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二
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「妃だと…?キャスリン。どういう事だ説明しろ」
リーゲネスは頭を抑え、妃を睨みつけた。
数時間前に睦み合い、愛しげに見つめられていたなんて信じられない程に、射殺さんばかりの殺意を込めた視線で。
「はい。陛下。全てはこの国の為に」
キャスリンは片膝を付いて、リーゲネスに臣下の礼をとった。
この場には信頼できる王家の侍女と護衛のみ。
二人で話がしたいと、息子は娘を預けている乳母のもとへ連れて行かせた。
「っ何が国のためだ!何故お前が妃になっているんだ」
リーゲネスは頭を垂れるキャスリンに怒鳴りつける。
「私はお前に協力を願ったはずだ!
私の最愛を守れと!!それがどうして!」
リーゲネスは手近にあった置物を下に落とし、大きな音を立てた。
破片が飛び散り、キャスリンの頬を掠めた。
「…確かにあの日、陛下は婚約者だったファリシア様に婚約破棄を付きつけました。
前日に陛下が危惧していた通り」
リーゲネスは先見の力があった。それはとても稀有な能力だった。
夢に見た出来事が、未来に訪れる。
リーゲネスは婚約者のファリシアに罪を着せ、婚約破棄を言い渡す、彼女が婚約者に決まってから、夢に見続けていた未来だった。
リーゲネスはそんなことをするつもりはなかったし、ファリシアを愛していた。
だから、その未来を変えようと抗った。
リーゲネスは信用のできる者たちを育て、側に置いた。
ファリシアに罪を着せるなど、酷いことをするつもりもなかった。
だが、事件が起きるであろう前日に、リーゲネスは自分の気づかぬ間に、ファリシアに着せるべく罪を作り上げていたことに気づき、ぞっとした。
自分の意識のないところで、先見した未来に向かって進まされているようで、リーゲネスは恐怖した。
だから、ファリシアを守ってほしいと、リーゲネスは信用した側近やキャスリンに託し、それから自我を失った。
リーゲネスは頭を抑え、妃を睨みつけた。
数時間前に睦み合い、愛しげに見つめられていたなんて信じられない程に、射殺さんばかりの殺意を込めた視線で。
「はい。陛下。全てはこの国の為に」
キャスリンは片膝を付いて、リーゲネスに臣下の礼をとった。
この場には信頼できる王家の侍女と護衛のみ。
二人で話がしたいと、息子は娘を預けている乳母のもとへ連れて行かせた。
「っ何が国のためだ!何故お前が妃になっているんだ」
リーゲネスは頭を垂れるキャスリンに怒鳴りつける。
「私はお前に協力を願ったはずだ!
私の最愛を守れと!!それがどうして!」
リーゲネスは手近にあった置物を下に落とし、大きな音を立てた。
破片が飛び散り、キャスリンの頬を掠めた。
「…確かにあの日、陛下は婚約者だったファリシア様に婚約破棄を付きつけました。
前日に陛下が危惧していた通り」
リーゲネスは先見の力があった。それはとても稀有な能力だった。
夢に見た出来事が、未来に訪れる。
リーゲネスは婚約者のファリシアに罪を着せ、婚約破棄を言い渡す、彼女が婚約者に決まってから、夢に見続けていた未来だった。
リーゲネスはそんなことをするつもりはなかったし、ファリシアを愛していた。
だから、その未来を変えようと抗った。
リーゲネスは信用のできる者たちを育て、側に置いた。
ファリシアに罪を着せるなど、酷いことをするつもりもなかった。
だが、事件が起きるであろう前日に、リーゲネスは自分の気づかぬ間に、ファリシアに着せるべく罪を作り上げていたことに気づき、ぞっとした。
自分の意識のないところで、先見した未来に向かって進まされているようで、リーゲネスは恐怖した。
だから、ファリシアを守ってほしいと、リーゲネスは信用した側近やキャスリンに託し、それから自我を失った。
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