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「まじか……ほんと信じられねぇ」
剣を片手に、野原で少年が寝転がっていた。
「いつまで愚痴ってるんだよ、レオ」
「あ? だってよ、昨日の仕事ほぼ無意味ってことじゃねぇか」
「けど一応は、魔術道具だったじゃねーか。 まぁしょぼかったけど」
「はぁ……」
彼の周りに人はない。
レオと呼ばれる少年は、手に握る剣と話していた。
剣には、口のようなものがあり、レオと会話している。
「ほら、お前だって嫌いな人間の腕を喰ったんだぜ?」
「喰わせたのはお前だろうが」
「……」
「おいッ! 無視するな!」
「いてっ!」
剣から無造作に生えたこぶしがレオの額を軽く小突く。
「怒んなって」
「じゃあもう喰わせるなよ? せめて魚だ、いいな、約束しろ」
「……まぁ多分もうやらない」
「お前っ!」
「いたっ! いてぇよそれ!」
「痛くしてんだよっ!」
互いににらみつけるが、辺りののどかな雰囲気に、だんだんバカバカしくなる。
「「はぁ、早く普通の人間になりてぇなぁ」」
二人は思わず疲れ切ったため息をついた。
と、レオの頭に鳥の影が現れる。
鳥の影はだんだんと大きくなり、そばに一羽の鳩が降り立つ。
「おい、レオ起きろ。 招集だぞ」
「うへぇ……絶対説教だろ」
「そうかもな。 ま、どっちにしろ行くしかねぇぞ」
「わーってるよ」
レオは、けだるげな様子で、鳩の足元に結ばれている小指ほどに丸められた紙を受け取る。
そこには、招集時間と場所が書かれていた。
「今夜20時に教会前に集合、か」
「王国の教会か?」
「みたいだな。 はぁ、今から出ても少し遅れるな」
「ま、いいじゃねーか。 さっさと行こうぜ、レオ」
「あぁ、そうだな」
この村から王国までは、軽く見積もっても3時間ほどはかかる。
そしていまは、夕暮れ。
レオは、遅刻するのを覚悟の上でのそのそと歩き出した。
ーーーー【王国・教会内】ーーーー
きらびやかで、広々とした協会。
しかし、そこには一人の細身の男と、シスターがいるだけだ。
「……あの人は本当に来るんでしょうか」
「ふふ、心配なのはわかるよ? けど、あれは私の弟子だ。 ちゃんと来るさ」
「ただ一人の魔剣使い……うまく扱えるでしょうか」
「いい子だからね、きっと大丈夫さ。 弟子を頼むよ?」
「はい、それが命令ならばこなすのが私の使命なので」
細身の男はシスターの返答に満足げにほほ笑んだ。
剣を片手に、野原で少年が寝転がっていた。
「いつまで愚痴ってるんだよ、レオ」
「あ? だってよ、昨日の仕事ほぼ無意味ってことじゃねぇか」
「けど一応は、魔術道具だったじゃねーか。 まぁしょぼかったけど」
「はぁ……」
彼の周りに人はない。
レオと呼ばれる少年は、手に握る剣と話していた。
剣には、口のようなものがあり、レオと会話している。
「ほら、お前だって嫌いな人間の腕を喰ったんだぜ?」
「喰わせたのはお前だろうが」
「……」
「おいッ! 無視するな!」
「いてっ!」
剣から無造作に生えたこぶしがレオの額を軽く小突く。
「怒んなって」
「じゃあもう喰わせるなよ? せめて魚だ、いいな、約束しろ」
「……まぁ多分もうやらない」
「お前っ!」
「いたっ! いてぇよそれ!」
「痛くしてんだよっ!」
互いににらみつけるが、辺りののどかな雰囲気に、だんだんバカバカしくなる。
「「はぁ、早く普通の人間になりてぇなぁ」」
二人は思わず疲れ切ったため息をついた。
と、レオの頭に鳥の影が現れる。
鳥の影はだんだんと大きくなり、そばに一羽の鳩が降り立つ。
「おい、レオ起きろ。 招集だぞ」
「うへぇ……絶対説教だろ」
「そうかもな。 ま、どっちにしろ行くしかねぇぞ」
「わーってるよ」
レオは、けだるげな様子で、鳩の足元に結ばれている小指ほどに丸められた紙を受け取る。
そこには、招集時間と場所が書かれていた。
「今夜20時に教会前に集合、か」
「王国の教会か?」
「みたいだな。 はぁ、今から出ても少し遅れるな」
「ま、いいじゃねーか。 さっさと行こうぜ、レオ」
「あぁ、そうだな」
この村から王国までは、軽く見積もっても3時間ほどはかかる。
そしていまは、夕暮れ。
レオは、遅刻するのを覚悟の上でのそのそと歩き出した。
ーーーー【王国・教会内】ーーーー
きらびやかで、広々とした協会。
しかし、そこには一人の細身の男と、シスターがいるだけだ。
「……あの人は本当に来るんでしょうか」
「ふふ、心配なのはわかるよ? けど、あれは私の弟子だ。 ちゃんと来るさ」
「ただ一人の魔剣使い……うまく扱えるでしょうか」
「いい子だからね、きっと大丈夫さ。 弟子を頼むよ?」
「はい、それが命令ならばこなすのが私の使命なので」
細身の男はシスターの返答に満足げにほほ笑んだ。
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