2度目の結婚は貴方と

朧霧

文字の大きさ
上 下
25 / 35

リオナの印象

しおりを挟む
 レオナードさんは弟さんが来ていても私の変化がないのを確認して表情がいつも通りに戻る。私もテオドールさんはお父さんと違って苦手ではない。

「兄上、馬車も待たせてあるので私は帰ります。リオナさん、今日はありがとうごさいました」

「いえいえ、また来てくださいね。今度はレオナードさんがいるときにでも」

「テオ、馬車まで送る」

そういってテオドールさんとレオナードさんは出て行った。テオドールさんはお父様と違い素直な人かもと思った。


「テオ、リオナと何を話した?」

「兄上が家を継いでくれるようにお願いして欲しいとリオナさんに頼んだら断られました」

「ははは! そうだろ。リオナはそういう女性だからな。父上やトマスのことも暴言吐かれても気にしてないし、シューヘンハイムの女のことも暴力を振るおうとした従者のことも気にしてない」

「兄上…、リオナさんは何歳なんですか?」

「リオナか? 19歳だ。驚いたか?」

「19歳! 随分と自分の意見をしっかりと持ってる女性ですね。かといって考えを押し付けたりしないですし…」

「そうだな、しっかりしてるよ。だからといって間違えたりすることもあるぞ。
リオナは俺の気持ちも意見もちゃんと聞いて受け入れる。だから一緒にいると心地よい」

「私も話しをしてみて驚きました。リオナさんの意見が全て正しいとは思いませんが考え方の違いは参考になりました」

「テオ、迷惑かけていたらすまないな。お前も家を継ぎたくなかったら継がなくてもいいしアルも好きにすればいい。
父上は納得しないだろうが、貴族を続けたいなら遠縁の養子でも何でもするだろう。長男、次男関係なくお前は継ぎたいのか?」

「兄上が継ぐと思っていたので正直分かりません。ただ、私は兄上を手伝いながら領地を良くして領民が豊かな暮らしができるようにしたいとは前から考えていました」

「そうか、よく考えて決めてくれ。もう少ししたらまた父上に会いに行くから待ってろよ」

「はい。兄上、また会いに来てもいいですか?」

「リオナと俺の家か?」

「駄目でしょうか…」

「テオのことはリオナも大丈夫そうだからいつでも来い」

「はい、ありがとうございます!」

テオドールは馬車に乗り帰った。さて、もう少ししたらまた実家に帰るとするか…。

「おかえりなさい、レオナードさん」

「あぁ、テオが世話になった。また家に来たいと言ってたが大丈夫だよな?」

「そう、テオドールさんに嫌われたかと思ったから良かったわ」 

「何の話しをしたんだ?」

「そうねぇ、家を継ぐ話とか結婚の話とか? 家を継ぐ話はレオナードさんには話さないとお断りして結婚も今はしたくないと言ったら驚いてた感じかな? 私も自分の考えを言っただけなんですけどテオドールさんには受け入れ難い考えだと思います」

「くくっ、そうか。受け入れ難いか。テオに聞いたら参考になったようだったぞ?」

「参考に…。話しは変わりますけどテオドールさんが突然いらっしゃったので夕食の用意をしていないのですが」 

「外に食べに行くか」

「「ラモン亭」」



毎朝、レオナードは起きるとリオナの匂いを嗅ぐ。変な意味ではないのだが日課になっている。リオナの匂いを嗅いでいると生きている実感がするから好きだ。夜会で会った女達は香水臭くてたまらなかった。違う香水が混ざり合って吐き気もしてくるし腕に胸を押し付けたりしてきて気持ちが悪い。
リオナは石鹸の香りとリオナの匂いが混ざって心地よく、気持ちが落ち着き一緒に寝ると安眠できて仕事も捗る。

「おはよう、レオ。今日はご機嫌いかがかな?」

「おはよう、気分は良いぞ。そういえば昨日テオが家に来たんだ。俺が家に着く前にリオナと話をしてたみたいだが驚いてた。本当に19歳? とな」

「だろうね。俺だって未だに信じられないよ。それでテオは?」

「リオナに俺を説得するように頼んだらしいけど断られて結婚もしないと言われたみたいでな」

「うわぁ。素直にテオは諦めた?」

「諦めたかは分からないが俺からもう一度話はした。テオは領地経営をしたかったらしいから考えてみてくれとお願いしたが、無理に家を継ぐこともないと伝えた。まぁ、領地経営も俺の手伝いをするつもりでいたらしいからさすがに当主になるとは考えてなかったらしい」

「そっか、叔父さんとテオも含めてちゃんと話し合いしろよ。」

「そうだな、近々行く予定だが父がな…。考えを変えるとは思えないが努力はしてみるさ」

予定通りクロスボウが輸入され、ここ最近は宮殿への報告や実地訓練など多忙であったので帰宅も遅かった。リオナの身の周辺に危害が起こらないように注意を払っていたが幸い何もなかった。

リオナが努力をしてくれたおかげで、自国でのクロスボウ開発に回せる数もあり研究者達も密かに喜んだ。

多忙な日々も落ち着いてきたところでテオドールへ手紙を送り、父との話し合いに参加して欲しいと連絡をした。
テオドールが了承してくれたので再度実家へ帰ることになった。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】名ばかりの妻を押しつけられた公女は、人生のやり直しを求めます。2度目は絶対に飼殺し妃ルートの回避に全力をつくします。

yukiwa (旧PN 雪花)
恋愛
*タイトル変更しました。(旧題 黄金竜の花嫁~飼殺し妃は遡る~) パウラ・ヘルムダールは、竜の血を継ぐ名門大公家の跡継ぎ公女。 この世を支配する黄金竜オーディに望まれて側室にされるが、その実態は正室の仕事を丸投げされてこなすだけの、名のみの妻だった。 しかもその名のみの妻、側室なのに選抜試験などと御大層なものがあって。生真面目パウラは手を抜くことを知らず、ついつい頑張ってなりたくもなかった側室に見事当選。 もう一人の側室候補エリーヌは、イケメン試験官と恋をしてさっさと選抜試験から引き揚げていた。 「やられた!」と後悔しても、後の祭り。仕方ないからパウラは丸投げされた仕事をこなし、こなして一生を終える。そしてご褒美にやり直しの転生を願った。 「二度と絶対、飼殺しの妃はごめんです」 そうして始まった2度目の人生、なんだか周りが騒がしい。 竜の血を継ぐ4人の青年(後に試験官になる)たちは、なぜだかみんなパウラに甘い。 後半、シリアス風味のハピエン。 3章からルート分岐します。 小説家になろう、カクヨムにも掲載しています。 表紙画像はwaifulabsで作成していただきました。 https://waifulabs.com/

地獄の業火に焚べるのは……

緑谷めい
恋愛
 伯爵家令嬢アネットは、17歳の時に2つ年上のボルテール侯爵家の長男ジェルマンに嫁いだ。親の決めた政略結婚ではあったが、小さい頃から婚約者だった二人は仲の良い幼馴染だった。表面上は何の問題もなく穏やかな結婚生活が始まる――けれど、ジェルマンには秘密の愛人がいた。学生時代からの平民の恋人サラとの関係が続いていたのである。  やがてアネットは男女の双子を出産した。「ディオン」と名付けられた男児はジェルマンそっくりで、「マドレーヌ」と名付けられた女児はアネットによく似ていた。  ※ 全5話完結予定  

