過去に戻った筈の王

基本二度寝

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王太子妃が放棄した公務をこなしているのは王妃だった。

王妃を引退させれば、全ての仕事をホボロンが引き受けねばならない。
さすがにそれは不可能だ。

父が高齢になり、王太子は三十を超えた時に国王を引き継いだ。
母は王太后として、引き続き公務を任せている。

名ばかりの王妃は公務を放棄したままだが、ホボロンの訪れを拒むことをしなかったので子はいた。

二人の男児に恵まれたことは運が良かった。
どちらかが己を手助けしてくれるのはまだまだ先のことだけれど。


ホボロンは時々逃避する。

あの時、父と母の言葉に耳を傾けていれば、今の自分はなかった。
愛しいと思って望んだ妻も、結婚後笑わなくなった。
何故、あんなに頑なに彼女を王妃に望んだのか、今となってはわからない。

二人の子を産んでから、役目は終わったとホボロンを受け入れなくなった王妃。

…あの頃に戻れたら。
思い返すのは入学する前の仲が良かった頃。

「シェラティエラ…」

ホボロンは仕事の合間に空想に浸り、現実に戻ると激しく落ち込んでいた。

そんな毎日を繰り返し、ついに倒れたのだった。

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