魅了されたのは

「公爵令嬢エルシモアとの婚約を破棄する!」

貴族が集う夜会で王太子は、婚約者と対峙した上で宣言した。

エルシモアは、きょとんとした後、ゆっくり口角を上げて笑った。

「かしこまりました」

静かに了承し、側に居た男性にエルシモアは身を寄せる。

「私、婚約破棄されてしまいました」

甘えるように男性を見上げる姿に、王太子は憤った。

「婚約者がある身でありながらそのように他の男に縋る女などお断りだ!だから婚約破棄をするのだ!!」

叫ぶ王太子にも、傍らに婚約者ではない令嬢を連れていた。


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