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獣人村たぶんスローライフ編
第161話 外貨を求めて再びトバルの街へ(1)
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夏祭りの準備を順調に進めていく夏希に獣人村の大人達から泣きが入った。それは「サフィカードを買いたいがお金が足りない!」と。
夏希が夏祭りに酒類とそのツマミの販売をすると宣伝した為に、お酒大好き村人達が叫び狂っているとルルの母親ランカから情報が入ってきたのだ。そしてその情報と共にお酒大好き村人代表ネネが夏希の元へとやって来た。
「よう夏希。折り入って頼みがあるんだが聞いて貰えるか。なに、そんな面倒な事じゃないんだ。行けるか?」
詳しい内容を話そうとせずに回答を求めてくるネネは笑顔だ。
(あの笑顔が胡散臭いんだよな。絶対に面倒な事なんだろうな‥‥‥)
「あのう、今は夏祭りの準備で忙しいのですが俺じゃなきゃダメなんですか?」
その夏希は面倒臭そうにネネに答えると、ネネの口元がヒクつき始め、夏希の肩を抱いて恐ろしい笑顔で話し始めた。
「あのなぁ、お前が夏祭りに酒を売るって村人に言ったから問題が起こってるんだ。だが、今更取消することは出来ないぞ。ならどうすればいいのか?答えは簡単だ。野菜と狩りで得た物を街に売りに行けばいいんだ。お前のアイテムボックスにたんまりと詰め込んでな!」
(ネネさんは自分が飲みたいだけなんだよな‥‥多分畑の野菜全て売る気になってるだろうな。人を狂わすお酒って怖いね)
「ん?私は別に酒が欲しいから言ってるんじゃないぞ。村人の事を思ってだからな」
(おいおい、予防線張ってきやがったよ。そんなの「お酒大好き!」って言ってるようなもんだよな。酒狂いネネが!)
「いででで!ギブです。ギブ!」
夏希の考えに反応してネネの肩を抱く力が途轍もなく強くなっていき、その夏希は苦悶の声をあげるのであった。
「心配するな。今回は私が同行して行き帰り全て御者をする。だからお前は荷台に寝転がってのんびりしてればいいんだ」
(おお、それなら楽でいいな。往復で約1週間ほどだ。精神的にも疲れてきてたから丁度いいかもな。ニアにも久々に会えるし)
「それなら行きましょうか。それで面子は俺とネネさんだけですか?」
「いや、護衛としてラグを連れていく。途中で魔物に出会ったら酒を追加で買えるからな。荷物は全て夏希のアイテムボックスに入れるから、お前の方で連れて行きたいやつが居れば3人くらいは大丈夫だぞ。どうする?」
(うーん、スズランと真冬が付いてきそうなんだよな。でも真冬には俺の留守の間、夏祭りの準備をしておいて欲しいんだよな。日本の祭りの事は俺意外は真冬しか判らないからな)
「そうですね。多分スズランが付いてくると思います。真冬は夏祭りの準備をしてもらおうと思ってます。あとはアンナちゃんかな?」
(父親も行くからアンナちゃんも行きそうなんだよね)
その夏希の言葉にネネは少し不安そうな顔をする。
「お前大丈夫か?トバルの街にはお前の恋人が居るんだろ?たしかニアとか言ったな。アンナの前でお前達はイチャイチャするのか?」
(おっとそうだった。アンナちゃんはニアの事知らないんだよな。大丈夫だろうか?)
