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シーズン3-ジスト星系編
066-虎穴へ
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そんなこんなで、一日が終わった。
海賊の拠点を五つほど潰した私は、シトリンと共に解析作業に入る。
まずは、他の拠点の特定。
これは割とすぐに終わった。
海賊船が普段通らない空白地帯は、確実に別の海賊がいるからだ。
「次は、データの解析だな」
『はい』
キャッシュデータや暗号化データを、既存の最適化・暗号解読システムに当てはめて紐解いていく。
そうすることで、略奪品のリスト、艦船の横流しを行った場所、違法薬物の販売ルートなどが出て来た。
だが、これだけではない。
更にセキュリティの高い領域へとハッキングを仕掛け、情報を抜き取る。
すると、重要な会話ログがいくつか出て来た。
『どうして『積荷』が重要なんだ?』
『それがすげえ高価な品なんだと』
『じゃあ、カルとかいうやつの船を襲えば良いんだな?』
『そうだ』
間違いない。
こいつらは、誰か上の組織を持っている。
私の情報の共有が早すぎるからだ。
『.........の野郎によると......には...がある。既にフォービュ...の海賊どもには......相談済みだ......メナスから、救援が......』
このログは壊れていて、ほとんど解読できなかった。
しかし、いくつか固有名詞を読み取れたので、考察する。
どこかの誰かから情報を得た海賊達は、フォービュラ星系に連絡を入れ、そこから海賊国家カルメナスの救援がやってくると。
「このままだとまずいな」
私はシラードに秘匿通信を行う。
『どうした? 傭兵』
「カルだ、フォービュラ星系に一度移動する」
『それは構わないが...どうした?』
「海賊の戦力が恐らくフォービュラに集結している。そこを叩き、情報を集める予定だ」
『...分かった、こちらもフォービュラ側のゲートに戦力を集めようじゃないか。死ぬなよ』
「ああ」
通信は切れた。
シラードは相当私に信用を置いてくれているようだ。
言葉こそ乱暴だが、私にはそれがわかる。
どこにそんな要素があっただろう?
「これよりフォービュラのスターゲートへとワープを開始する」
「「「「了解」」」」
その場にいた全員が頷く。
アドアステラはフォービュラのスターゲートへと回頭する。
そして、最高速まで加速を続け...ワープへと入る。
「変、ですね」
「どういう事だ?」
ノルスが不意に口にする。
彼はヘッドフォンを、感覚器官である耳たぶに当てた状態だ。
「この時間にしては、フォービュラ側のシップスキャンに反応が多いです」
「それは、伯爵が船の配備数を増やしたからだろう」
今さっきの通話だが、もともと配備数を増やす計画はあったのだろう。
そう思った私だったが、ノルスは違うと首を振る。
「多いなんてものではないです、数百...?」
「...ッ! 総員戦闘配備!」
判断は早かった。
こういう経験はSNOの時代でもよくあった。
ゲート前に船が大量にいて、通ろうとする船をインターディクターで捕まえて、タコ殴りにするのだ。
酷い場合だと、ゲート前で静止して起動する瞬間に爆弾で吹き飛ばすという悪質なものまであった。
ワープに入ってしまった以上、ダメージをなるべく減らした上で逃げる方法を模索するしかない。
『ワープフィールド離脱まで、残り5秒、4、3、2、1...』
そして...アドアステラは通常空間へと躍り出る。
ゲート前には、夥しい数の船が待ち構えていた。
『推定艦船数、121。残骸がデブリとして浮遊しています、接触しないように...』
「CJD起動! ゲートに飛び込む!」
「はっ!」
私は退却より、進むことを選んだ。
このまま戦うよりは、伯爵の星系軍との挟み撃ちにした方がいい。
包囲戦ができるほど頑丈な船でもないし。
海賊の拠点を五つほど潰した私は、シトリンと共に解析作業に入る。
まずは、他の拠点の特定。
これは割とすぐに終わった。
海賊船が普段通らない空白地帯は、確実に別の海賊がいるからだ。
「次は、データの解析だな」
『はい』
キャッシュデータや暗号化データを、既存の最適化・暗号解読システムに当てはめて紐解いていく。
そうすることで、略奪品のリスト、艦船の横流しを行った場所、違法薬物の販売ルートなどが出て来た。
だが、これだけではない。
更にセキュリティの高い領域へとハッキングを仕掛け、情報を抜き取る。
すると、重要な会話ログがいくつか出て来た。
『どうして『積荷』が重要なんだ?』
『それがすげえ高価な品なんだと』
『じゃあ、カルとかいうやつの船を襲えば良いんだな?』
『そうだ』
間違いない。
こいつらは、誰か上の組織を持っている。
私の情報の共有が早すぎるからだ。
『.........の野郎によると......には...がある。既にフォービュ...の海賊どもには......相談済みだ......メナスから、救援が......』
このログは壊れていて、ほとんど解読できなかった。
しかし、いくつか固有名詞を読み取れたので、考察する。
どこかの誰かから情報を得た海賊達は、フォービュラ星系に連絡を入れ、そこから海賊国家カルメナスの救援がやってくると。
「このままだとまずいな」
私はシラードに秘匿通信を行う。
『どうした? 傭兵』
「カルだ、フォービュラ星系に一度移動する」
『それは構わないが...どうした?』
「海賊の戦力が恐らくフォービュラに集結している。そこを叩き、情報を集める予定だ」
『...分かった、こちらもフォービュラ側のゲートに戦力を集めようじゃないか。死ぬなよ』
「ああ」
通信は切れた。
シラードは相当私に信用を置いてくれているようだ。
言葉こそ乱暴だが、私にはそれがわかる。
どこにそんな要素があっただろう?
「これよりフォービュラのスターゲートへとワープを開始する」
「「「「了解」」」」
その場にいた全員が頷く。
アドアステラはフォービュラのスターゲートへと回頭する。
そして、最高速まで加速を続け...ワープへと入る。
「変、ですね」
「どういう事だ?」
ノルスが不意に口にする。
彼はヘッドフォンを、感覚器官である耳たぶに当てた状態だ。
「この時間にしては、フォービュラ側のシップスキャンに反応が多いです」
「それは、伯爵が船の配備数を増やしたからだろう」
今さっきの通話だが、もともと配備数を増やす計画はあったのだろう。
そう思った私だったが、ノルスは違うと首を振る。
「多いなんてものではないです、数百...?」
「...ッ! 総員戦闘配備!」
判断は早かった。
こういう経験はSNOの時代でもよくあった。
ゲート前に船が大量にいて、通ろうとする船をインターディクターで捕まえて、タコ殴りにするのだ。
酷い場合だと、ゲート前で静止して起動する瞬間に爆弾で吹き飛ばすという悪質なものまであった。
ワープに入ってしまった以上、ダメージをなるべく減らした上で逃げる方法を模索するしかない。
『ワープフィールド離脱まで、残り5秒、4、3、2、1...』
そして...アドアステラは通常空間へと躍り出る。
ゲート前には、夥しい数の船が待ち構えていた。
『推定艦船数、121。残骸がデブリとして浮遊しています、接触しないように...』
「CJD起動! ゲートに飛び込む!」
「はっ!」
私は退却より、進むことを選んだ。
このまま戦うよりは、伯爵の星系軍との挟み撃ちにした方がいい。
包囲戦ができるほど頑丈な船でもないし。
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