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リオナの印象
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レオナードさんは弟さんが来ていても私の変化がないのを確認して表情がいつも通りに戻る。私もテオドールさんはお父さんと違って苦手ではない。
「兄上、馬車も待たせてあるので私は帰ります。リオナさん、今日はありがとうごさいました」
「いえいえ、また来てくださいね。今度はレオナードさんがいるときにでも」
「テオ、馬車まで送る」
そういってテオドールさんとレオナードさんは出て行った。テオドールさんはお父様と違い素直な人かもと思った。
「テオ、リオナと何を話した?」
「兄上が家を継いでくれるようにお願いして欲しいとリオナさんに頼んだら断られました」
「ははは! そうだろ。リオナはそういう女性だからな。父上やトマスのことも暴言吐かれても気にしてないし、シューヘンハイムの女のことも暴力を振るおうとした従者のことも気にしてない」
「兄上…、リオナさんは何歳なんですか?」
「リオナか? 19歳だ。驚いたか?」
「19歳! 随分と自分の意見をしっかりと持ってる女性ですね。かといって考えを押し付けたりしないですし…」
「そうだな、しっかりしてるよ。だからといって間違えたりすることもあるぞ。
リオナは俺の気持ちも意見もちゃんと聞いて受け入れる。だから一緒にいると心地よい」
「私も話しをしてみて驚きました。リオナさんの意見が全て正しいとは思いませんが考え方の違いは参考になりました」
「テオ、迷惑かけていたらすまないな。お前も家を継ぎたくなかったら継がなくてもいいしアルも好きにすればいい。
父上は納得しないだろうが、貴族を続けたいなら遠縁の養子でも何でもするだろう。長男、次男関係なくお前は継ぎたいのか?」
「兄上が継ぐと思っていたので正直分かりません。ただ、私は兄上を手伝いながら領地を良くして領民が豊かな暮らしができるようにしたいとは前から考えていました」
「そうか、よく考えて決めてくれ。もう少ししたらまた父上に会いに行くから待ってろよ」
「はい。兄上、また会いに来てもいいですか?」
「リオナと俺の家か?」
「駄目でしょうか…」
「テオのことはリオナも大丈夫そうだからいつでも来い」
「はい、ありがとうございます!」
テオドールは馬車に乗り帰った。さて、もう少ししたらまた実家に帰るとするか…。
「おかえりなさい、レオナードさん」
「あぁ、テオが世話になった。また家に来たいと言ってたが大丈夫だよな?」
「そう、テオドールさんに嫌われたかと思ったから良かったわ」
「何の話しをしたんだ?」
「そうねぇ、家を継ぐ話とか結婚の話とか? 家を継ぐ話はレオナードさんには話さないとお断りして結婚も今はしたくないと言ったら驚いてた感じかな? 私も自分の考えを言っただけなんですけどテオドールさんには受け入れ難い考えだと思います」
「くくっ、そうか。受け入れ難いか。テオに聞いたら参考になったようだったぞ?」
「参考に…。話しは変わりますけどテオドールさんが突然いらっしゃったので夕食の用意をしていないのですが」
「外に食べに行くか」
「「ラモン亭」」
毎朝、レオナードは起きるとリオナの匂いを嗅ぐ。変な意味ではないのだが日課になっている。リオナの匂いを嗅いでいると生きている実感がするから好きだ。夜会で会った女達は香水臭くてたまらなかった。違う香水が混ざり合って吐き気もしてくるし腕に胸を押し付けたりしてきて気持ちが悪い。
リオナは石鹸の香りとリオナの匂いが混ざって心地よく、気持ちが落ち着き一緒に寝ると安眠できて仕事も捗る。
「おはよう、レオ。今日はご機嫌いかがかな?」
「おはよう、気分は良いぞ。そういえば昨日テオが家に来たんだ。俺が家に着く前にリオナと話をしてたみたいだが驚いてた。本当に19歳? とな」
「だろうね。俺だって未だに信じられないよ。それでテオは?」
「リオナに俺を説得するように頼んだらしいけど断られて結婚もしないと言われたみたいでな」
「うわぁ。素直にテオは諦めた?」
「諦めたかは分からないが俺からもう一度話はした。テオは領地経営をしたかったらしいから考えてみてくれとお願いしたが、無理に家を継ぐこともないと伝えた。まぁ、領地経営も俺の手伝いをするつもりでいたらしいからさすがに当主になるとは考えてなかったらしい」
「そっか、叔父さんとテオも含めてちゃんと話し合いしろよ。」
「そうだな、近々行く予定だが父がな…。考えを変えるとは思えないが努力はしてみるさ」
予定通りクロスボウが輸入され、ここ最近は宮殿への報告や実地訓練など多忙であったので帰宅も遅かった。リオナの身の周辺に危害が起こらないように注意を払っていたが幸い何もなかった。
リオナが努力をしてくれたおかげで、自国でのクロスボウ開発に回せる数もあり研究者達も密かに喜んだ。
