過去に戻った筈の王

基本二度寝

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「なんだったんですか?あれ。王都は人材不足なんです?私なぞに声掛けなんて…」

突然現れたホボロン王太子殿下は、数十分の滞在で帰ってしまった。
代官は苦笑した。

「助かったよ。
「はい?私なんかしまして?果物?」

代官はそうではないと首を振った。

「領主様、いやお義父様から連絡があった。どうやら殿下はシエラを側妃に望んだようだよ」
「はぁああああ!?あのすっとこどっこい!今更泣きついてきたってことですか!」

アリーが般若になる。

「良いタイミングでアリーが来てくれたから、君をシエラと勘違いしたみたいだ」
「まっ!」

シェラティエラとアリーは似ても似つかない。
髪色が似てはいるが顔立ちも体型も違う。

アリーはシェラティエラの侍女だった。
何度も王太子と顔を合わせているのに、何故勘違いをしたのだとアリーは首を傾げた。

「うん、まぁ…君も此処にやって来た時からすれば…少し…ふくよか…ぽっちゃり…したから…わからなかったのかな…?」

代官が言葉を濁すほどに、アリーの外見は変わった。
本人にその自覚は…あまりない。

「奥様だって変わられましたよ。ますます美しくなられて…」

アリーはうっとりしている。
シェラティエラに心酔し、婚約破棄後引っ込んだ領地にまでお仕掛けてきた。
シェラティエラの乳母になるのだと、彼女に合わせ自身も結婚し、同じ時期に子まで持った。

「どうやって王太子殿下の命令を躱そうか考えていたんだけど、君のおかげだ。ありがとう」

「旦那様。私の一番の望みはシェラティエラ様の幸せなんです。ですから、お役に立ててよかったです」

二番が我が子で、旦那は最後ですけどね、と舌を出すアリーの言葉は、彼女の旦那には内緒にしておこうと思った代官だった。
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