上 下
8 / 20

美晴にとっての初めてと婚約の話〜美晴視点2

しおりを挟む
この日、美晴はかなり緊張していた。何故なら陽向と初めてするからである。

数日前からヒートの前兆を感じていた美晴は、少しずつ準備をしていた。予習?もバッチリである。2人きりだと不安なので、直人にも声をかけた。


そして、現在陽向の家の前にいる。
今日は泊まるつもりで、お泊まりセットも持ってきていた。

ピンポーン

「はーい」

パタパタとスリッパの音がして、陽向が出てきた。

相変わらず、キラキラして眩しいくらいだ。

「こんばんは、上がっても大丈夫?」

「いらっしゃい。もちろん大丈夫だよ。あ、直人も来たんだね。上がって上がって」


「お邪魔します」

「そうそう。今日、父さんも母さんもいないんだ。ゆっくりしてってね」

「そうなんだ。あ、お菓子買ってきたよ。ここのケーキ好きでしょ?」

じゃ、じゃーんと効果音つきでケーキを見せると、陽向の目が輝きだした。

「うん!好き!ありがとう!!」

弾むような声でそういうと、思い切り僕に抱きついた。
普段こんなふうなスキンシップはしないのだが、よほど嬉しかったのだろう。

「どういたしまして」

「俺は飲み物を持ってきた」
そう言って、ちょっと高そうな包みを差し出した。

「これ!コーヒー豆は父さんがたまに飲むお気に入りのお店のだし、この紅茶の茶葉も僕と母さんが好きなやつだ!ありがとう!!」

陽向は直人に向けて、キラキラの笑顔で言った。直人もそれを見て笑顔だった。若干ニヤついてないか?


「コーヒー豆からだと時間かかっちゃうから、今日は挽いてあるのを使うね。茶葉はもらったのを早速使うから、ちょっと待ってて」

お湯は沸かしていたのか、台所からカチャカチャと音がする。

「大体、飲み物の準備はしてたんだ。ケーキはお持たせだけど、どうぞ」

「いただきます」

3人そろってそう言うと、早速ケーキを食べる。
陽向が好きなケーキだけあって、めっちゃ美味しい!

直人は薄らと微笑んでいるし、陽向は幸せそうに食べていた。

「あ、そうだ!2人とも後で僕の部屋来るでしょ?今日は映画やドラマ観るより、ゲームな気分なんだよね。ちょっと2階に行って、取ってくるね」

そう言うとスタスタと2階に上がってしまった。

急に直人と2人きりになり、顔を見合わせる。

「どうする?」

「ゲームをしてそういう雰囲気にはならないだろうな。ちょっと作戦タイムといこうか。耳貸して」

そう言うと僕にいくつかアドバイスした。

「そうだね。それでいくしかないかも」

僕は頷くと2階に上がった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

俺はすでに振られているから

いちみやりょう
BL
▲花吐き病の設定をお借りしている上に変えている部分もあります▲ 「ごほっ、ごほっ、はぁ、はぁ」 「要、告白してみたら? 断られても玉砕したら諦められるかもしれないよ?」 会社の同期の杉田が心配そうに言ってきた。 俺の片思いと片思いの相手と病気を杉田だけが知っている。 以前会社で吐き気に耐えきれなくなって給湯室まで駆け込んで吐いた時に、心配で様子見にきてくれた杉田に花を吐くのを見られてしまったことがきっかけだった。ちなみに今も給湯室にいる。 「無理だ。断られても諦められなかった」 「え? 告白したの?」 「こほっ、ごほ、したよ。大学生の時にね」 「ダメだったんだ」 「悪いって言われたよ。でも俺は断られたのにもかかわらず諦めきれずに、こんな病気を発病してしまった」

ふしだらオメガ王子の嫁入り

金剛@キット
BL
初恋の騎士の気を引くために、ふしだらなフリをして、嫁ぎ先が無くなったペルデルセ王子Ωは、10番目の側妃として、隣国へ嫁ぐコトが決まった。孤独が染みる冷たい後宮で、王子は何を思い生きるのか? お話に都合の良い、ユルユル設定のオメガバースです。

側室は…私に子ができない場合のみだったのでは?

ヘロディア
恋愛
王子の妻である主人公。夫を誰よりも深く愛していた。子供もできて円満な家庭だったが、ある日王子は側室を持ちたいと言い出し…

俺の番には大切な人がいる

ivy
BL
オメガバース。 匠が政略結婚した相手直人にはずっと大切に思い合っている恋人がいた。 一緒にいるうちに直人のことが好きになってしまった匠。 いつか自分を見てくれる日が来るのだろうか。 主人公 たくみ(匠)Ω パートナー なおと(直人)α 直人の恋人 ゆうと(優斗)β 匠の幼なじみ あきら(晃)α 匠の運命の相手 ユキ Ω 晃と匠のよき相談相手

よくある婚約破棄なので

おのまとぺ
恋愛
ディアモンテ公爵家の令嬢ララが婚約を破棄された。 その噂は風に乗ってすぐにルーベ王国中に広がった。なんといっても相手は美男子と名高いフィルガルド王子。若い二人の結婚の日を国民は今か今かと夢見ていたのだ。 言葉数の少ない公爵令嬢が友人からの慰めに対して放った一言は、社交界に小さな波紋を呼ぶ。「災難だったわね」と声を掛けたアネット嬢にララが返した言葉は短かった。 「よくある婚約破棄なので」 ・すれ違う二人をめぐる短い話 ・前編は各自の証言になります ・後編は◆→ララ、◇→フィルガルド ・全25話完結

私は私で勝手に生きていきますから、どうぞご自由にお捨てになってください。

木山楽斗
恋愛
伯爵令嬢であるアルティリアは、婚約者からある日突然婚約破棄を告げられた。 彼はアルティリアが上から目線だと批判して、自らの妻として相応しくないと判断したのだ。 それに対して不満を述べたアルティリアだったが、婚約者の意思は固かった。こうして彼女は、理不尽に婚約を破棄されてしまったのである。 そのことに関して、アルティリアは実の父親から責められることになった。 公にはなっていないが、彼女は妾の子であり、家での扱いも悪かったのだ。 そのような環境で父親から責められたアルティリアの我慢は限界であった。伯爵家に必要ない。そう言われたアルティリアは父親に告げた。 「私は私で勝手に生きていきますから、どうぞご自由にお捨てになってください。私はそれで構いません」 こうしてアルティリアは、新たなる人生を送ることになった。 彼女は伯爵家のしがらみから解放されて、自由な人生を送ることになったのである。 同時に彼女を虐げていた者達は、その報いを受けることになった。彼らはアルティリアだけではなく様々な人から恨みを買っており、その立場というものは盤石なものではなかったのだ。

いらないと言ったのはあなたの方なのに

水谷繭
恋愛
精霊師の名門に生まれたにも関わらず、精霊を操ることが出来ずに冷遇されていたセラフィーナ。 セラフィーナは、生家から救い出して王宮に連れてきてくれた婚約者のエリオット王子に深く感謝していた。 エリオットに尽くすセラフィーナだが、関係は歪つなままで、セラよりも能力の高いアメリアが現れると完全に捨て置かれるようになる。 ある日、エリオットにお前がいるせいでアメリアと婚約できないと言われたセラは、二人のために自分は死んだことにして隣国へ逃げようと思いつく。 しかし、セラがいなくなればいいと言っていたはずのエリオットは、実際にセラが消えると血相を変えて探しに来て……。 ◆表紙画像はGirly drop様からお借りしました🍬 ◇いいね、エールありがとうございます!

兄がいるので悪役令嬢にはなりません〜苦労人外交官は鉄壁シスコンガードを突破したい〜

藤也いらいち
恋愛
無能王子の婚約者のラクシフォリア伯爵家令嬢、シャーロット。王子は典型的な無能ムーブの果てにシャーロットにあるはずのない罪を並べ立て婚約破棄を迫る。 __婚約破棄、大歓迎だ。 そこへ、視線で人手も殺せそうな眼をしながらも満面の笑顔のシャーロットの兄が王子を迎え撃った! 勝負は一瞬!王子は場外へ! シスコン兄と無自覚ブラコン妹。 そして、シャーロットに思いを寄せつつ兄に邪魔をされ続ける外交官。妹が好きすぎる侯爵令嬢や商家の才女。 周りを巻き込み、巻き込まれ、果たして、彼らは恋愛と家族愛の違いを理解することができるのか!? 短編 兄がいるので悪役令嬢にはなりません を大幅加筆と修正して連載しています カクヨム、小説家になろうにも掲載しています。

処理中です...