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シーズン3-コライドエッジ奪還編
094-初戦果
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送電を受けた事で、プラズマキャノンを追加で数発撃てるようになった。
クロノスはスラスターを噴射し、戦艦群の上へと回り込む。
『行くぜェ!』
クロノスはプラズマキャノンを構え、撃つ。
私のアシストがなかったため、プラズマキャノンは少しずれて戦艦へと着弾するものの、無事にその船体を破壊して轟沈させた。
「どうして勝手に発砲したんですか!?」
『悪りぃ悪りぃ! オレの自業自得だ』
クロノスはそう言いつつ、砲火を躱す機動を取りながら距離を取る。
既に旗艦艦隊の射程内であるため、戦艦もこちらにばかり構っていられないのだ。
「先に巡洋艦隊を叩きます! 軌道データ入力!」
『おうよ!』
「敵艦の射撃データから、最適軌道を算出しました」
『おいおい、可能なのか.....コレ』
「私たちであれば」
思考加速モード。
それがあれば、砲撃を掻い潜るのなんて大した問題ではない。
クロノスはこれを慣れないと言い張っていたが、ここまで来た以上は使ってもらう。
『もう、どうにでもなりやがれぇえええっ!!!』
右反転、垂直上昇、急降下、左反転、左に加速、急上昇、急降下、前方に加速――――
複雑な機動を取り、向こうのトラッキングシステムの予測を上回る。
「ぐ.......」
当然、そんな無理な機動を取れば、コックピットに掛かるGは凄まじいものになる。
私のこの身体であれば全く意味はないが、時折座席に押し付けられ、表面構造が脆弱化しているのを感じる。
長くは戦えないだろう。
「仕掛けます!」
『分かった!』
回避軌道に思わせた、周回加速機動。
クロノスはそれを取り、巡洋艦隊の真下に躍り出る。
「このまま一気に艦隊の前方へと離脱! 勿論、ライフルは撃ちながら!」
『合点承知の助!』
ライフルで、シールドの消えた巡洋艦の艦底部を蜂の巣にしながら、クロノスは平泳ぎのような態勢で飛翔する。
そして、艦底部が唐突に途切れた。
艦隊の前方に出たのだ。
『どうするんだ!?』
「ルートに従って離脱してください!」
『ああ!』
クロノスは艦隊から離脱する。
直後、巡洋艦隊からミサイルが放たれた。
「迎撃しますか?」
『いいや、オレにいい考えがある!』
クロノスは私の指定しないルートを飛び始めた。
戦艦からの砲撃を受けるかと思ったが、戦艦側の砲塔が応答していない。
「これは.....!?」
『ふふん、電子戦ジャミングもまた、このZEINTHの得意技なのですよ』
トラッキングシステムが機能していない以上、クロノスの狙いもまた読みやすくなる。
クロノスは戦艦のうち一隻に張り付き、そのまま上方向へ離脱する。
ミサイルは旋回しきれず、戦艦の甲板で爆発を起こした。
ギリギリの擦り付け、無茶もいい所だ。
「シールドの接合部に歪みが発生! クロノス、あそこを撃ってください!」
『ああ、分かってるっ!』
度重なる衝撃に耐えきれなくなり、凹んだ戦艦のシールドの接合部が、二つのシールドの接合を破壊した。
そこに出来た隙に、クロノスはすかさずプラズマキャノンを構えた。
「エネルギー急速充填! 臨界まで後三秒!」
『撃つぞ!』
「はい! 撃ったらすぐに右斜め42°の角度に急降下、その後――――」
『うるせー! 分かってるよ!』
撃った直後、コンマ0.01秒の間に、クロノスはその軌道へと移る。
プラズマキャノンの爆発が戦艦を吹き飛ばし、そこに巡洋艦隊からの砲撃が襲い掛かりとどめを刺す。
クロノスは再び複雑な機動を描きながらトラッキングシステムを混乱させ、旗艦艦隊側に逃げて送電を受ける。
直後に反転し、巡洋艦隊向けて飛翔する。
「垂直上昇!」
『ああ!』
上へ。上へ。右へ。右へ。左斜め下へ。左へ。直進。右、右斜め上――――そんな機動を取りつつ、クロノスは巡洋艦隊へと迫る。
『これで――――トドメだ!』
爆発力に特化させたプラズマキャノンを放ち、シールドを吹き飛ばす。
そして、続けてもう一撃。
通常のプラズマ弾と変わらない一撃は、残りの巡洋艦四隻を容易に消し飛ばした。
「さあ、後は戦艦だけです!」
『おう!』
戦艦二隻。
しかし、油断ならない相手だ。
一隻は妨害を受けていて、こちらにかまっている場合ではないが、もう一隻はフリーであり、旗艦艦隊の護衛艦と激しく撃ち合っている。
その片方を、倒す。
「敵のデータを解凍します。バーラクル級戦艦、前面に主砲を4、副砲を2、後部に副砲を6、ミサイル発射管を4基装備しています」
『その場合、死角はやっぱり下か』
「はい。ただし、艦底部は他の戦艦と同じく装甲が厚く、プラズマキャノン一発では破壊できません。それから、送電導管が底を突いたそうなので、プラズマキャノンは残弾三発となります」
『マジかよ!?』
「行きますよ! さあ!」
クロノスは方向転換し、バーラクル級の真下へ向けて急加速する。
そして、艦底部に向けてライフルを連射する。
だが、シールドに阻まれてそれらが到達することはない。
シールドの減衰率も、弱い。
『だったら、プラズマキャノンを!』
「いいえ、ここは敢えて対艦ミサイルを使いましょう、艦橋に集中砲火を浴びせて、シールドを収束させ、減数率を高めるんです」
『いい考えだな...でもよ、集中砲火に晒されないか?』
「そこは大丈夫でしょう、ZENITH、支援をお願いします!」
『深く感謝しなさい、ジャミングを一瞬だけバーラクル級に集中させます』
バーラクル級の火器管制システムが一瞬、ECMによる妨害を受ける。
そこを狙い、クロノスは上方へと飛び出した。
「対艦ミサイル、連続発射します」
対艦ミサイルの残弾が24から0へと変動し、全てのミサイルが近接信管によって起爆、バーラクルのシールドと激しく拮抗し合う。
「シールドの弱化点を算出...あそこにプラズマキャノンを撃ってください!」
『分かった!』
クロノスはプラズマキャノンを放つ。
それは、シールドが薄くなっている箇所に直撃し...シールドを結果として、粉々に破壊した。
「上へ!」
『おう!』
クロノスが飛び退いた瞬間、そこを砲火が突き抜けていく。
ECMを受けていた方の戦艦が撃ったのだ。
「あちらの戦艦はシールドがありますから、旗艦に任せましょう!」
『ああ、とどめを刺してやるぜ!』
クロノスは艦の側面に回り込み、プラズマキャノンを構えた。
直後、凄まじい爆発が巻き起こる。
戦艦がその中央部から断裂し、機関部とのエネルギー融合によって爆縮し、直後破片が拡散していく。
「帰投します!」
『そ、そうだな...』
残り一隻の相手をグランシオンに任せ、私たちはグランシオンへと帰還したのであった。
そしてこれが、コライドエッジにおける最初の戦闘であり...私達が人間相手に挙げた最初の戦果でもあった...
クロノスはスラスターを噴射し、戦艦群の上へと回り込む。
『行くぜェ!』
クロノスはプラズマキャノンを構え、撃つ。
私のアシストがなかったため、プラズマキャノンは少しずれて戦艦へと着弾するものの、無事にその船体を破壊して轟沈させた。
「どうして勝手に発砲したんですか!?」
『悪りぃ悪りぃ! オレの自業自得だ』
クロノスはそう言いつつ、砲火を躱す機動を取りながら距離を取る。
既に旗艦艦隊の射程内であるため、戦艦もこちらにばかり構っていられないのだ。
「先に巡洋艦隊を叩きます! 軌道データ入力!」
『おうよ!』
「敵艦の射撃データから、最適軌道を算出しました」
『おいおい、可能なのか.....コレ』
「私たちであれば」
思考加速モード。
それがあれば、砲撃を掻い潜るのなんて大した問題ではない。
クロノスはこれを慣れないと言い張っていたが、ここまで来た以上は使ってもらう。
『もう、どうにでもなりやがれぇえええっ!!!』
右反転、垂直上昇、急降下、左反転、左に加速、急上昇、急降下、前方に加速――――
複雑な機動を取り、向こうのトラッキングシステムの予測を上回る。
「ぐ.......」
当然、そんな無理な機動を取れば、コックピットに掛かるGは凄まじいものになる。
私のこの身体であれば全く意味はないが、時折座席に押し付けられ、表面構造が脆弱化しているのを感じる。
長くは戦えないだろう。
「仕掛けます!」
『分かった!』
回避軌道に思わせた、周回加速機動。
クロノスはそれを取り、巡洋艦隊の真下に躍り出る。
「このまま一気に艦隊の前方へと離脱! 勿論、ライフルは撃ちながら!」
『合点承知の助!』
ライフルで、シールドの消えた巡洋艦の艦底部を蜂の巣にしながら、クロノスは平泳ぎのような態勢で飛翔する。
そして、艦底部が唐突に途切れた。
艦隊の前方に出たのだ。
『どうするんだ!?』
「ルートに従って離脱してください!」
『ああ!』
クロノスは艦隊から離脱する。
直後、巡洋艦隊からミサイルが放たれた。
「迎撃しますか?」
『いいや、オレにいい考えがある!』
クロノスは私の指定しないルートを飛び始めた。
戦艦からの砲撃を受けるかと思ったが、戦艦側の砲塔が応答していない。
「これは.....!?」
『ふふん、電子戦ジャミングもまた、このZEINTHの得意技なのですよ』
トラッキングシステムが機能していない以上、クロノスの狙いもまた読みやすくなる。
クロノスは戦艦のうち一隻に張り付き、そのまま上方向へ離脱する。
ミサイルは旋回しきれず、戦艦の甲板で爆発を起こした。
ギリギリの擦り付け、無茶もいい所だ。
「シールドの接合部に歪みが発生! クロノス、あそこを撃ってください!」
『ああ、分かってるっ!』
度重なる衝撃に耐えきれなくなり、凹んだ戦艦のシールドの接合部が、二つのシールドの接合を破壊した。
そこに出来た隙に、クロノスはすかさずプラズマキャノンを構えた。
「エネルギー急速充填! 臨界まで後三秒!」
『撃つぞ!』
「はい! 撃ったらすぐに右斜め42°の角度に急降下、その後――――」
『うるせー! 分かってるよ!』
撃った直後、コンマ0.01秒の間に、クロノスはその軌道へと移る。
プラズマキャノンの爆発が戦艦を吹き飛ばし、そこに巡洋艦隊からの砲撃が襲い掛かりとどめを刺す。
クロノスは再び複雑な機動を描きながらトラッキングシステムを混乱させ、旗艦艦隊側に逃げて送電を受ける。
直後に反転し、巡洋艦隊向けて飛翔する。
「垂直上昇!」
『ああ!』
上へ。上へ。右へ。右へ。左斜め下へ。左へ。直進。右、右斜め上――――そんな機動を取りつつ、クロノスは巡洋艦隊へと迫る。
『これで――――トドメだ!』
爆発力に特化させたプラズマキャノンを放ち、シールドを吹き飛ばす。
そして、続けてもう一撃。
通常のプラズマ弾と変わらない一撃は、残りの巡洋艦四隻を容易に消し飛ばした。
「さあ、後は戦艦だけです!」
『おう!』
戦艦二隻。
しかし、油断ならない相手だ。
一隻は妨害を受けていて、こちらにかまっている場合ではないが、もう一隻はフリーであり、旗艦艦隊の護衛艦と激しく撃ち合っている。
その片方を、倒す。
「敵のデータを解凍します。バーラクル級戦艦、前面に主砲を4、副砲を2、後部に副砲を6、ミサイル発射管を4基装備しています」
『その場合、死角はやっぱり下か』
「はい。ただし、艦底部は他の戦艦と同じく装甲が厚く、プラズマキャノン一発では破壊できません。それから、送電導管が底を突いたそうなので、プラズマキャノンは残弾三発となります」
『マジかよ!?』
「行きますよ! さあ!」
クロノスは方向転換し、バーラクル級の真下へ向けて急加速する。
そして、艦底部に向けてライフルを連射する。
だが、シールドに阻まれてそれらが到達することはない。
シールドの減衰率も、弱い。
『だったら、プラズマキャノンを!』
「いいえ、ここは敢えて対艦ミサイルを使いましょう、艦橋に集中砲火を浴びせて、シールドを収束させ、減数率を高めるんです」
『いい考えだな...でもよ、集中砲火に晒されないか?』
「そこは大丈夫でしょう、ZENITH、支援をお願いします!」
『深く感謝しなさい、ジャミングを一瞬だけバーラクル級に集中させます』
バーラクル級の火器管制システムが一瞬、ECMによる妨害を受ける。
そこを狙い、クロノスは上方へと飛び出した。
「対艦ミサイル、連続発射します」
対艦ミサイルの残弾が24から0へと変動し、全てのミサイルが近接信管によって起爆、バーラクルのシールドと激しく拮抗し合う。
「シールドの弱化点を算出...あそこにプラズマキャノンを撃ってください!」
『分かった!』
クロノスはプラズマキャノンを放つ。
それは、シールドが薄くなっている箇所に直撃し...シールドを結果として、粉々に破壊した。
「上へ!」
『おう!』
クロノスが飛び退いた瞬間、そこを砲火が突き抜けていく。
ECMを受けていた方の戦艦が撃ったのだ。
「あちらの戦艦はシールドがありますから、旗艦に任せましょう!」
『ああ、とどめを刺してやるぜ!』
クロノスは艦の側面に回り込み、プラズマキャノンを構えた。
直後、凄まじい爆発が巻き起こる。
戦艦がその中央部から断裂し、機関部とのエネルギー融合によって爆縮し、直後破片が拡散していく。
「帰投します!」
『そ、そうだな...』
残り一隻の相手をグランシオンに任せ、私たちはグランシオンへと帰還したのであった。
そしてこれが、コライドエッジにおける最初の戦闘であり...私達が人間相手に挙げた最初の戦果でもあった...
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