63 / 146
シーズン3-ヴァンデッタ帝国の末路
063-星羅の酒宴(企画)
しおりを挟む
エミドの侵攻も落ち着いたので、僕は配下を巻き込んで何か企画をすることにした。
彼等もある程度は楽しみにしてくれているので、あることを思いついた。
「成程、宴会ですか.....」
「人間は酒の席で交流を深めるという。拙者らは酔えるわけでは無いが、共に雑談に興じるというのも....中々良いもので御座いますな」
その場にいたケルビスと、ジェネラスが口々にそう答えた。
どうやら好感触のようだ。
「酒はエリス一人に用意するだけでいい。僕は要らないから、お前たちの食べたいものを幅広く募集する」
「はっ!」
「御意」
こうして、僕が主導の大宴会の企画は始まった。
ケルビスとジェネラスは直ちに全体に告知を行い、味覚機能のあるエクスティラノス全てに食べたいものを広く募集した。
味覚機能のないエクスティラノス達もこれに興味を持ち、一時的に味覚機能を持った義体に切り替えることで参戦することになった。
「....お酒?」
「そうだ」
そして僕はと言うと、エリスにリクエストを聞きに行っていた。
酒宴ではないものの、エリスもたまには酔いたい人間なのではないかと思ったのだ。
「私、飲めないんだけれど....」
「...年齢の関係か?」
「いえ、その....お酒に強くないのよ」
「そうか....悪い」
僕は謝る。
酒に強くないなら、無理に飲む必要もない。
「何かイベントをするの?」
「ああ、皆で食事をする事にした」
「そう....」
エリスはあまり興味がなさそうだ。
何故だろう?
「私は...その、エリアスと一緒の方が嬉しいけど...そうね、皆と一緒もたまには....いいのかもしれないわ」
「分かった」
エリスの承認も取れたので、僕は彼女に別れを告げてカサンドラのもとへ向かう。
カサンドラは、待っていたとばかりに僕に告げてくる。
『エリアス様、私は...その、岩塩というものを食べてみたい所存です』
「待てカサンドラ、それは食物ではない」
『しかし、口に入れるモノなのでしょう? 何が違うのですか...?』
岩塩を食べたいと言われても、困る。
そもそもあれは、塊の状態では噛み砕くことすら困難だ。
「人間の生存にミネラルと塩分が必要な事は当然知っているだろう」
『はい』
「人間はあれを細かく砕き、食物に振りかけて食べる。味を付けるだけではなく、味の細かな調整や、思いもよらない効果を発揮することもある」
『では、岩塩を利用した料理を考えます』
「任せる...それから、エリスは酒を好まないそうだ、なにか代替飲料を探せ」
『シーシャに委託してもよろしいですか?』
「ああ」
シーシャならば、味は分からなくとも飲料の情報を集めることくらいはできるだろう。
『....私からも質問なのですが、エリアス様』
「何だ?」
『仮に私たちが望む料理があったとして、それをどうやって入手なさるのですか?』
「僕が買いに行く。幸いにも、金には困っていない」
ケルビスに頼んで王国籍を偽造した僕は、旅人を装って宝飾品を売却し、通貨であるMSCを多分に入手していた。
これだけあれば、望むものを手に入れる位の事は可能である。
『そのような事は.....エリアス様ではなく、私どもにお任せいただければ....』
「僕もそう思ったが、お前たちではボロが出る」
AIであるので、人間ベースの僕よりは優秀だが、基礎の知識が異なるためにボロを出してしまう可能性があった。
なので僕は、自分で買いに行くことにした。
.....寂しいわけではない。
彼等もある程度は楽しみにしてくれているので、あることを思いついた。
「成程、宴会ですか.....」
「人間は酒の席で交流を深めるという。拙者らは酔えるわけでは無いが、共に雑談に興じるというのも....中々良いもので御座いますな」
その場にいたケルビスと、ジェネラスが口々にそう答えた。
どうやら好感触のようだ。
「酒はエリス一人に用意するだけでいい。僕は要らないから、お前たちの食べたいものを幅広く募集する」
「はっ!」
「御意」
こうして、僕が主導の大宴会の企画は始まった。
ケルビスとジェネラスは直ちに全体に告知を行い、味覚機能のあるエクスティラノス全てに食べたいものを広く募集した。
味覚機能のないエクスティラノス達もこれに興味を持ち、一時的に味覚機能を持った義体に切り替えることで参戦することになった。
「....お酒?」
「そうだ」
そして僕はと言うと、エリスにリクエストを聞きに行っていた。
酒宴ではないものの、エリスもたまには酔いたい人間なのではないかと思ったのだ。
「私、飲めないんだけれど....」
「...年齢の関係か?」
「いえ、その....お酒に強くないのよ」
「そうか....悪い」
僕は謝る。
酒に強くないなら、無理に飲む必要もない。
「何かイベントをするの?」
「ああ、皆で食事をする事にした」
「そう....」
エリスはあまり興味がなさそうだ。
何故だろう?
「私は...その、エリアスと一緒の方が嬉しいけど...そうね、皆と一緒もたまには....いいのかもしれないわ」
「分かった」
エリスの承認も取れたので、僕は彼女に別れを告げてカサンドラのもとへ向かう。
カサンドラは、待っていたとばかりに僕に告げてくる。
『エリアス様、私は...その、岩塩というものを食べてみたい所存です』
「待てカサンドラ、それは食物ではない」
『しかし、口に入れるモノなのでしょう? 何が違うのですか...?』
岩塩を食べたいと言われても、困る。
そもそもあれは、塊の状態では噛み砕くことすら困難だ。
「人間の生存にミネラルと塩分が必要な事は当然知っているだろう」
『はい』
「人間はあれを細かく砕き、食物に振りかけて食べる。味を付けるだけではなく、味の細かな調整や、思いもよらない効果を発揮することもある」
『では、岩塩を利用した料理を考えます』
「任せる...それから、エリスは酒を好まないそうだ、なにか代替飲料を探せ」
『シーシャに委託してもよろしいですか?』
「ああ」
シーシャならば、味は分からなくとも飲料の情報を集めることくらいはできるだろう。
『....私からも質問なのですが、エリアス様』
「何だ?」
『仮に私たちが望む料理があったとして、それをどうやって入手なさるのですか?』
「僕が買いに行く。幸いにも、金には困っていない」
ケルビスに頼んで王国籍を偽造した僕は、旅人を装って宝飾品を売却し、通貨であるMSCを多分に入手していた。
これだけあれば、望むものを手に入れる位の事は可能である。
『そのような事は.....エリアス様ではなく、私どもにお任せいただければ....』
「僕もそう思ったが、お前たちではボロが出る」
AIであるので、人間ベースの僕よりは優秀だが、基礎の知識が異なるためにボロを出してしまう可能性があった。
なので僕は、自分で買いに行くことにした。
.....寂しいわけではない。
0
お気に入りに追加
23
あなたにおすすめの小説
【R18】ひとりで異世界は寂しかったのでペット(男)を飼い始めました
桜 ちひろ
恋愛
最近流行りの異世界転生。まさか自分がそうなるなんて…
小説やアニメで見ていた転生後はある小説の世界に飛び込んで主人公を凌駕するほどのチート級の力があったり、特殊能力が!と思っていたが、小説やアニメでもみたことがない世界。そして仮に覚えていないだけでそういう世界だったとしても「モブ中のモブ」で間違いないだろう。
この世界ではさほど珍しくない「治癒魔法」が使えるだけで、特別な魔法や魔力はなかった。
そして小さな治療院で働く普通の女性だ。
ただ普通ではなかったのは「性欲」
前世もなかなか強すぎる性欲のせいで苦労したのに転生してまで同じことに悩まされることになるとは…
その強すぎる性欲のせいでこちらの世界でも25歳という年齢にもかかわらず独身。彼氏なし。
こちらの世界では16歳〜20歳で結婚するのが普通なので婚活はかなり難航している。
もう諦めてペットに癒されながら独身でいることを決意した私はペットショップで小動物を飼うはずが、自分より大きな動物…「人間のオス」を飼うことになってしまった。
特に躾はせずに番犬代わりになればいいと思っていたが、この「人間のオス」が私の全てを満たしてくれる最高のペットだったのだ。
もう我慢なんてしません!家族からうとまれていた俺は、家を出て冒険者になります!
をち。
BL
公爵家の3男として生まれた俺は、家族からうとまれていた。
母が俺を産んだせいで命を落としたからだそうだ。
俺は生まれつき魔力が多い。
魔力が多い子供を産むのは命がけだという。
父も兄弟も、お腹の子を諦めるよう母を説得したらしい。
それでも母は俺を庇った。
そして…母の命と引き換えに俺が生まれた、というわけである。
こうして生を受けた俺を待っていたのは、家族からの精神的な虐待だった。
父親からは居ないものとして扱われ、兄たちには敵意を向けられ…。
最低限の食事や世話のみで、物置のような部屋に放置されていたのである。
後に、ある人物の悪意の介在せいだったと分かったのだが。その時の俺には分からなかった。
1人ぼっちの部屋には、時折兄弟が来た。
「お母様を返してよ」
言葉の中身はよくわからなかったが、自分に向けられる敵意と憎しみは感じた。
ただ悲しかった。辛かった。
だれでもいいから、
暖かな目で、優しい声で俺に話しかけて欲しい。
ただそれだけを願って毎日を過ごした。
物ごごろがつき1人で歩けるようになると、俺はひとりで部屋から出て
屋敷の中をうろついた。
だれか俺に優しくしてくれる人がいるかもしれないと思ったのだ。
召使やらに話しかけてみたが、みな俺をいないものとして扱った。
それでも、みんなの会話を聞いたりやりとりを見たりして、俺は言葉を覚えた。
そして遂に自分のおかれた厳しい状況を…理解してしまったのである。
母の元侍女だという女の人が、教えてくれたのだ。
俺は「いらない子」なのだと。
(ぼくはかあさまをころしてうまれたんだ。
だから、みんなぼくのことがきらいなんだ。
だから、みんなぼくのことをにくんでいるんだ。
ぼくは「いらないこ」だった。
ぼくがあいされることはないんだ。)
わずかに縋っていた希望が打ち砕かれ、絶望しサフィ心は砕けはじめた。
そしてそんなサフィを救うため、前世の俺「須藤卓也」の記憶が蘇ったのである。
「いやいや、俺が悪いんじゃなくね?」
公爵や兄たちが後悔した時にはもう遅い。
俺は今の家族を捨て、新たな家族と仲間を選んだのだ。
★注意★
ご都合主義です。基本的にチート溺愛です。ざまぁは軽め。みんな主人公は激甘です。みんな幸せになります。
ひたすら主人公かわいいです。
苦手な方はそっ閉じを!
憎まれ3男の無双!
初投稿です。細かな矛盾などはお許しを…
感想など、コメント頂ければ作者モチベが上がりますw
好きなのはあなただけじゃない
cyaru
恋愛
「君の家との関係はもう続けられない」
ラーベ子爵家のオズヴァルドと婚約をしていたルフィード伯爵家の令嬢ファウスティーナはラーベ子爵に呼び出され、婚約の白紙を申し渡された。
拒否できるはずもない。7カ月前、ファウスティーナの兄であるニコライがあわや隣国と開戦となってもおかしくない事態を引き起こしその責任を取った。
関わり合いになった者も、その家も罰を受けたがルフィード伯爵家も例外ではない。残ったのは爵位だけで住む場所も失ってしまった。
一夜にして犯罪者を出した家となったルフィード伯爵家と7カ月も婚約を継続していたラーベ子爵家が珍しかったのだ。
書類にサインを済ませたファウスティーナは雨の中、歩いて家まで帰る途中で1人の男性を拾った。
雨に打たれずぶ濡れになっていたのは高熱で動けなかったから。
ファウスティーナは男性に肩を貸し、何の治療が出来るわけでもないが放っておく事は出来ず家に連れ帰った。
男性の名前はグレイク。「世話になった恩を返したい」というグレイクだったがグレイクには人に言えない秘密があった。
★↑例の如く恐ろしく省略してます。
★3月29日投稿開始、完結は3月31日22時22分<(_ _)>
★読んでくださる読者様は知っている事も、キャラは知らないって事があります
♡注意事項~この話を読む前に~♡
※異世界を舞台にした創作話です。時代設定なし、史実に基づいた話ではありません。リアルな世界の常識と混同されないようお願いします。
※心拍数や血圧の上昇、高血糖、アドレナリンの過剰分泌に責任はおえません。
※外道な作者の妄想で作られたガチなフィクションの上、ご都合主義です。
※架空のお話です。現実世界の話ではありません。登場人物、場所全て架空です。
※価値観や言葉使いなど現実世界とは異なります(似てるモノ、同じものもあります)
※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。
※話の基幹、伏線に関わる文言についてのご指摘は申し訳ないですが受けられません。
【R18】溺愛される公爵令嬢は鈍すぎて王子の腹黒に気づかない
かぐや
恋愛
公爵令嬢シャルロットは、まだデビューしていないにも関わらず社交界で噂になる程美しいと評判の娘であった。それは子供の頃からで、本人にはその自覚は全く無いうえ、純真過ぎて幾度も簡単に拐われかけていた。幼少期からの婚約者である幼なじみのマリウス王子を始め、周りの者が
シャルロットを護る為いろいろと奮闘する。そんなお話になる予定です。溺愛系えろラブコメです。
女性が少なく子を増やす為、性に寛容で一妻多夫など婚姻の形は多様。女性大事の世界で、体も中身もかなり早熟の為13歳でも16.7歳くらいの感じで、主人公以外の女子がイケイケです。全くもってえっちでけしからん世界です。
設定ゆるいです。
出来るだけ深く考えず気軽〜に読んで頂けたら助かります。コメディなんです。
ちょいR18には※を付けます。
本番R18には☆つけます。
※直接的な表現や、ちょこっとお下品な時もあります。あとガッツリ近親相姦や、複数プレイがあります。この世界では家族でも親以外は結婚も何でもありなのです。ツッコミ禁止でお願いします。
苦手な方はお戻りください。
基本、溺愛えろコメディなので主人公が辛い事はしません。
時き継幻想フララジカ
日奈 うさぎ
ファンタジー
少年はひたすら逃げた。突如変わり果てた街で、死を振り撒く異形から。そして逃げた先に待っていたのは絶望では無く、一振りの希望――魔剣――だった。 逃げた先で出会った大男からその希望を託された時、特別ではなかった少年の運命は世界の命運を懸ける程に大きくなっていく。
なれば〝ヒト〟よ知れ、少年の掴む世界の運命を。
銘無き少年は今より、現想神話を紡ぐ英雄とならん。
時き継幻想(ときつげんそう)フララジカ―――世界は緩やかに混ざり合う。
【概要】
主人公・藤咲勇が少女・田中茶奈と出会い、更に多くの人々とも心を交わして成長し、世界を救うまでに至る現代ファンタジー群像劇です。
現代を舞台にしながらも出てくる新しい現象や文化を彼等の目を通してご覧ください。
召喚聖女の結論
こうやさい
ファンタジー
あたしは異世界に聖女として召喚された。
ある日、王子様の婚約者を見た途端――。
分かりづらい。説明しても理解される気がしない(おい)。
殿下が婚約破棄して結構なざまぁを受けてるのに描写かない。婚約破棄しなくても無事かどうかは謎だけど。
続きは冒頭の需要の少なさから判断して予約を取り消しました。今後投稿作業が出来ない時等用に待機させます。よって追加日時は未定です。詳しくは近況ボード(https://www.alphapolis.co.jp/diary/view/96929)で。
ただいま諸事情で出すべきか否か微妙なので棚上げしてたのとか自サイトの方に上げるべきかどうか悩んでたのとか大昔のとかを放出中です。見直しもあまり出来ないのでいつも以上に誤字脱字等も多いです。ご了承下さい。
URL of this novel:https://www.alphapolis.co.jp/novel/628331665/937590458
甘やかされて育ってきた妹に、王妃なんて務まる訳がないではありませんか。
木山楽斗
恋愛
侯爵令嬢であるラフェリアは、実家との折り合いが悪く、王城でメイドとして働いていた。
そんな彼女は優秀な働きが認められて、第一王子と婚約することになった。
しかしその婚約は、すぐに破談となる。
ラフェリアの妹であるメレティアが、王子を懐柔したのだ。
メレティアは次期王妃となることを喜び、ラフェリアの不幸を嘲笑っていた。
ただ、ラフェリアはわかっていた。甘やかされて育ってきたわがまま妹に、王妃という責任ある役目は務まらないということを。
その兆候は、すぐに表れた。以前にも増して横暴な振る舞いをするようになったメレティアは、様々な者達から反感を買っていたのだ。
恋愛に興味がない私は王子に愛人を充てがう。そんな彼は、私に本当の愛を知るべきだと言って婚約破棄を告げてきた
キョウキョウ
恋愛
恋愛が面倒だった。自分よりも、恋愛したいと求める女性を身代わりとして王子の相手に充てがった。
彼は、恋愛上手でモテる人間だと勘違いしたようだった。愛に溺れていた。
そんな彼から婚約破棄を告げられる。
決定事項のようなタイミングで、私に拒否権はないようだ。
仕方がないから、私は面倒の少ない別の相手を探すことにした。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる