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シーズン2-クロトザク終戦
058-戦闘機デート(前編)
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さて。
首都防衛で甚大な被害を受けた俺たちは、これまでより急ピッチで開発を進めなくてはならなくなった。
そして、何より....
『艦長、予定されていた『アヴェンジャー』の建造資源ですが――――回収した残骸のリサイクルで事足りるようです』
「そうか」
今回の戦いで破壊された艦船、ドローン。
それらの犠牲を悼み....といいつつ、そろそろ大型の戦力が欲しいなと思っていた俺は、外部建造ハブを使い(大型艦建造ベイは資源不足で設置できなかった)、ついに主力艦級を建造することにした。
旗艦級や主力艦とも呼ばれる艦種に位置する船である『復讐者』は、攻城戦艦である。
『シールド容量250万、アーマー耐久値推定290万、HP推定300万.....怪物ですね』
「その分資源は必須だけどな」
今回はそこそこ高い船がバンバン沈んだので(結局シンビオシスも沈んだ)、アーマーに使えそうな資材は大量にある。
あとは、アヴェンジャーに搭載する兵装だが....
『新武装、重核子収束衝撃波砲、一撃ごとにキャパシター電力を大幅に消費するので、キャパシター支援艦が必須ですね』
あのドローンから回収した攻撃兵装を、戦艦サイズに転用した。
まだコンバーターの解析が終わっていないため、プロトタイプのショックカノンはエネルギー消費が激しい。
後衛ドローンに積まれていた未知のシールドとエネルギービームは、未だ解析の途中だ。
「あの.....シンさま」
「...ああ、悪い」
ついオーロラと話し込んでしまっていた。
ルルの操縦で、Noa-Tunの周囲を飛ぶ約束をしていたんだった。
「だいぶ操縦には慣れたか?」
「はい、しみゅれーたー? で練習をしました」
ルルの才能は、凄いものだった。
もしかして俺も乗れるんじゃないか? と思ってシミュレーターに乗り込んだが、何十回やっても、俺の運動神経が災いする以前の問題で、一番弱いドッグファイトミッションすらクリアできなかった。
何をどうしたらあんな回避機動を取れるんだ?
「よし」
本来のスワロー・エッジは複座ではないため、フェザー・アイビスと呼ばれる制空戦闘機に搭乗する。
一番コックピットの勝手がスワロー・エッジに近いらしい。
『シートベルト、酸素マスク、ヘルメットの装着を確認してください』
「大丈夫だ」
俺はヘルメットを被り、シートベルトを締める。
そして、酸素マスクをつけた。
『七番カタパルトへ移動を開始します』
フェザー・アイビスが二つのロボットアームで釣り上げられ、七番カタパルトなる通路まで輸送される。
「あの時もこうやって?」
「そうです...!」
マスクを着けているからか、ルルの声が少しくぐもって聞こえる。
『司令官、レシーバーの周波数を合わせるのを忘れていました』
『あ、こんなものもあるんですね』
ルルの声が右から聞こえてくる。
オーロラは左だ。
『レールに接続完了』
金属同士が触れ合う音と共に、機体が揺れる。
俺の方がリアクターに近いので、レールと接触したあたりで起動が始まったのを感じ取ることができた。
「....もう起動するのか?」
『はい、ハッチが開いてからだと出撃に少しだけ時間がかかるので...』
「なるほど、考えているな」
『ハッチ開きます』
目の前の壁に幾何学模様が走り――――ハッチが開く。
その向こうには一直線の道があり、手前から奥に向かって左右にある誘導灯が点灯した。
『エンジン点火します、徐々に出力を上げるため、ここでしばらく待機します』
「分かった」
『現在ハッチ前面を飛行中の艦艇はありません、緑信号です』
『じゃあ、行きますっ!!』
レシーバーのノイズキャンセリングを貫くほどの轟音がリアクターから鳴り響き、フェザー・アイビスは一気に加速する。
「........アレ?」
思ったより、Gが感じられない。
この速度で加速したとは思えない、飛行機が離陸する程度の重圧を感じたのみだ。
「なるほど、これが慣性制御か」
『思ったより楽ですよね! 私も思ったんです、騎鳥に乗って飛んだ時みたいな勢いがなくて....』
「騎鳥? 興味深いな....」
まだまだあの星には未知の生命がいるらしい。
『出ます!』
「ああ!」
俺とルルを乗せたアイビスは、広い宇宙へと飛び出した。
この後の体験はとても素晴らしいものだった。
だがそれは、また別の物語である――――
首都防衛で甚大な被害を受けた俺たちは、これまでより急ピッチで開発を進めなくてはならなくなった。
そして、何より....
『艦長、予定されていた『アヴェンジャー』の建造資源ですが――――回収した残骸のリサイクルで事足りるようです』
「そうか」
今回の戦いで破壊された艦船、ドローン。
それらの犠牲を悼み....といいつつ、そろそろ大型の戦力が欲しいなと思っていた俺は、外部建造ハブを使い(大型艦建造ベイは資源不足で設置できなかった)、ついに主力艦級を建造することにした。
旗艦級や主力艦とも呼ばれる艦種に位置する船である『復讐者』は、攻城戦艦である。
『シールド容量250万、アーマー耐久値推定290万、HP推定300万.....怪物ですね』
「その分資源は必須だけどな」
今回はそこそこ高い船がバンバン沈んだので(結局シンビオシスも沈んだ)、アーマーに使えそうな資材は大量にある。
あとは、アヴェンジャーに搭載する兵装だが....
『新武装、重核子収束衝撃波砲、一撃ごとにキャパシター電力を大幅に消費するので、キャパシター支援艦が必須ですね』
あのドローンから回収した攻撃兵装を、戦艦サイズに転用した。
まだコンバーターの解析が終わっていないため、プロトタイプのショックカノンはエネルギー消費が激しい。
後衛ドローンに積まれていた未知のシールドとエネルギービームは、未だ解析の途中だ。
「あの.....シンさま」
「...ああ、悪い」
ついオーロラと話し込んでしまっていた。
ルルの操縦で、Noa-Tunの周囲を飛ぶ約束をしていたんだった。
「だいぶ操縦には慣れたか?」
「はい、しみゅれーたー? で練習をしました」
ルルの才能は、凄いものだった。
もしかして俺も乗れるんじゃないか? と思ってシミュレーターに乗り込んだが、何十回やっても、俺の運動神経が災いする以前の問題で、一番弱いドッグファイトミッションすらクリアできなかった。
何をどうしたらあんな回避機動を取れるんだ?
「よし」
本来のスワロー・エッジは複座ではないため、フェザー・アイビスと呼ばれる制空戦闘機に搭乗する。
一番コックピットの勝手がスワロー・エッジに近いらしい。
『シートベルト、酸素マスク、ヘルメットの装着を確認してください』
「大丈夫だ」
俺はヘルメットを被り、シートベルトを締める。
そして、酸素マスクをつけた。
『七番カタパルトへ移動を開始します』
フェザー・アイビスが二つのロボットアームで釣り上げられ、七番カタパルトなる通路まで輸送される。
「あの時もこうやって?」
「そうです...!」
マスクを着けているからか、ルルの声が少しくぐもって聞こえる。
『司令官、レシーバーの周波数を合わせるのを忘れていました』
『あ、こんなものもあるんですね』
ルルの声が右から聞こえてくる。
オーロラは左だ。
『レールに接続完了』
金属同士が触れ合う音と共に、機体が揺れる。
俺の方がリアクターに近いので、レールと接触したあたりで起動が始まったのを感じ取ることができた。
「....もう起動するのか?」
『はい、ハッチが開いてからだと出撃に少しだけ時間がかかるので...』
「なるほど、考えているな」
『ハッチ開きます』
目の前の壁に幾何学模様が走り――――ハッチが開く。
その向こうには一直線の道があり、手前から奥に向かって左右にある誘導灯が点灯した。
『エンジン点火します、徐々に出力を上げるため、ここでしばらく待機します』
「分かった」
『現在ハッチ前面を飛行中の艦艇はありません、緑信号です』
『じゃあ、行きますっ!!』
レシーバーのノイズキャンセリングを貫くほどの轟音がリアクターから鳴り響き、フェザー・アイビスは一気に加速する。
「........アレ?」
思ったより、Gが感じられない。
この速度で加速したとは思えない、飛行機が離陸する程度の重圧を感じたのみだ。
「なるほど、これが慣性制御か」
『思ったより楽ですよね! 私も思ったんです、騎鳥に乗って飛んだ時みたいな勢いがなくて....』
「騎鳥? 興味深いな....」
まだまだあの星には未知の生命がいるらしい。
『出ます!』
「ああ!」
俺とルルを乗せたアイビスは、広い宇宙へと飛び出した。
この後の体験はとても素晴らしいものだった。
だがそれは、また別の物語である――――
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