上 下
146 / 152
シーズン6-ビージアイナ戦後

140-侵略者の足音

しおりを挟む
Noa-Tun領土外縁部。
グムター星系。
そこでは、開拓が進められていた。

『B-CC21TC ECR-2 OII』

だが、通信は全て、暗号化されたコードで占められていた。
既にこの星系に人間は存在しない。
採掘艦隊がアステロイドベルトを行き来し、ベルトコンベアを伝ってコンテナがジャンプドライブを搭載した超大型輸送艦『ハウラー』に積み込んでいた。

『GG=R"21 CCTRP』
『IIIX-34 SORIEAADF』

グムター星系はゲートが一つしかないため、防衛はほとんど行われていない。
破壊したゲートの先はVe’zの領域であり、攻め入られる心配もほとんどない場所であった。
そう、今日この日までは――――

『ERT――――未知の信号を検知』
『防衛システム作動、全艦隊、アステロイドベルトより帰投せよ』

それに反応し、アステロイドベルトから逃げようとする艦隊の前に、いくつもの艦がワープアウトした。

『ロックオンされています』
『ワープ準備!』
『敵からの干渉波を確認、ワープ妨害を掛けられています』
『ワープ妨害無効化ユニットを起動....エラー発生、無効化ユニットが装備されていません』

艦隊は初期に製造されたものであり、ワープ妨害に対する対策を持っていなかった。
だが、オーロラは採掘艦隊の硬さをよく知っている。
危険地帯である宇宙で探索する以上、戦闘艦よりも厚い装甲を持っていて当然なのだ。

『敵の攻撃を確認』
『.....分析開始』

未知なる敵は、光線を放ち――――それを剣のように振るって採掘艦をシールドごと両断した。

『不測の事態が発生。戦闘艦スクランブル発進、現宙域に向けワープせよ』

戦闘艦デリュージが五隻出撃し、アステロイドベルトにワープする。
そして、レーザーによる連撃を、即座に叩きこむ。

『敵艦のシールドに損傷を与えられません』
『敵小型艦接近』

採掘艦隊を即座にバラバラにした敵艦隊は、デリュージ艦隊に襲い掛かる。
デリュージ艦隊は応戦するが、まともにダメージを与えられない。
再び、宇宙空間に装甲板が舞う。

『ストラクチャーが攻撃を受けています』
『強化モード発動、これで――――』

だが、謎の艦隊はたった数隻で、強化されたストラクチャーをバラバラに引き裂いた。

『全艦集結せよ。敵勢力を排除します』

そして、グムター星系に存在する2000を超える艦隊が、たった数隻の艦隊を相手に襲い掛かり――――全滅した。

『彼の者共は、宇宙の秩序を乱した。過ぎた力を振るった責は、その滅亡をもって完遂とする。我らはエミド。大宇宙の秩序を守り、監視するものである』

誰もいなくなった星系で、未知の艦隊はワームホールへと消えていく。
そのワームホールは、何事もなかったかのように宇宙の闇へと消え去った。
そして、Noa-Tun連邦の全ての星系にワームホールが開き――――未知なる敵、エミドが侵攻を開始した。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

残念ですが、生贄になりたくないので逃げますね?

gacchi
恋愛
名ばかり公爵令嬢のアリーは生贄になるために王宮で育てられていた。そのことはアリーには秘密で。ずっと周りに従順になるように育てられていたアリーだが、魔術で誓わされそうになり初めて反発した。「この国に心も身体もすべて捧げると誓いますね?」「いいえ、誓いません!」 たまたまそれを見ていた竜王の側近ラディに助けられ、竜王国に働きに行くことに。 アリーは名前をリディに変え、竜王国で魔術師として働く予定だったが、どうやら普通の人ではなかったようで?

仰る通り、貴方の子ではありません

ユユ
恋愛
辛い悪阻と難産を経て産まれたのは 私に似た待望の男児だった。 なのに認められず、 不貞の濡れ衣を着せられ、 追い出されてしまった。 実家からも勘当され 息子と2人で生きていくことにした。 * 作り話です * 暇つぶしにどうぞ * 4万文字未満 * 完結保証付き * 少し大人表現あり

もしも○○だったら~らぶえっちシリーズ

中村 心響
恋愛
もしもシリーズと題しまして、オリジナル作品の二次創作。ファンサービスで書いた"もしも、あのキャラとこのキャラがこうだったら~"など、本編では有り得ない夢の妄想短編ストーリーの総集編となっております。 ※ 作品 「男装バレてイケメンに~」 「灼熱の砂丘」 「イケメンはずんどうぽっちゃり…」 こちらの作品を先にお読みください。 各、作品のファン様へ。 こちらの作品は、ノリと悪ふざけで作者が書き散らした、らぶえっちだらけの物語りとなっております。 故に、本作品のイメージが崩れた!とか。 あのキャラにこんなことさせないで!とか。 その他諸々の苦情は一切受け付けておりません。(。ᵕᴗᵕ。)

【R18】清掃員加藤望、社長の弱みを握りに来ました!

Bu-cha
恋愛
ずっと好きだった初恋の相手、社長の弱みを握る為に頑張ります!!にゃんっ♥ 財閥の分家の家に代々遣える“秘書”という立場の“家”に生まれた加藤望。 ”秘書“としての適正がない”ダメ秘書“の望が12月25日の朝、愛している人から連れてこられた場所は初恋の男の人の家だった。 財閥の本家の長男からの指示、”星野青(じょう)の弱みを握ってくる“という仕事。 財閥が青さんの会社を吸収する為に私を任命した・・・!! 青さんの弱みを握る為、“ダメ秘書”は今日から頑張ります!! 関連物語 『お嬢様は“いけないコト”がしたい』 『“純”の純愛ではない“愛”の鍵』連載中 『雪の上に犬と猿。たまに男と女。』 エブリスタさんにて恋愛トレンドランキング最高11位 『好き好き大好きの嘘』 エブリスタさんにて恋愛トレンドランキング最高36位 『約束したでしょ?忘れちゃった?』 エブリスタさんにて恋愛トレンドランキング最高30位 ※表紙イラスト Bu-cha作

お母さん冒険者、ログインボーナスでスキル【主婦】に目覚めました。週一貰えるチラシで冒険者生活頑張ります!

林優子
ファンタジー
二人の子持ち27歳のカチュア(主婦)は家計を助けるためダンジョンの荷物運びの仕事(パート)をしている。危険が少なく手軽なため、迷宮都市ロアでは若者や主婦には人気の仕事だ。 夢は100万ゴールドの貯金。それだけあれば三人揃って国境警備の任務についているパパに会いに行けるのだ。 そんなカチュアがダンジョン内の女神像から百回ログインボーナスで貰ったのは、オシャレながま口とポイントカード、そして一枚のチラシ? 「モンスターポイント三倍デーって何?」 「4の付く日は薬草デー?」 「お肉の日とお魚の日があるのねー」 神様からスキル【主婦/主夫】を授かった最弱の冒険者ママ、カチュアさんがワンオペ育児と冒険者生活頑張る話。 ※他サイトにも投稿してます

今さら、私に構わないでください

ましゅぺちーの
恋愛
愛する夫が恋をした。 彼を愛していたから、彼女を側妃に迎えるように進言した。 愛し合う二人の前では私は悪役。 幸せそうに微笑み合う二人を見て、私は彼への愛を捨てた。 しかし、夫からの愛を完全に諦めるようになると、彼の態度が少しずつ変化していって……? タイトル変更しました。

誰からも愛されない悪役令嬢に転生したので、自由気ままに生きていきたいと思います。

木山楽斗
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢であるエルファリナに転生した私は、彼女のその境遇に対して深い悲しみを覚えていた。 彼女は、家族からも婚約者からも愛されていない。それどころか、その存在を疎まれているのだ。 こんな環境なら歪んでも仕方ない。そう思う程に、彼女の境遇は悲惨だったのである。 だが、彼女のように歪んでしまえば、ゲームと同じように罪を暴かれて牢屋に行くだけだ。 そのため、私は心を強く持つしかなかった。悲惨な結末を迎えないためにも、どんなに不当な扱いをされても、耐え抜くしかなかったのである。 そんな私に、解放される日がやって来た。 それは、ゲームの始まりである魔法学園入学の日だ。 全寮制の学園には、歪な家族は存在しない。 私は、自由を得たのである。 その自由を謳歌しながら、私は思っていた。 悲惨な境遇から必ず抜け出し、自由気ままに生きるのだと。

愛されない妃ですので。

ごろごろみかん。
恋愛
王妃になんて、望んでなったわけではない。 国王夫妻のリュシアンとミレーゼの関係は冷えきっていた。 「僕はきみを愛していない」 はっきりそう告げた彼は、ミレーゼ以外の女性を抱き、愛を囁いた。 『お飾り王妃』の名を戴くミレーゼだが、ある日彼女は側妃たちの諍いに巻き込まれ、命を落としてしまう。 (ああ、私の人生ってなんだったんだろう──?) そう思って人生に終止符を打ったミレーゼだったが、気がつくと結婚前に戻っていた。 しかも、別の人間になっている? なぜか見知らぬ伯爵令嬢になってしまったミレーゼだが、彼女は決意する。新たな人生、今度はリュシアンに関わることなく、平凡で優しい幸せを掴もう、と。 *年齢制限を18→15に変更しました。

処理中です...