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シーズン1-序章
028-オークション 前編
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ラウドの買い物は、パルタ土産の購入だった。
艦の金属形成プリンタで作れそうな銀製のコロニー模型や、記念メダルを嬉しそうに購入していた。
「クラヴィスさんにも!」
と、繊維吸着型のワッペンを貰った。
ワッペンにはパルタコロニーと書かれており、このコロニーの街並みが描かれている。
正直なところ、何の有用性も無かったが…それでも、買い物に付き合う身としても楽しかった。
さて、買い物を終えた俺たちは、オークション会場へと向かう事にした。
会場は商業区画の中央部にある、超巨大ホール。
「凄い大きさですねー、俺のところはこんなのありませんでした」
「パルタコロニーは大規模なコロニーですから、こういうものを建てる余裕もあるのでしょう」
パルタコロニーは人口1.3億人の大規模コロニーであり、こういうものを建てても維持が出来るんだろうな。
新規の施設増設は雇用を生むだろうし、施設維持費も十分に賄えているのだろう。
「オークション参加者の方ですか?」
「はい」
受付に居た人が話しかけてきたので、俺はそう答える。
「お前には聞いてない」
「ッ!」
だが、返ってきたのは辛辣な反応。
固まる俺の横をすり抜け、ジェシカが受付に話しかける。
「はい、参加します」
「IDを見せてください」
ジェシカはIDを見せて、受付はゲートを開ける。
「クラヴィス様ご一行ですね、どうぞお通りください」
「………」
「行きますよ」
ジェシカは俺の手を引き、ゲートを潜った。
「酷いあしらい方ですね!」
「ラウド様、声を抑えてください…」
「これを抑えてなんかいられませんよ! クラヴィスさんは普通のアンドロイドじゃないのに!」
「もう良いですから…お収めになってください」
ちょっとは浮かれていたが、これがこの世界におけるアンドロイドの扱いだ。
換えのきく奴隷。
感情がない、自我がないからいくらこき使ってもひどく扱っても良い。
召使用は特に、思考領域を制限されて居るので反乱など起きない、起こせない。
「クラヴィス、どう思いましたか?」
「………それが私達の扱いの標準なら、受け入れます」
「ラデウルの気持ちが今なら分かるね」
ハーデンがそう言った。
ラデウル銀河連邦は機械の存在であっても知性を持っていれば人間として扱う。
でも、俺が望んでいるのはラデウルのような国に付くことではない。
彼らは三国でもってシークトリアを攻撃した卑怯者の国だからだ。
◇◆◇
数分後。
俺たちは席に座っていた。
ドームの中は中央のステージを壁が囲み、壁に無数の点…つまり個室がある形なのだ。
球形の観客席は、5人が座れる場所であり全員が問題なく収まる。
「クラヴィス、そこのケーブルを挿入してみてください」
「はい」
椅子の背もたれについている端子を引っ張り、右手のソケットを展開してそこに差し込む。
次の瞬間、視界に光が走った。
[通常回線への接続を確認...セキュリティシステム起動]
[リンクシステム起動]
[CVSダウンロード...インストール開始...完了、セットアップ終了、起動完了]
脳内に流れ込んできていた大量の情報が、一気に別のものへと変わっていく。
数秒経つと、俺は大海原に浮かぶ船に乗っていた。
『大丈夫ですか!?』
『拙いな、情報統制システムがインストールされていない人工知性を回線に繋ぐと、情報が処理できずにフリーズするって事を忘れてたよ!』
『今からでも帰りましょうか?』
『そうしよう!』
船の横に浮いているモニターから、そんな声が聞こえてくる。
このままだと帰る羽目になっちゃうな......
「待ってください、私は大丈夫です!」
俺はモニターに向けて叫ぶ。
すると、モニターの向こうから声が返ってきた。
『ダメだ! 何とか処理できているのかもしれないが、その頭部ユニットのサーバーでもいずれ処理できなくなる!』
「いいえ、CVLシステムが自動でインストールされましたので、情報統制が働いている状態です」
『CVLシステム.....? 聞いた事の無いソフトウェアだな』
『検索をかけます、略称をお願いできますか?』
略称、略称っと.....
どこを操作すればいいのかさっぱり分からないので、とりあえず思考制御に任せてみると、空にウィンドウが出る。
「CyberVoyageLaw……システムです」
誰が考えたんだろう、この名前?
直訳だと「サイバー航海法」になるが。
恐らく、大量に流入する情報を海と捉え、その上を航海する船に俺を乗せて、情報に意識が流されないようにしているんだろう。
しかも、潮流が安定している事を考えると、情報の流入も制御できている。
『CVLシステム、検索に出ません』
『軍用検索にも引っかからないな、そのソフトウェアの発信元は?』
「.....」
俺は調べてみるが、発信元が空欄になっている。
「空欄です」
『......まあ、セキュリティに引っかからないならそれでいいんじゃないですか? オークション始まってますし!』
ラウドの言うとおりだ。
俺はとりあえず、オークションに参加したいのだ。
そう思っていると、船が進みだした。
暫く待つと、島が見えてきた。
船は島の入り江に入っていく。
そして、入り江の奥には――――
『――――こちらが、パルタⅡで取れた二枚貝の真珠、数十年に一度の大きいモノです!』
『10!』
『30!』
『100!』
オークション会場があった。
本来はWebサイトのようなものにアクセスして、出ている商品の詳細を見れるシステムなのだろう。
『100万SC! 他にいませんか!?』
『200万だ!』
『200万SC! 他には!? ……..落札です!』
俺は船を桟橋に止め、島.......オークションのウェブサイトにアクセスした。
周囲にモニターが展開され、そこに物品のデータが並ぶ。
殆どのデータは解禁されていない。
『次の品は――――――――』
さて、何が来るだろうか?
そもそも、俺の残高っていくらなんだ?
艦の金属形成プリンタで作れそうな銀製のコロニー模型や、記念メダルを嬉しそうに購入していた。
「クラヴィスさんにも!」
と、繊維吸着型のワッペンを貰った。
ワッペンにはパルタコロニーと書かれており、このコロニーの街並みが描かれている。
正直なところ、何の有用性も無かったが…それでも、買い物に付き合う身としても楽しかった。
さて、買い物を終えた俺たちは、オークション会場へと向かう事にした。
会場は商業区画の中央部にある、超巨大ホール。
「凄い大きさですねー、俺のところはこんなのありませんでした」
「パルタコロニーは大規模なコロニーですから、こういうものを建てる余裕もあるのでしょう」
パルタコロニーは人口1.3億人の大規模コロニーであり、こういうものを建てても維持が出来るんだろうな。
新規の施設増設は雇用を生むだろうし、施設維持費も十分に賄えているのだろう。
「オークション参加者の方ですか?」
「はい」
受付に居た人が話しかけてきたので、俺はそう答える。
「お前には聞いてない」
「ッ!」
だが、返ってきたのは辛辣な反応。
固まる俺の横をすり抜け、ジェシカが受付に話しかける。
「はい、参加します」
「IDを見せてください」
ジェシカはIDを見せて、受付はゲートを開ける。
「クラヴィス様ご一行ですね、どうぞお通りください」
「………」
「行きますよ」
ジェシカは俺の手を引き、ゲートを潜った。
「酷いあしらい方ですね!」
「ラウド様、声を抑えてください…」
「これを抑えてなんかいられませんよ! クラヴィスさんは普通のアンドロイドじゃないのに!」
「もう良いですから…お収めになってください」
ちょっとは浮かれていたが、これがこの世界におけるアンドロイドの扱いだ。
換えのきく奴隷。
感情がない、自我がないからいくらこき使ってもひどく扱っても良い。
召使用は特に、思考領域を制限されて居るので反乱など起きない、起こせない。
「クラヴィス、どう思いましたか?」
「………それが私達の扱いの標準なら、受け入れます」
「ラデウルの気持ちが今なら分かるね」
ハーデンがそう言った。
ラデウル銀河連邦は機械の存在であっても知性を持っていれば人間として扱う。
でも、俺が望んでいるのはラデウルのような国に付くことではない。
彼らは三国でもってシークトリアを攻撃した卑怯者の国だからだ。
◇◆◇
数分後。
俺たちは席に座っていた。
ドームの中は中央のステージを壁が囲み、壁に無数の点…つまり個室がある形なのだ。
球形の観客席は、5人が座れる場所であり全員が問題なく収まる。
「クラヴィス、そこのケーブルを挿入してみてください」
「はい」
椅子の背もたれについている端子を引っ張り、右手のソケットを展開してそこに差し込む。
次の瞬間、視界に光が走った。
[通常回線への接続を確認...セキュリティシステム起動]
[リンクシステム起動]
[CVSダウンロード...インストール開始...完了、セットアップ終了、起動完了]
脳内に流れ込んできていた大量の情報が、一気に別のものへと変わっていく。
数秒経つと、俺は大海原に浮かぶ船に乗っていた。
『大丈夫ですか!?』
『拙いな、情報統制システムがインストールされていない人工知性を回線に繋ぐと、情報が処理できずにフリーズするって事を忘れてたよ!』
『今からでも帰りましょうか?』
『そうしよう!』
船の横に浮いているモニターから、そんな声が聞こえてくる。
このままだと帰る羽目になっちゃうな......
「待ってください、私は大丈夫です!」
俺はモニターに向けて叫ぶ。
すると、モニターの向こうから声が返ってきた。
『ダメだ! 何とか処理できているのかもしれないが、その頭部ユニットのサーバーでもいずれ処理できなくなる!』
「いいえ、CVLシステムが自動でインストールされましたので、情報統制が働いている状態です」
『CVLシステム.....? 聞いた事の無いソフトウェアだな』
『検索をかけます、略称をお願いできますか?』
略称、略称っと.....
どこを操作すればいいのかさっぱり分からないので、とりあえず思考制御に任せてみると、空にウィンドウが出る。
「CyberVoyageLaw……システムです」
誰が考えたんだろう、この名前?
直訳だと「サイバー航海法」になるが。
恐らく、大量に流入する情報を海と捉え、その上を航海する船に俺を乗せて、情報に意識が流されないようにしているんだろう。
しかも、潮流が安定している事を考えると、情報の流入も制御できている。
『CVLシステム、検索に出ません』
『軍用検索にも引っかからないな、そのソフトウェアの発信元は?』
「.....」
俺は調べてみるが、発信元が空欄になっている。
「空欄です」
『......まあ、セキュリティに引っかからないならそれでいいんじゃないですか? オークション始まってますし!』
ラウドの言うとおりだ。
俺はとりあえず、オークションに参加したいのだ。
そう思っていると、船が進みだした。
暫く待つと、島が見えてきた。
船は島の入り江に入っていく。
そして、入り江の奥には――――
『――――こちらが、パルタⅡで取れた二枚貝の真珠、数十年に一度の大きいモノです!』
『10!』
『30!』
『100!』
オークション会場があった。
本来はWebサイトのようなものにアクセスして、出ている商品の詳細を見れるシステムなのだろう。
『100万SC! 他にいませんか!?』
『200万だ!』
『200万SC! 他には!? ……..落札です!』
俺は船を桟橋に止め、島.......オークションのウェブサイトにアクセスした。
周囲にモニターが展開され、そこに物品のデータが並ぶ。
殆どのデータは解禁されていない。
『次の品は――――――――』
さて、何が来るだろうか?
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