婚約破棄でみんな幸せ!~嫌われ令嬢の円満婚約解消術~

春野こもも
恋愛
わたくしの名前はエルザ=フォーゲル、16才でございます。 6才の時に初めて顔をあわせた婚約者のレオンハルト殿下に「こんな醜女と結婚するなんて嫌だ! 僕は大きくなったら好きな人と結婚したい!」と言われてしまいました。そんな殿下に憤慨する家族と使用人。 14歳の春、学園に転入してきた男爵令嬢と2人で、人目もはばからず仲良く歩くレオンハルト殿下。再び憤慨するわたくしの愛する家族や使用人の心の安寧のために、エルザは円満な婚約解消を目指します。そのために作成したのは「婚約破棄承諾書」。殿下と男爵令嬢、お二人に愛を育んでいただくためにも、後はレオンハルト殿下の署名さえいただければみんな幸せ婚約破棄が成立します! 前編・後編の全2話です。残酷描写は保険です。 【小説家になろうデイリーランキング1位いただきました――2019/6/17】

村娘になった悪役令嬢

枝豆@敦騎
恋愛
父が連れてきた妹を名乗る少女に出会った時、公爵令嬢スザンナは自分の前世と妹がヒロインの乙女ゲームの存在を思い出す。 ゲームの知識を得たスザンナは自分が将来妹の殺害を企てる事や自分が父の実子でない事を知り、身分を捨て母の故郷で平民として暮らすことにした。 村娘になった少女が行き倒れを拾ったり、ヒロインに連れ戻されそうになったり、悪役として利用されそうになったりしながら最後には幸せになるお話です。 ※他サイトにも掲載しています。(他サイトに投稿したものと異なっている部分があります) アルファポリスのみ後日談投稿しております。

五歳の時から、側にいた

田尾風香
恋愛
五歳。グレースは初めて国王の長男のグリフィンと出会った。 それからというもの、お互いにいがみ合いながらもグレースはグリフィンの側にいた。十六歳に婚約し、十九歳で結婚した。 グリフィンは、初めてグレースと会ってからずっとその姿を追い続けた。十九歳で結婚し、三十二歳で亡くして初めて、グリフィンはグレースへの想いに気付く。 前編グレース視点、後編グリフィン視点です。全二話。後編は来週木曜31日に投稿します。

もしも生まれ変わるなら……〜今度こそは幸せな一生を〜

こひな
恋愛
生まれ変われたら…転生できたら…。 なんて思ったりもしていました…あの頃は。 まさかこんな人生終盤で前世を思い出すなんて!

溺愛される妻が記憶喪失になるとこうなる

田尾風香
恋愛
***2022/6/21、書き換えました。 お茶会で紅茶を飲んだ途端に頭に痛みを感じて倒れて、次に目を覚ましたら、目の前にイケメンがいました。 「あの、どちら様でしょうか?」 「俺と君は小さい頃からずっと一緒で、幼い頃からの婚約者で、例え死んでも一緒にいようと誓い合って……!」 「旦那様、奥様に記憶がないのをいいことに、嘘を教えませんように」 溺愛される妻は、果たして記憶を取り戻すことができるのか。 ギャグを書いたことはありませんが、ギャグっぽいお話しです。会話が多め。R18ではありませんが、行為後の話がありますので、ご注意下さい。

時間が戻った令嬢は新しい婚約者が出来ました。

屋月 トム伽
恋愛
ifとして、時間が戻る前の半年間を時々入れます。(リディアとオズワルド以外はなかった事になっているのでifとしてます。) 私は、リディア・ウォード侯爵令嬢19歳だ。 婚約者のレオンハルト・グラディオ様はこの国の第2王子だ。 レオン様の誕生日パーティーで、私はエスコートなしで行くと、婚約者のレオン様はアリシア男爵令嬢と仲睦まじい姿を見せつけられた。 一人壁の花になっていると、レオン様の兄のアレク様のご友人オズワルド様と知り合う。 話が弾み、つい地がでそうになるが…。 そして、パーティーの控室で私は襲われ、倒れてしまった。 朦朧とする意識の中、最後に見えたのはオズワルド様が私の名前を叫びながら控室に飛び込んでくる姿だった…。 そして、目が覚めると、オズワルド様と半年前に時間が戻っていた。 レオン様との婚約を避ける為に、オズワルド様と婚約することになり、二人の日常が始まる。 ifとして、時間が戻る前の半年間を時々入れます。 第14回恋愛小説大賞にて奨励賞受賞

処理中です...