上 下
43 / 146
シーズン2-エミド再侵攻

043-三人の戦い

しおりを挟む
アドラスは戦場を睥睨する。

『(大した相手じゃないね!)』

エミド艦が近寄ってくるが、Ve’z艦の射程は元々が超長距離である。

『あの......攻撃してもよろしいですか?』
『エリアス様は君の好きにするといいと言ったのですよ? お構いなくやりなさい』

尋ねると、ケルビスから冷たく言葉が返ってくる。
アドラスはエリアスからのお言葉を期待していたので、舌打ちして意識を戻す。

『(でもこれは、禊って奴だよねっ!)』

自分たちはエリアスを裏切り......といっても、制御を失っただけの話だが、アロウトに二度と戻らなかったのも事実。

『ボクらもいるからね、負けないように』
『誠に不本意だが、助太刀しよう』

その時、ワームホールからポラノルとグレゴルが現れる。
ポラノルはノータイムで敵の渦中へと突撃していく。
砲撃を受けるものの、異常な頻度で次元跳躍を繰り返すポラノルを捉えられない。

『ポラノル....変わらないね』
『そうであるな』

ポラノルの形状は脱出ポッドか何かかと見紛うようなものなのだが、彼は「回避」と「妨害」に特化している。

『さぁ、ぶちかますよ!』

ポラノルは敵中で停止し、全方位に衝撃波を放つ。
衝撃波はエミド艦を守っていたシールドを吹き飛ばす。

『まだまだぁ!!』

直後、ポラノルから放たれた強力な電磁パルスが、エミド艦隊に直撃する。
シールドを張っているVe’z艦には何の影響もないが(そもそも電磁波程度簡単に対策できるが)、シールドのなくなったエミド艦は即座に沈黙した。
中の人間達は自由意思がなく、司令の受け取れない状況では何もできなかった。

『じゃ...行く』

アドラスがその全身から雨あられの如くミサイルとレーザーを放つ。
それらはエミドの前衛艦隊に直撃し、容易く船を残骸にしていく。
その隙にポラノルは戦線を離脱した。

『グレゴル、シールドを頼むよ』
『お前の命令は聞かん』

と言いつつも、グレゴルは相手のシールドのセキュリティシステムにクラッキングをかける。
当然ながら激しい抵抗に遭うが、超高速でアクセス権限を奪還したグレゴルは驚異的な速度でセキュリティノードを書き換え、シールドシステムを完全に掌握した。

『相変わらず速いねぇ』
『そのために設計されたのだからな』

グレゴルはネットワークシステムの維持管理、情報収集のためのハッキングのために特化された機体である。
『宝物殿』の維持管理を任されていたのは、その圧倒的なシステムリソースと、単純に割り振るタスクがないのを考慮されているからであった。
裏切った理由は、自分がいることで宝物殿が危機にさらされると考え、深宇宙に潜んでいたのだ。

『君の武装は、ニューエンド以外何もないからねぇ』
『砲台などいらんよ、システムを乗っ取って同士討ちさせればいいのだから』

グレゴルはそう言うと、くつくつと笑った。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【全話挿絵】発情✕転生 〜何あれ……誘ってるのかしら?〜【毎日更新】

墨笑
ファンタジー
『エロ×ギャグ×バトル+雑学』をテーマにした異世界ファンタジー小説です。 主人公はごく普通(?)の『むっつりすけべ』な女の子。 異世界転生に伴って召喚士としての才能を強化されたまでは良かったのですが、なぜか発情体質まで付与されていて……? 召喚士として様々な依頼をこなしながら、無駄にドキドキムラムラハァハァしてしまう日々を描きます。 明るく、楽しく読んでいただけることを目指して書きました。

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

烈火の大東亜

シャルリアちゃんねる
SF
現代に生きる男女2人の学生が、大東亜戦争[太平洋戦争]の開戦直後の日本にタイムスリップする。 2人はその世界で出会い、そして共に、日本の未来を変えようと決意し、 各海戦に参加し、活躍していく物語。その時代の日本そして世界はどうなるのかを描いた話。 史実を背景にした物語です。 本作はチャットノベル形式で書かせて頂きましたので、凝った小説らしさというより 漫画の様な読みやすさがあると思いますので是非楽しんでください。 それと、YOUTUBE動画作製を始めたことをお知らせします。 名前は シャリアちゃんねる です。 シャリアちゃんねる でぐぐってもらうと出てくると思います。 URLは https://www.youtube.com/channel/UC95-W7FV1iEDGNZsltw-hHQ/videos?view=0&sort=dd&shelf_id=0 です。 皆さん、結構ご存じかと思っていましたが、意外と知られていなかった、第一話の真珠湾攻撃の真実等がお勧めです。 良かったらこちらもご覧ください。 主に政治系歴史系の動画を、アップしています。 小説とYOUTUBEの両方を、ごひいきにして頂いたら嬉しく思います。

男子中学生から女子校生になった僕

大衆娯楽
僕はある日突然、母と姉に強制的に女の子として育てられる事になった。 普通に男の子として過ごしていた主人公がJKで過ごした高校3年間のお話し。 強制女装、女性と性行為、男性と性行為、羞恥、屈辱などが好きな方は是非読んでみてください!

声楽学園日記~女体化魔法少女の僕が劣等生男子の才能を開花させ、成り上がらせたら素敵な旦那様に!~

卯月らいな
ファンタジー
魔法が歌声によって操られる世界で、男性の声は攻撃や祭事、狩猟に、女性の声は補助や回復、農業に用いられる。男女が合唱することで魔法はより強力となるため、魔法学園では入学時にペアを組む風習がある。 この物語は、エリック、エリーゼ、アキラの三人の主人公の群像劇である。 エリーゼは、新聞記者だった父が、議員のスキャンダルを暴く過程で不当に命を落とす。父の死後、エリーゼは母と共に貧困に苦しみ、社会の底辺での生活を余儀なくされる。この経験から彼女は運命を変え、父の死に関わった者への復讐を誓う。だが、直接復讐を果たす力は彼女にはない。そこで、魔法の力を最大限に引き出し、社会の頂点へと上り詰めるため、魔法学園での地位を確立する計画を立てる。 魔法学園にはエリックという才能あふれる生徒がおり、彼は入学から一週間後、同級生エリーゼの禁じられた魔法によって彼女と体が入れ替わる。この予期せぬ出来事をきっかけに、元々女声魔法の英才教育を受けていたエリックは女性として女声の魔法をマスターし、新たな男声パートナー、アキラと共に高みを目指すことを誓う。 アキラは日本から来た異世界転生者で、彼の世界には存在しなかった歌声の魔法に最初は馴染めなかったが、エリックとの多くの試練を経て、隠された音楽の才能を開花させる。

Clavis X Chronus クラヴィスアンドクロノス

黴男
SF
東京の大学に通っていた普通の学生、三星治明(みほし はるあき)はある日突然、異世界に転生してしまう。 しかし、転生先はファンタジーの溢れる世界などではなく、シークトリアという名前の銀河に跨る星間国家。 しかも、治明は人間ではなくロボットに転生していたのだった。 シークトリアを含めて全部で七つある星間国家のうちの三つが連合軍を形成してシークトリアに攻め込んできており、シークトリアはプレトニアと呼ばれる星間国家と同盟軍を結成し、これに対抗している。 そんな情勢の中開発された人型のロボット兵器、『Chronus』。 そのパイロットとして開発・製造されたロボ、『Clavis』に転生したハルアキは、Chronus…クロノスに宿る親友の魂を見つけ、前世の親友と共に戦いへと身を投じる。 更新は月、水、金の週三日になります。

あさおねっ ~朝起きたらおねしょ幼女になっていた件~

沼米 さくら
大衆娯楽
ある日の朝、普通の男子高校生「日向 蒼」は幼女になっていた……!? 繰り返すおねしょ、おもらし。おむつを穿かされたり、可愛い洋服を着せられたりな新しい日常。 その中で彼は少しづつ女の子になっていく……。 よくあるTSモノです。 小説家になろうより転載。カクヨム、ノベルアッププラス、pixivにも掲載してます。 可愛い彼(?)の活躍にご期待ください。 おねしょやおもらし、おむつなどの描写があります。苦手な方はご注意下さい。

【R18 】必ずイカせる! 異世界性活

飼猫タマ
ファンタジー
ネットサーフィン中に新しいオンラインゲームを見つけた俺ゴトウ・サイトが、ゲーム設定の途中寝落すると、目が覚めたら廃墟の中の魔方陣の中心に寝ていた。 偶然、奴隷商人が襲われている所に居合わせ、助けた奴隷の元漆黒の森の姫であるダークエルフの幼女ガブリエルと、その近衛騎士だった猫耳族のブリトニーを、助ける代わりに俺の性奴隷なる契約をする。 ダークエルフの美幼女と、エロい猫耳少女とSEXしたり、魔王を倒したり、ダンジョンを攻略したりするエロエロファンタジー。

処理中です...