「ネネさん、どうしよ?」
「お前多分アンナに殺されるぞ。手料理か弓矢で。弓矢は私が鍛えたから凄腕になってるぞ。お前の脳天に一撃だな」
(えっと‥‥‥何故か弓矢より料理の方が脅威に感じる僕なんですけど‥‥‥)
「ネネさん、なにかいい方法ないですかね?俺はまだアンナちゃんの手料理フルコースを食べる自信はありません」
ネネの話を聞いた夏希はブルっていた。
「あれに効く胃薬やポーションは無い。潔く食べて散ってしまえ」
バッサリと希望を絶ち切られた夏希はその場で膝から崩れ落ちるのであった。
それからネネと夏希は子供達を使って村中に街に売り出しに行くこと、そして明日の朝までに売るものがあればサフィニアまで持ってくるようにと伝言を頼んだ。
「それじゃあ明日朝に村人が持ってきた物を回収したら出発するからな。馬車は村の物を出すからシルバーを貸してくれ」
ネネはそう言って家に戻って行った。
「おいおい明日出発かよ。準備はまあ大丈夫だな。アイテムボックスに色々入ってるし、無ければネットスキルで買えばいいしな。それじゃあ、スズランと真冬に話をしとくかな」
夏希はサフィニアを後にしてスズランと真冬が居るであろう自宅に戻った。
「ただいま~。スズラン、真冬居るか?」
「「はいよ!」」
リビングから威勢のよい返事が聞こえ、夏希は玄関で靴を脱いでその声がする場所へと向かった。そしてドアを開けると三匹の着ぐるみが居る。スズラン、真冬、アンナだ。
(あちゃー、アンナちゃんも居たか。どうせバレるんだ。覚悟を決めるか)
夏希はリビングにあるカエルさんソファーに座り、3人に明日の事を話した。
「もちろんワレは付いていくのじゃ。トバルの街は久々だからな。楽しみなのじゃ」
話を聞いたスズランは乗り気だ。仲良くなった人達に会えるのが嬉しいのだろう。
「アンナも絶対に行くの!夏希お兄ちゃんとトバルの街でデートするの!」
アンナも目を輝かせて夏希にすがり付いて嬉しそうに話し掛けている。(俺の命日は3日後か‥‥短い人生だった)
そしてその喜ぶ2人の横には静かに目を細めて夏希を睨むカエルが居た。
「い、いや、真冬はこの夏祭りには欠かせない存在なんだ。俺が居ない間任せられるのはお前しか居ない。頼んだぞ」
夏希は必死に真冬に説明するのであった。そしてそのカエルこと真冬は少し考えた後、目を更に細めて夏希に話す。
「判った。夏祭りは私が任された」
その言葉に安堵する夏希だが、お前にこの言葉を送ろう。
「真冬の本気はもの凄いぞ」と‥‥‥‥
夏希が夏祭りに酒類とそのツマミの販売をすると宣伝した為に、お酒大好き村人達が叫び狂っているとルルの母親ランカから情報が入ってきたのだ。そしてその情報と共にお酒大好き村人代表ネネが夏希の元へとやって来た。
「よう夏希。折り入って頼みがあるんだが聞いて貰えるか。なに、そんな面倒な事じゃないんだ。行けるか?」
詳しい内容を話そうとせずに回答を求めてくるネネは笑顔だ。
(あの笑顔が胡散臭いんだよな。絶対に面倒な事なんだろうな‥‥‥)
「あのう、今は夏祭りの準備で忙しいのですが俺じゃなきゃダメなんですか?」
その夏希は面倒臭そうにネネに答えると、ネネの口元がヒクつき始め、夏希の肩を抱いて恐ろしい笑顔で話し始めた。
「あのなぁ、お前が夏祭りに酒を売るって村人に言ったから問題が起こってるんだ。だが、今更取消することは出来ないぞ。ならどうすればいいのか?答えは簡単だ。野菜と狩りで得た物を街に売りに行けばいいんだ。お前のアイテムボックスにたんまりと詰め込んでな!」
(ネネさんは自分が飲みたいだけなんだよな‥‥多分畑の野菜全て売る気になってるだろうな。人を狂わすお酒って怖いね)
「ん?私は別に酒が欲しいから言ってるんじゃないぞ。村人の事を思ってだからな」
(おいおい、予防線張ってきやがったよ。そんなの「お酒大好き!」って言ってるようなもんだよな。酒狂いネネが!)
