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シーズン7-Ve’z&エミド調査編
195-凶悪なるエミドの槍
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アドアステラはミサイルを乱射し、エミド主力艦に攻撃を加える。
その弾頭の正体はP-21型弾頭。
徹甲弾に近いそれは、エミド主力艦のシールドを突き破った。
だが、空いた穴は直ぐに塞がっていく。
内側で爆発したミサイルは、開けた穴をさらに広げた。
『敵の損耗率、1%以下に留まっています』
「シールドはただの防壁か.....」
カルは苦々しく呟く。
エミド主力艦は、ミサイルによって受けた損傷を即座に修復した。
シールドだけではなく、装甲防御も強力なのだ。
「こんなの、アドアステラ一隻じゃどうにもならないな....」
カルは呟く。
アドアステラはミサイルでシールドを貫通し、穴に向かって砲撃を連射する。
一か所に収束された砲撃は、エミド主力艦の装甲を貫通する。
だが。
高速連射による損傷も、凄まじい速度で修復されていく。
『エミド主力艦、エネルギー収束率が増加しています。武装がアクティブになります』
「回避....は出来ないから......とりあえず受ける!」
エミド主力艦は、その頭頂部にある武装を起動する。
赤黒い巨大な極光が噴き出し、真っすぐにアドアステラに衝突する。
シールドが一瞬で紙のように消し飛ぶ。
レーザーはアドアステラの前面部を消し飛ばし、そのまま消滅した。
「......こりゃ駄目だな、サブワープドライブを起動! アーマーリペアを起動しろ!」
アドアステラの前面部は完全に破壊され、アーマーリペアラによって急速に修復されていく。
キャッスルモジュールを解除したアドアステラは、高速モードに変形しフォートモジュールを起動、直ぐにその場を離脱した。
エミド主力艦は、アドアステラを追って攻撃を加える。
だが、高機動で立ち回り、かつ小さいアドアステラには当てられない。
同時に、アドアステラもまたキャッスルモジュールを利用できないため、エミド主力艦にダメージを与えられない。
フォートモジュール程度の出力強化では、シールドがなくとも貫通に至らないのだ。
『エミド主力艦、シールド完全に修復』
「くそっ...」
「主人、今の兵装では...」
「分かっている」
カルは考える。
操舵しながら、エミド主力艦を退けるか、艦隊を救助する方法を考えていた。
アドアステラは十分主力艦の注意を引けているが、アドアステラでは艦隊の全員を収容出来ない。
回収もできない以上、艦隊が修理を終えるまで粘るしかないのだが...
『こちら第四探索艦隊指揮官、オーリン・ダット! こちらの機関修理には数時間を要する! 未来ある傭兵の貴殿を危険に晒したくない、どうか離脱を!』
逃げろ。
そう言われて、カルは悩んだ。
実利を取るなら、ここで逃げる以外の選択肢はない。
もともとアドアステラは襲撃型重巡洋艦。
主力艦と真っ向勝負する艦ではないのだ。
「...俺の、慢心か」
カルは思い出した、兄の言葉を。
『いいか、お前は凄いやつだ...だが、もし誰かを救おうと思っても、まずは見極めろ。その誰かが抱えるものが、お前に救えるほどの大きさなのか。自分にできない救いをやろうと思えば、それなりの代償を支払わなければ難しい』
と。
艦隊を背に、敵の主力艦のシールドを剥がした。
その事実だけで舞い上がっていたのだ。
倒したわけでも、アドアステラ単騎だった訳でもない。
完全なる慢心、虎の威を借る狐に等しい。
「なら...」
カルの慢心に凍りついていた頭脳が動き出し、この戦いを終結に導く手段を考え始めた。
その弾頭の正体はP-21型弾頭。
徹甲弾に近いそれは、エミド主力艦のシールドを突き破った。
だが、空いた穴は直ぐに塞がっていく。
内側で爆発したミサイルは、開けた穴をさらに広げた。
『敵の損耗率、1%以下に留まっています』
「シールドはただの防壁か.....」
カルは苦々しく呟く。
エミド主力艦は、ミサイルによって受けた損傷を即座に修復した。
シールドだけではなく、装甲防御も強力なのだ。
「こんなの、アドアステラ一隻じゃどうにもならないな....」
カルは呟く。
アドアステラはミサイルでシールドを貫通し、穴に向かって砲撃を連射する。
一か所に収束された砲撃は、エミド主力艦の装甲を貫通する。
だが。
高速連射による損傷も、凄まじい速度で修復されていく。
『エミド主力艦、エネルギー収束率が増加しています。武装がアクティブになります』
「回避....は出来ないから......とりあえず受ける!」
エミド主力艦は、その頭頂部にある武装を起動する。
赤黒い巨大な極光が噴き出し、真っすぐにアドアステラに衝突する。
シールドが一瞬で紙のように消し飛ぶ。
レーザーはアドアステラの前面部を消し飛ばし、そのまま消滅した。
「......こりゃ駄目だな、サブワープドライブを起動! アーマーリペアを起動しろ!」
アドアステラの前面部は完全に破壊され、アーマーリペアラによって急速に修復されていく。
キャッスルモジュールを解除したアドアステラは、高速モードに変形しフォートモジュールを起動、直ぐにその場を離脱した。
エミド主力艦は、アドアステラを追って攻撃を加える。
だが、高機動で立ち回り、かつ小さいアドアステラには当てられない。
同時に、アドアステラもまたキャッスルモジュールを利用できないため、エミド主力艦にダメージを与えられない。
フォートモジュール程度の出力強化では、シールドがなくとも貫通に至らないのだ。
『エミド主力艦、シールド完全に修復』
「くそっ...」
「主人、今の兵装では...」
「分かっている」
カルは考える。
操舵しながら、エミド主力艦を退けるか、艦隊を救助する方法を考えていた。
アドアステラは十分主力艦の注意を引けているが、アドアステラでは艦隊の全員を収容出来ない。
回収もできない以上、艦隊が修理を終えるまで粘るしかないのだが...
『こちら第四探索艦隊指揮官、オーリン・ダット! こちらの機関修理には数時間を要する! 未来ある傭兵の貴殿を危険に晒したくない、どうか離脱を!』
逃げろ。
そう言われて、カルは悩んだ。
実利を取るなら、ここで逃げる以外の選択肢はない。
もともとアドアステラは襲撃型重巡洋艦。
主力艦と真っ向勝負する艦ではないのだ。
「...俺の、慢心か」
カルは思い出した、兄の言葉を。
『いいか、お前は凄いやつだ...だが、もし誰かを救おうと思っても、まずは見極めろ。その誰かが抱えるものが、お前に救えるほどの大きさなのか。自分にできない救いをやろうと思えば、それなりの代償を支払わなければ難しい』
と。
艦隊を背に、敵の主力艦のシールドを剥がした。
その事実だけで舞い上がっていたのだ。
倒したわけでも、アドアステラ単騎だった訳でもない。
完全なる慢心、虎の威を借る狐に等しい。
「なら...」
カルの慢心に凍りついていた頭脳が動き出し、この戦いを終結に導く手段を考え始めた。
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