41 / 152
シーズン1-クロトザク戦線
039-油断の代償
しおりを挟む
『ホールドスター、戦闘モードに移行します』
戦闘指揮所の灯りが赤い非常灯へと変化し、外周リングが互いに合体してホールドスターを守る。
ホールドスターは戦闘要塞でもあるため、こうした防衛設備だけではなく――――
『超大型タレット、巡航ミサイル共に発射準備完了。大型ドローン発進準備完了』
攻撃設備も充実しているのだ。
「攻撃開始!!」
俺の指示と同時に。タレットがレーザーを放つ。
だが、それはラー・アークの直前で何かに阻まれ、最終的には消失する。
「シールドだと!?」
『敵戦艦の推定シールド残量、残り81%、分間2%で強度回復しています』
やっぱりあの船、拿捕したいな....
明らかに皇国の技術レベルではありえない船だ。
「だが、こちらには鉄壁のシールドがある。向こうの回復力を上回る火力で潰せばいい」
『敵戦艦、先端部にエネルギー集中』
「何だ...?」
俺が敵の意図を測りかねていると、戦艦の先端にある鋭角が輝きを放った。
直後に戦闘指揮所全体にアラームが鳴り響く。
『シールド出力が大幅に低下、強度ではなく出力が低下しています!』
「原因を調査しろ!」
『調査中です』
未知の兵器か...!
流石に出力を下げられると、ホールドスターの膨大なシールドも意味を成さない。
その瞬間、俺の中にとあるアイデアが閃いた。
「そうだ、あれを使えば...」
『ホールドスター、シールド消失!』
シールド消失のアラートが鳴り響き、直後に轟音と共に戦闘指揮所が激しく振動した。
「な、なんだ...!?」
『未知の砲撃を感知、アーマー耐久値が91%まで低下』
俺は外周リングのカメラから、ホールドスターの状態を見る。
土手っ腹に大穴が空き、そこから内部構造が露出している。
「そうか...超兵器まで搭載してるんだな...」
『ハハハハハ、どうした? ゴミのような力でイキがるからこうなるのだよ!』
お前こそ借り物の力で粋がってるだろ...
だが、これは好機だ。
わざわざザヴォートの力を披露する機会を相手がくれたのだ。
「ザヴォートのリペアシステムを起動せよ」
『了解。ザヴォートのリモートアーマーリペアタレット稼働』
直後、敵戦艦から見てホールドスターの右にあったザヴォートが、ホールドスターに謎のビームをぶっ放す。
『血迷ったか、自らを攻撃させるなど...何!?』
「そして、オーロラ! 強化を起動せよ!」
『リペアの完了を確認、強化システムを起動します』
ホールドスターの下部から上部にかけて光が走る。
リーンフォースモードとは、戦争中においてシールドの消失した建造物が使える一時凌ぎの手段である。
要は、無敵アイテムを取ったアクションゲームの主人公みたいなものだ。
味方からの支援以外は全てを無力化し敵の前に立ちはだかる。
それがリーンフォースシステムだ。
『天誅!』
「悪いな、効かないぞ」
ラー・アークが超兵器を放つが、ホールドスターにダメージはない。
ただ、このままだとジリ貧だな...
敵のシールドを一瞬で抜ける手段があればいいんだが、こちらの戦力だとそれも難しい。
やはり今からでも戦力を呼び戻すべきか...?
『司令官、私にいい考えがあります』
「聞こう」
その時、スススッと寄ってきたオーロラが、どうせホログラフなのに俺の耳に口を近づけてきた。
戦闘指揮所は俺一人なんだがな。
『......実は、ゴニョゴニョ』
「(無駄に高度だな)」
ゴニョゴニョ言いながら、正面のモニターに提案内容が表示されていた。
確かに、遠隔戦力がない俺たちには、打ってつけの作戦か...
