上 下
84 / 222
シーズン4-スリーパー防衛編

084-改修型アドアステラ

しおりを挟む
『ワープアウトしました。各センサーシステム再起動』
「敵影目視。シトリン、ロックオン後射角情報をファイスへ転送せよ」
『はい』

海賊の拠点へと入ったアドアステラは、SWDを起動し、拠点の付近まで瞬時に到達する。
最大出力まで上げれば、亜光速にも到達できる推進器だ。

「転進する、面舵一杯。ファイス、ディザスタークリスタルに換装、のち砲撃」
「はっ!」

ファイスは兵器係兼ノルス助手となった。
というのも、今まで兵装の管理は私がやっていたが、操縦と両立できないことに気づいたからだ。

『クソッ! 撃ってきやがった!』
『なめた真似したがって、ブッ殺してやる!』

海賊の拠点から、フリゲート二隻が飛び出してくる。
すぐに出せるのがあれぐらいしかないんだろうな.....

「ファイス、左舷コンシールド解除。フリゲートをパルスレーザー砲で撃て」
「了解!」

アドアステラの艦橋の根元、そこの甲板が開き、パルスレーザー砲が姿を現す。

『やばい、隠し武装だ――――』
「発射!」

三基のパルスレーザー砲が斉射を開始し、フリゲートの一隻を狙う。
「パイク」クリスタルにより、先鋭化しシールドを貫くことに特化したレーザーである。

『くそ、逃げるぞ!』

たまらず海賊は、船の反対側へと逃げる。
さすがにパルスレーザーの射角的に、海賊を撃つことはできない――――

「と、敵は思っているだろう。ファイス、右舷コンシールド解除! パルスレーザー射撃開始!」

当然、パルスレーザーは両舷に設置している。
逃れることはできんッ!

『げっ、クソォ――――』

シールドを貫通されたフリゲート一隻は、瞬時に蜂の巣へと変わる。

『クソッたれ野郎がーーーーッ!!』

もう一隻のフリゲートが、旋回中のアドアステラへと迫ってくる。
私は即座に指を鳴らす。

「パルスレーザー、収納いたします」

どうせシールドがあるのだが、パルスレーザーが収納されたことで、砲撃を繰り返していた海賊は上へと逃げる。

「シトリン、基地の中に生命反応は?」
『スキャン中ですが、今のところはありません』
「了解。シトリン、敵の座標データを5秒刻みでアリアに送れ。アリア、エクスプローシブ弾頭のスマートミサイルを左舷のみ全弾発射、フリゲートの座標に合わせろ」
「はいっ!」

スマートミサイルの発射管は大幅に増設されて、8+8だったのが16+16になった。
もし両舷まとめて撃つ機会があれば、32発のスマートミサイルを敵にお見舞いできる。
エクスプローシブ弾頭は、爆発半径が広く、近接信管で起爆するために、フリゲートの軌道に合わせれば――――

『敵フリゲートの撃沈を確認』
「やっぱりね」

迫ってくる六本の迎撃と回避に気を取られて、外れたと思わせて誘導先に飛んできていたスマートミサイルに気づかなかったのだ。

「主人、拠点はどうなさいますか?」
「破壊せよ」
「はっ!」

アドアステラが砲撃を行うのを観察しながら、私は今回の改修の総評を脳内で考える。
パルスレーザーを前面部だけでなく、側面に配置したのはいい考えだったと思う。
増設した砲塔も、艦底部にコンシールド武装で隠されている。
死角をなるべく減らす方針で、なおかつガントリーにちゃんと着艦できるように慎重に考えた結果でもある。
アリアが出来るといったので、ミサイルも増やしたが、これはこれで上手くいっている。
装填時間と、弾倉に使うスペースの増加は懸念点だが、まあ別に構わない。

「この拠点は外れだな。シトリン、引き続きプローブでスキャンを」
『了解』

私は次なる攻撃目標を探るのだった。

しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

グラッジブレイカー! ~ポンコツアンドロイド、時々かたゆでたまご~

尾野 灯
SF
人類がアインシュタインをペテンにかける方法を知ってから数世紀、地球から一番近い恒星への進出により、新しい時代が幕を開ける……はずだった。 だが、無謀な計画が生み出したのは、数千万の棄民と植民星系の独立戦争だった。 ケンタウリ星系の独立戦争が敗北に終ってから十三年、荒廃したコロニーケンタウルスⅢを根城に、それでもしぶとく生き残った人間たち。 そんな彼らの一人、かつてのエースパイロットケント・マツオカは、ひょんなことから手に入れた、高性能だがポンコツな相棒AIノエルと共に、今日も借金返済のためにコツコツと働いていた。 そんな彼らのもとに、かつての上官から旧ケンタウリ星系軍の秘密兵器の奪還を依頼される。高額な報酬に釣られ、仕事を受けたケントだったが……。 懐かしくて一周回って新しいかもしれない、スペースオペラ第一弾!

銀河文芸部伝説~UFOに攫われてアンドロメダに連れて行かれたら寝ている間に銀河最強になっていました~

まきノ助
SF
 高校の文芸部が夏キャンプ中にUFOに攫われてアンドロメダ星雲の大宇宙帝国に連れて行かれてしまうが、そこは魔物が支配する星と成っていた。

8分間のパピリオ

横田コネクタ
SF
人間の血管内に寄生する謎の有機構造体”ソレウス構造体”により、人類はその尊厳を脅かされていた。 蒲生里大学「ソレウス・キラー操縦研究会」のメンバーは、20マイクロメートルのマイクロマシーンを操りソレウス構造体を倒すことに青春を捧げるーー。 というSFです。

仮想空間のなかだけでもモフモフと戯れたかった

夏男
SF
動物から嫌われる体質のヒロインがモフモフを求めて剣と魔法のVRオンラインゲームでテイマーを目指す話です。(なれるとは言っていない) ※R-15は保険です。 ※小説家になろう様、カクヨム様でも同タイトルで投稿しております。

天日ノ艦隊 〜こちら大和型戦艦、異世界にて出陣ス!〜 

八風ゆず
ファンタジー
時は1950年。 第一次世界大戦にあった「もう一つの可能性」が実現した世界線。1950年4月7日、合同演習をする為航行中、大和型戦艦三隻が同時に左舷に転覆した。 大和型三隻は沈没した……、と思われた。 だが、目覚めた先には我々が居た世界とは違った。 大海原が広がり、見たことのない数多の国が支配者する世界だった。 祖国へ帰るため、大海原が広がる異世界を旅する大和型三隻と別世界の艦船達との異世界戦記。 ※異世界転移が何番煎じか分からないですが、書きたいのでかいています! 面白いと思ったらブックマーク、感想、評価お願いします!!※ ※戦艦など知らない人も楽しめるため、解説などを出し努力しております。是非是非「知識がなく、楽しんで読めるかな……」っと思ってる方も読んでみてください!※

My² Gene❇︎マイジーン ~URAZMARY~

泥色の卵
SF
【お知らせ】  他サイトで完結したので、定期的に投稿していきます。 【長期連載】 1話大体3〜5分で読めます。 ▼あらすじ My² Gene 第1部  広大な銀河の中。“My Gene”という何でも願いを叶える万能遺伝子が存在するとの御伽話があった。    ある星に薄金髪で能天気な学生が暮らしていた。彼の名はサンダー・パーマー=ウラズマリー。  電撃系の遺伝子能力を操る彼は、高等部卒業試験に向けて姉のような師匠と幼馴染の力を借りて奮闘していた。  そんな中ウラズマリーは突然何者かにさらわれ、“My Gene”と彼との関係を聞かされる。  そして彼は“My Gene”を探すために銀河へと旅立つことを決意する。  これは、電撃の能力を操る青年『ウラズマリー』が、仲間と共に万能遺伝子『My Gene』を巡って織りなす壮大な物語。  異能力×スペースアドベンチャー!!  第一部「万能遺伝子と宵闇の光」【完結】  現在第二部「血を喰らう獣」も連載中です。 ------------------------------------- 少年漫画風な冒険もの小説です。 しっかりと読んでいただけるような物語を目指します。 楽しんでいただけるように頑張りますのでよろしくお願いします。 少数でも誰かにハマって面白いとおもっていただけたら嬉しいです。 第一章時点では純粋な冒険物語として見ていただけたらと思います。 チート、無双、ハーレムはありません。 【おそらく楽しんでいただける方】 ・少年漫画とかが好きな方 ・異能力バトルが好きな方 ・細かめの戦闘描写がいける方 ・仲間が増えていく冒険ものが好きな方 ・伏線が好きな方 ・ちょっとダークなのが好きな方 章が進むと色んな種類の悪い人や死の表現がでます。苦手な方は薄目での閲覧をお願いいたします。 誤字脱字や表現おかしいところは随時更新します。 ヒューマンエラーの多いザ・ヒューマンですのでご勘弁を… ※各話の表紙を随時追加していっています 異能力×スペースアドベンチャー×少年漫画風ストーリー!! 練りに練った物語です。 文章は拙いですが、興味を持っていただいた方に楽しんでいただけただけるよう執筆がんばります。 本編 序盤は毎日21〜24時くらいまでの間 間話 毎日21〜24時くらいまでの間 (努力目標) 一章が終わるごとに調整期間をいただく場合があります。ご了承ください。 古参読者であることが自慢できるほどの作品になれるよう努力していきますのでよろしくお願いいたします。

Night Sky

九十九光
SF
20XX年、世界人口の96%が超能力ユニゾンを持っている世界。この物語は、一人の少年が、笑顔、幸せを追求する物語。すべてのボカロPに感謝。モバスペBOOKとの二重投稿。

VRゲームでも身体は動かしたくない。

姫野 佑
SF
多種多様な武器やスキル、様々な【称号】が存在するが職業という概念が存在しない<Imperial Of Egg>。 古き良きPCゲームとして稼働していた<Imperial Of Egg>もいよいよ完全没入型VRMMO化されることになった。 身体をなるべく動かしたくないと考えている岡田智恵理は<Imperial Of Egg>がVRゲームになるという発表を聞いて気落ちしていた。 しかしゲーム内の親友との会話で落ち着きを取り戻し、<Imperial Of Egg>にログインする。 当作品は小説家になろう様で連載しております。 章が完結次第、一日一話投稿致します。

処理中です...