僕はボーナス加護で伸し上がりました

根鳥 泰造

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第二章 ボーナス加護で人生が変わりました

2-3 持つべきものは友です

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 翌朝、村民の皆に感謝され、帰路についたが、こういうクエストは気分がいいものだ。
 リット達は報酬が少なくても、人助けの様なクエストを率先して受注しているのだそうで、改めて彼らとパーティーを組めたことに感謝した。

「こういうクエストって、頻繁にあるのか?」
「ある時は、続けざまにあったりするが、ひと月以上ない事もあり、様々だな。ない時は、偵察とか、護衛とか、採集とか、選り好みしなければ、週に三つ位はクエストを受注できる」
「それで、私考えたんだけど」
 ミミは、リットの前に回り込んで、また後ろ歩きはじめながら話始めた。
「私達って、かなり強いんじゃない。これなら少し難度が高いクエストも熟せるんじゃない」
「確かに、ケントがいれば、魔物討伐のクエストも熟せそうだが、ケントはいいのか」
「ああ、僕としては進んで魔物討伐したいくらいだから」
「それならブリタリスダンジョンに行こうよ。ダンジョン攻略してみたかったんだ」
「ダンジョンは流石にまだ早い気もするが、地下一階層だけなら、チャレンジしても良いかもな」
 そんな訳で、今度は沢山の魔物が闊歩しているという地下迷宮に挑戦することになった。

 冒険者ギルトで、報酬を受け取ると、早速、そのダンジョン関連のクエストを受注することにした。
 報酬のわりに困難度が高く、ブリタリスダンジョンの未受注のクエストは沢山ある。
 だが、地下一階層までで可能なクエストは三つだけだった。
 その三つのクエストを全て受注し、明朝出発という予定にして、解散した。
 二人は、この街にアパートを賃貸しているのだそうで、きっと今晩は愛し合うんだと羨ましかった。

 僕は、例の書店に魔法書を買いにいくことにした。今のところ、一度も魔力切れを起こしていないが、ダンジョンにいくとなるとその危険もあり、魔力切れになると、意識喪失して倒れてしまうらしい。
 だから、どうしてもマナヒールを使えるようにしておきたかった。
 店主は、「マナヒールが書いてあるかは分からないが」と、店内ではなく、店の奥に入って行き、一冊の魔法書を手に戻って来た。
 そして、その本を開いて確認し、「これがその魔法書だ」と手渡してくれた。
 それは治癒魔法の魔法書で、価格はなんと2200ギルと予想以上に高い。急いで全財産を確認したが、2185ギルしかなかった。
「今は、これしか持ち合わせはない。後日不足の15ギルを持ってくるから、この本を売ってもらえないだろうか」
 店主は、どうせ買い手のつかない本だからと、残りは負けてくれた。
 治癒魔導士はほとんどいないし、治癒魔法は覚えるのが大変なので売れないのだとか。
 今晩は食事抜きで、野宿せざるを得なかったが、必要なものなので、やむを得ない。

 公園のベンチに腰掛け、早速、マナヒールの使い方を読み始めたが、専門用語が多すぎて全く理解できない。
 どうやら、前半部の治癒魔法の基礎を読まないと、理解できないらしい。
 仕方なく、最初から読むことにしたが、やはり難解でよく理解できない。
 でも、読み進めていると、少しづつ理解できるようになってきた。
 肉体を直すヒールも、魔力回復を計るマナヒールも、毒を打ち消すホイゾナも、基本は同じで、魔法を発動する前に、複雑な準備処理が必要となる。
 先ずは身体の気やマナを動かしやすくする活性化処理を、身体全体に施し、マナまたは気を丹田と呼ぶ場所に一旦集積させ、そこで魔法を詠唱させて変質させ、それを手や幹部に送り出して、治療するという手順になる。
 しかも、ヒールやホイゾナは更に複雑で、呪文詠唱の際に、複数の処理手順をイメージして、複数術式を織り込んだ治癒の元を練り上げねばならない。
 ヒールの場合、術式は、洗浄処理、消毒処理、加熱処理、冷却処理、麻酔処理、細胞活性処理、再生処理の七種もあり、どういう治療をなすべきかを考え、術式の順序をイメージしながら詠唱しなければないらない。
 詠唱は同じでも、怪我の程度や状態に応じて、この術式を適切にイメージしないと効果がえられないのだそうで、治癒魔導士はほとんどいない理由がよくわかった。

 前半の基礎編は、一度読んだだけでは身につかず、何度も読み直す必要がありそうだが、これでマナヒールの解説を理解できるようになったと判断し、その部分を再度読み直した。
 
 全身をリラックスさせ、頭と四肢の五カ所に、順にマナや気の流れを活性化させる活性化処理魔法を掛ける。
 マナの活性化の際は『ゾルンデ』、気の活性化は『ジオーク』、共に活性化させる際は、『ジオンデ』をつけ、その後に活性化させたい部位名を付けることで、簡単に活性化できる。
 マナヒールの場合は、マナを集めるので、以下の様な簡単な呪文を唱えるだけだ。
 『ゾルンデ・ヘッド』『ゾルンデ・ライトアーム』……『ゾルンデ・レフトレッグ』
 これにより、その部位が熱を帯び、活性化が始まる。ここまでが第一段階だ。

 続けて、そのマナまたは気を丹田に集めるのだが、これがなかなかに難しい。精神集中してその塊が蠕動していくイメージを持つことで、移動するとあるが、本に記載されている様な熱い塊が移動している感じにならない。
 この習得だけで、陽が暮れてしまった。
 でも、コツがつかめ、全ての部位のマナを臍下八センチ位置の下丹田に集めるのができるようになり、第二段階もクリアできた。

 因みに、丹田は、上中下と三か所にあり、治癒魔法では、頭の上丹田は使わず、胸中央の中丹田か下丹田の二か所に気またはマナを集中させることになる。

 そして、第三段階が、マナの変質処理。マナを魔力に変換させるマナヒールの呪文を詠唱して、魔力の塊を作り出す。
 第四段階が、その魔力塊の移動。第二段階の逆に、五カ所に魔力塊を移動させ、初めて魔力が回復するという訳だ。
 第二段階で苦労しただけあって、この移動処理は簡単におこなうことができた。

 これで、僕もマナヒールが使えることになったが、戦闘中に魔力回復が可能かと言われると今の時点では絶対に無理だ。
 第一段階、第三段階は、呪文を詠唱すればいいことなので、簡単にできるが、第二、第四の移動には、精神を集中しないとできないので、戦闘中のストレス状態では、絶対に不可能と断言してもいいほどだからだ。
 かなり修行して、意識しなくても自然に行えるようになれば、戦闘中の回復も可能になるとは思うが、当面は、戦闘後の休憩時間に回復するという運用に限定されそうだ。

 そんな事を考えているぐぅっとお腹が鳴り始めた。朝から何も食べていなので、空腹なのだ。
 既に真っ暗になっていて、魔法書を読み返して気を紛らわすこともできない。

 仕方ないので、魔導士のローブを着て、本をしまい、公園で水を飲んで腹を膨らませることにした。

「ケントじゃないか」「こんなところで何をしているの?」
 リットとミミの二人が、コート姿で立っていた。
 彼らのアパートはこの近くらしい。
「魔法書を買って一文無しになってしまったんでね。水で腹を膨らませていた」
「しかたがないやつだな。丁度、外食に行く予定だったし、奢ってやるよ」
「貸しだからね。明日のクエストで返ししてよ」
 良き仲間に恵まれたて、本当にありがたい。

 彼らの行きつけの高級レストランにつれていってもらい、二人はコートを脱いだのだが、ミミは徳利セータの様な膝上二十センチのボディコンワンピース。しかもノーブラみたいで、透け乳首が浮かんでいる。僕は必死に抑えようとしたが、股間がモッコリと盛り上がってしまった。

 僕は一番安い物を注文したが、彼らは多めにサイドメニューを注文してくれ、遠慮するなと分けてもらえた。
 料理は高級店だけあって、大衆酒場より遥かに美味しい。その分、値段も高いが、二人は意外と金持ちなんだと認識を改めた。

 レストランを出ると、リットは、宿の心配までしてくれた。
「宿代もないんだろう。ソファしか貸せないが、家に来ないか」
「ちょっとリット」 ミミが凄い目で、リットを睨みつけた。
「折角の御厚意だけど、このローブは結構暖かいから心配しないで」
 僕は丁重にお断りした。新婚家庭にお邪魔する程野暮じゃない。

 でも、ミミも親切だ。あの公園でサヨナラして、ベンチに座って、もう一度マナヒールの復習をしていると、ミミが毛布をもって走ってきた。
「これ、いらない毛布だからケントにあげる。それと、明日の朝食、簡単なものなら作ってあげれるから、明日リットに迎えにこさせるね。それじゃ、おやすみなさい」
 毛布は、ふかふかで暖かく、本当にありがたかった。

 でもミミの刺激が強すぎたみたいた。明け方、フェイと一緒にお風呂に入った時の夢を見て、夢精してしまった。前世では、定期的に抜いていたので、最初の精通の時以来、夢精したことがなかったが、この世界に転生してから、一度も自慰していないので、こんなことになってしまった。
 日の出前だが、空が少し明るくなっていて、恥ずかしかったが、下半身裸になって、パンツを脱ぎ、水で股間を拭いて、替えのパンツはないので、ノーパンでズボンを履き、パンツを洗って、乾かした。

 でも、乾かないうちに、時間切れ。リットが僕を朝食に呼びに来た。しかも、いらっしゃいと飛んできたミミは、ビキニの様なあの戦闘服で、胸がプルンと揺れるから、だめだった。
 息子は僕の言う事を聞かずにむくむくと大きくなり、ミミは、はっきりと浮き上がった僕のアソコに気づき、くすっと笑われてしまった。

 ミミが頑張って作ってくれた手料理の朝食は、残念ながらそれなりで、宿の朝食や、フェイの方がずっと美味しかったが、僕のために一生懸命、料理を作ってくれた事には感謝しかない。
 ミミは僕には少し刺激的過ぎる女性だけど、二人には恩返しをしなければと、強く思った。


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