70 / 171
腕試し編ートバルの街ー
70話 幕間 バルバドス王国スタンピード(1)
しおりを挟む
季節はもう夏になっていた。転移して5ヶ月。
バルバドス王国の転移者10名は、安定した生活を送っている。
巧と幸之助は、幸之助の転移を利用して鉱山に赴き、希少な鉱石を見つけては巧がアクセサリーなどを作製している。(その販売は真奈美さんだ)
真奈美さんは、宗政さんと一緒に借家の近くに店を開いた。1階が政宗さんの店で定食屋、2階が真奈美さんの雑貨屋だ。まだ始めたばかりなので、これからが勝負だ。
昴と菜々は相変わらずだ。乙女騎士団の4人も順調に依頼をこなしている。
この皆が住む街アンデルの近くにはダンジョンがある。だから、この街は繁栄している。ただし、スタンピードという脅威を抱えて…
スタンピードは森に比べてダンジョンで発生する割合が非常に高い。森で発生する場合は希少上位種が魔物を引き連れる場合のみである。その上位種の出現率は低い。
ダンジョンの場合はダンジョンコアによる魔物の自然発生が原因である。ダンジョンコアは一定の時間が来ると魔物・鉱石・僅かな宝箱を産み出す。なのでその魔物を駆除しないとダンジョンから溢れスタンピードとなるのだ。
ただ、その魔物の自然発生する頻度(時間)はそこまで早くない。また、ダンジョンは広大な為、溢れるには時間が掛かるのだ。溢れるその時間は冒険者の討伐具合にもよるが、約20年間隔となる。
その20年目となるのが、皆が転移してきた今年であった。
乙女騎士団は2日の休暇を経て、今日は討伐依頼を受ける為に冒険者ギルドにやって来た。
「今日はどれにしようかな?オーク討伐を進められるけど他がいいわよね。雫はどれがいい?」
「お姉ちゃん、私はボア系がいいです。真冬さんの雷撃で簡単に倒せるし、お肉の買い取りも割りといい買取価格になるから」
「そうね。精神的にも楽だからね。ボア系にするわ」
鼎達は依頼を持って受付嬢のシルビアさんの所に向かった。
「シルビアさん、おはよう。今日はこれにするわ」
「ボアの討伐依頼ですね、判りました」
シルビアさんは書類とタグを持って処理を行う。
「あと、ダンジョン組から魔物が異常に増えていると報告が来ています。下層から相当数の魔物が上がって来ているようです。通常は魔物が階層を跨ぐことはあまり無いのでスタンピードの可能性が非常に高いです」
シルビアさんの顔色が悪い。あまり寝てないのだろう。
「ここからダンジョンまでは徒歩で5時間は掛かります。ダンジョンには連絡用の魔道具を持つ見張りの職員が居ますので、もし発生した場合はすぐに連絡が来ます。その場合、街の警鐘が鳴りますのでギルドに来てください。鼎さん達はDランクなので後方支援の召集対象になります」
鼎は3人の顔を見る。
その3人の顔は不安を示していた。
勿論、鼎も同じ顔をしていた。
バルバドス王国の転移者10名は、安定した生活を送っている。
巧と幸之助は、幸之助の転移を利用して鉱山に赴き、希少な鉱石を見つけては巧がアクセサリーなどを作製している。(その販売は真奈美さんだ)
真奈美さんは、宗政さんと一緒に借家の近くに店を開いた。1階が政宗さんの店で定食屋、2階が真奈美さんの雑貨屋だ。まだ始めたばかりなので、これからが勝負だ。
昴と菜々は相変わらずだ。乙女騎士団の4人も順調に依頼をこなしている。
この皆が住む街アンデルの近くにはダンジョンがある。だから、この街は繁栄している。ただし、スタンピードという脅威を抱えて…
スタンピードは森に比べてダンジョンで発生する割合が非常に高い。森で発生する場合は希少上位種が魔物を引き連れる場合のみである。その上位種の出現率は低い。
ダンジョンの場合はダンジョンコアによる魔物の自然発生が原因である。ダンジョンコアは一定の時間が来ると魔物・鉱石・僅かな宝箱を産み出す。なのでその魔物を駆除しないとダンジョンから溢れスタンピードとなるのだ。
ただ、その魔物の自然発生する頻度(時間)はそこまで早くない。また、ダンジョンは広大な為、溢れるには時間が掛かるのだ。溢れるその時間は冒険者の討伐具合にもよるが、約20年間隔となる。
その20年目となるのが、皆が転移してきた今年であった。
乙女騎士団は2日の休暇を経て、今日は討伐依頼を受ける為に冒険者ギルドにやって来た。
「今日はどれにしようかな?オーク討伐を進められるけど他がいいわよね。雫はどれがいい?」
「お姉ちゃん、私はボア系がいいです。真冬さんの雷撃で簡単に倒せるし、お肉の買い取りも割りといい買取価格になるから」
「そうね。精神的にも楽だからね。ボア系にするわ」
鼎達は依頼を持って受付嬢のシルビアさんの所に向かった。
「シルビアさん、おはよう。今日はこれにするわ」
「ボアの討伐依頼ですね、判りました」
シルビアさんは書類とタグを持って処理を行う。
「あと、ダンジョン組から魔物が異常に増えていると報告が来ています。下層から相当数の魔物が上がって来ているようです。通常は魔物が階層を跨ぐことはあまり無いのでスタンピードの可能性が非常に高いです」
シルビアさんの顔色が悪い。あまり寝てないのだろう。
「ここからダンジョンまでは徒歩で5時間は掛かります。ダンジョンには連絡用の魔道具を持つ見張りの職員が居ますので、もし発生した場合はすぐに連絡が来ます。その場合、街の警鐘が鳴りますのでギルドに来てください。鼎さん達はDランクなので後方支援の召集対象になります」
鼎は3人の顔を見る。
その3人の顔は不安を示していた。
勿論、鼎も同じ顔をしていた。
13
お気に入りに追加
2,276
あなたにおすすめの小説
異世界召喚失敗から始まるぶらり旅〜自由気ままにしてたら大変なことになった〜
ei_sainome
ファンタジー
クラスメイト全員が異世界に召喚されてしまった!
謁見の間に通され、王様たちから我が国を救って欲しい云々言われるお約束が…始まらない。
教室内が光ったと思えば、気づけば地下に閉じ込められていて、そこには誰もいなかった。
勝手に召喚されたあげく、誰も事情を知らない。未知の世界で、自分たちの力だけでどうやって生きていけというのか。
元の世界に帰るための方法を探し求めて各地を放浪する旅に出るが、似たように見えて全く異なる生態や人の価値観と文化の差に苦悩する。
力を持っていても順応できるかは話が別だった。
クラスメイトたちにはそれぞれ抱える内面や事情もあり…新たな世界で心身共に表面化していく。
※ご注意※
初投稿、試作、マイペース進行となります。
作品名は今後改題する可能性があります。
世界観だけプロットがあり、話の方向性はその場で決まります。
旅に出るまで(序章)がすごく長いです。
他サイトでも同作を投稿しています。
更新頻度は1〜3日程度を目標にしています。
異世界転移したけど、果物食い続けてたら無敵になってた
甘党羊
ファンタジー
唐突に異世界に飛ばされてしまった主人公。
降り立った場所は周囲に生物の居ない不思議な森の中、訳がわからない状況で自身の能力などを確認していく。
森の中で引きこもりながら自身の持っていた能力と、周囲の環境を上手く利用してどんどん成長していく。
その中で試した能力により出会った最愛のわんこと共に、周囲に他の人間が居ない自分の住みやすい地を求めてボヤきながら異世界を旅していく物語。
協力関係となった者とバカをやったり、敵には情け容赦なく立ち回ったり、飯や甘い物に並々ならぬ情熱を見せたりしながら、ゆっくり進んでいきます。
異世界転生はどん底人生の始まり~一時停止とステータス強奪で快適な人生を掴み取る!
