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シーズン3-大侵攻の序曲
063-獣人国視察
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それから数日後。
俺はいつもの制服ではなく、ルルが用意した豪奢な服で着飾っていた。
それというのも、ルルの故郷である惑星イルエジータで、大規模な獣人の式典が行われるらしいという話から始まった。
俺は神では無いという面を強調したのだが、ルルからはちゃんとした格好をしないと舐められると怒られて、結果としてこうなった。
「動きにくいな」
『大丈夫です、警護用の新型ドローンを配備しています。一部ですがナージャの義体技術のデッドコピーが使われていますので、挟所での戦闘も有利に進められます』
俺の左右に浮いている、二体のドローンが敬礼する。
戦闘用ドローンと作業ドローンを合体させた、新世代の人型ドローンだ。
不恰好な人型で、足がなく浮遊用の逆三角形だけくっ付いている粗雑なものだが、これでも襲撃者を制圧するくらいならできるらしい。
名称は左にいる赤いのが「Gevurah(ゲブラー)」、右にいる青いのが「Chesed(ケセド)」だ。
俺はよく知らないが、オーロラ曰くとある分野において、「峻厳(厳しいという意味)」と「慈悲」という意味を持つ言葉らしい。
「こいつら、デザインが不気味なんだが...」
モノアイでもツインアイでもなく三つ目(カメラ)なので、多角的な戦闘の俯瞰が可能だが、見る人にとっては不気味そのものだろう。
『あ、ダメですよ司令官。彼らにも弱いですが自我があるんですから』
「本当か?」
俺がゲブラーを見ると、彼は顔を逸らした。
変な機能付けやがって。
シャトルに乗ること数十分、俺たちは獣人族の国へと降りた。
相変わらず、心地よい風の吹き抜ける草原だ。
だが、獣人の国の方に、何か大きな建造物が見えた。
なんだ、あれは?
「またお会いしましたね、星空の王様」
しばらくそこで待っていると、護衛を引き連れた鳥車がやってきた。
騎鳥の鳥って、ああいうのか。
食ったら美味いんだろうか?
中から出てきたのは、いつも通りティファナだった。
「シンでいい」
「では、シン様」
俺が目のやり場に困っていると、シャトルからゲブラーとケセドが降りてきた。
ティファナは少し驚いたようで、引き下がる。
「シン様、そちらは?」
「俺の護衛だ」
「天使様でいらっしゃいましたか」
ティファナは改めて綺麗な礼をした。
俺はシャトルの中のルルとネムを呼ぶ。
「久しぶりですね、天空の巫女様方」
そんな呼ばれ方なのか。
少しの驚きはあったが、今更驚くことでもないか。
「ところで、あの建造物は何だ?」
俺は白い建造物を指差す。
ティファナは苦笑して、
「あれは天到の塔、と呼ばれています。シン様の信奉者たちが、天空へと至ろうとして建造中なのですよ」
所謂、バベルの塔か。
生憎俺は神じゃないので、言語を混乱させたり稲妻で塔を破壊したりはできない。
「...高い建物は、それだけ風に弱い。あまり高くしすぎることのないようにな」
「分かっています」
一応釘を刺しておく。
彼らを救ったのは結局俺なので、信奉者を止めるのはお門違いだろう。
だからせめて、行き過ぎないように制御しないとな。
「それから、信奉者に伝えろ。その考えを他人に押し付けるなよ、と」
「はい、既に私が通達しております。シン様は神という矮小な存在ではなく、天に広がる王国の王であると」
間違ってはいないか?
