上 下
82 / 158
シーズン4-スリーパー防衛編

082-傭兵達との邂逅

しおりを挟む
ジストプライムにある傭兵ギルドでは、多くの者が詰めかけていた。
ジスト星系は海賊が多いわりに傭兵が少なく、こうして一つのギルド支部に集まることが多いのだ。

「今日はクルダスからの依頼が多めだな」
「よせ、報酬が低いんだ」

多くの者が、依頼版を見つめる中。
暇を持て余したものは、傭兵ギルドの上に投影されているホログラムを見上げる。
そこには、現在シルバーのランキングTOP3の人物が投影されている。
多くの傭兵がブロンズ、シルバー止まりであるため、昇格候補のこの三人――――カル・クロカワ、アルゴ・ヴェンタス、アラッド・シーナス――――は、憧れのようなものであった。
次世代のゴールドランクなのだから。
そして、その時。

「人が多いな.....」
「主人、依頼などあるのでしょうか?」
「指名依頼だから問題ない」

ギルドの自動ドアが開き、二人の人物が現れた。
現れた人物を、皆が注目した。
その特徴的な仮面を、見間違えることなどないだろう。

「でけえ....」

そして、その背後にぴったりとついて歩く狼人。
その巨躯を見て、誰かが呟く。
ざわめきはすっかりとおさまり、視線がカルに集まる。

「あら、カル様。本日は何の御用ですか?」

多くの者が依頼掲示板に向かう中、カルとファイスは真ん中のカウンターへと向かう。

「依頼番号AF-026、来ているはずだ」
「あ.....はい」
「......」

カルは受付嬢以外に視線を向けない。
受付嬢はやりづらそうにしながら、依頼番号を入力する。

「.....ライズコンソーシアムからの指名依頼ですね。期日は二週間後、詳細はメールで送っておきますね」
「助かる。ありがとう」
「はい...またのご利用お待ちしております」

カルは踵を返し、その後ろにファイスが続く。
二人が出ていくと同時に、止まっていたギルドの中の時間が動き出す。

「なんだ、あの狼人...?」
「ロートラの種族じゃないか?」
「それより、あの落ち着きよう.....凄かったよな」
「アルゴとは違うよな」
「アラッドとも違うな、あれは.....」

アルゴは落ち着かない様子で、アラッドは周囲を睨みつけて敵意を振りまく人間だった。
そういう意味で、毅然と振舞うカルは異質に見えた。
ギルドの者たちは、謎に包まれた男カルについて、議論を続けるのだった。






「緊張したな....」

私はギルドから出て、胸をなでおろす。
そして、携帯端末で依頼内容を確認しながら歩く。

「アンプルの奪還ですか?」
「そうだな」

海賊に奪われたので取り返せ、という内容だ。
報酬が多いので受けてはいるが、真の目的は違う。

「注目を集めておいででしたが、構わないのですか?」
「あれはお前がでかいからだ」
「.........」

死を経て成体に成長したファイスは、身長240cmくらいの大男になった。
筋力なども上がっていて、私を掌に載せて上げ下げできるくらいには凄い。
狭い場所での作業には向かなくなったけれど、それはアドバイスを貰いながら私がやるから問題ない。

「そんなに大きいですか?」
「あのギルドにお前よりでかい者はいなかっただろう。それに、扉を本当に潜る者はいないだろう」

ファイスは姿勢を低くしないと、普通の扉を通れない。
だから注目されたんだろう。

「しかし、ますます俺が強くならないといけないな.....」
「そうですね...」

ファイスが大きくなりすぎたせいで、宇宙船内での戦闘は不得手だ。
パワーは強いので、素手で装甲板にへこみを作るくらいは余裕だろうけど...ね。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

ドレスを着たら…

奈落
SF
TSFの短い話です

【全話挿絵】発情✕転生 〜何あれ……誘ってるのかしら?〜【毎日更新】

墨笑
ファンタジー
『エロ×ギャグ×バトル+雑学』をテーマにした異世界ファンタジー小説です。 主人公はごく普通(?)の『むっつりすけべ』な女の子。 異世界転生に伴って召喚士としての才能を強化されたまでは良かったのですが、なぜか発情体質まで付与されていて……? 召喚士として様々な依頼をこなしながら、無駄にドキドキムラムラハァハァしてしまう日々を描きます。 明るく、楽しく読んでいただけることを目指して書きました。

女の子にされちゃう!?「……男の子やめる?」彼女は優しく撫でた。

広田こお
恋愛
少子解消のため日本は一夫多妻制に。が、若い女性が足りない……。独身男は女性化だ! 待て?僕、結婚相手いないけど、女の子にさせられてしまうの? 「安心して、いい夫なら離婚しないで、あ・げ・る。女の子になるのはイヤでしょ?」 国の決めた結婚相手となんとか結婚して女性化はなんとか免れた。どうなる僕の結婚生活。

勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス

R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。 そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。 最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。 そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。 ※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

Clavis X Chronus クラヴィスアンドクロノス

黴男
SF
東京の大学に通っていた普通の学生、三星治明(みほし はるあき)はある日突然、異世界に転生してしまう。 しかし、転生先はファンタジーの溢れる世界などではなく、シークトリアという名前の銀河に跨る星間国家。 しかも、治明は人間ではなくロボットに転生していたのだった。 シークトリアを含めて全部で七つある星間国家のうちの三つが連合軍を形成してシークトリアに攻め込んできており、シークトリアはプレトニアと呼ばれる星間国家と同盟軍を結成し、これに対抗している。 そんな情勢の中開発された人型のロボット兵器、『Chronus』。 そのパイロットとして開発・製造されたロボ、『Clavis』に転生したハルアキは、Chronus…クロノスに宿る親友の魂を見つけ、前世の親友と共に戦いへと身を投じる。 更新は月、水、金の週三日になります。

お嬢様、お仕置の時間です。

moa
恋愛
私は御門 凛(みかど りん)、御門財閥の長女として産まれた。 両親は跡継ぎの息子が欲しかったようで女として産まれた私のことをよく思っていなかった。 私の世話は執事とメイド達がしてくれていた。 私が2歳になったとき、弟の御門 新(みかど あらた)が産まれた。 両親は念願の息子が産まれたことで私を執事とメイド達に渡し、新を連れて家を出ていってしまった。 新しい屋敷を建ててそこで暮らしているそうだが、必要な費用を送ってくれている以外は何も教えてくれてくれなかった。 私が小さい頃から執事としてずっと一緒にいる氷川 海(ひかわ かい)が身の回りの世話や勉強など色々してくれていた。 海は普段は優しくなんでもこなしてしまう完璧な執事。 しかし厳しいときは厳しくて怒らせるとすごく怖い。 海は執事としてずっと一緒にいると思っていたのにある日、私の中で何か特別な感情がある事に気付く。 しかし、愛を知らずに育ってきた私が愛と知るのは、まだ先の話。

[恥辱]りみの強制おむつ生活

rei
大衆娯楽
中学三年生になる主人公倉持りみが集会中にお漏らしをしてしまい、おむつを当てられる。 保健室の先生におむつを当ててもらうようにお願い、クラスメイトの前でおむつ着用宣言、お漏らしで小学一年生へ落第など恥辱にあふれた作品です。

処理中です...