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シーズン3-ジスト星系編
074-突入・秘密施設防衛網(前編)
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そして。
ついに、秘密研究施設へ乗り込む日がやってきた。
シラードに連絡は入れてあるが、恐らく星系封鎖ぐらいしかやる事がないだろう。
あの防衛の中に突っ込むのは、旗艦級の大戦艦が必要だ。
「よし」
私はパワードスーツを着込み、ブリッジに立つ。
みんなは、私がジスト星系で待っていてと言っても聞いてくれなかった。
だから、私の背中には、四人と一体の命が掛かっている。
「では、ワープを開始する」
「「「「了解!」」」」
ハイパードライブは使えない。
中性子星から離脱する際に、ハイパーホールが二極化してしまうと、ハイパージャンプができないためだ。
ワープコアが出力を増し、光の速度を超えて飛ぶ。
『ワープ終着地点まで、残り五分二十秒』
微妙な時間だ。
けれど、緊張を収めるにはちょうどいい。
「ノルス、機関最終チェック。ファイス、サブシステム最終チェック。ケイン、ドローン最終確認、アリア、ミサイル最終確認。シトリンはレーダーシステム、ターゲットシステムのシステムチェックを」
「「「「『了解!』」」」」
私も、自分のコンソール.....つまりは”舵”に手を触れる。
これからの作戦は、たった一つだけ。
まず、施設の内側には攻撃できない仕様だった場合。
その場合は攻撃を回避しながら、一気に施設の内側へと突っ込む。
次に、施設にシールドもしくはフォースフィールドが展開されていた場合。
アドアステラの持つ全火力でシールドを破壊し、セントリーガンの相手はドローンに任せる。
「機関チェック終了、異常なし」
「サブシステムに異常なし、燃料チェック問題ありません、主人」
「どろーん、大丈夫!」
「ミサイルシステムに問題ありません」
『レーダー、ターゲット、スキャンシステムに異常なし』
「分かった、操舵システムに異常なし」
私はワープ明けを待つ。
長いようで短いその時間は、私にとっては一瞬で、仲間たちにとっては永遠のような沈黙の後に訪れた。
「抜けた!」
そして。
目の前には、とんでもない数の固定砲台と、その奥にある、不思議な形のステーションがあった。
『ロックオンされています。総数921、徐々に増加しています』
「...!」
カルは悟る。
単艦で来るような場所ではなかったと。
だが、最早引き下がれない。
「ノルス、MSD起動! 回避軌道を取りつつ、敵陣へと駆ける!」
固定砲台のレーザーが到達する前に、アドアステラは砲台の防御陣へと突っ込む。
砲台の間をすり抜け、時に突き破りながらアドアステラは飛ぶ。
『被弾率、99%に増加。シールド出力、97%に低下』
「ケイン、ドローン射出! A、B、Cだ!」
「うん!」
A、B、Cに割り当てられたドローン...エインへルイ、ブリッツシージ、オルトロスが格納庫から飛び出す。
そして、アドアステラに追随し、固定砲台を攻撃し始める。
「前部主砲、副砲を前に! 攻撃カーネルオンライン、射撃開始まで3、2、1...撃て!」
アドアステラの主砲が、砲台群を薙ぎ払う。
溶解した砲台群がまだ熱いうちに、アドアステラはそこを突っ切る。
「スマートミサイル連続発射! 前面部の砲台を排除する!」
『シールド、62%まで低下』
「あ、わわ...艦長、ブリッツシージが撃墜!」
今まで損耗しなかったドローンが、集中攻撃を受けて次々と墜ちていく。
だが、そんなものは些事に過ぎない。
「全火力を前方へ! 弾幕張り続けろ!」
オーバークロックで連射力を増したパルスレーザーが、前面の標的を撃ち続ける。
穴だらけになった砲台を轢き潰し、主砲が光を放つ。
『ターゲット数、5021に増加。シールドが42%まで低下』
「防御カーネル、シールドブースター起動!」
余裕がなく回避軌道のあまり取れないアドアステラは、集中砲火を浴びていた。
並の戦艦であれば、もうとっくに轟沈していた程である。
『シールド耐久力、48%まで増加。シールド、42%まで低下』
「シールドブースターをオーバークロック!」
「艦長! ブリッツシージ隊、全滅! オルトロスぜんぶ、シールド消失、エインへルイは引き続き戦闘中!」
「スマートミサイル、残弾なし。装填開始します!」
「機関出力低下、キャパシターバッテリーを使用します」
