でも六時間弱で行ける。
この往復時間を大幅短縮できたことで、月間取得冒険者ポイント一位になれたようなものだ。
ただ、ブリタリスダンジョンに着いてからは大変だ。馬が魔物に襲われないよう、工夫を凝らして駐馬場を作ってあるのだが、馬を繋いで、定期的に馬の食事や水を供給する魔道具に魔石を補充し、餌や水を入れたりしなければならない。
かなり面倒だが、馬を快適に待たせて置くうえで不可欠な作業なのでやむを得ない。
一時間程、そんな雑務に追われ、漸く、ダンジョンに潜れるようになるが、僕らの場合、ダンジョン内に滞在できる上限は、一週間となる。
この世界には残念ながら無限に詰め込める異次元バックという便利なものが存在しないので、バックの大きさにより、持ち込める食材の量が限られる。大型リュックなら、普通は十日以上滞在できるはずなのだが、僕らの場合、馬の餌や魔石も持参するので、一週間だと、馬につけたバックだけでは足りず、今は全員大型リュックを背負って遠征にしてるが、一週間が上限になってしまうのだ。
そんな訳で、一週間以内にクエストクリアしなければならないが、前回の七階層攻略時は、僅か五日でクリアできたので、問題ないと判断している。
魔物との戦闘になると時間を食うので、戦闘は極力回避して、速足で地下八階層を目指す。そうすれば、多少の問題が起きても、一週間以内の攻略は可能の筈だ。
そう考えて、ダンジョンの入り口を潜った。
だが、予定通りに進まないのが世の常だ。
地下四階層までは順調だったのだか、八階層入り口まで、五日で進む予定が、一週間もかかることになった。
その理由の一つは、ダンジョンに潜る時期の配慮不足。丁度、魔物が復活する時期だったようで、ダンジョン内を徘徊する魔物が、予想以上に多く、戦闘は極力避ける予定だったのに、頻繁に戦わざるを得なくなった。
二つ目の理由は、運のなさ。ダンジョン内の崩落は、年に一、二度起きるのだが、六階層で、その洞窟崩壊事故に巻き込まれてしまった。
怪我はたいしたこと無かったが、閉じ込められてしまい、落石をどけて、通路を確保するのに丸一日もかかってしまった。
そんな訳で、八階層の入り口に到着した時は、準備していた治癒薬は全て使い切り、食料もほとんど底をついていた。
「滞在上限の一週間が過ぎたが、どうしたものか。僕は無理してでもクリアしたいんだが」
「水さえあれば、丸一日、食事しなくてもなんとかなる。治癒薬がなくとも、僕のヒールがあるし」
「戦闘中のヒールは危険すぎるが、こまめに回復しながら、進めばラスボスまでは何とかできそうだな」
「私は勿論、進みたい。ここまで来て、振り出しに戻るなんて、絶対に嫌。それにラスボス戦だって、大丈夫。私だって、敵視をとって引きつけることくらいできるんだから」
「なら、クリアするまで強行することにするが、問題は食事をどうするかだな」
あと一食分残っているので、どうするかを相談し、今晩は空腹のまま寝て、朝食をとってから、地下八階層に進むことにした。
だが、食材は一回分にかなり足らず、その朝食も、昨晩からの空腹が満たせぬままとなった。
さっさとクリアしてしまえばいいだけだと、励ましあって、地下八階層の攻略に向かったのだが、八階層を徘徊している牛魔人はとんでもなく強かった。
七階層までは、数体同時に襲ってきても、十分以内に片付けられた。だから、牛魔人が強いと聞いていたが、単体でしか襲ってこないので、十分以内には倒せると甘く見ていた。
事前に牛魔人についての情報も入手して、作戦も問題なかった。
牛魔人は、魔法耐性があり、魔法がほとんど利かないうえ、タフで素早い。攻撃は、斧を片手に、襲い掛かって来るだけで、範囲攻撃はない。
だから、リットが敵視を取り、斧攻撃を早々に盾で防いで潰し、敵攻撃毎に反撃。ミミが毒矢で毒や痺れといった状態異常にして、動きを鈍らせつつ、継続ダメージを与える。そして、僕が兜割り、五月雨切り、金剛突きで大ダメージを与える。
その作戦で全く問題なく、こちらは軽傷程度の被害で、倒せた。
