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腕試し編ートバルの街ー

82話 ディプル草を求めて(2)

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 ディプル草採取依頼を受け出掛ける夏希。

 夏希は朝早くから森に向かって歩いている。まだ早い時間なので見掛ける冒険者は少ない。

 森に入ると夏希はスズランを呼び出した。

「スズラン、まだ森に入って間もないけど、朝早いからまだ森の中には冒険者は居ない。出てきて大丈夫だぞ」

 影から出て来たのは黒い幼女の顔だけであった。

「ワレはまだ眠いのじゃ。早起きは美容に悪いのじゃ、夜ご飯が出来たら起こすのじゃ」

「いやいや、夜更かしが美容に悪いんだからね。それと歩くって言ったよな」

 スズランは「仕方ないのぉ」と言いながら影から出て歩き始めた。

 スズランは黒いが容姿の雰囲気は判る。背は140cmぐらいの普通体型で髪は腰ぐらいまである。ワンピースを着ているみたいでスカートの裾がヒラヒラしている。

 うん、少しだけ気になる。

「なあ、スズラン。そのスカートの中も真っ黒なの?」

 スズランはニヤリと笑い夏希を見る。

「夏希はワレの可愛いパンツが見たいのか?」

「幼女趣味は微塵も無いな」

 スズランは歩くのを止め夏希に向かい合い、見せ付けるかの様にスカートを捲った。

「どうじゃ!これが乙女の秘密の花園じゃ!」

「いや、やっぱり真っ黒じゃん」

 夏希はスズランを置いて森の奥に向けて歩き始めた。

「尋ねておいてその態度はなんじゃ!」

 2人は森の中を賑やかに歩いている。唐突に出てくる魔物を片手間の様に倒しながら。

 今は夕方である。

「スズラン、今日はここまでにしよう。ご飯の準備をするから、この椅子に座って待っててくれ」

 夏希はアイテムボックスからキャンプ用のテーブルと椅子を出して設置した。

「今日のメニューは簡単なものだからすぐ出来る」

 夏希が準備したご飯は、カップヌー○ルとコンビニの唐揚げだった。テーブルの上に置き水魔法で熱湯を注ぐ。(トバルの街ではスパゲッティや塩焼きそばとかはあるんだけど、スープ系の麺類は無いんだよな)

「はい、出来たぞ。あとは3分待つだけだ。唐揚げは先に食べてもいいぞ。ビールも出しとくから」

「お、気が利くのじゃ。ではいただきます」

 スズランはテーブルに出された唐揚げをフォークで突き刺して食べ始めた。

「ぷはー、唐揚げとビールは鉄板じゃな!」

 仕事終わりのオヤジ的なスズランである。

「もう出来たかな?スズランこれも出来たぞ。熱いから気を付けて食べないと火傷するぞ」

 オカン的な夏希である。

 スズランは出されたカップヌ○ドルをフォークで突き刺して食べ始めた。(刺さるの?)

「おお!これは香辛料がよく効いていて旨いのじゃ!この小さいのがまた旨味が詰まっていて難い演出しておる。夏希!お代わりが欲しいのじゃ!」

 スズランは大興奮である。

「これはスパゲッティか?でもスープだな?」

 スズランは考えている。

「判った!スープスパゲッティじゃな!」

 違うな。

「これはラーメンだ。種類も100以上あるぞ」

「ワレはこのラーメンとやらが気に入った! [ 影に入れといてね。お願い!] リストに追加しておくのじゃ!」

 初めて聞いたよ。そのリストとやら。

 それからスズランはラーメン→唐揚げ→ビールの三角食べを腹一杯になるまで続けた。

「ワレは満足じゃ!夏希お休みなのじゃ!」

「いやいや、会話しようぜ会話を!」

 2人はビールを片手に会話を楽しむのであった。

 会話をして30程経った時、夏希が話す。

「なあスズラン。お前はいつまでその姿で居るんだ?訳は聞かないが、もういいと思うぞ姿を隠さなくても。俺の影に入って居れば大丈夫だろ?たぶん…」

 沈黙した時間が過ぎる。

「ワレはもう寝るのじゃ。おやすみなのじゃ」

 スズランは背中を向けて影にゆっくりと沈んでいった。

「まだ、早かったかな…」

 夏喜は食事の後片付けをし、テーブルと椅子をアイテムボックスに戻すとハンモックを出して木の上で眠りについた。
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