ブリッジに五人の声が響き渡る。
だが、アドアステラがそこに辿り着くまでは、まだまだ長いのであった。
ついに、秘密研究施設へ乗り込む日がやってきた。
シラードに連絡は入れてあるが、恐らく星系封鎖ぐらいしかやる事がないだろう。
あの防衛の中に突っ込むのは、旗艦級の大戦艦が必要だ。
「よし」
私はパワードスーツを着込み、ブリッジに立つ。
みんなは、私がジスト星系で待っていてと言っても聞いてくれなかった。
だから、私の背中には、四人と一体の命が掛かっている。
「では、ワープを開始する」
「「「「了解!」」」」
ハイパードライブは使えない。
中性子星から離脱する際に、ハイパーホールが二極化してしまうと、ハイパージャンプができないためだ。
ワープコアが出力を増し、光の速度を超えて飛ぶ。
『ワープ終着地点まで、残り五分二十秒』
微妙な時間だ。
けれど、緊張を収めるにはちょうどいい。
「ノルス、機関最終チェック。ファイス、サブシステム最終チェック。ケイン、ドローン最終確認、アリア、ミサイル最終確認。シトリンはレーダーシステム、ターゲットシステムのシステムチェックを」
「「「「『了解!』」」」」
私も、自分のコンソール.....つまりは”舵”に手を触れる。
これからの作戦は、たった一つだけ。
まず、施設の内側には攻撃できない仕様だった場合。
その場合は攻撃を回避しながら、一気に施設の内側へと突っ込む。
次に、施設にシールドもしくはフォースフィールドが展開されていた場合。
アドアステラの持つ全火力でシールドを破壊し、セントリーガンの相手はドローンに任せる。
「機関チェック終了、異常なし」
「サブシステムに異常なし、燃料チェック問題ありません、主人」
「どろーん、大丈夫!」
「ミサイルシステムに問題ありません」
『レーダー、ターゲット、スキャンシステムに異常なし』
「分かった、操舵システムに異常なし」
私はワープ明けを待つ。
長いようで短いその時間は、私にとっては一瞬で、仲間たちにとっては永遠のような沈黙の後に訪れた。
「抜けた!」
そして。
目の前には、とんでもない数の固定砲台と、その奥にある、不思議な形のステーションがあった。
『ロックオンされています。総数921、徐々に増加しています』
「...!」
カルは悟る。
単艦で来るような場所ではなかったと。
だが、最早引き下がれない。
「ノルス、MSD起動! 回避軌道を取りつつ、敵陣へと駆ける!」
固定砲台のレーザーが到達する前に、アドアステラは砲台の防御陣へと突っ込む。
砲台の間をすり抜け、時に突き破りながらアドアステラは飛ぶ。
『被弾率、99%に増加。シールド出力、97%に低下』
「ケイン、ドローン射出! A、B、Cだ!」
「うん!」
A、B、Cに割り当てられたドローン...エインへルイ、ブリッツシージ、オルトロスが格納庫から飛び出す。
そして、アドアステラに追随し、固定砲台を攻撃し始める。
「前部主砲、副砲を前に! 攻撃カーネルオンライン、射撃開始まで3、2、1...撃て!」
アドアステラの主砲が、砲台群を薙ぎ払う。
溶解した砲台群がまだ熱いうちに、アドアステラはそこを突っ切る。
「スマートミサイル連続発射! 前面部の砲台を排除する!」
『シールド、62%まで低下』
「あ、わわ...艦長、ブリッツシージが撃墜!」
今まで損耗しなかったドローンが、集中攻撃を受けて次々と墜ちていく。
だが、そんなものは些事に過ぎない。
「全火力を前方へ! 弾幕張り続けろ!」
オーバークロックで連射力を増したパルスレーザーが、前面の標的を撃ち続ける。
穴だらけになった砲台を轢き潰し、主砲が光を放つ。
『ターゲット数、5021に増加。シールドが42%まで低下』
「防御カーネル、シールドブースター起動!」
余裕がなく回避軌道のあまり取れないアドアステラは、集中砲火を浴びていた。
並の戦艦であれば、もうとっくに轟沈していた程である。
『シールド耐久力、48%まで増加。シールド、42%まで低下』
「シールドブースターをオーバークロック!」
「艦長! ブリッツシージ隊、全滅! オルトロスぜんぶ、シールド消失、エインへルイは引き続き戦闘中!」
「スマートミサイル、残弾なし。装填開始します!」
「機関出力低下、キャパシターバッテリーを使用します」
ブリッジに五人の声が響き渡る。
だが、アドアステラがそこに辿り着くまでは、まだまだ長いのであった。
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