だが、体力が尋常じゃなく、倒すのに、二十分以上も掛かってしまったのだ。
しかも、長期戦になると、別の徘徊している牛魔人にも見つかってしまう。一体だけでもとんでもなく強いのに、二体同時に襲われると、どうにもならない。
弱っている牛魔人を無理して止めを刺すことにしたが、こちらも怪我を負うし、治癒回復で体力全快に戻す筈だったのに、治療する時間も取れない。
そんな連戦を続けているうちに、リットが大怪我を負ってしまった。
ミミがナイフに持ち替えて、独りで敵視を取って戦い、リットに治癒回復を掛けたが、ミミだと吹っ飛ばされて、傷だらけになってしまう。
そんな訳で、過酷な六連戦となり、ボス部屋まで辿り着いた時には、満身創痍。全員が傷だらけで、しかも、空腹によるエネルギー不足で動く気力まで失いかけていた。
それでも、残すはダンジョンボスのみ。倒した証の魔石を手にしさえすれば、帰還の封石というダンジョン脱出アイテムで、一瞬でダンジョンから抜け出せる。
ボス部屋前で、しっかり休憩を取り、身体を全快に回復させ、改めて作戦を確認し、ボス部屋に突入した。
ここのラスボスは、ミノタウルスジェネラルという最強の牛魔人だ。両手に斧を持ち、火炎放射という火魔法まで使い、強靭な防具で、防御力を大幅に強化している。
この防具を付けていると、物理攻撃も利かず、ほぼ無敵状態となるので、まず防具を外さなければならない。
防具さえ外してしまえば、後は少し強くタフな牛魔人となり、通常のミノタウロス攻略法で、ダメージを蓄積して倒すだけだ。
ただ、ボスは固有の技をもっているので、その点に注意が必要だ。
火炎放射は発動前のポーズで察知でき、詠唱の間に距離を取れば問題ないが、要注意なのが、斧無双という強烈な範囲攻撃。直撃を避けても、半径二メートル位の範囲は、砕けて飛び散った石礫と衝撃波が広がり、その衝撃波もかなりの威力がある。
腕を振り上げるポーズがあるので、回避可能ではあるが、発動までの時間が極めて短いので、逃げ遅れると、吹っ飛ばれて大ダメージを受ける。
前半は、それを食らわないように注意して、敵を攪乱して、この防具の継ぎ目を攻撃して、防具を剥がす。
素早く動くので、継ぎ目に当てられず、初対戦だったので慎重になりすぎたこともあり、前半戦だけど、四十分近い時間がかかってしまった。
でも、無事、最強防具を剥がすことに成功し、あとは、少しずつ体力を削って、倒すのみだ。
だが、一安心して油断したのか、長期戦になり焦りがでたのかはわからないが、そこからは僕らもかなりのダメージを受けることになった。
それでも、ミミとリットがボスの注意を引きつけて、僕が治癒回復の準備をして、治療し、なんとか二人を体力全快に回復させた。
だか、治癒回復発動中だったので、僕は斧無双を交しきれずに吹っ飛ばされた。しかも吹っ飛んだ先に、ボスから弾き飛ばして奪った斧の一本が突き刺さっていて、その刃の部分に背中を強く打ち付け、ざっくり大きく切ってしまった。
ミミとリットが再び注意を引きつけてくれ、自ら治癒回復を掛けて治療したが、大量に出血してしまったため、意識が朦朧として、戦える状態ではない。空腹なので、尚更だ。
「無理するな。あと少しで、倒せる。後はミミと二人でなんとかするから、休んでいろ」
リットのお言葉に甘え、少し休憩してから参戦することにしたが、リットもかなり焦っていたらしい。
ボスの足元がふらついた隙に、止めを刺しに飛び込んでいったのだが、それは斧無双のためのフェイントだったのだ。
リットも気づき、斧の直撃はぎりぎりで交したが、石礫を伴う衝撃波をもろに受け、身体が傷だらけになって、吹っ飛ばされてしまった。
「私が引きつけるから、ケントはヒールを掛けてあげて」
ミミ一人だと少し不安もあったが、ボスの目に矢を集中して放って敵視をとり、こちらに来ないように引きつけつつ、自分も攻撃されないように、常に距離を取って逃げ回り、上手く立ち回ってくれている。
