両親は妹だけを可愛がる。

基本二度寝

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「次期当主の指名を行う」

この国では、当主の指名を国王陛下のもとで行う。
国が定めている条件に該当しなければ認められない。

伯爵家の令嬢、エリエルとエクシル。
両親の他に、エクシルの婚約者の侯爵子息もこの場にいた。

「我が伯爵家は次期当主に次女エクシルを指名します」

父の言葉に、エクシルが一歩歩み出た。

「ふむ。…その娘か…宰相」
「はい。では、血縁証明の儀式を行います、当主と指名された者は前へ」

国王陛下にじっと見つめられてとエクシルは当然と言わんばかりに視線を受けた。
その容姿から他人の視線には慣れている。

父とエクシルが用意された水晶に触れた。

「…はい、結構です。
…伯爵家次女エクシル嬢は、当主にはなれません」

宰相は抑揚も驚きもなく淡々と告げた。
彼にとっては特別に珍しいことでもない。

しかし、当人たちは違う。青天の霹靂だった。

「えっ」

父と母、そしてエクシルと侯爵子息の声が重なった。

(やっぱりか)

エリエルにはそんな気はしていた。

「エクシル嬢は伯爵当主と血縁はありません。
当主の子ではないので、次期当主へ引き継ぎはできません」

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