上 下
23 / 158
シーズン1-ブライトプライム編

023-セクハラ

しおりを挟む
『ありがとうございます、あなたが居なければ....』
「そういうのはいい、報酬は?」

数時間後。
私は船団の救助を手伝いながら、報酬の交渉を行っていた。
ぶっちゃけ生存者なんてどうでもいいけど、お兄ちゃんが「生存者がいたら助けると報酬額上がるぞ」って言っていたのでやっている。

『........我々だけでは決められません。しかしながら、救助までしていただいた以上、通常の報酬額で収めるわけにはいきませんな.....』
「確か、そちらの艦隊はライズコンソーシアムの直営だったな? なら、後で窺う際に依頼を斡旋してくれないか?」
『....我々にはどちらにしろ決定権がありません、連絡先を共有しますので、後々連絡しますよ』
「ああ」

ライズコンソーシアムは、ステーションやコロニーといった建造物の設計・構築を手掛ける企業だ。
一応船の設計も手掛けてはいるが、少なくとも依頼には事欠かないだろう。
私は救助が終わった船が、順番にワープしていくのを見届ける。

「御主人、何故ワープ中の船は捕まえられるのですか?」
「この船とはワープの仕組みが違うみたいだからな....」

原始的なワープ技術で、FTLに近いワープ技術の為、インターディクターによる妨害を受けやすいのだ。
この宇宙では、ワープ技術はまだ若い技術らしい。
アドアステラがおかしいんだと、たまに納得させられる。

「さぁ、俺たちもブライトプライムへ向かおう」
「了解です」

アドアステラはドローンを収納し、ワープドライブを起動してワープ状態に入った。

「所要時間は?」
「主人、8時間後に到着するようです」

8時間後か。
なら一眠りする時間はあるかな。

「それから、主人...前にも言ったと思うのですが、カーゴスペースに見慣れぬ荷物が置かれております」
「...あ、済まない」

すっかり忘れていた。
私はエレベーターで貨物室まで降りて、謎の荷物の正体を確かめに行く。

「目立つなぁ」

白いカーゴコンテナの中に混じって、一つ無駄に凝った赤いコンテナがあった。
血のような赤ということで、呪いの物品を警戒しつつ開封する。

「...これは」

たった一つのデータメモリと、ちょっと文章には書きたくないものが入っていた。
そりゃ、女性には必須だけど。
データメモリを苛立ち気味に読み込むと、メッセージと共に3万MSCが入ってきた。

『俺だ。海賊の件は助かった、報酬は出たと思うんだが、これは俺からの個人報酬って奴だ。これで××××でも買ってくれ』
「......」
『それから、気絶している間に色々測らせてもらった、ブライトプライムにある店でそれぞれ用立ててやったから、共有した交換コードで貰ってくれ』
「......この」

どこまでも、人がドン引きすることを...

「くされ警察官がっ!」

役目を終えたデータメモリを床に叩きつける。
いくら男装してるからって、言っていいことと悪いことがある。
お兄ちゃんに言いつけるぞ、このくされ貴族。

「とはいえ、貰えるものは貰っておくか」

あの頭がクルクルパーのアホ貴族がお兄ちゃんも知らない私のパーソナルデータを計測して作ったものは、意外な物だった。
まず、今つけている仮面以外の服。
有り合わせで体を覆って女とバレないようにしているけれど、それのフルセットを三種類用意してくれたようだ。
戦闘用のぴっちりスーツ版、正装用の黒マント風、普段着の動きやすいバージョン。
次に、武器。
これはまぁシンプルに、ハンドガンタイプのレーザーガン。
私は特段銃の扱いに長けているわけではないので、要練習だ。
最後に、下着セット1週間分。