ルルはスーツを身につけて席に座る。
シートベルトを締め、耳を畳んでヘルメットを着用する。
マスクを装備し、言った。
「る...ルル、発進準備完了しました」
『よし、じゃあ操作を教えるぞ』
「はい!」
ルルは元気よく返事する。
『まずは、右のところにあるキー...取っ手を回せ』
「はい」
キーを回すと、ルルの背後で重低音が響き出す。
「できました」
『そしたら次は、操作だ。左の棒が減増速、右の棒で上昇と下降、左右への旋回ができる』
「...はい!」
『中央の画面に、機体の今の状態と簡易レーダーが出る、弾は機関が動いている限りは無限だが、積んでいる爆弾は一個だけだ、わかったか?』
「...やってみます」
ルルは内心とてもワクワクしていた。
それは、未知のものに対する幼稚なものではなく、やっとシンの役に立てるという純粋な胸の高鳴りであった。
ルルを乗せた戦闘機「スワロー・エッジ」は格納庫の床を離れ、スラスターを起動して加速し始める。
「私...飛べてる!?」
『では、任務開始だ。ビーコン......灯に従って格納庫から出て、事前の指示通り頑張ってくれ』
「...はいっ!」
スワロー・エッジは、スラスターから光の粒子を噴出させて加速し、宇宙空間へ飛び出したのであった。
戦闘指揮所の灯りが赤い非常灯へと変化し、外周リングが互いに合体してホールドスターを守る。
ホールドスターは戦闘要塞でもあるため、こうした防衛設備だけではなく――――
『超大型タレット、巡航ミサイル共に発射準備完了。大型ドローン発進準備完了』
攻撃設備も充実しているのだ。
「攻撃開始!!」
俺の指示と同時に。タレットがレーザーを放つ。
だが、それはラー・アークの直前で何かに阻まれ、最終的には消失する。
「シールドだと!?」
『敵戦艦の推定シールド残量、残り81%、分間2%で強度回復しています』
やっぱりあの船、拿捕したいな....
明らかに皇国の技術レベルではありえない船だ。
「だが、こちらには鉄壁のシールドがある。向こうの回復力を上回る火力で潰せばいい」
『敵戦艦、先端部にエネルギー集中』
「何だ...?」
俺が敵の意図を測りかねていると、戦艦の先端にある鋭角が輝きを放った。
直後に戦闘指揮所全体にアラームが鳴り響く。
『シールド出力が大幅に低下、強度ではなく出力が低下しています!』
「原因を調査しろ!」
『調査中です』
未知の兵器か...!
流石に出力を下げられると、ホールドスターの膨大なシールドも意味を成さない。
その瞬間、俺の中にとあるアイデアが閃いた。
「そうだ、あれを使えば...」
『ホールドスター、シールド消失!』
シールド消失のアラートが鳴り響き、直後に轟音と共に戦闘指揮所が激しく振動した。
「な、なんだ...!?」
『未知の砲撃を感知、アーマー耐久値が91%まで低下』
俺は外周リングのカメラから、ホールドスターの状態を見る。
土手っ腹に大穴が空き、そこから内部構造が露出している。
「そうか...超兵器まで搭載してるんだな...」
『ハハハハハ、どうした? ゴミのような力でイキがるからこうなるのだよ!』
お前こそ借り物の力で粋がってるだろ...
だが、これは好機だ。
わざわざザヴォートの力を披露する機会を相手がくれたのだ。
「ザヴォートのリペアシステムを起動せよ」
『了解。ザヴォートのリモートアーマーリペアタレット稼働』
直後、敵戦艦から見てホールドスターの右にあったザヴォートが、ホールドスターに謎のビームをぶっ放す。
『血迷ったか、自らを攻撃させるなど...何!?』
「そして、オーロラ! 強化を起動せよ!」
『リペアの完了を確認、強化システムを起動します』
ホールドスターの下部から上部にかけて光が走る。
リーンフォースモードとは、戦争中においてシールドの消失した建造物が使える一時凌ぎの手段である。
要は、無敵アイテムを取ったアクションゲームの主人公みたいなものだ。
味方からの支援以外は全てを無力化し敵の前に立ちはだかる。
それがリーンフォースシステムだ。
『天誅!』
「悪いな、効かないぞ」
ラー・アークが超兵器を放つが、ホールドスターにダメージはない。
ただ、このままだとジリ貧だな...
敵のシールドを一瞬で抜ける手段があればいいんだが、こちらの戦力だとそれも難しい。
やはり今からでも戦力を呼び戻すべきか...?
『司令官、私にいい考えがあります』
「聞こう」
その時、スススッと寄ってきたオーロラが、どうせホログラフなのに俺の耳に口を近づけてきた。
戦闘指揮所は俺一人なんだがな。
『......実は、ゴニョゴニョ』
「(無駄に高度だな)」
ゴニョゴニョ言いながら、正面のモニターに提案内容が表示されていた。
確かに、遠隔戦力がない俺たちには、打ってつけの作戦か...
ルルはスーツを身につけて席に座る。
シートベルトを締め、耳を畳んでヘルメットを着用する。
マスクを装備し、言った。
「る...ルル、発進準備完了しました」
『よし、じゃあ操作を教えるぞ』
「はい!」
ルルは元気よく返事する。
『まずは、右のところにあるキー...取っ手を回せ』
「はい」
キーを回すと、ルルの背後で重低音が響き出す。
「できました」
『そしたら次は、操作だ。左の棒が減増速、右の棒で上昇と下降、左右への旋回ができる』
「...はい!」
『中央の画面に、機体の今の状態と簡易レーダーが出る、弾は機関が動いている限りは無限だが、積んでいる爆弾は一個だけだ、わかったか?』
「...やってみます」
ルルは内心とてもワクワクしていた。
それは、未知のものに対する幼稚なものではなく、やっとシンの役に立てるという純粋な胸の高鳴りであった。
ルルを乗せた戦闘機「スワロー・エッジ」は格納庫の床を離れ、スラスターを起動して加速し始める。
「私...飛べてる!?」
『では、任務開始だ。ビーコン......灯に従って格納庫から出て、事前の指示通り頑張ってくれ』
「...はいっ!」
スワロー・エッジは、スラスターから光の粒子を噴出させて加速し、宇宙空間へ飛び出したのであった。
21
お気に入りに追加
20
あなたにおすすめの小説
残念ですが、生贄になりたくないので逃げますね?
gacchi
恋愛
名ばかり公爵令嬢のアリーは生贄になるために王宮で育てられていた。そのことはアリーには秘密で。ずっと周りに従順になるように育てられていたアリーだが、魔術で誓わされそうになり初めて反発した。「この国に心も身体もすべて捧げると誓いますね?」「いいえ、誓いません!」
たまたまそれを見ていた竜王の側近ラディに助けられ、竜王国に働きに行くことに。
アリーは名前をリディに変え、竜王国で魔術師として働く予定だったが、どうやら普通の人ではなかったようで?
仰る通り、貴方の子ではありません
ユユ
恋愛
辛い悪阻と難産を経て産まれたのは
私に似た待望の男児だった。
なのに認められず、
不貞の濡れ衣を着せられ、
追い出されてしまった。
実家からも勘当され
息子と2人で生きていくことにした。
* 作り話です
* 暇つぶしにどうぞ
* 4万文字未満
* 完結保証付き
* 少し大人表現あり
もしも○○だったら~らぶえっちシリーズ
中村 心響
恋愛
もしもシリーズと題しまして、オリジナル作品の二次創作。ファンサービスで書いた"もしも、あのキャラとこのキャラがこうだったら~"など、本編では有り得ない夢の妄想短編ストーリーの総集編となっております。
※ 作品
「男装バレてイケメンに~」
「灼熱の砂丘」
「イケメンはずんどうぽっちゃり…」
こちらの作品を先にお読みください。
各、作品のファン様へ。
こちらの作品は、ノリと悪ふざけで作者が書き散らした、らぶえっちだらけの物語りとなっております。
故に、本作品のイメージが崩れた!とか。
あのキャラにこんなことさせないで!とか。
その他諸々の苦情は一切受け付けておりません。(。ᵕᴗᵕ。)
【R18】清掃員加藤望、社長の弱みを握りに来ました!
Bu-cha
恋愛
ずっと好きだった初恋の相手、社長の弱みを握る為に頑張ります!!にゃんっ♥
財閥の分家の家に代々遣える“秘書”という立場の“家”に生まれた加藤望。
”秘書“としての適正がない”ダメ秘書“の望が12月25日の朝、愛している人から連れてこられた場所は初恋の男の人の家だった。
財閥の本家の長男からの指示、”星野青(じょう)の弱みを握ってくる“という仕事。
財閥が青さんの会社を吸収する為に私を任命した・・・!!
青さんの弱みを握る為、“ダメ秘書”は今日から頑張ります!!
関連物語
『お嬢様は“いけないコト”がしたい』
『“純”の純愛ではない“愛”の鍵』連載中
『雪の上に犬と猿。たまに男と女。』
エブリスタさんにて恋愛トレンドランキング最高11位
『好き好き大好きの嘘』
エブリスタさんにて恋愛トレンドランキング最高36位
『約束したでしょ?忘れちゃった?』
エブリスタさんにて恋愛トレンドランキング最高30位
※表紙イラスト Bu-cha作
お母さん冒険者、ログインボーナスでスキル【主婦】に目覚めました。週一貰えるチラシで冒険者生活頑張ります!
林優子
ファンタジー
二人の子持ち27歳のカチュア(主婦)は家計を助けるためダンジョンの荷物運びの仕事(パート)をしている。危険が少なく手軽なため、迷宮都市ロアでは若者や主婦には人気の仕事だ。
夢は100万ゴールドの貯金。それだけあれば三人揃って国境警備の任務についているパパに会いに行けるのだ。
そんなカチュアがダンジョン内の女神像から百回ログインボーナスで貰ったのは、オシャレながま口とポイントカード、そして一枚のチラシ?
「モンスターポイント三倍デーって何?」
「4の付く日は薬草デー?」
「お肉の日とお魚の日があるのねー」
神様からスキル【主婦/主夫】を授かった最弱の冒険者ママ、カチュアさんがワンオペ育児と冒険者生活頑張る話。
※他サイトにも投稿してます
今さら、私に構わないでください
ましゅぺちーの
恋愛
愛する夫が恋をした。
彼を愛していたから、彼女を側妃に迎えるように進言した。
愛し合う二人の前では私は悪役。
幸せそうに微笑み合う二人を見て、私は彼への愛を捨てた。
しかし、夫からの愛を完全に諦めるようになると、彼の態度が少しずつ変化していって……?
タイトル変更しました。
誰からも愛されない悪役令嬢に転生したので、自由気ままに生きていきたいと思います。
木山楽斗
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢であるエルファリナに転生した私は、彼女のその境遇に対して深い悲しみを覚えていた。
彼女は、家族からも婚約者からも愛されていない。それどころか、その存在を疎まれているのだ。
こんな環境なら歪んでも仕方ない。そう思う程に、彼女の境遇は悲惨だったのである。
だが、彼女のように歪んでしまえば、ゲームと同じように罪を暴かれて牢屋に行くだけだ。
そのため、私は心を強く持つしかなかった。悲惨な結末を迎えないためにも、どんなに不当な扱いをされても、耐え抜くしかなかったのである。
そんな私に、解放される日がやって来た。
それは、ゲームの始まりである魔法学園入学の日だ。
全寮制の学園には、歪な家族は存在しない。
私は、自由を得たのである。
その自由を謳歌しながら、私は思っていた。
悲惨な境遇から必ず抜け出し、自由気ままに生きるのだと。
愛されない妃ですので。
ごろごろみかん。
恋愛
王妃になんて、望んでなったわけではない。
国王夫妻のリュシアンとミレーゼの関係は冷えきっていた。
「僕はきみを愛していない」
はっきりそう告げた彼は、ミレーゼ以外の女性を抱き、愛を囁いた。
『お飾り王妃』の名を戴くミレーゼだが、ある日彼女は側妃たちの諍いに巻き込まれ、命を落としてしまう。
(ああ、私の人生ってなんだったんだろう──?)
そう思って人生に終止符を打ったミレーゼだったが、気がつくと結婚前に戻っていた。
しかも、別の人間になっている?
なぜか見知らぬ伯爵令嬢になってしまったミレーゼだが、彼女は決意する。新たな人生、今度はリュシアンに関わることなく、平凡で優しい幸せを掴もう、と。
*年齢制限を18→15に変更しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる