彼女(ヒロイン)は、バッドエンドが確定している

おそらく彼女(ヒロイン)は記憶持ちだった。

王族が認め、発表した「稀有な能力を覚醒させた」と、『選ばれた平民』。

彼女は侯爵令嬢の婚約者の第二王子と距離が近くなり、噂を立てられるほどになっていた。

しかし、侯爵令嬢はそれに構う余裕はなかった。

侯爵令嬢は、第二王子から急遽開催される夜会に呼び出しを受けた。
とうとう婚約破棄を言い渡されるのだろう。

平民の彼女は第二王子の婚約者から彼を奪いたいのだ。
それが、運命だと信じている。

…穏便に済めば、大事にならないかもしれない。

会場へ向かう馬車の中で侯爵令嬢は息を吐いた。

侯爵令嬢もまた記憶持ちだった。

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