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シーズン2-旅立ち編

051-痛み分け

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アドアステラはハイパーアウトし、アパルアンのゲートを潜った。
またもや限界距離までハイパージャンプしたため、アドアステラのジャンプ機能はしばらく使えない。
そんな状態で、アドアステラはワープを行う。

「ワープ先で戦闘になるかもしれない、しっかり備えろ」
「「「「「はい!」」」」」
『はい』

ワープ先は重力井戸...つまりはランダムな宇宙の重力源を元に定められている。
それを知る者ならば、待ち伏せも可能だ。
カルはそれを警戒していた。
だが...事実は予想とは少し異なる。

『インターディクションを検知、インターディクションを検知。FTL次元回廊が不安定化しました、通常空間に離脱します』
「何っ!?」

カルが動揺する。
この世界の技術水準ではあるはずのない技術...インターディクトを掛けられたらだ。

「全艦戦闘配備! コードレッド、敵艦の規模不明!」

カルは素早く指示を飛ばす。
アドアステラのシールドブースターが作動し、離脱後の攻撃に備える。
通常空間に放り出された事で、慣性制御が乱れ、ブリッジにいた者たちは皆横に薙ぎ倒される。

「ぐっ......!」
『敵の情報を取得。戦艦1、巡洋艦3』

一応シートベルトをしていたカルは、すぐにモニターを見る。
戦艦と、その後ろにそれぞれ形状の違う巡洋艦が見える。

『艦長、敵が通信を要請しています』
「受けろ」

どっちにせよ、ワープを妨害されているので逃げられない。

『よう、カル船長』
「誰だ? 悪いが面識がないな」
『いいや、有名だぜ...その荷物の運び主って時点でな!』

直後、アドアステラを囲むように五隻の戦艦がワープアウトした。

『というわけで、死んでもらうぜ?』

直後、全ての艦がアドアステラをロックオンする。
砲台がアドアステラを向くと同時に、カルは叫ぶ。

「ノルス、SWD起動! 面舵一杯!」

アドアステラは右に旋回し、SWD起動の初速で旋回速度を上回る。

『逃がすな!』

砲撃がアドアステラに放たれるが、旋回速度を上回る速度で逃げるアドアステラに追いつけない。
あっという間に1Mmの距離を離したアドアステラだったが、

「まだダメか......」

アドアステラはワープできない。
それほどまでに、インターディクション艦の出力が違うのだ。

「仕方ない、ファイス! フォートモジュールを起動!」
「はっ、お任せあれ!!」

アドアステラはフォートモジュールの効果でその場に静止し、パワーコアとワープドライブのエネルギーを防衛と冷却に回す。

「旗艦から潰すぞ、アリア、ミサイル装填!」
「....できて、ます!」
「よくやった!」

十六発のスマートミサイルが放たれ、フォートモジュールの効果で亜音速まで加速し、旗艦に直撃する。

『な、なんだ....!? シールドがっ!!』
「フフフ、フラグメント弾頭ではない、バースト弾頭だ!」

スマートミサイルだけではないが、ミサイルには種類がある。
弾速、飛行距離共に申し分のない通常弾頭や、ミサイルの迎撃や小型艦の排除に有効なフラグメント弾頭――――そして、大型艦相手に有効な、バースト弾頭である。
爆発半径が非常に狭い代わりに、その威力はシールドを一撃で貫くほどとされている。

『敵艦、シールド出力が大幅に低下』
「アリア!」
「次弾装填完了!」

飛んでくるミサイルは、反応を許さず旗艦のシールドを吹っ飛ばす。
戦艦五隻と巡洋艦三隻からの砲撃は続いているものの、距離による減衰と、フォートモジュールで強化されたシールドを前に効果を為さない。

『砲塔展開完了。照準データを艦長に送信します』
「受け取った、主砲発射!」

アドアステラの主砲が、旗艦に直撃する。
その一撃は旗艦の主砲一つを吹き飛ばし、内部にまで貫通する。

『チィ! 野郎ども、一旦逃げるぞ!』
『わーったぜ、親分!』
『全艦連動ワープ!』

海賊の艦隊はそこでインターディクションを切り、一斉に逃げていく。
アドアステラも回頭し、付近の惑星向けてワープした。
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