多忙な日々も落ち着いてきたところでテオドールへ手紙を送り、父との話し合いに参加して欲しいと連絡をした。
テオドールが了承してくれたので再度実家へ帰ることになった。
「兄上、馬車も待たせてあるので私は帰ります。リオナさん、今日はありがとうごさいました」
「いえいえ、また来てくださいね。今度はレオナードさんがいるときにでも」
「テオ、馬車まで送る」
そういってテオドールさんとレオナードさんは出て行った。テオドールさんはお父様と違い素直な人かもと思った。
「テオ、リオナと何を話した?」
「兄上が家を継いでくれるようにお願いして欲しいとリオナさんに頼んだら断られました」
「ははは! そうだろ。リオナはそういう女性だからな。父上やトマスのことも暴言吐かれても気にしてないし、シューヘンハイムの女のことも暴力を振るおうとした従者のことも気にしてない」
「兄上…、リオナさんは何歳なんですか?」
「リオナか? 19歳だ。驚いたか?」
「19歳! 随分と自分の意見をしっかりと持ってる女性ですね。かといって考えを押し付けたりしないですし…」
「そうだな、しっかりしてるよ。だからといって間違えたりすることもあるぞ。
リオナは俺の気持ちも意見もちゃんと聞いて受け入れる。だから一緒にいると心地よい」
「私も話しをしてみて驚きました。リオナさんの意見が全て正しいとは思いませんが考え方の違いは参考になりました」
「テオ、迷惑かけていたらすまないな。お前も家を継ぎたくなかったら継がなくてもいいしアルも好きにすればいい。
父上は納得しないだろうが、貴族を続けたいなら遠縁の養子でも何でもするだろう。長男、次男関係なくお前は継ぎたいのか?」
「兄上が継ぐと思っていたので正直分かりません。ただ、私は兄上を手伝いながら領地を良くして領民が豊かな暮らしができるようにしたいとは前から考えていました」
「そうか、よく考えて決めてくれ。もう少ししたらまた父上に会いに行くから待ってろよ」
「はい。兄上、また会いに来てもいいですか?」
「リオナと俺の家か?」
「駄目でしょうか…」
「テオのことはリオナも大丈夫そうだからいつでも来い」
「はい、ありがとうございます!」
テオドールは馬車に乗り帰った。さて、もう少ししたらまた実家に帰るとするか…。
「おかえりなさい、レオナードさん」
「あぁ、テオが世話になった。また家に来たいと言ってたが大丈夫だよな?」
「そう、テオドールさんに嫌われたかと思ったから良かったわ」
「何の話しをしたんだ?」
「そうねぇ、家を継ぐ話とか結婚の話とか? 家を継ぐ話はレオナードさんには話さないとお断りして結婚も今はしたくないと言ったら驚いてた感じかな? 私も自分の考えを言っただけなんですけどテオドールさんには受け入れ難い考えだと思います」
「くくっ、そうか。受け入れ難いか。テオに聞いたら参考になったようだったぞ?」
「参考に…。話しは変わりますけどテオドールさんが突然いらっしゃったので夕食の用意をしていないのですが」
「外に食べに行くか」
「「ラモン亭」」
毎朝、レオナードは起きるとリオナの匂いを嗅ぐ。変な意味ではないのだが日課になっている。リオナの匂いを嗅いでいると生きている実感がするから好きだ。夜会で会った女達は香水臭くてたまらなかった。違う香水が混ざり合って吐き気もしてくるし腕に胸を押し付けたりしてきて気持ちが悪い。
リオナは石鹸の香りとリオナの匂いが混ざって心地よく、気持ちが落ち着き一緒に寝ると安眠できて仕事も捗る。
「おはよう、レオ。今日はご機嫌いかがかな?」
「おはよう、気分は良いぞ。そういえば昨日テオが家に来たんだ。俺が家に着く前にリオナと話をしてたみたいだが驚いてた。本当に19歳? とな」
「だろうね。俺だって未だに信じられないよ。それでテオは?」
「リオナに俺を説得するように頼んだらしいけど断られて結婚もしないと言われたみたいでな」
「うわぁ。素直にテオは諦めた?」
「諦めたかは分からないが俺からもう一度話はした。テオは領地経営をしたかったらしいから考えてみてくれとお願いしたが、無理に家を継ぐこともないと伝えた。まぁ、領地経営も俺の手伝いをするつもりでいたらしいからさすがに当主になるとは考えてなかったらしい」
「そっか、叔父さんとテオも含めてちゃんと話し合いしろよ。」
「そうだな、近々行く予定だが父がな…。考えを変えるとは思えないが努力はしてみるさ」
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多忙な日々も落ち着いてきたところでテオドールへ手紙を送り、父との話し合いに参加して欲しいと連絡をした。
テオドールが了承してくれたので再度実家へ帰ることになった。
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