上 下
109 / 182
シーズン4-スリーパー防衛編

109-食事のお誘い

しおりを挟む
旗艦センティネルにドッキングした私たちは、シラード達と格納庫で再会した。
アドアステラは殆ど補給を受ける必要がないので、私たちは船を置いてシラード達と会話する。

「生きてたか、カルよ」
「ああ、お陰様でな」

シラードと会話をするのは、今回の件は一人で行動する訳にはいかないからだ。
私一人であれを相手取るのは、不可能では無いが反感を生むだろう。
それに、調子に乗るとアドアステラだって危ないという事が、あの秘密研究施設の突破戦で思い知った。
こういう時は、仲間を頼るべきだ。

「これからどうする?」
「突然だな...まあ、単刀直入にいえば、補給を行う。我が艦隊は既に二割程度戦力を喪失しているから、ここの星系の警備隊と合流したいところだ」

つまり、すぐに出撃というわけではないようだ。
私としてもそれは全く問題ない。

「.....ところで、あの船はどこで手に入れたんだ?」
「詮索は無用だ」
「......まあ、おおかたVe’zのサルベージング品だろう?」
「そのようなものだ」

とりあえずVe’zの技術という事にしておく。
便利だなぁ、古代技術。

「Ve’zの技術なら、スリーパードローンに対して有効打を打てるわけだな」
「....それから、カナードからとあるものを預かった」
「なに?」

私はカナードから預かった設計図のメモリーを、直接シラードに手渡した。
シラードはそれを端末に読み込ませ、私に問いかける。

「これは....?」
「スリーパードローンの兵器技術を転用した、小型・中型のエネルギータレットだ。スリーパードローンのシールドに対してある程度有効なはずだ」
「....成程、カナードはお前に、研究を託して逝ったのか」
「まあ、そういうことだ」

託してというか、押し付けられたというか.....

「すぐに生産することはできないだろうが.....星系軍の小型・中型艦に配分することは出来そうか?」
「ああ、旗艦の艦内工場があれば可能だろう」
「そうか」

私は下がろうとする。
だが、その時。

「カル」
「....なんだ?」
「飯でも食わないか? 仲間も連れてきていい」
「構わないが.....何故だ?」

私は疑問に思って尋ねた。
アドアステラを奪うために毒殺でもする気か?

「いいや、お前は救世主だからな...お前が来なければ、もっと大きな被害につながっていた。その礼と、今後の展開の説明を兼ねて食事会と行こう」
「...ああ、分かった」

私はそれに、頷いたのだった。
仲間全員を連れて行っていいとの事だったので、あまり私的な付き合いのない子にも美味しいものを食べさせてあげられるだろう。
私は若干の嬉しさを秘めつつ、船に戻るのだった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

GAME CHANGER 日本帝国1945からの逆襲

俊也
歴史・時代
時は1945年3月、敗色濃厚の日本軍。 今まさに沖縄に侵攻せんとする圧倒的戦力のアメリカ陸海軍を前に、日本の指導者達は若者達による航空機の自爆攻撃…特攻 で事態を打開しようとしていた。 「バカかお前ら、本当に戦争に勝つ気があるのか!?」 その男はただの学徒兵にも関わらず、平然とそう言い放ち特攻出撃を拒否した。 当初は困惑し怒り狂う日本海軍上層部であったが…!? 姉妹作「新訳 零戦戦記」共々宜しくお願い致します。 共に 第8回歴史時代小説参加しました!

タイムワープ艦隊2024

山本 双六
SF
太平洋を横断する日本機動部隊。この日本があるのは、大東亜(太平洋)戦争に勝利したことである。そんな日本が勝った理由は、ある機動部隊が来たことであるらしい。人呼んで「神の機動部隊」である。 この世界では、太平洋戦争で日本が勝った世界戦で書いています。(毎回、太平洋戦争系が日本ばかり勝っ世界線ですいません)逆ファイナルカウントダウンと考えてもらえればいいかと思います。只今、続編も同時並行で書いています!お楽しみに!

分析スキルで美少女たちの恥ずかしい秘密が見えちゃう異世界生活

SenY
ファンタジー
"分析"スキルを持って異世界に転生した主人公は、相手の力量を正確に見極めて勝てる相手にだけ確実に勝つスタイルで短期間に一財を為すことに成功する。 クエスト報酬で豪邸を手に入れたはいいものの一人で暮らすには広すぎると悩んでいた主人公。そんな彼が友人の勧めで奴隷市場を訪れ、記憶喪失の美少女奴隷ルナを購入したことから、物語は動き始める。 これまで危ない敵から逃げたり弱そうな敵をボコるのにばかり"分析"を活用していた主人公が、そのスキルを美少女の恥ずかしい秘密を覗くことにも使い始めるちょっとエッチなハーレム系ラブコメ。

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です! 小説家になろうでも10位獲得しました! そして、カクヨムでもランクイン中です! ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。 いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。 欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・ ●●●●●●●●●●●●●●● 小説家になろうで執筆中の作品です。 アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。 現在見直し作業中です。 変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

人工子宮

木森木林(きもりきりん)
SF
この小説は、産婦人科専門医・生殖医療専門医でもある筆者が、人工知能マッチングや人工子宮という架空設定を持ち込んでいますが、現在の産婦人科医療や不妊治療をベースに書きました。 昨今、結婚されない人も増え、また男女とも結婚が遅くなり、挙児を希望しても妊娠しにくいカップルも5組に1組と増えています。 妊娠しにくい原因は色々と考えられますが、「女性加齢」も原因になり、35歳くらいから妊娠率は低下し、流産率が上昇します。これは卵子数の減少と質的低下によるものと考えられます。 体外受精など生殖補助医療による出生児は29216万9797人であり、国内総出生児に対する割合は8.6%(11.6人に1人)になっています。 もちろん「妊娠出産しなければならない」ことはないのですが、「妊娠出産しやすい」「子育てしやすい」環境に向け、私達はどうしたらよいのでしょう?まずは、妊娠出産、不妊治療のことを知っていただきたいと書きました。 挿し絵は医学生時代からの友人「kinZoさん」が描いてくれました。ありがとう!

銀河戦国記ノヴァルナ 第1章:天駆ける風雲児

潮崎 晶
SF
数多の星大名が覇権を目指し、群雄割拠する混迷のシグシーマ銀河系。 その中で、宙域国家オ・ワーリに生まれたノヴァルナ・ダン=ウォーダは、何を思い、何を掴み取る事が出来るのか。 日本の戦国時代をベースにした、架空の銀河が舞台の、宇宙艦隊やら、人型機動兵器やらの宇宙戦記SF、いわゆるスペースオペラです。 主人公は織田信長をモデルにし、その生涯を独自設定でアレンジして、オリジナルストーリーを加えてみました。 史実では男性だったキャラが女性になってたり、世代も改変してたり、そのうえ理系知識が苦手な筆者の書いた適当な作品ですので、歴史的・科学的に真面目なご指摘は勘弁いただいて(笑)、軽い気持ちで読んでやって下さい。 大事なのは勢いとノリ!あと読者さんの脳内補完!(笑) ※本作品は他サイト様にても公開させて頂いております。

処理中です...