これなら、大丈夫と、僕は、精神集中して、リットの治療に専念した。
だが、その時、とんでもないことが起きた。
ダンジョンボスの扉が開き、冒険者四人が飛び込んできたのだ。
その冒険者の一人は、あのスティーブ。おそらく他の三人も、エルデンリングのクランメンバーで間違いない。
三人は、槍や、両手剣、ナイフ、ナイトソードで、弱っているミノタウルスジェネラルを総攻撃して、その首を切り落とし、止めを刺した。
そして、塵になって消えたボスの巨大な魔石を手に立ち去ろうとした。
「ずるい。私たちが、ここまで弱らせたのよ」
「ミミ、やめろ。俺が止めを焦ったのがいけなかったんだ」
「でも……」
「魔石は止めを刺した者の権利だろう。何か文句でもあるのか」
「確かにそうかもしれないけど、一時間以上も掛けて、装備を外し、ここまで弱らせたんだから、七人で均等に報酬分配しませんか」
「一時間以上掛けて、仕留められなかった方が悪いんだ。それじゃな」
横取りクエストはシステム上、認められてはいるが、攻略途中に乱入してくるのは、流石に仁義に反する。
でも、スティーブはレベル36という話だし、他の三人も強者なのは間違いない。
ミミはまだ元気だが、僕もリットも満身創痍だ。今回はついてなかったと、諦めるしかない。
「卑怯者」
ミミはどうしても許せなかったのか、彼らの背後から、そんな言葉を吐きかけた。
「生意気な女だ。大人しくしていれば、何もせずに帰ってやったのに、二度と生意気な口をきけなくしてやるぞ」
「私、知ってるのよ。あなたペナルティーポイントがマックスで、今度揉め事をおこすと、冒険者資格剥奪よね。殴れるものなら、殴ってみなさいよ」
「このアマ」 三人がミミに襲い掛かろうとして、「やめろ」とスティープが引き留めた。
「これは俺たちの正式な権利だが、そうまで言うなら、代表者同士の一対一の正式な決闘で決めようじゃないか。お前らが勝ったら、七人で山分け。俺が勝ったら、これは俺たちのものだが、それだけという訳にはいかない。分かっているな」
「なんで、そんな決闘を受けなければならないの。私たちの功績の方が多いのはあきらかでしょう」
「ミミ、これ以上はやめろ。僕たちでは絶対に敵わない。今回は運が悪かったと諦めろ」
「でも……」
「不愉快な気分にしたお前は許せないが、賢明なリーダーを立てて、許してやるよ。それじゃ」
他の三人は不満そうに、チッと舌打ちしたが、スティーブは暴力沙汰は起こせないので、憤慨しながらも、大人しく立ち去って行った。
その後も、ミミはご機嫌斜めで、宥めるのが大変だったが、帰還の封石を使って、ダンジョンを一気に脱出し、空腹で貧血のまま、プリッツに帰還した。
冒険者ギルドでもミミは、ローラに不満をぶちまけた。
だがローラが、それは認められている行為だからと言ったので大変。
暴力沙汰が起きないように、なんとかミミを諫め、三人で食事をすることにした。
僕は直ぐに何かをお腹に入れたかったのだが、ミミは身体を綺麗にしたいからと、また我儘を言い出し、二人は一旦、アパートに戻り、僕も宿屋で汗を流して、一時間後に合流して、食事を食べた。
その席でも、ミミは、横取りを許容するシステムは間違っていると、怒りが収まらずに憤慨していたが、お腹が一杯になると人は機嫌が直る。
別れる時には、「今度は魔物の森にレベル上げに行かない?」と、前向きになっていた。
魔物の森とは、ダンジョン以上に強い魔物がいて、冒険者クエストも発行されていない危険なところだが、レベル上げには格好の場所だ。
「いいね。途中で熟せるクエストを受注して、行ってみるか」
「ケントまで、何をいってる。これからも、地道にクエストを熟していくに決まってるだろう。今度は、モリアントダンジョンになんてどうだ」
「馬でも片道一日かかる程遠いし、魔物もブリタリスほど強くない。私は、もっと強い魔物と戦かって、強くなりたいの」
「はいはい、じゃあ検討しておくよ。ケント、それじゃあ、またな」
そう言って、二人と分れた。
