185 / 222
シーズン7-Ve’z&エミド調査編
183-暗黒星系
しおりを挟む
新装備を積み終えたアドアステラは、Ve’zの領域であるラジンハイエに向けて航行していた。
「予想も出来ない領域だからな....」
「そうだね、私も御伽噺くらいでしか聞いたことないよ...」
Ve’zの艦船は殆ど情報がない。
接敵した時点で生きて帰れないから....か、もしくは冷静に対処できないからか。
そもそも殆どの場合は向こうから撃ってくることはない筈なんだけど、最近になって攻撃性が増したそうな。
Ve’zの直接的な事件はこの数百年殆ど無くて、かつて積極的に他国家を侵略していた時代の記録のみが残っている。
「でも、何だろうとアドアステラなら余裕じゃない?」
「かも、しれないな」
主力艦のシールドを貫けるなら、Ve’zと遭遇しても何とかなる。
最悪推進器だけでも破壊できれば逃げるチャンスはある。
そんな会話を交わしながら、アドアステラはラジンハイエ前のゲートに辿り着く。
......が。
『こちらは王国騎士団第42011辺境独立部隊である、貴艦の所属と艦長のIDを提示せよ...確認した、エンフォース所属、勲章授与者のカル・クロカワ様ですね? ご無礼をお許しください。可能であれば、この先へ進む理由を教えてください』
ゲートは厳重な態勢でガッチリ固められていて、アドアステラはシップスキャンとカーゴスキャンを同時にかけられた上で、勝手にIDを提示させられた。
その上でしっかりトラッキングスキャンもされており、何か怪しい点があれば即刻交戦する気だったとわかる。
フル武装の戦艦に撃たれたら、大抵の艦船はお陀仏である。
Ve‘zがどれだけ恐ろしい存在かがよく分かる。
誰かが勝手に外に出て喧嘩を売ったら、王国が終わるレベルなのだろう。
「ここへはエンフォースの調査依頼で来た。調査装備がスキャンを弾いているだろう、それが証拠になるだろうか?」
『確認しました、通行を許可します....ただし、帰還した際はカーゴスキャンを行います』
「ああ、それで構わない」
『ゲート通過後は用心してください、Ve’zか、エミドか......それが何かは我々には分かりませんが、どちらもゲートの付近に居続ければ貴方を攻撃するでしょう』
「分かった」
ゲートキャンプを当然のようにやってくるわけね。
それは別にいいんだけど....
どちらも武装がよく分からないな。
データを見ても、武装の詳細が分からない。
エミドの方は、「高分子熱的断絶レーザー」とかいうよく分からない武装だ。
映像を見る限り、シールドごと船体を切り裂いている。
対してVe’zの武器は謎だ。
レーザーなのかミサイルなのか....?
「ゲートを通過するぞ、全員戦闘準備」
「はい!」
「分かったよ!」
艦載機に乗らない時のラビは、第二環境を改造して設置した戦闘俯瞰モニター室に居る。
彼女は一人でも戦闘艦を操縦出来るから、そこで戦闘を俯瞰してこちらにフィードバックしてくれるのだ。
私もシトリンも完璧じゃ無い。
三人体制で初めて、完璧な掌握ができる。
かくして、私たちはゲートを通過した。
その先は...
「な、何だ、これ...?」
その先は、無の空間だった。
星の瞬きも、恒星の輝きも、無い。
だけど、異次元では無いと次元センサーが示していた。
つまり、ここは...ほぼ全ての惑星が破壊され、恒星がなくなった事で光のなくなった...それも大分昔に...死んだ恒星系なんだと理解した。
『広域スキャンに反応無し。付近の重力井戸はゲートと...不明な構造物数個のみです』
「まずいな、迷ったら終わりか」
まさに暗黒の領域。
まあ、こうなると思って対策はしているが。
ドローンベイに、重力波ビーコンを数機格納している。
位置を知られることになるが、それでも目印にはなる。
「行くぞ」
『気を付けてね』
私は不明な構造物の中でも、強度が極端に低く特定困難な遺跡を探査プローブをばら撒くことで特定し、船をそこへ向けてワープさせた。
「予想も出来ない領域だからな....」
「そうだね、私も御伽噺くらいでしか聞いたことないよ...」
Ve’zの艦船は殆ど情報がない。
接敵した時点で生きて帰れないから....か、もしくは冷静に対処できないからか。
そもそも殆どの場合は向こうから撃ってくることはない筈なんだけど、最近になって攻撃性が増したそうな。
Ve’zの直接的な事件はこの数百年殆ど無くて、かつて積極的に他国家を侵略していた時代の記録のみが残っている。
「でも、何だろうとアドアステラなら余裕じゃない?」
「かも、しれないな」
主力艦のシールドを貫けるなら、Ve’zと遭遇しても何とかなる。
最悪推進器だけでも破壊できれば逃げるチャンスはある。
そんな会話を交わしながら、アドアステラはラジンハイエ前のゲートに辿り着く。
......が。
『こちらは王国騎士団第42011辺境独立部隊である、貴艦の所属と艦長のIDを提示せよ...確認した、エンフォース所属、勲章授与者のカル・クロカワ様ですね? ご無礼をお許しください。可能であれば、この先へ進む理由を教えてください』
ゲートは厳重な態勢でガッチリ固められていて、アドアステラはシップスキャンとカーゴスキャンを同時にかけられた上で、勝手にIDを提示させられた。
その上でしっかりトラッキングスキャンもされており、何か怪しい点があれば即刻交戦する気だったとわかる。
フル武装の戦艦に撃たれたら、大抵の艦船はお陀仏である。
Ve‘zがどれだけ恐ろしい存在かがよく分かる。
誰かが勝手に外に出て喧嘩を売ったら、王国が終わるレベルなのだろう。
「ここへはエンフォースの調査依頼で来た。調査装備がスキャンを弾いているだろう、それが証拠になるだろうか?」
『確認しました、通行を許可します....ただし、帰還した際はカーゴスキャンを行います』
「ああ、それで構わない」
『ゲート通過後は用心してください、Ve’zか、エミドか......それが何かは我々には分かりませんが、どちらもゲートの付近に居続ければ貴方を攻撃するでしょう』
「分かった」
ゲートキャンプを当然のようにやってくるわけね。
それは別にいいんだけど....
どちらも武装がよく分からないな。
データを見ても、武装の詳細が分からない。
エミドの方は、「高分子熱的断絶レーザー」とかいうよく分からない武装だ。
映像を見る限り、シールドごと船体を切り裂いている。
対してVe’zの武器は謎だ。
レーザーなのかミサイルなのか....?
「ゲートを通過するぞ、全員戦闘準備」
「はい!」
「分かったよ!」
艦載機に乗らない時のラビは、第二環境を改造して設置した戦闘俯瞰モニター室に居る。
彼女は一人でも戦闘艦を操縦出来るから、そこで戦闘を俯瞰してこちらにフィードバックしてくれるのだ。
私もシトリンも完璧じゃ無い。
三人体制で初めて、完璧な掌握ができる。
かくして、私たちはゲートを通過した。
その先は...
「な、何だ、これ...?」
その先は、無の空間だった。
星の瞬きも、恒星の輝きも、無い。
だけど、異次元では無いと次元センサーが示していた。
つまり、ここは...ほぼ全ての惑星が破壊され、恒星がなくなった事で光のなくなった...それも大分昔に...死んだ恒星系なんだと理解した。
『広域スキャンに反応無し。付近の重力井戸はゲートと...不明な構造物数個のみです』
「まずいな、迷ったら終わりか」
まさに暗黒の領域。
まあ、こうなると思って対策はしているが。
ドローンベイに、重力波ビーコンを数機格納している。
位置を知られることになるが、それでも目印にはなる。
「行くぞ」
『気を付けてね』
私は不明な構造物の中でも、強度が極端に低く特定困難な遺跡を探査プローブをばら撒くことで特定し、船をそこへ向けてワープさせた。
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説
グラッジブレイカー! ~ポンコツアンドロイド、時々かたゆでたまご~
尾野 灯
SF
人類がアインシュタインをペテンにかける方法を知ってから数世紀、地球から一番近い恒星への進出により、新しい時代が幕を開ける……はずだった。
だが、無謀な計画が生み出したのは、数千万の棄民と植民星系の独立戦争だった。
ケンタウリ星系の独立戦争が敗北に終ってから十三年、荒廃したコロニーケンタウルスⅢを根城に、それでもしぶとく生き残った人間たち。
そんな彼らの一人、かつてのエースパイロットケント・マツオカは、ひょんなことから手に入れた、高性能だがポンコツな相棒AIノエルと共に、今日も借金返済のためにコツコツと働いていた。
そんな彼らのもとに、かつての上官から旧ケンタウリ星系軍の秘密兵器の奪還を依頼される。高額な報酬に釣られ、仕事を受けたケントだったが……。
懐かしくて一周回って新しいかもしれない、スペースオペラ第一弾!
銀河文芸部伝説~UFOに攫われてアンドロメダに連れて行かれたら寝ている間に銀河最強になっていました~
まきノ助
SF
高校の文芸部が夏キャンプ中にUFOに攫われてアンドロメダ星雲の大宇宙帝国に連れて行かれてしまうが、そこは魔物が支配する星と成っていた。
8分間のパピリオ
横田コネクタ
SF
人間の血管内に寄生する謎の有機構造体”ソレウス構造体”により、人類はその尊厳を脅かされていた。
蒲生里大学「ソレウス・キラー操縦研究会」のメンバーは、20マイクロメートルのマイクロマシーンを操りソレウス構造体を倒すことに青春を捧げるーー。
というSFです。
天日ノ艦隊 〜こちら大和型戦艦、異世界にて出陣ス!〜
八風ゆず
ファンタジー
時は1950年。
第一次世界大戦にあった「もう一つの可能性」が実現した世界線。1950年4月7日、合同演習をする為航行中、大和型戦艦三隻が同時に左舷に転覆した。
大和型三隻は沈没した……、と思われた。
だが、目覚めた先には我々が居た世界とは違った。
大海原が広がり、見たことのない数多の国が支配者する世界だった。
祖国へ帰るため、大海原が広がる異世界を旅する大和型三隻と別世界の艦船達との異世界戦記。
※異世界転移が何番煎じか分からないですが、書きたいのでかいています!
面白いと思ったらブックマーク、感想、評価お願いします!!※
※戦艦など知らない人も楽しめるため、解説などを出し努力しております。是非是非「知識がなく、楽しんで読めるかな……」っと思ってる方も読んでみてください!※
仮想空間のなかだけでもモフモフと戯れたかった
夏男
SF
動物から嫌われる体質のヒロインがモフモフを求めて剣と魔法のVRオンラインゲームでテイマーを目指す話です。(なれるとは言っていない)
※R-15は保険です。
※小説家になろう様、カクヨム様でも同タイトルで投稿しております。
My² Gene❇︎マイジーン ~URAZMARY~
泥色の卵
SF
【お知らせ】
他サイトで完結したので、定期的に投稿していきます。
【長期連載】
1話大体3〜5分で読めます。
▼あらすじ
My² Gene 第1部
広大な銀河の中。“My Gene”という何でも願いを叶える万能遺伝子が存在するとの御伽話があった。
ある星に薄金髪で能天気な学生が暮らしていた。彼の名はサンダー・パーマー=ウラズマリー。
電撃系の遺伝子能力を操る彼は、高等部卒業試験に向けて姉のような師匠と幼馴染の力を借りて奮闘していた。
そんな中ウラズマリーは突然何者かにさらわれ、“My Gene”と彼との関係を聞かされる。
そして彼は“My Gene”を探すために銀河へと旅立つことを決意する。
これは、電撃の能力を操る青年『ウラズマリー』が、仲間と共に万能遺伝子『My Gene』を巡って織りなす壮大な物語。
異能力×スペースアドベンチャー!!
第一部「万能遺伝子と宵闇の光」【完結】
現在第二部「血を喰らう獣」も連載中です。
-------------------------------------
少年漫画風な冒険もの小説です。
しっかりと読んでいただけるような物語を目指します。
楽しんでいただけるように頑張りますのでよろしくお願いします。
少数でも誰かにハマって面白いとおもっていただけたら嬉しいです。
第一章時点では純粋な冒険物語として見ていただけたらと思います。
チート、無双、ハーレムはありません。
【おそらく楽しんでいただける方】
・少年漫画とかが好きな方
・異能力バトルが好きな方
・細かめの戦闘描写がいける方
・仲間が増えていく冒険ものが好きな方
・伏線が好きな方
・ちょっとダークなのが好きな方
章が進むと色んな種類の悪い人や死の表現がでます。苦手な方は薄目での閲覧をお願いいたします。
誤字脱字や表現おかしいところは随時更新します。
ヒューマンエラーの多いザ・ヒューマンですのでご勘弁を…
※各話の表紙を随時追加していっています
異能力×スペースアドベンチャー×少年漫画風ストーリー!!
練りに練った物語です。
文章は拙いですが、興味を持っていただいた方に楽しんでいただけただけるよう執筆がんばります。
本編 序盤は毎日21〜24時くらいまでの間
間話 毎日21〜24時くらいまでの間
(努力目標)
一章が終わるごとに調整期間をいただく場合があります。ご了承ください。
古参読者であることが自慢できるほどの作品になれるよう努力していきますのでよろしくお願いいたします。
VRゲームでも身体は動かしたくない。
姫野 佑
SF
多種多様な武器やスキル、様々な【称号】が存在するが職業という概念が存在しない<Imperial Of Egg>。
古き良きPCゲームとして稼働していた<Imperial Of Egg>もいよいよ完全没入型VRMMO化されることになった。
身体をなるべく動かしたくないと考えている岡田智恵理は<Imperial Of Egg>がVRゲームになるという発表を聞いて気落ちしていた。
しかしゲーム内の親友との会話で落ち着きを取り戻し、<Imperial Of Egg>にログインする。
当作品は小説家になろう様で連載しております。
章が完結次第、一日一話投稿致します。
Night Sky
九十九光
SF
20XX年、世界人口の96%が超能力ユニゾンを持っている世界。この物語は、一人の少年が、笑顔、幸せを追求する物語。すべてのボカロPに感謝。モバスペBOOKとの二重投稿。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる