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自習室の机の下で。
しおりを挟む物静かな自習室の中で、時折小さな水音が彼の机の下から響いていた。その音が聞こえたのか、隣の席に座っている女子が不思議そうに彼の方を見た。瞬間、彼の心臓が大きく跳ねたが、露骨に反応してしまえば余計に怪しまれる。
女子からの視線は理解しつつも、それに気付いていないように彼は素知らぬ顔でノートにペンを走らせる。実際はただの書いているフリ。何の意味も無い模様がノートへと書き殴られていく。ずっとペンが止まらないというのも不自然なので、彼は時折悩むようにペンを止めるという演技も忘れない。
そんなに大きな音でもないし、目立つような音でもない。特に水音を発生させるようなものも見当たらず、他の生徒が気にしている様子も無かったため、女子はすぐに彼から目を逸らし、自分の勉強へと戻った。
それを確認し、彼は小さく安堵の息を吐く。よほどの迷惑行為でもしない限り、他の生徒がわざわざ彼の席を確認しに来る、なんてことは無いとは思うが、それでも可能性はゼロではない。今、この状態の彼の席を確認されたら、彼は終わりだった。
彼が座っている机の下。そこではひかるが彼のものを咥えていたから。
自習室の机は一人一席と割り振られており、机の構造はコの字状になっているため、机の下に入ってしまえば、覗き込みでもしない限りはその存在がバレることはない。
スペースはあっても机の下のため、人一人が隠れるにはいささか狭い空間とはなるが、小柄なひかるはそのスペースにすっぽりと入り込め、ある程度は自由に動ける空間を確保できる。それをいいことに、彼女は自習室に入ってからというものの、ずっと彼のものを咥え続けている。
このシチュエーション。普通に見れば、ひかるの方が一方的に彼を責めているわけだから、バレたら彼女の方がマズいのでは? と思うかもしれないが、そうでもない。事前にハッキリとバレたら無理やりやらされたと言う、と宣言されている。仮に彼の言っている言葉の方が真実だったとしても、可愛らしい容姿をし、表向きには品行方正な女子が泣きながら先生とかに無理やりやらされた、とでも言えば、どっちを信じるかなど火を見るよりも明らかだった。当事者でなければ、彼もひかるの方を信じるだろう。
彼女の発言の方が信ぴょう性がある、という状態でこの状況を作られてしまった段階で彼の負けだった。下半身も露出させられてしまっているから席を立とうにも立てない。彼が自分のものをしまうことなど、彼女が許すハズもない。
既に何回か出しているのだろう。彼女の顔や服、床などに彼の精液が飛び散っていた。何故そんなに汚れているかというと、理由は簡単で、彼が達する寸前、ひかるが決まって口を離すからだ。だから、受け止め先を失った精液は彼女の顔や服に降り注いでしまう。
しかし、ひかるは嫌な顔一つしない。むしろ自分に染みついていく彼の匂いに興奮しているのか、机の中で充満していく彼の匂いを嬉しそうに嗅いでいた。口の中だけで完結してしまうよりも、体全体に掛けられた方が彼女としては優越感を覚えるらしかった。
口の中で射精させ、飲み込んでしまえば、言ってしまえば話はそこで終わりだ。だが、あえて受け止めず、自分の体に掛けさせ、射精した精液の痕跡を残すことによって、自分がどれだけ相手を気持ち良くしたのか、相手がどれだけ自分に気持ち良くさせられたのか、その証になる。
机の下で飛び散っている彼の精液、充満している彼の匂い。それらは、どれだけ口では嫌がっていても、彼がこの公共の場で自分の性器を舐められる、という行為に興奮していたのかが客観的によく分かる。依然ひかるの舌で刺激を続けられているとはいえ、既に何度か果てているにも関わらず、彼のものは萎える気配もなく反り返っている。
本当に嫌なのであれば、とっくに萎えているだろう。いや、そもそも立ってさえいなかったハズだ。どれほど性器に刺激を与えられたところで、性的興奮を覚えていないのであれば、立つわけがない。いや、仮に刺激されたらこうなる、という言い訳を通したとしよう。であれば、そもそもの前段階、ひかるが机の下に入った段階で席に座らなければ良かっただけの話。もっと言えば、ひかるとの関係を断ってしまえばこんな状態にはなっていない。
けど、彼はひかるが机の下に居るのが分かった上でその席に座った。こうなるであろうことなんて分かっていたハズなのにだ。それは彼自身がこういう状況を求めているのに他ならない。
ひかるは確かに彼を脅しはしたが、言ってしまえば、あれはただのパフォーマンスでしかない。ひかるだってバレないに越したことはない。無理やりやらされた、と言えば確かに法には触れないかもしれないが、逆に言えばそれだけだ。自習室で男のものを咥えた女、という噂はすぐに広がる。みんながみんな、彼女のことを被害者として見てくれるわけではない。少なくとも、転校くらいは余儀なくされるだろう。
ひかるも極力バレたくない、という思いはしかし、彼には伝えない方がいいと判断した。そうすると、彼がこの状況を受け入れる理由が無くなってしまうから。あくまで被害者でありたい彼には、脅されて無理やり、という状況が必要になってくる。
彼が嫌がっているのは世間体でしかない。ひかるに脅されて無理やりやられています、という自分の中でこの状況に陥っている自分を納得させられる理由を作っているだけだ。彼からひかるにこんなことを頼む勇気など無い。だからひかるにやられている、という状況を作りたかっただけ。
公共の場で、いつ誰に見られるかも分からないこの状態で、こういうことをされたい、そういう願望を持っている自分を認めたくない、というだけの話。彼は気付いていないのかもしれないが、ひかるが口の速度を緩めると、彼は催促するかのように自分で腰を動かしている。出したがっているのは彼も一緒だ。
ひかるは自分のことを正当化するつもりなどない。こういう場でこういうことができてしまうのだから、いや、楽しくてしてしまうのだから、世間一般的には変態と呼ばれる部類に入るのだろう。だが、それを求め、許容してしまっている段階で、彼だって変態のハズだ。
公共の場で出させたい彼女と出したい彼。結局はお似合いのカップルなのかもしれない。
予兆を感じ、ひかるはそっと自分の口を彼のものから離す。離す際に彼女の唾液が糸を引き、二人の間に落ちる。感じた予兆通り、口を離した数秒後に彼のものから精液が放たれた。掛けられたい、というのも一つあるが、この先端から出る瞬間を見たい、というのもある。中々通常の性行為で男性の先端から飛び出す瞬間と言うのは見る機会が無い。
彼の穴を覗き込むようにしていたせいで、彼が出した精液はひかるの額へと直撃する。続けて放たれる精液は一発目ほどは勢いが無いため、彼女の胸やスカート辺りに落ちる。射精回数に応じて、勢い自体は落ちてきているようであったが、出す量自体はそれほど落ちていない。額から垂れてくる精液を袖で拭うと同時に、彼女は自分の鼻をそこに当て、そっと匂いを嗅ぐ。髪も顔も、制服も。精液にまみれているこの状況。酷い状態だなとは思うが、それと同時にこれだけ自分が出させたんだ、という事実がどこか嬉しくもある。
ひかるが射精させた余韻にしばらく浸っていると、彼の先端から精液が糸を引いて垂れているのが見えた。ひかるはそれを舌ですくうと、そのまま彼の先端を舌で舐め上げる。それと同時に、彼の体が小さく跳ねた。
ピクピクと小刻みに動く彼のものが可愛く、ひかるはしばらく至近距離でそれを観察していたが、ひかるの吐息がずっと当たっているのがもどかしいのか、彼が突き出した彼のものがひかるの鼻先に当たった。自分で当てたくせに、その鼻に当たった刺激だけで、彼のものはピクリと跳ね上がった。それを可笑しそうに眺めながら、ひかるは手を使って彼のものを自分の口へと誘うと、そのままパクリと咥えた。
今出した直後だというのと、度重なる射精もあって、彼の机の下は彼の匂いで充満していた。その匂いを直に浴び続けているひかるはもとより、彼も漏れ出てくる匂いをずっと嗅いでいたせいで感覚がマヒしているようではあったが、微かにとはいえ確かに、籠り切らなくなった彼の匂いが、彼の机の下から漏れ出していた。
机の下に居るひかるには確認のしようがないし、彼も彼でそんな周りに気を配る余裕も無いのだろうが、周囲に居る数名の生徒が、異臭を感じて鼻を押さえていたりする。しかし、それも数秒のこと。空調設備が動いているかいもあって、周りの生徒もすぐに気にしなくなった。
変な匂いがしたとしても、まさかそれが精液の匂いとも思わないし、ましてやそれが今まさにそこに居る男子生徒が出しているものだなんて思いもしないだろう。微かに匂った異臭だって、すぐに消えてしまえば、気のせいか、もしくは空調のせいだと勝手に自己完結してくれる。
だが、このまま匂いが強まっていけば、その限りではないだろう。まして、時折漏れている卑猥な水音も、少しずつとはいえ大きくなってきているのだから。
だが、二人の頭の中では、そんな些末なことは段々どうでもよくなってきた。今はもう、一分でも一秒でもいいから、この気持ちのいい時間を続けたい。快楽に支配された二人の頭にはもう、それしか頭に無かった。
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