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第2章
第112話
しおりを挟むコンッコンッコンッ
1人、自室で悍ましい笑をキリトが浮かべていると、不意に扉をノックする音が部屋に響く。
(誰だ?こんな律儀にノックする奴なんていたか?さっき話していたウィリアとサーべジス、それと特攻のメークならノック無しでヅカヅカと入ってくるだろうし)
コンッコンッコンッ
再度、ノックの音が部屋に響く。
(考えてても仕方が無い。別に敵ではないだろうしな)
キリトは顔を元に戻しベッドに腰掛ける。
「鍵は空いてる。入ってきていいよ」
「「失礼します」」
扉の向こう側から男性と女性の声が同時に聞こえてくる。
(あれ?この声……)
扉が開くと、そこにはメイド服のミワと執事服を着たエントの2人が立っていた。
「「お久しぶりです」」
「うん、お久。で、どうしたんだ2人共?」
「エントさんの教育がある程度終了したので、その御報告を」
「まだ、素人に毛が生えた程度ですが」
「いや、それでいい。むしろ、それがいい」
「「?」」
2人共、首を傾げる。
「エントには見習いの給仕として勇者達の所に行ってもらいたいっていったろ?それぐらいが丁度いい。新人がいきなり手際よく作業してたら不審に思われかねん」
「確かにそうですね。では、勇者達の情報を探ってマスターにお伝えすれば良いのですよね?」
「あぁ、そんな所だ。あと、戦闘も手伝って来い」
「何故ですか?勇者達は敵なのでは?」
「ある程度の信頼関係は築いてほしいんだ」
「その心は?」
「信頼関係を築くだけ築いて、その後に思いっきり崩すのって、とっても面白いと思わない?想像しただけでゾクゾクするんだけど」
「い、いい趣味をしていますね」
顔を引きつかせながらそう答えるミワ。キリトの言葉に同意は出来ないのがわかる。
「別にこの感覚を共有したいとは思わないよ。ただ俺はやられた事を何十倍にもして返したいだけだよ。でも、それを成功させるためにはエントも強くなければならないよな?」
「はい」
「そんな訳でミワ。小一時間程、エント借りていくぞ?」
「それは私ではなくエントに」
「いいよな?エント?」
「はい」
「そんな訳で『転移』」
キリトはエントを連れ、自室から消えたのであった。
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