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序章
003-領域隠蔽ユニット
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「領域隠蔽ユニット......!」
『それは一体、何でしょうか?』
俺が驚いていると、横からオーロラが顔を覗かせた。
「説明は後だ、こいつにリンクを構築してくれ」
『分かりましたが.....危険なものではないのですか?』
「ああ、むしろ有益なものだ」
俺は頷く。
「領域隠蔽ユニットは、起動している限りその星系を外部から隔離する構造物だ」
『それは.....あまりに強力では?』
「そうでもないな、敵味方の区別なく星系を外部から切り離してしまうから、領有権を主張した場所の支配権を獲得するための時間を稼ぐ目的で使うんだ」
『なるほど.....しかし、今の状況ではご都合主義と思われてもおかしくないほどに....』
「ああ、都合が良すぎるな」
しかし利用しない手はない。
俺はリンクを確立した領域隠蔽ユニットを起動した。
「これで、この星系は外部から完全に隔離された」
『しかし、ワープなどで入ってきてしまうのでは?』
「大丈夫だ.....多分」
海賊の艦隊に見つかったら、その時はその時だな。
死を覚悟するしかない。
「コアの復旧はどうだ?」
『現在残骸の撤去をほぼ完了しました、起動に必要な部分の修復には5時間を要します』
「結構かかるな....」
『損傷が酷く.....爆縮崩壊を起こさなかったのが奇跡とも思えるような惨状です』
「それほどの損傷なら、5時間は早い方か」
俺はタスクをチェックしていく。
何しろ一人で異世界に放り出されるなんて、人生長くとも予想できる経験ではない。
ホールドスター 『Noa-Tun』 状態:係留 未知の惑星軌道上
◇物資倉庫 状態:『破損』 火災鎮火済み
◇修理ベイ 状態:『大破』 火災鎮火済み
◇マーケットベイ 状態:『崩壊』
◇ドローンベイ 状態:『小破』 火災鎮火済み
◇加工施設 状態:『小破』 火災鎮火済み
◇研究施設 状態:『崩壊』 火災鎮火済み
◇居住区画 状態:『崩壊』 火災鎮火済み
◇弾薬庫 状態:『大破』 火災鎮火済み
◇小型艦艇ドック 状態:『破損』
◇中型艦艇ドック 状態:『大破』
◇大型艦艇ドック 状態:『崩壊』
◇旗艦級ドック 状態:『未接続』
◇戦闘指揮所 状態:『中破』
◆シールド 0%
◇シールド発生コア 状態:『破損』
◆アーマー 0%
◇アーマーリペアシステム 状態:『未接続』
◆HP 22%
◇オービタルコアシステム 状態:『稼働中』
◆非常電源残量:98%
◇セントラルコアシステム 状態:『停止』
事態は何も好転していないんだが、多少マシになった。
HPが22%まで回復したことで、各所の損傷がリペアドローンによって修復されていることがわかる。
何を置いてもセントラルコアシステムを修復するのが先決なため、リペアドローンのリソースは割けないが......
「物資倉庫を見てきてもいいか?」
『はい、通路の安全は確保されていますので、騎乗ドローンを随行させます』
「分かった」
バイクのような形のドローンに乗り込み、俺は通路を走る。
時折、砲撃でブチ抜かれたような崩落痕があったが、既に気密処理は終わっているようだ。
『艦隊総司令、物資倉庫に何か御用時ですか?』
「ああ、物資の確認をしておきたくてな」
『.....わかりました、現在物資倉庫はオフラインになっており、こちらからは目録を作成できません』
オーロラが申し訳なさそうに俯く。
「まあ、そうだろうな」
俺の目には、半壊した物資倉庫が見えていた。
状態が『破損』だったのは、コンテナは無事だからだろう。
酷く焼けこげてはいるが、内部のシールドが攻撃を減衰させたようで壊滅には至っていなかった。
「作業ドローンをこっちに回せるか?」
『はい、数機であれば稼働可能です』
「では頼む、コンテナを数個運び出して戦闘指揮所に持っていく予定だ」
『分かりました!』
やる事がない現状、幾つかの事を試しておきたいのが本音だ。
俺は剥き出しになったパーツを見てふと笑う。
「このパーツ、集めるのに結構時間かかったよな」
物資倉庫のモジュールを作る際、外壁に必要な装甲材だったのだが...
素材がかなり高価で、艦隊を率いて素材集めに努めたものだ。
「また集め直しか?」
倉庫にある物資で足りればいいが。
それを考えていると、作業ドローンが飛んできた。
カーゴタイプで、ゲーム中でも作業中によく物資を載せて飛んでいるのを見たことがある。
『艦隊総司令、どのコンテナを運搬しますか?』
「とりあえず一機付いてこい」
『はい』
全部で三機飛んできたので、そのうち一機を連れて、倉庫の奥へと進む。
幸いにしてコンテナラックの電源は生きていて、グリッチが掛かっているものの種類の判別はできた。
「これだな、種類はわからん。手前のコンテナを二つ持っていってくれ」
『了解』
作業ドローンからアームが伸びて、ラックに接続される。
すると、ラックが作動してコンテナが二つドローンに載せられた。
そのままドローンは発進し、飛び去っていった。
「次はあっちだ」
俺はラックの間を歩き、目的の分類のものを指示して運ばせる。
そして、最後は...
『艦隊総司令? これは日用品のコンテナですが...』
「中の毛布に用があるんだよ、俺は机じゃ寝られん」
『了解しました、直ちに運搬します』
まだ起きてから数時間だが、とりあえず就寝する準備もしておく事にした。
インフラ設備が整っている戦闘指揮所だが、流石に寝るところは無いからな。
『それは一体、何でしょうか?』
俺が驚いていると、横からオーロラが顔を覗かせた。
「説明は後だ、こいつにリンクを構築してくれ」
『分かりましたが.....危険なものではないのですか?』
「ああ、むしろ有益なものだ」
俺は頷く。
「領域隠蔽ユニットは、起動している限りその星系を外部から隔離する構造物だ」
『それは.....あまりに強力では?』
「そうでもないな、敵味方の区別なく星系を外部から切り離してしまうから、領有権を主張した場所の支配権を獲得するための時間を稼ぐ目的で使うんだ」
『なるほど.....しかし、今の状況ではご都合主義と思われてもおかしくないほどに....』
「ああ、都合が良すぎるな」
しかし利用しない手はない。
俺はリンクを確立した領域隠蔽ユニットを起動した。
「これで、この星系は外部から完全に隔離された」
『しかし、ワープなどで入ってきてしまうのでは?』
「大丈夫だ.....多分」
海賊の艦隊に見つかったら、その時はその時だな。
死を覚悟するしかない。
「コアの復旧はどうだ?」
『現在残骸の撤去をほぼ完了しました、起動に必要な部分の修復には5時間を要します』
「結構かかるな....」
『損傷が酷く.....爆縮崩壊を起こさなかったのが奇跡とも思えるような惨状です』
「それほどの損傷なら、5時間は早い方か」
俺はタスクをチェックしていく。
何しろ一人で異世界に放り出されるなんて、人生長くとも予想できる経験ではない。
ホールドスター 『Noa-Tun』 状態:係留 未知の惑星軌道上
◇物資倉庫 状態:『破損』 火災鎮火済み
◇修理ベイ 状態:『大破』 火災鎮火済み
◇マーケットベイ 状態:『崩壊』
◇ドローンベイ 状態:『小破』 火災鎮火済み
◇加工施設 状態:『小破』 火災鎮火済み
◇研究施設 状態:『崩壊』 火災鎮火済み
◇居住区画 状態:『崩壊』 火災鎮火済み
◇弾薬庫 状態:『大破』 火災鎮火済み
◇小型艦艇ドック 状態:『破損』
◇中型艦艇ドック 状態:『大破』
◇大型艦艇ドック 状態:『崩壊』
◇旗艦級ドック 状態:『未接続』
◇戦闘指揮所 状態:『中破』
◆シールド 0%
◇シールド発生コア 状態:『破損』
◆アーマー 0%
◇アーマーリペアシステム 状態:『未接続』
◆HP 22%
◇オービタルコアシステム 状態:『稼働中』
◆非常電源残量:98%
◇セントラルコアシステム 状態:『停止』
事態は何も好転していないんだが、多少マシになった。
HPが22%まで回復したことで、各所の損傷がリペアドローンによって修復されていることがわかる。
何を置いてもセントラルコアシステムを修復するのが先決なため、リペアドローンのリソースは割けないが......
「物資倉庫を見てきてもいいか?」
『はい、通路の安全は確保されていますので、騎乗ドローンを随行させます』
「分かった」
バイクのような形のドローンに乗り込み、俺は通路を走る。
時折、砲撃でブチ抜かれたような崩落痕があったが、既に気密処理は終わっているようだ。
『艦隊総司令、物資倉庫に何か御用時ですか?』
「ああ、物資の確認をしておきたくてな」
『.....わかりました、現在物資倉庫はオフラインになっており、こちらからは目録を作成できません』
オーロラが申し訳なさそうに俯く。
「まあ、そうだろうな」
俺の目には、半壊した物資倉庫が見えていた。
状態が『破損』だったのは、コンテナは無事だからだろう。
酷く焼けこげてはいるが、内部のシールドが攻撃を減衰させたようで壊滅には至っていなかった。
「作業ドローンをこっちに回せるか?」
『はい、数機であれば稼働可能です』
「では頼む、コンテナを数個運び出して戦闘指揮所に持っていく予定だ」
『分かりました!』
やる事がない現状、幾つかの事を試しておきたいのが本音だ。
俺は剥き出しになったパーツを見てふと笑う。
「このパーツ、集めるのに結構時間かかったよな」
物資倉庫のモジュールを作る際、外壁に必要な装甲材だったのだが...
素材がかなり高価で、艦隊を率いて素材集めに努めたものだ。
「また集め直しか?」
倉庫にある物資で足りればいいが。
それを考えていると、作業ドローンが飛んできた。
カーゴタイプで、ゲーム中でも作業中によく物資を載せて飛んでいるのを見たことがある。
『艦隊総司令、どのコンテナを運搬しますか?』
「とりあえず一機付いてこい」
『はい』
全部で三機飛んできたので、そのうち一機を連れて、倉庫の奥へと進む。
幸いにしてコンテナラックの電源は生きていて、グリッチが掛かっているものの種類の判別はできた。
「これだな、種類はわからん。手前のコンテナを二つ持っていってくれ」
『了解』
作業ドローンからアームが伸びて、ラックに接続される。
すると、ラックが作動してコンテナが二つドローンに載せられた。
そのままドローンは発進し、飛び去っていった。
「次はあっちだ」
俺はラックの間を歩き、目的の分類のものを指示して運ばせる。
そして、最後は...
『艦隊総司令? これは日用品のコンテナですが...』
「中の毛布に用があるんだよ、俺は机じゃ寝られん」
『了解しました、直ちに運搬します』
まだ起きてから数時間だが、とりあえず就寝する準備もしておく事にした。
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