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シーズン2-旅立ち編
059-シュラクの街並み
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シュラクの街並みは整然としていて、不気味なほどに秩序立っていた。
けれど、不思議とそれは嫌悪には繋がらなかった。
なぜなら、それを打ち消す広告や、謎のオブジェが並んでいるからだ。
『今なら七種類の味が楽しめる! 新作栄養カプセル販売中!』
『従来の満腹度問題を解決! プラズマエナジー新発売!』
『寝る時に見る夢のオブジェ 製作者:ナキア・ヴェンタス』
流石に誰も買わないと思ったのだが、白衣を着た数人が自動販売機の前に並んでいる。
ファイスが少し興味深そうにしていたが、私がその前を通り過ぎるとすぐに視線を戻した。
「この都市は、申請さえすれば自由に研究物や芸術品を展示することができるらしいですね」
そうなんだ。
まあ、そうじゃないと展示できそうにないものも大量にあるしね。
「研究所エリアに入るには、鉄道と車両の二種類しかないらしいです」
「そうらしいな」
宇宙港は都市の方に集中しており、研究エリアには限られた企業のドックしかない。
なので、私たちは駅へ向かう。
「人がいないな」
「主人、今は平日の昼間です...」
あ、そうか。
そのワードを聞くと、トラウマが蘇ってくるようだ。
お兄ちゃんが毎度毎度嫌そうに口にしていた「平日」を聞くと、背中が粟立つようだ。
無料の整理券を改札に通し、三人でトラムを待つ。
路面電車だが、シールドの技術を活用しているのか、進路には立ち入れないようになっている。
『M-Y1TS番駅、M-Y1TS駅。30秒後に発車します』
無機質なアナウンスを聞きながら、私たちは電車の中に入る。
驚くべきことに、座り席無しである。
「ノルス、何故椅子がないんだ?」
「えと.....はい、御主人。座る席があると作業に没頭し、誰も降りないのでこうなったそうです」
ノルスは私が訊いてから携帯端末を取り出し、しばらく調べてから答えた。
研究エリアを通るトラムは、複数の駅を経由した後また外に出る環状線のため、こうしたことが起きてしまうのだという。
「C-R251駅で降りるよ」
「四駅後ですね、御主人」
トラムは路上を走る。
人の姿こそほとんどないが、青空の下に整然と並ぶビルは、中々に見ごたえがあった。
そのうちトラムはトンネルへと入り、それらの光景は隠されてしまう。
『間もなく、E-CD211駅、E-CD211駅』
さっと、視界が変わった。
研究エリアは下からコバルトブルーの光で照らされ、黒いビルの窓には社名のロゴが煌々と輝いている、まさに夜景といっても過言ではない景色だった。
「(お兄ちゃんにも見せたかったな....)」
いつも外国に旅行に行きたがっていたお兄ちゃん。
私がそのことを指摘すると、「お前が行きたいなら、バイト頑張ってどこでも行かせてやる」って誤魔化してたけれど、中古のガイドブックに赤ペンで丸を書いてまで行きたかったのは知っている。
「主人、C-R251駅です」
「...すまない」
いつの間にか、目的地に到着していた。
急いで降りると、扉が閉まりトラムは発車していった。
駅から出ると、『試作品販売会はコチラ>>>>』と目立つ広告が見えた。
「分かりやすいな」
「そうですね」
私たちは看板の示す方向に向けて歩き出したのだった。
けれど、不思議とそれは嫌悪には繋がらなかった。
なぜなら、それを打ち消す広告や、謎のオブジェが並んでいるからだ。
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流石に誰も買わないと思ったのだが、白衣を着た数人が自動販売機の前に並んでいる。
ファイスが少し興味深そうにしていたが、私がその前を通り過ぎるとすぐに視線を戻した。
「この都市は、申請さえすれば自由に研究物や芸術品を展示することができるらしいですね」
そうなんだ。
まあ、そうじゃないと展示できそうにないものも大量にあるしね。
「研究所エリアに入るには、鉄道と車両の二種類しかないらしいです」
「そうらしいな」
宇宙港は都市の方に集中しており、研究エリアには限られた企業のドックしかない。
なので、私たちは駅へ向かう。
「人がいないな」
「主人、今は平日の昼間です...」
あ、そうか。
そのワードを聞くと、トラウマが蘇ってくるようだ。
お兄ちゃんが毎度毎度嫌そうに口にしていた「平日」を聞くと、背中が粟立つようだ。
無料の整理券を改札に通し、三人でトラムを待つ。
路面電車だが、シールドの技術を活用しているのか、進路には立ち入れないようになっている。
『M-Y1TS番駅、M-Y1TS駅。30秒後に発車します』
無機質なアナウンスを聞きながら、私たちは電車の中に入る。
驚くべきことに、座り席無しである。
「ノルス、何故椅子がないんだ?」
「えと.....はい、御主人。座る席があると作業に没頭し、誰も降りないのでこうなったそうです」
ノルスは私が訊いてから携帯端末を取り出し、しばらく調べてから答えた。
研究エリアを通るトラムは、複数の駅を経由した後また外に出る環状線のため、こうしたことが起きてしまうのだという。
「C-R251駅で降りるよ」
「四駅後ですね、御主人」
トラムは路上を走る。
人の姿こそほとんどないが、青空の下に整然と並ぶビルは、中々に見ごたえがあった。
そのうちトラムはトンネルへと入り、それらの光景は隠されてしまう。
『間もなく、E-CD211駅、E-CD211駅』
さっと、視界が変わった。
研究エリアは下からコバルトブルーの光で照らされ、黒いビルの窓には社名のロゴが煌々と輝いている、まさに夜景といっても過言ではない景色だった。
「(お兄ちゃんにも見せたかったな....)」
いつも外国に旅行に行きたがっていたお兄ちゃん。
私がそのことを指摘すると、「お前が行きたいなら、バイト頑張ってどこでも行かせてやる」って誤魔化してたけれど、中古のガイドブックに赤ペンで丸を書いてまで行きたかったのは知っている。
「主人、C-R251駅です」
「...すまない」
いつの間にか、目的地に到着していた。
急いで降りると、扉が閉まりトラムは発車していった。
駅から出ると、『試作品販売会はコチラ>>>>』と目立つ広告が見えた。
「分かりやすいな」
「そうですね」
私たちは看板の示す方向に向けて歩き出したのだった。
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