あれからも、ずっとブリタリスダンジョンを攻略し続け、お金の方はあまり稼げずにいるが、冒険ポイントは面白いよう溜まった。
先週の冒険者ギルドの月間取得冒険者ポイントでは、僕ら三人が一位となり、僕らも有名になった。特にリーダーのリットは、クエストクリーナーという異名までつき、最近は冒険者の仲間から一目置かれている。
冒険者ランクも上がり、僕は早々にCとなり、リットとミミも前回のクエストでBランクへと昇格した。
今の僕の役職は剣士で、武士の様に刀を手に前線で戦っている。
この世界に、日本刀は存在しないが、手ごろな反りの細身のサーベルを購入し、その柄の部分を両手持ち用に改造してもらい、日本刀の様な武器を作ったという訳だ。
治癒回復もかなり熟練し、戦闘中でも二人に援護してもらって敵に襲われない状況になりさえすれば、治癒できるようになった。
能力レベルの方は、レベル差の大きい魔物を二百匹近く討伐してきたのに、まだレベル9だ。
スライム討伐していた時より、レベルアップしないのは、博識の本屋の店主の話だと、取得経験値のルールが原因らしい。
魔物討伐時の各取得経験値は、獲得経験値のダメージ寄与率で分配されるのだが、その討伐時の獲得経験値が、パーティーで討伐すると、かなり小さくなってしまうのだ。
獲得経験値は、魔物のレベルと味方のレベルとで決まるのだが、味方のレベルは、ダメージを与えた者のレベルをダメージ寄与率で、加重平均した値となる。現能力レベルは、僕が9、リットが25で、ミミは24だが、三人で均等に与ダメージを与えたすると、味方のレベルは20弱となってしまうのだ。
そのため、魔物のレベルが25であっても、討伐時の獲得経験値はさほど多くなく、更に三人で分配するので、予想していたよりレベルアップしなかったという訳だ。
それでも、『ボーナス』というチート加護を授けてもらっているので、僕はとんでもなく強くなった。
スキルも『兜割り』以外に、剣士向けのスキル『五月雨切り』『金剛突き』『神速』を手に入れ、レベル35位の実力だと自負している。
そして、リットとミミも一か月前とは見違えるように強くなった。
僕がメキメキと強くなるのに感化され、リットが寝る前に筋トレや素振りを欠かさずするようになり、ミミもそれにつきあい、最近はナイフ格闘術なんかも真剣に練習して、近接戦闘もかなり上達した。
そんな訳で、今回の遠征では、かなりの高難度クエスト、ブリタリスダンジョンの地下八階層のダンジョンボス攻略に挑む。
既にこのダンジョンボスは他のパーティーにより何度も攻略されているが、毎月、ダンジョンボスが再生復活するのだそうで、毎月、この冒険者クエストが掲載される。
通常はレベル30以上の冒険者四人程度で攻略しているそうだが、ボスの攻撃パターンや攻略法も公開されているし、僕ら三人もかなり強くなったので、無謀な挑戦と言う訳ではない。
因みに、報奨金は3万ギルもあり、高難度だが遣り甲斐もある。
このクエスト以外にも、地下八階層を徘徊する魔物、牛魔人ミノタウロス五体討伐のクエストも受注し、この二つのクエストを熟せば、ブリタリスダンジョンのクエストを全てクリアしたことになる。
そういう訳で、朝八時に、準備万端整えて、プリッツを出てすぐの牧場に集合した。
準備万端といったが、フェイの治癒薬が在庫切れして、二個しか買えず、ちょっと質の悪い治癒薬しか手に入らなかった。
フェイは、捕まるのを恐れてどこかに行ってしまったみたいで、あれ以来、薬をこの街に卸していないのだ。
治癒回復があるといっても、やはり戦闘中に簡単に回復できる治癒薬は不可欠で、この回復性能で戦況が大きく左右されるので、それだけが懸念事項だ。
「忘れ物はないかい。よければ、出発しよう」
リットの合図で、僕ら三人は、馬に跨る。
実は、この牧場と一か月契約で馬をレンタルしていて、今はダンジョンまで馬で移動している。
徒歩では半日かかる距離でも、駈歩なら三時間半、速歩でも六時間弱で行ける。
この往復時間を大幅短縮できたことで、月間取得冒険者ポイント一位になれたようなものだ。
ただ、ブリタリスダンジョンに着いてからは大変だ。馬が魔物に襲われないよう、工夫を凝らして駐馬場を作ってあるのだが、馬を繋いで、定期的に馬の食事や水を供給する魔道具に魔石を補充し、餌や水を入れたりしなければならない。
かなり面倒だが、馬を快適に待たせて置くうえで不可欠な作業なのでやむを得ない。
一時間程、そんな雑務に追われ、漸く、ダンジョンに潜れるようになるが、僕らの場合、ダンジョン内に滞在できる上限は、一週間となる。
この世界には残念ながら無限に詰め込める異次元バックという便利なものが存在しないので、バックの大きさにより、持ち込める食材の量が限られる。大型リュックなら、普通は十日以上滞在できるはずなのだが、僕らの場合、馬の餌や魔石も持参するので、一週間だと、馬につけたバックだけでは足りず、今は全員大型リュックを背負って遠征にしてるが、一週間が上限になってしまうのだ。
そんな訳で、一週間以内にクエストクリアしなければならないが、前回の七階層攻略時は、僅か五日でクリアできたので、問題ないと判断している。
魔物との戦闘になると時間を食うので、戦闘は極力回避して、速足で地下八階層を目指す。そうすれば、多少の問題が起きても、一週間以内の攻略は可能の筈だ。
そう考えて、ダンジョンの入り口を潜った。
だが、予定通りに進まないのが世の常だ。
地下四階層までは順調だったのだか、八階層入り口まで、五日で進む予定が、一週間もかかることになった。
その理由の一つは、ダンジョンに潜る時期の配慮不足。丁度、魔物が復活する時期だったようで、ダンジョン内を徘徊する魔物が、予想以上に多く、戦闘は極力避ける予定だったのに、頻繁に戦わざるを得なくなった。
二つ目の理由は、運のなさ。ダンジョン内の崩落は、年に一、二度起きるのだが、六階層で、その洞窟崩壊事故に巻き込まれてしまった。
怪我はたいしたこと無かったが、閉じ込められてしまい、落石をどけて、通路を確保するのに丸一日もかかってしまった。
そんな訳で、八階層の入り口に到着した時は、準備していた治癒薬は全て使い切り、食料もほとんど底をついていた。
「滞在上限の一週間が過ぎたが、どうしたものか。僕は無理してでもクリアしたいんだが」
「水さえあれば、丸一日、食事しなくてもなんとかなる。治癒薬がなくとも、僕のヒールがあるし」
「戦闘中のヒールは危険すぎるが、こまめに回復しながら、進めばラスボスまでは何とかできそうだな」
「私は勿論、進みたい。ここまで来て、振り出しに戻るなんて、絶対に嫌。それにラスボス戦だって、大丈夫。私だって、敵視をとって引きつけることくらいできるんだから」
「なら、クリアするまで強行することにするが、問題は食事をどうするかだな」
あと一食分残っているので、どうするかを相談し、今晩は空腹のまま寝て、朝食をとってから、地下八階層に進むことにした。
だが、食材は一回分にかなり足らず、その朝食も、昨晩からの空腹が満たせぬままとなった。
さっさとクリアしてしまえばいいだけだと、励ましあって、地下八階層の攻略に向かったのだが、八階層を徘徊している牛魔人はとんでもなく強かった。
七階層までは、数体同時に襲ってきても、十分以内に片付けられた。だから、牛魔人が強いと聞いていたが、単体でしか襲ってこないので、十分以内には倒せると甘く見ていた。
事前に牛魔人についての情報も入手して、作戦も問題なかった。
牛魔人は、魔法耐性があり、魔法がほとんど利かないうえ、タフで素早い。攻撃は、斧を片手に、襲い掛かって来るだけで、範囲攻撃はない。
だから、リットが敵視を取り、斧攻撃を早々に盾で防いで潰し、敵攻撃毎に反撃。ミミが毒矢で毒や痺れといった状態異常にして、動きを鈍らせつつ、継続ダメージを与える。そして、僕が兜割り、五月雨切り、金剛突きで大ダメージを与える。
その作戦で全く問題なく、こちらは軽傷程度の被害で、倒せた。
だが、体力が尋常じゃなく、倒すのに、二十分以上も掛かってしまったのだ。
しかも、長期戦になると、別の徘徊している牛魔人にも見つかってしまう。一体だけでもとんでもなく強いのに、二体同時に襲われると、どうにもならない。
弱っている牛魔人を無理して止めを刺すことにしたが、こちらも怪我を負うし、治癒回復で体力全快に戻す筈だったのに、治療する時間も取れない。
そんな連戦を続けているうちに、リットが大怪我を負ってしまった。
ミミがナイフに持ち替えて、独りで敵視を取って戦い、リットに治癒回復を掛けたが、ミミだと吹っ飛ばされて、傷だらけになってしまう。
そんな訳で、過酷な六連戦となり、ボス部屋まで辿り着いた時には、満身創痍。全員が傷だらけで、しかも、空腹によるエネルギー不足で動く気力まで失いかけていた。
それでも、残すはダンジョンボスのみ。倒した証の魔石を手にしさえすれば、帰還の封石というダンジョン脱出アイテムで、一瞬でダンジョンから抜け出せる。
ボス部屋前で、しっかり休憩を取り、身体を全快に回復させ、改めて作戦を確認し、ボス部屋に突入した。
ここのラスボスは、ミノタウルスジェネラルという最強の牛魔人だ。両手に斧を持ち、火炎放射という火魔法まで使い、強靭な防具で、防御力を大幅に強化している。
この防具を付けていると、物理攻撃も利かず、ほぼ無敵状態となるので、まず防具を外さなければならない。
防具さえ外してしまえば、後は少し強くタフな牛魔人となり、通常のミノタウロス攻略法で、ダメージを蓄積して倒すだけだ。
ただ、ボスは固有の技をもっているので、その点に注意が必要だ。
火炎放射は発動前のポーズで察知でき、詠唱の間に距離を取れば問題ないが、要注意なのが、斧無双という強烈な範囲攻撃。直撃を避けても、半径二メートル位の範囲は、砕けて飛び散った石礫と衝撃波が広がり、その衝撃波もかなりの威力がある。
腕を振り上げるポーズがあるので、回避可能ではあるが、発動までの時間が極めて短いので、逃げ遅れると、吹っ飛ばれて大ダメージを受ける。
前半は、それを食らわないように注意して、敵を攪乱して、この防具の継ぎ目を攻撃して、防具を剥がす。
素早く動くので、継ぎ目に当てられず、初対戦だったので慎重になりすぎたこともあり、前半戦だけど、四十分近い時間がかかってしまった。
でも、無事、最強防具を剥がすことに成功し、あとは、少しずつ体力を削って、倒すのみだ。
だが、一安心して油断したのか、長期戦になり焦りがでたのかはわからないが、そこからは僕らもかなりのダメージを受けることになった。
それでも、ミミとリットがボスの注意を引きつけて、僕が治癒回復の準備をして、治療し、なんとか二人を体力全快に回復させた。
だか、治癒回復発動中だったので、僕は斧無双を交しきれずに吹っ飛ばされた。しかも吹っ飛んだ先に、ボスから弾き飛ばして奪った斧の一本が突き刺さっていて、その刃の部分に背中を強く打ち付け、ざっくり大きく切ってしまった。
ミミとリットが再び注意を引きつけてくれ、自ら治癒回復を掛けて治療したが、大量に出血してしまったため、意識が朦朧として、戦える状態ではない。空腹なので、尚更だ。
「無理するな。あと少しで、倒せる。後はミミと二人でなんとかするから、休んでいろ」
リットのお言葉に甘え、少し休憩してから参戦することにしたが、リットもかなり焦っていたらしい。
ボスの足元がふらついた隙に、止めを刺しに飛び込んでいったのだが、それは斧無双のためのフェイントだったのだ。
リットも気づき、斧の直撃はぎりぎりで交したが、石礫を伴う衝撃波をもろに受け、身体が傷だらけになって、吹っ飛ばされてしまった。
「私が引きつけるから、ケントはヒールを掛けてあげて」
ミミ一人だと少し不安もあったが、ボスの目に矢を集中して放って敵視をとり、こちらに来ないように引きつけつつ、自分も攻撃されないように、常に距離を取って逃げ回り、上手く立ち回ってくれている。
これなら、大丈夫と、僕は、精神集中して、リットの治療に専念した。
だが、その時、とんでもないことが起きた。
ダンジョンボスの扉が開き、冒険者四人が飛び込んできたのだ。
その冒険者の一人は、あのスティーブ。おそらく他の三人も、エルデンリングのクランメンバーで間違いない。
三人は、槍や、両手剣、ナイフ、ナイトソードで、弱っているミノタウルスジェネラルを総攻撃して、その首を切り落とし、止めを刺した。
そして、塵になって消えたボスの巨大な魔石を手に立ち去ろうとした。
「ずるい。私たちが、ここまで弱らせたのよ」
「ミミ、やめろ。俺が止めを焦ったのがいけなかったんだ」
「でも……」
「魔石は止めを刺した者の権利だろう。何か文句でもあるのか」
「確かにそうかもしれないけど、一時間以上も掛けて、装備を外し、ここまで弱らせたんだから、七人で均等に報酬分配しませんか」
「一時間以上掛けて、仕留められなかった方が悪いんだ。それじゃな」
横取りクエストはシステム上、認められてはいるが、攻略途中に乱入してくるのは、流石に仁義に反する。
でも、スティーブはレベル36という話だし、他の三人も強者なのは間違いない。
ミミはまだ元気だが、僕もリットも満身創痍だ。今回はついてなかったと、諦めるしかない。
「卑怯者」
ミミはどうしても許せなかったのか、彼らの背後から、そんな言葉を吐きかけた。
「生意気な女だ。大人しくしていれば、何もせずに帰ってやったのに、二度と生意気な口をきけなくしてやるぞ」
「私、知ってるのよ。あなたペナルティーポイントがマックスで、今度揉め事をおこすと、冒険者資格剥奪よね。殴れるものなら、殴ってみなさいよ」
「このアマ」 三人がミミに襲い掛かろうとして、「やめろ」とスティープが引き留めた。
「これは俺たちの正式な権利だが、そうまで言うなら、代表者同士の一対一の正式な決闘で決めようじゃないか。お前らが勝ったら、七人で山分け。俺が勝ったら、これは俺たちのものだが、それだけという訳にはいかない。分かっているな」
「なんで、そんな決闘を受けなければならないの。私たちの功績の方が多いのはあきらかでしょう」
「ミミ、これ以上はやめろ。僕たちでは絶対に敵わない。今回は運が悪かったと諦めろ」
「でも……」
「不愉快な気分にしたお前は許せないが、賢明なリーダーを立てて、許してやるよ。それじゃ」
他の三人は不満そうに、チッと舌打ちしたが、スティーブは暴力沙汰は起こせないので、憤慨しながらも、大人しく立ち去って行った。
その後も、ミミはご機嫌斜めで、宥めるのが大変だったが、帰還の封石を使って、ダンジョンを一気に脱出し、空腹で貧血のまま、プリッツに帰還した。
冒険者ギルドでもミミは、ローラに不満をぶちまけた。
だがローラが、それは認められている行為だからと言ったので大変。
暴力沙汰が起きないように、なんとかミミを諫め、三人で食事をすることにした。
僕は直ぐに何かをお腹に入れたかったのだが、ミミは身体を綺麗にしたいからと、また我儘を言い出し、二人は一旦、アパートに戻り、僕も宿屋で汗を流して、一時間後に合流して、食事を食べた。
その席でも、ミミは、横取りを許容するシステムは間違っていると、怒りが収まらずに憤慨していたが、お腹が一杯になると人は機嫌が直る。
別れる時には、「今度は魔物の森にレベル上げに行かない?」と、前向きになっていた。
魔物の森とは、ダンジョン以上に強い魔物がいて、冒険者クエストも発行されていない危険なところだが、レベル上げには格好の場所だ。
「いいね。途中で熟せるクエストを受注して、行ってみるか」
「ケントまで、何をいってる。これからも、地道にクエストを熟していくに決まってるだろう。今度は、モリアントダンジョンになんてどうだ」
「馬でも片道一日かかる程遠いし、魔物もブリタリスほど強くない。私は、もっと強い魔物と戦かって、強くなりたいの」
「はいはい、じゃあ検討しておくよ。ケント、それじゃあ、またな」
そう言って、二人と分れた。
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