「(ビキッ)」

やっぱり殺そう。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

四十路のおっさん、神様からチート能力を9個もらう

霧兎
ファンタジー
ブラック企業に勤めるおっさんが女神様のミスで死んでしまったのでおっさんの若返りと希望するチート能力(スキル)を9個授けられ異世界(セレスティーダ)でまったり旅をしながら美味い物を食べまくり、知らず知らず地球の技術で世界を混乱に導くようなそうでも無いような感じで進みます 最初の内は凄くゆっくりと進んでいってます。 話の切れ目っぽい所で1話にしてるので文字数が揃わずこの場を借りて謝罪します( ノ;_ _)ノ 何分、初投稿作品なので、誤字脱字があるかと思いますが、暖かい目で見守っていただけたら幸いです。 投稿間隔も不定期になると思います。 2020年4月2日 HOTランキング1位 ファンタジー小説部門1位になりました‼️ 2020年8月の下旬に書籍化されることになりました! それに伴い、タイトルを変更することになりました! 1巻になる範囲では【2章・20】位迄が入り、見れなくなりますので、出来れば早めにそこまで読んで頂けたらと思いますm(._.)m 【旧題:四十路のおっさん、神様からチート能力(スキル)を9個貰い異世界のグルメを満喫する!】 8月25日TSUTAYAデイリーランキングにランクインしました(^^ゞ これからも応援よろしくお願い致します( ノ_ _)ノ

【なろう400万pv!】船が沈没して大海原に取り残されたオッサンと女子高生の漂流サバイバル&スローライフ

海凪ととかる
SF
離島に向かうフェリーでたまたま一緒になった一人旅のオッサン、岳人《がくと》と帰省途中の女子高生、美岬《みさき》。 二人は船を降りればそれっきりになるはずだった。しかし、運命はそれを許さなかった。  衝突事故により沈没するフェリー。乗員乗客が救命ボートで船から逃げ出す中、衝突の衝撃で海に転落した美岬と、そんな美岬を助けようと海に飛び込んでいた岳人は救命ボートに気づいてもらえず、サメの徘徊する大海原に取り残されてしまう。  絶体絶命のピンチ! しかし岳人はアウトドア業界ではサバイバルマスターの通り名で有名なサバイバルの専門家だった。  ありあわせの材料で筏を作り、漂流物で筏を補強し、雨水を集め、太陽熱で真水を蒸留し、プランクトンでビタミンを補給し、捕まえた魚を保存食に加工し……なんとか生き延びようと創意工夫する岳人と美岬。  大海原の筏というある意味密室空間で共に過ごし、語り合い、力を合わせて極限状態に立ち向かううちに二人の間に特別な感情が芽生え始め……。 はたして二人は絶体絶命のピンチを生き延びて社会復帰することができるのか?  小説家になろうSF(パニック)部門にて400万pv達成、日間/週間1位、月間2位、四半期/年間3位の実績あり。 カクヨムのSF部門においても高評価いただき80万pv達成、最高週間2位、月間3位の実績あり。  

メトロポリス社へようこそ! ~「役立たずだ」とクビにされたおっさんの就職先は大企業の宇宙船を守る護衛官でした~

アンジェロ岩井
SF
「えっ、クビですか?」 中企業アナハイニム社の事務課に勤める大津修也(おおつしゅうや)は会社の都合によってクビを切られてしまう。 ろくなスキルも身に付けていない修也にとって再転職は絶望的だと思われたが、大企業『メトロポリス』からの使者が現れた。 『メトロポリス』からの使者によれば自身の商品を宇宙の植民星に運ぶ際に宇宙生物に襲われるという事態が幾度も発生しており、そのための護衛役として会社の顧問役である人工頭脳『マリア』が護衛役を務める適任者として選び出したのだという。 宇宙生物との戦いに用いるロトワングというパワードスーツには適性があり、その適性が見出されたのが大津修也だ。 大津にとっては他に就職の選択肢がなかったので『メトロポリス』からの選択肢を受けざるを得なかった。 『メトロポリス』の宇宙船に乗り込み、宇宙生物との戦いに明け暮れる中で、彼は護衛アンドロイドであるシュウジとサヤカと共に過ごし、絆を育んでいくうちに地球上にてアンドロイドが使用人としての扱いしか受けていないことを思い出す。 修也は戦いの中でアンドロイドと人間が対等な関係を築き、共存を行うことができればいいと考えたが、『メトロポリス』では修也とは対照的に人類との共存ではなく支配という名目で動き出そうとしていた。

赤ん坊を拾ったのは戦闘型のアンドロイドでした

ブレイブ
SF
戦争が絶えない世界。戦闘型アンドロイド、フェイリアは依頼が終わった後、廃墟で赤ん坊を見つけ、母性か何か分からないが、赤ん坊を見捨てる事ができず、その赤ん坊を育てる事を決めた

処理中です...