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七
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「お父様!私、王太子殿下より婚約者候補から外れたことと、国外追放を宣言されました!」
「!すぐに行動しろ」
公爵家にもどったローレンシアは父に要点を告げると、当主はすぐさま動いた。
「この国から二カ国離れた先の妻の故郷か、私の弟がいる隣国。他にもいくつか知り合いのいる国はある。お前が行きたい国を選んで出国しなさい。連絡は向こうについてからで良いから」
「わかりました。お父様」
半刻で旅支度を整えたローレンシアは、出ていく前に父との抱擁を交わす。
「道中気をつけるように」
「はい」
馬車ではなく、馬に跨り、走り出す。
間違いなく出国は出来るはずだ。
王太子が「国外追放」を告げたのだから。
それでも気は抜けない。
「絶対この国からでていくっ!もう顔色を見ながらご機嫌伺いしないといけない生活から抜け出してやるんだから」
ローレンシアは野を駆け抜けた。
荷は出来るだけ最小で。
必要なものは現地で揃える。
安宿を避ける。
水は…。
いつも何度も復唱し覚えた。
いざという時の為に。
スカートではなく動きやすいパンツスタイルで、髪を一つに束ねている。
一見、貴族令嬢には見えぬ格好でローレンシアは国境を目指した。
「…すぐに陛下に知られ、父の元へ連絡が行く。時間を多少稼げたとしても、二日が限界かな…」
一番近い国境を、と考えたがその先がローレンシが目的地とする国ではない。
しかも友好国なので、国を通して連絡されたら終わってしまう。
越境と同時に国境警備に拘束されるだろう。
「距離と時間を考えても、ギリギリ。でも、」
一晩、馬を走らせる覚悟をした。
気が昂っている今ならいけるかもしれない。
愛馬の手綱を握りしめて、ローレンシアはまっすぐ前だけ見つめて走り続けた。
「!すぐに行動しろ」
公爵家にもどったローレンシアは父に要点を告げると、当主はすぐさま動いた。
「この国から二カ国離れた先の妻の故郷か、私の弟がいる隣国。他にもいくつか知り合いのいる国はある。お前が行きたい国を選んで出国しなさい。連絡は向こうについてからで良いから」
「わかりました。お父様」
半刻で旅支度を整えたローレンシアは、出ていく前に父との抱擁を交わす。
「道中気をつけるように」
「はい」
馬車ではなく、馬に跨り、走り出す。
間違いなく出国は出来るはずだ。
王太子が「国外追放」を告げたのだから。
それでも気は抜けない。
「絶対この国からでていくっ!もう顔色を見ながらご機嫌伺いしないといけない生活から抜け出してやるんだから」
ローレンシアは野を駆け抜けた。
荷は出来るだけ最小で。
必要なものは現地で揃える。
安宿を避ける。
水は…。
いつも何度も復唱し覚えた。
いざという時の為に。
スカートではなく動きやすいパンツスタイルで、髪を一つに束ねている。
一見、貴族令嬢には見えぬ格好でローレンシアは国境を目指した。
「…すぐに陛下に知られ、父の元へ連絡が行く。時間を多少稼げたとしても、二日が限界かな…」
一番近い国境を、と考えたがその先がローレンシが目的地とする国ではない。
しかも友好国なので、国を通して連絡されたら終わってしまう。
越境と同時に国境警備に拘束されるだろう。
「距離と時間を考えても、ギリギリ。でも、」
一晩、馬を走らせる覚悟をした。
気が昂っている今ならいけるかもしれない。
愛馬の手綱を握りしめて、ローレンシアはまっすぐ前だけ見つめて走り続けた。
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