「いででで!ギブです。ギブ!」
夏希の考えに反応してネネの肩を抱く力が途轍もなく強くなっていき、その夏希は苦悶の声をあげるのであった。
「心配するな。今回は私が同行して行き帰り全て御者をする。だからお前は荷台に寝転がってのんびりしてればいいんだ」
(おお、それなら楽でいいな。往復で約1週間ほどだ。精神的にも疲れてきてたから丁度いいかもな。ニアにも久々に会えるし)
「それなら行きましょうか。それで面子は俺とネネさんだけですか?」
「いや、護衛としてラグを連れていく。途中で魔物に出会ったら酒を追加で買えるからな。荷物は全て夏希のアイテムボックスに入れるから、お前の方で連れて行きたいやつが居れば3人くらいは大丈夫だぞ。どうする?」
(うーん、スズランと真冬が付いてきそうなんだよな。でも真冬には俺の留守の間、夏祭りの準備をしておいて欲しいんだよな。日本の祭りの事は俺意外は真冬しか判らないからな)
「そうですね。多分スズランが付いてくると思います。真冬は夏祭りの準備をしてもらおうと思ってます。あとはアンナちゃんかな?」
(父親も行くからアンナちゃんも行きそうなんだよね)
その夏希の言葉にネネは少し不安そうな顔をする。
「お前大丈夫か?トバルの街にはお前の恋人が居るんだろ?たしかニアとか言ったな。アンナの前でお前達はイチャイチャするのか?」
(おっとそうだった。アンナちゃんはニアの事知らないんだよな。大丈夫だろうか?)
「ネネさん、どうしよ?」
「お前多分アンナに殺されるぞ。手料理か弓矢で。弓矢は私が鍛えたから凄腕になってるぞ。お前の脳天に一撃だな」
(えっと‥‥‥何故か弓矢より料理の方が脅威に感じる僕なんですけど‥‥‥)
「ネネさん、なにかいい方法ないですかね?俺はまだアンナちゃんの手料理フルコースを食べる自信はありません」
ネネの話を聞いた夏希はブルっていた。
「あれに効く胃薬やポーションは無い。潔く食べて散ってしまえ」
バッサリと希望を絶ち切られた夏希はその場で膝から崩れ落ちるのであった。
それからネネと夏希は子供達を使って村中に街に売り出しに行くこと、そして明日の朝までに売るものがあればサフィニアまで持ってくるようにと伝言を頼んだ。
「それじゃあ明日朝に村人が持ってきた物を回収したら出発するからな。馬車は村の物を出すからシルバーを貸してくれ」
ネネはそう言って家に戻って行った。
「おいおい明日出発かよ。準備はまあ大丈夫だな。アイテムボックスに色々入ってるし、無ければネットスキルで買えばいいしな。それじゃあ、スズランと真冬に話をしとくかな」
夏希はサフィニアを後にしてスズランと真冬が居るであろう自宅に戻った。
「ただいま~。スズラン、真冬居るか?」
「「はいよ!」」
リビングから威勢のよい返事が聞こえ、夏希は玄関で靴を脱いでその声がする場所へと向かった。そしてドアを開けると三匹の着ぐるみが居る。スズラン、真冬、アンナだ。
(あちゃー、アンナちゃんも居たか。どうせバレるんだ。覚悟を決めるか)
夏希はリビングにあるカエルさんソファーに座り、3人に明日の事を話した。
「もちろんワレは付いていくのじゃ。トバルの街は久々だからな。楽しみなのじゃ」
話を聞いたスズランは乗り気だ。仲良くなった人達に会えるのが嬉しいのだろう。
「アンナも絶対に行くの!夏希お兄ちゃんとトバルの街でデートするの!」
アンナも目を輝かせて夏希にすがり付いて嬉しそうに話し掛けている。(俺の命日は3日後か‥‥短い人生だった)
そしてその喜ぶ2人の横には静かに目を細めて夏希を睨むカエルが居た。
「い、いや、真冬はこの夏祭りには欠かせない存在なんだ。俺が居ない間任せられるのはお前しか居ない。頼んだぞ」
夏希は必死に真冬に説明するのであった。そしてそのカエルこと真冬は少し考えた後、目を更に細めて夏希に話す。
「判った。夏祭りは私が任された」
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