上 下
98 / 180
シーズン4-ヴァンデッタ帝国戦後

098-外交計画

しおりを挟む
「困った」

Ve’zの領域は、逃げるための場所ではないのだが....
しかし、見捨てるわけにもいかない。

『どうされますか、エリアス様?』
「介入するべきだ」
『はっ』

Ve’zは過去に、キロマイア皇国の前身の種族に大して酷い事を行った。
その償いを今するべきだ。

「とりあえず、キロマイア皇国の艦隊には物資の補給を行わせた後に艦の修復を。その後数日間拘留したのちに、こちらのワームホールで首都に戻す」
『首都は包囲状態にあるようですが?』
「放っておいても逃げるだろう。攻撃してくれば、こちらに反撃の理由が出来る」

エリスに対しても言い訳が立つ。

『珍しいですね、エリアス様が外敵に対し、ここまで親身になるとは』
「排除する以外の使い道もあるはずだ」

下手に排除できないのであれば、そう。
味方を作るのも、悪くはないと思ったのだ。
僕がやってないから、エクスティラノスも関わってないから、国が滅んだけど関係ありませんと言い張れる。

「それから、カルメナスも味方に引き入れたい」
『おや? 確か、海賊の支配する、敵対的な国家でしたね』
「彼らは利益がなければ動かないが、同時にもっとも信用できる勢力でもある」

力を最も絶対的な正義として信仰し、それによって国家を纏め上げている。
ある意味では、Ve’zの技術を渡すのに最も適しているといえる。

『ではまず、カルメナスに所属している海賊の戸籍データと、船籍データの再調査・再統合を行います』
「任せる」

僕はケルビスに作業を任せ、今回の会談の結果知れた情報と、決まった事を確認する。

「........成程?」

キロマイア皇国は、オルダモン連邦と敵対する国家である。
オルダモン連邦との敵対の理由は、キロマイアから離反した反逆者の末裔がオルダモンの基礎であるからだろう。
今回キロマイア首都星系のアースフィルを占拠しているのは、オルダモンの高速要撃艦隊である。

「回避される可能性があるな」

攻撃を回避される可能性がある。
なので、今回はエクスティラノスの一人に出張ってもらおう。

「アドラス」
『は、はーい!』

その時。
僕の背後にアドラスが現れる。

「アドラス、近くの戦闘に備え、グラビティコントローラーを装備、メンテナンスを行え」
『わ、分かりましたぁ!』

Ve’zの技術は、少なくとも物理学などで到達できる領域の延長戦であれば世界の理にすら干渉可能なレベルに達している。
高速で動く船を捕まえる程度は大したことではない。

「ナージャがいれば.....」

ナージャ=エクスティラノスは、多機能型のエクスティラノスだ。
居ればよかったのだが、ケイトリン、シュマル、ナル、ガルジア共に行方不明である。
彼女に任せれば、ポラノルを上回る速度で敵のシステムを掌握できるだろう。

「まあ、実地でケルビスに任せてみるか」

僕はそう考えて、エリスのいるであろう彼女の家に向かって、ワープするのだった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

勝負に勝ったので委員長におっぱいを見せてもらった

矢木羽研
青春
優等生の委員長と「勝ったほうが言うことを聞く」という賭けをしたので、「おっぱい見せて」と頼んでみたら……青春寸止めストーリー。

姫様になんてならないから!

三浦むさし
ファンタジー
 突然異世界に呼び出されて無理やり女の子に性転換させられてしまった主人公。そのうえ更に王子の婚約者にまで! いきなりお姫様扱いされたり魔法に驚き戸惑う主人公の行く末は?

分析スキルで美少女たちの恥ずかしい秘密が見えちゃう異世界生活

SenY
ファンタジー
"分析"スキルを持って異世界に転生した主人公は、相手の力量を正確に見極めて勝てる相手にだけ確実に勝つスタイルで短期間に一財を為すことに成功する。 クエスト報酬で豪邸を手に入れたはいいものの一人で暮らすには広すぎると悩んでいた主人公。そんな彼が友人の勧めで奴隷市場を訪れ、記憶喪失の美少女奴隷ルナを購入したことから、物語は動き始める。 これまで危ない敵から逃げたり弱そうな敵をボコるのにばかり"分析"を活用していた主人公が、そのスキルを美少女の恥ずかしい秘密を覗くことにも使い始めるちょっとエッチなハーレム系ラブコメ。

蒼海の碧血録

三笠 陣
歴史・時代
 一九四二年六月、ミッドウェー海戦において日本海軍は赤城、加賀、蒼龍を失うという大敗を喫した。  そして、その二ヶ月後の八月、アメリカ軍海兵隊が南太平洋ガダルカナル島へと上陸し、日米の新たな死闘の幕が切って落とされた。  熾烈なるガダルカナル攻防戦に、ついに日本海軍はある決断を下す。  戦艦大和。  日本海軍最強の戦艦が今、ガダルカナルへと向けて出撃する。  だが、対するアメリカ海軍もまたガダルカナルの日本軍飛行場を破壊すべく、最新鋭戦艦を出撃させていた。  ここに、ついに日米最強戦艦同士による砲撃戦の火蓋が切られることとなる。 (本作は「小説家になろう」様にて連載中の「蒼海決戦」シリーズを加筆修正したものです。予め、ご承知おき下さい。) ※表紙画像は、筆者が呉市海事歴史科学館(大和ミュージアム)にて撮影したものです。

異世界TS転生で新たな人生「俺が聖女になるなんて聞いてないよ!」

マロエ
ファンタジー
普通のサラリーマンだった三十歳の男性が、いつも通り残業をこなし帰宅途中に、異世界に転生してしまう。 目を覚ますと、何故か森の中に立っていて、身体も何か違うことに気づく。 近くの水面で姿を確認すると、男性の姿が20代前半~10代後半の美しい女性へと変わっていた。 さらに、異世界の住人たちから「聖女」と呼ばれる存在になってしまい、大混乱。 新たな人生に期待と不安が入り混じりながら、男性は女性として、しかも聖女として異世界を歩み始める。 ※表紙、挿絵はAIで作成したイラストを使用しています。 ※R15の章には☆マークを入れてます。

小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話

矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」 「あら、いいのかしら」 夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……? 微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。 ※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。 ※小説家になろうでも同内容で投稿しています。 ※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。

生贄にされた先は、エロエロ神世界

雑煮
恋愛
村の習慣で50年に一度の生贄にされた少女。だが、少女を待っていたのはしではなくどエロい使命だった。

処理中です...