夢・風魔
ファンタジー
若くして死んだ男は、異世界に転生した。恵まれた環境とは程遠い、ダンジョンの上層部に作られた居住区画で孤児として暮らしていた。
ある日、ダンジョンモンスターが暴走するスタンピードが発生し、彼──リヴァは死の縁に立たされていた。
そこで前世の記憶を思い出し、同時に転生特典のスキルに目覚める。
視界に映る者全ての動きを停止させる『一時停止』。任意のステータスを一日に1だけ奪い取れる『ステータス強奪』。
二つのスキルを駆使し、リヴァは地上での暮らしを夢見て今日もダンジョンへと潜る。
*カクヨムでも先行更新しております。
流石に異世界でもこのチートはやばくない?
裏おきな
ファンタジー
片桐蓮《かたぎりれん》40歳独身駄目サラリーマンが趣味のリサイクルとレストアの資材集めに解体業者の資材置き場に行ったらまさかの異世界転移してしまった!そこに現れたのが守護神獣になっていた昔飼っていた犬のラクス。
異世界転移で手に入れた無限鍛冶
のチート能力で異世界を生きて行く事になった!
この作品は約1年半前に初めて「なろう」で書いた物を加筆修正して上げていきます。
異世界転移ボーナス『EXPが1になる』で楽々レベルアップ!~フィールドダンジョン生成スキルで冒険もスローライフも謳歌しようと思います~
夢・風魔
ファンタジー
大学へと登校中に事故に巻き込まれて溺死したタクミは輪廻転生を司る神より「EXPが1になる」という、ハズレボーナスを貰って異世界に転移した。
が、このボーナス。実は「獲得経験値が1になる」のと同時に、「次のLVupに必要な経験値も1になる」という代物だった。
それを知ったタクミは激弱モンスターでレベルを上げ、あっさりダンジョンを突破。地上に出たが、そこは小さな小さな小島だった。
漂流していた美少女魔族のルーシェを救出し、彼女を連れてダンジョン攻略に乗り出す。そしてボスモンスターを倒して得たのは「フィールドダンジョン生成」スキルだった。
生成ダンジョンでスローライフ。既存ダンジョンで異世界冒険。
タクミが第二の人生を謳歌する、そんな物語。
*カクヨム先行公開
『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる
農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」
そんな言葉から始まった異世界召喚。
呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!?
そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう!
このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。
勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定
私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。
ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。
他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。
なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。
女神のお気に入り少女、異世界で奮闘する。(仮)
土岡太郎
ファンタジー
自分の先祖の立派な生き方に憧れていた高校生の少女が、ある日子供助けて死んでしまう。
死んだ先で出会った別の世界の女神はなぜか彼女を気に入っていて、自分の世界で立派な女性として活躍ができるようにしてくれるという。ただし、女神は努力してこそ認められるという考え方なので最初から無双できるほどの能力を与えてくれなかった。少女は憧れの先祖のような立派な人になれるように異世界で愉快で頼れる仲間達と頑張る物語。 でも女神のお気に入りなので無双します。
*10/17 第一話から修正と改訂を初めています。よければ、読み直してみてください。
*R-15としていますが、読む人によってはそう感じるかもしないと思いそうしています。
あと少しパロディもあります。
小説家になろう様、カクヨム様、ノベルアップ+様でも投稿しています。
YouTubeで、ゆっくりを使った音読を始めました。
良ければ、視聴してみてください。
【ゆっくり音読自作小説】女神のお気に入り少女、異世界で奮闘する。(仮)
https://youtu.be/cWCv2HSzbgU
それに伴って、プロローグから修正をはじめました。
ツイッター始めました。 https://twitter.com/tero_oo
外れスキル【削除&復元】が実は最強でした~色んなものを消して相手に押し付けたり自分のものにしたりする能力を得た少年の成り上がり~
名無し
ファンタジー
突如パーティーから追放されてしまった主人公のカイン。彼のスキルは【削除&復元】といって、荷物係しかできない無能だと思われていたのだ。独りぼっちとなったカインは、ギルドで仲間を募るも意地悪な男にバカにされてしまうが、それがきっかけで頭痛や相手のスキルさえも削除できる力があると知る。カインは一流冒険者として名を馳せるという夢をかなえるべく、色んなものを削除、復元して自分ものにしていき、またたく間に最強の冒険者へと駆け上がっていくのだった……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる