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「侯爵令嬢エリクシア!婚約を破棄する!」

貴族学園最後の式典を終え、順番に退場している場で、壇上に上がった第一王子は、エリクシアを指差し叫んだ。

「…なにをおっしゃっているのですか」

またわけのわからないことを。
結局最後までエリクシアは婚約者の考えを理解することはなかったなと思う。

「お前は、ある令嬢を虐げたばかりか、ほかの男との浮気を繰り返していた事も聞き及んでいる」
「まぁ殿下がいながら、他の殿方と…!?」

第一王子の側に面識のない令嬢が侍る。
大げさに驚くその令嬢を、王子は腰を抱いて引き寄せた。

「エリクシア様。それでは婚約破棄は仕方がないですわ」

「…はぁ」

ふふん、と見下す王子と令嬢にエリクシアは現実を突きつけた。


「婚約破棄もなにも、我々の婚約は本日をもって解消されます。一ヶ月前に国王陛下より通達がありました。
まさか、ご存知ではないのですか」

「…なに?」

「陛下も卒業一ヶ月前とは、随分粘ったと思いますが…。ようやく見切りをつけられたようですね」

心なしか顔色を悪くしている王子に、そこで喜べる程、能天気でもなかったのだなと知る。
まぁもう全て遅いのだけれど。
隣の令嬢はといえば、先程と違い本気で驚いていた。

「見切り、だと…?」

「私との婚約継続の条件に、『王太子となる者』とありましたので。
ご存知の通り、我が国では王族男児は在学中に、なんらかの実績をあげねばなりません。
その評価が次期国王の選定基準となります。
国王陛下は卒業一ヶ月前まで第一王子の実績を待っていたようですが…。
結果は、ご存知の通りです」

エリクシアは肩を竦めた。

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