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シーズン4-スリーパー防衛編
082-傭兵達との邂逅
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ジストプライムにある傭兵ギルドでは、多くの者が詰めかけていた。
ジスト星系は海賊が多いわりに傭兵が少なく、こうして一つのギルド支部に集まることが多いのだ。
「今日はクルダスからの依頼が多めだな」
「よせ、報酬が低いんだ」
多くの者が、依頼版を見つめる中。
暇を持て余したものは、傭兵ギルドの上に投影されているホログラムを見上げる。
そこには、現在シルバーのランキングTOP3の人物が投影されている。
多くの傭兵がブロンズ、シルバー止まりであるため、昇格候補のこの三人――――カル・クロカワ、アルゴ・ヴェンタス、アラッド・シーナス――――は、憧れのようなものであった。
次世代のゴールドランクなのだから。
そして、その時。
「人が多いな.....」
「主人、依頼などあるのでしょうか?」
「指名依頼だから問題ない」
ギルドの自動ドアが開き、二人の人物が現れた。
現れた人物を、皆が注目した。
その特徴的な仮面を、見間違えることなどないだろう。
「でけえ....」
そして、その背後にぴったりとついて歩く狼人。
その巨躯を見て、誰かが呟く。
ざわめきはすっかりとおさまり、視線がカルに集まる。
「あら、カル様。本日は何の御用ですか?」
多くの者が依頼掲示板に向かう中、カルとファイスは真ん中のカウンターへと向かう。
「依頼番号AF-026、来ているはずだ」
「あ.....はい」
「......」
カルは受付嬢以外に視線を向けない。
受付嬢はやりづらそうにしながら、依頼番号を入力する。
「.....ライズコンソーシアムからの指名依頼ですね。期日は二週間後、詳細はメールで送っておきますね」
「助かる。ありがとう」
「はい...またのご利用お待ちしております」
カルは踵を返し、その後ろにファイスが続く。
二人が出ていくと同時に、止まっていたギルドの中の時間が動き出す。
「なんだ、あの狼人...?」
「ロートラの種族じゃないか?」
「それより、あの落ち着きよう.....凄かったよな」
「アルゴとは違うよな」
「アラッドとも違うな、あれは.....」
アルゴは落ち着かない様子で、アラッドは周囲を睨みつけて敵意を振りまく人間だった。
そういう意味で、毅然と振舞うカルは異質に見えた。
ギルドの者たちは、謎に包まれた男カルについて、議論を続けるのだった。
「緊張したな....」
私はギルドから出て、胸をなでおろす。
そして、携帯端末で依頼内容を確認しながら歩く。
「アンプルの奪還ですか?」
「そうだな」
海賊に奪われたので取り返せ、という内容だ。
報酬が多いので受けてはいるが、真の目的は違う。
「注目を集めておいででしたが、構わないのですか?」
「あれはお前がでかいからだ」
「.........」
死を経て成体に成長したファイスは、身長240cmくらいの大男になった。
筋力なども上がっていて、私を掌に載せて上げ下げできるくらいには凄い。
狭い場所での作業には向かなくなったけれど、それはアドバイスを貰いながら私がやるから問題ない。
「そんなに大きいですか?」
「あのギルドにお前よりでかい者はいなかっただろう。それに、扉を本当に潜る者はいないだろう」
ファイスは姿勢を低くしないと、普通の扉を通れない。
だから注目されたんだろう。
「しかし、ますます俺が強くならないといけないな.....」
「そうですね...」
ファイスが大きくなりすぎたせいで、宇宙船内での戦闘は不得手だ。
パワーは強いので、素手で装甲板にへこみを作るくらいは余裕だろうけど...ね。
ジスト星系は海賊が多いわりに傭兵が少なく、こうして一つのギルド支部に集まることが多いのだ。
「今日はクルダスからの依頼が多めだな」
「よせ、報酬が低いんだ」
多くの者が、依頼版を見つめる中。
暇を持て余したものは、傭兵ギルドの上に投影されているホログラムを見上げる。
そこには、現在シルバーのランキングTOP3の人物が投影されている。
多くの傭兵がブロンズ、シルバー止まりであるため、昇格候補のこの三人――――カル・クロカワ、アルゴ・ヴェンタス、アラッド・シーナス――――は、憧れのようなものであった。
次世代のゴールドランクなのだから。
そして、その時。
「人が多いな.....」
「主人、依頼などあるのでしょうか?」
「指名依頼だから問題ない」
ギルドの自動ドアが開き、二人の人物が現れた。
現れた人物を、皆が注目した。
その特徴的な仮面を、見間違えることなどないだろう。
「でけえ....」
そして、その背後にぴったりとついて歩く狼人。
その巨躯を見て、誰かが呟く。
ざわめきはすっかりとおさまり、視線がカルに集まる。
「あら、カル様。本日は何の御用ですか?」
多くの者が依頼掲示板に向かう中、カルとファイスは真ん中のカウンターへと向かう。
「依頼番号AF-026、来ているはずだ」
「あ.....はい」
「......」
カルは受付嬢以外に視線を向けない。
受付嬢はやりづらそうにしながら、依頼番号を入力する。
「.....ライズコンソーシアムからの指名依頼ですね。期日は二週間後、詳細はメールで送っておきますね」
「助かる。ありがとう」
「はい...またのご利用お待ちしております」
カルは踵を返し、その後ろにファイスが続く。
二人が出ていくと同時に、止まっていたギルドの中の時間が動き出す。
「なんだ、あの狼人...?」
「ロートラの種族じゃないか?」
「それより、あの落ち着きよう.....凄かったよな」
「アルゴとは違うよな」
「アラッドとも違うな、あれは.....」
アルゴは落ち着かない様子で、アラッドは周囲を睨みつけて敵意を振りまく人間だった。
そういう意味で、毅然と振舞うカルは異質に見えた。
ギルドの者たちは、謎に包まれた男カルについて、議論を続けるのだった。
「緊張したな....」
私はギルドから出て、胸をなでおろす。
そして、携帯端末で依頼内容を確認しながら歩く。
「アンプルの奪還ですか?」
「そうだな」
海賊に奪われたので取り返せ、という内容だ。
報酬が多いので受けてはいるが、真の目的は違う。
「注目を集めておいででしたが、構わないのですか?」
「あれはお前がでかいからだ」
「.........」
死を経て成体に成長したファイスは、身長240cmくらいの大男になった。
筋力なども上がっていて、私を掌に載せて上げ下げできるくらいには凄い。
狭い場所での作業には向かなくなったけれど、それはアドバイスを貰いながら私がやるから問題ない。
「そんなに大きいですか?」
「あのギルドにお前よりでかい者はいなかっただろう。それに、扉を本当に潜る者はいないだろう」
ファイスは姿勢を低くしないと、普通の扉を通れない。
だから注目されたんだろう。
「しかし、ますます俺が強くならないといけないな.....」
「そうですね...」
ファイスが大きくなりすぎたせいで、宇宙船内での戦闘は不得手だ。
パワーは強いので、素手で装甲板にへこみを作るくらいは余裕だろうけど...ね。
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