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「はじめに言いませんでしたか?『検証する』と。
貴方の仰る悪事を行った後の結果が知りたいと思いました」

「結果、だと?」

「さて、ここに大階段を持ち込めませんので、即席ですが魔法で作ってみますね」

パチンと扇を閉じると、エブリシアの身体が宙に浮いた。

「大階段の高さは大体五メートルくらいでしたか」

ぐんぐんエブリシアの身体が引き上げられ、会場の天井ギリギリまで浮かされた。

「ぎゃぁああ!だずげでぇ!」

「リ、リベローラ!もう、止めないか!こんな事をしてもし、彼女が死んでしまったら、」

「クリスフォード様。彼女は一度、大階段から転がり落ちているんでしょう?死ななかったのだから大丈夫ですよ」

「それは、たまたま運が良かっただけで!」

「運が良かったから、怪我の一つも負わなかった?
首飾りもドレスも熱いお茶も。たまたま怪我を負わなかった?今回は、どの件でもお怪我をなさっておいでですけれどね」

クリスフォードははっとした。
エブリシアの怪我を負った姿など一度も見ていない。
毎日会っていたクリスフォードなら、打撲痕でも擦り傷でも、なにかあれば気づいたはずだ。

「大階段から落ちて、擦り傷の一つもなかったなら、普通はですわね」

たしかに…そうだ。
あの高さから落ちたのならば。

「エブリシアさん!では、はりきって参りましょう!」

「ま、待て、本当に、危険だから!」

「いやぁお願いおろして、おろし」
「前と同じようにすれば、怪我しないですよ!頑張って」
「前って」

リベローラは扇を掲げた。

「私に突き落とされるの二度目なのでしょう…?」

エブリシアに向かって微笑んだ。
彼女の顔が歪む。

「それは」
「二回目だから大丈夫ですよ!」

リベローラは無慈悲に扇を振りかぶった。

エブリシアが上空から透明な階段を転がっていく。

転がりながら身体が跳ね、階段に打ち付けられ、それを何度も繰り返して、地上に戻ってきた。
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