まあ、天空の王くらいなら外交も楽になるだろう。
別に、「天空」の範囲はこの星系くらいだろうからな。
「獣神様はお元気ですか?」
「獣神? 知らないな」
いきなり、そんな事を聞かれて俺は戸惑う。
だがティファナはふふっと笑って、答えた。
「そういう事にしておきましょう」
「シン様!」
その時、車内に声が響く。
俺がそちらを見ると、ルルが今にも飛び掛かりそうな雰囲気で睨みつけていた。
「ああ、悪かった。ティファナとばかり話していたから、退屈させてしまったか」
「そういうことではないと思いますが...」
俺たちを乗せた鳥車は、順調に獣人国への道のりを進むのであった。
俺はいつもの制服ではなく、ルルが用意した豪奢な服で着飾っていた。
それというのも、ルルの故郷である惑星イルエジータで、大規模な獣人の式典が行われるらしいという話から始まった。
俺は神では無いという面を強調したのだが、ルルからはちゃんとした格好をしないと舐められると怒られて、結果としてこうなった。
「動きにくいな」
『大丈夫です、警護用の新型ドローンを配備しています。一部ですがナージャの義体技術のデッドコピーが使われていますので、挟所での戦闘も有利に進められます』
俺の左右に浮いている、二体のドローンが敬礼する。
戦闘用ドローンと作業ドローンを合体させた、新世代の人型ドローンだ。
不恰好な人型で、足がなく浮遊用の逆三角形だけくっ付いている粗雑なものだが、これでも襲撃者を制圧するくらいならできるらしい。
名称は左にいる赤いのが「Gevurah(ゲブラー)」、右にいる青いのが「Chesed(ケセド)」だ。
俺はよく知らないが、オーロラ曰くとある分野において、「峻厳(厳しいという意味)」と「慈悲」という意味を持つ言葉らしい。
「こいつら、デザインが不気味なんだが...」
モノアイでもツインアイでもなく三つ目(カメラ)なので、多角的な戦闘の俯瞰が可能だが、見る人にとっては不気味そのものだろう。
『あ、ダメですよ司令官。彼らにも弱いですが自我があるんですから』
「本当か?」
俺がゲブラーを見ると、彼は顔を逸らした。
変な機能付けやがって。
シャトルに乗ること数十分、俺たちは獣人族の国へと降りた。
相変わらず、心地よい風の吹き抜ける草原だ。
だが、獣人の国の方に、何か大きな建造物が見えた。
なんだ、あれは?
「またお会いしましたね、星空の王様」
しばらくそこで待っていると、護衛を引き連れた鳥車がやってきた。
騎鳥の鳥って、ああいうのか。
食ったら美味いんだろうか?
中から出てきたのは、いつも通りティファナだった。
「シンでいい」
「では、シン様」
俺が目のやり場に困っていると、シャトルからゲブラーとケセドが降りてきた。
ティファナは少し驚いたようで、引き下がる。
「シン様、そちらは?」
「俺の護衛だ」
「天使様でいらっしゃいましたか」
ティファナは改めて綺麗な礼をした。
俺はシャトルの中のルルとネムを呼ぶ。
「久しぶりですね、天空の巫女様方」
そんな呼ばれ方なのか。
少しの驚きはあったが、今更驚くことでもないか。
「ところで、あの建造物は何だ?」
俺は白い建造物を指差す。
ティファナは苦笑して、
「あれは天到の塔、と呼ばれています。シン様の信奉者たちが、天空へと至ろうとして建造中なのですよ」
所謂、バベルの塔か。
生憎俺は神じゃないので、言語を混乱させたり稲妻で塔を破壊したりはできない。
「...高い建物は、それだけ風に弱い。あまり高くしすぎることのないようにな」
「分かっています」
一応釘を刺しておく。
彼らを救ったのは結局俺なので、信奉者を止めるのはお門違いだろう。
だからせめて、行き過ぎないように制御しないとな。
「それから、信奉者に伝えろ。その考えを他人に押し付けるなよ、と」
「はい、既に私が通達しております。シン様は神という矮小な存在ではなく、天に広がる王国の王であると」
間違ってはいないか?
まあ、天空の王くらいなら外交も楽になるだろう。
別に、「天空」の範囲はこの星系くらいだろうからな。
「獣神様はお元気ですか?」
「獣神? 知らないな」
いきなり、そんな事を聞かれて俺は戸惑う。
だがティファナはふふっと笑って、答えた。
「そういう事にしておきましょう」
「シン様!」
その時、車内に声が響く。
俺がそちらを見ると、ルルが今にも飛び掛かりそうな雰囲気で睨みつけていた。
「ああ、悪かった。ティファナとばかり話していたから、退屈させてしまったか」
「そういうことではないと思いますが...」
俺たちを乗せた鳥車は、順調に獣人国への道のりを進むのであった。
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