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12月13日(ダブルデート)
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幼馴染の亜紀はどさくさに紛れて観覧車の中でも襲ってくる
「最後はやっぱりこれだ!!」
と、あたしは観覧車の前で両手を広げた。
4人で遊園地に遊びに来て乗り物や食べ歩きなど遊びまくった締めくくりに訪れたのが観覧車。
遊園地の最後といったらやっぱりこれでしょ。
いい感じに日が沈んで夜景が綺麗になっていく時間帯。
周りはカップルカップルカップルではあるが、4人友達同士でも観覧車くらい乗る!
観覧車に乗っていく人たちは大体が二人組が多い。
あたし達も多分このままいけば、あたしと亜紀、悠木涼と凪沙という組み合わせで観覧車に乗ることになるだろう。
ちらっと亜紀の方を見る。
亜紀と2人で観覧車とか危険な匂いしかしない。
あたしは右手をみんなの前に差し出した。
「それじゃ、グーチーして2人ずつに別れよ――」
「ダブルデートなんだから、私とちさき、凪沙さんと涼さんで決定してるから」
話してる途中で私が差し出した右腕を亜紀が引っ張っていく。
「4人みんなで乗ってもいいんだぞ!?」
「却下」
あたしの意見は全て却下され観覧車の方に連れて行かれる。
「な、何もするなよ!?触るなよ!?」
2人きりになると暴走気味な亜紀に注意をするが全く気にする様子もなく、ゴンドラの中に放り込まれ15分という途中下車のできない亜紀と2人きりのドキドキな旅に出かけるのだった。
「お、おい。バランス悪くないか?」
「大丈夫だよこれくらい」
大丈夫か大丈夫じゃないかの問題ではない。
傾いていると体の重心が悪いと言っているんだが……
観覧車に乗車早々。亜紀は私の隣に座った。
円形の形をしているゴンドラに片方だけに2人で座ったらどうなるか。
当然傾く。
何となく後に倒れそうになる体を保ちつつ座っている。
「今日はダブルデートだから私たちもカップルだからね?」
「それは初耳だなぁ!!」
亜紀はずっとあたしと手を繋いで嬉しそうに外を眺めたりして楽しんでいる。
他に何かしてくる気配がないのであたしも外を眺めたりして楽しむことにした。
徐々に上昇していく箱は眺めの良い風景へと変わっていき、街の明かりが輝きだしていて意外と見応えのある綺麗な街並みに目を奪われていった。
「あ、あれ!亜紀!あそこ高校かな!?」
亜紀とは反対側の景色を楽しんでいると、高校と思わしき建物が見えてつい興奮して亜紀に振り返った。
間近でメガネの奥の瞳と目が合った。
「ちっか!!!」
振り向いたら文字通り目と鼻の先に亜紀がいてびっくりして体を引いた。
亜紀はとぼけた表情をするけど、絶対わざとだ。あたしにはわかる。幼馴染だからな!
「本当だ。高校みたいだね」
視線を窓の外に移した亜紀は、じりっとあたしに近づいてあたしが見ていた方向を見る。
「だ、だから!近いって!」
気づけば椅子の隅まで追いやられていたあたしは肩に亜紀の体温を感じているし、右手はずっと握られたまま……
トクトクと鼓動はいつの間にかスピードを上げているし、ゆっくりと上昇しているゴンドラはいつの間にか頂上近くまで到達している。
窓の外を見ていた亜紀があたしと視線を合わせた。
目の前に亜紀が視界いっぱいまで広がっていて、あたしは目を見開いた。
ちょっと眠そうな瞳。長いまつ毛。薄い唇。薄く化粧が施されている。
肩口の髪、目の上で切り揃えられた前髪。昔から変わってないように見えてたまに新調されている眼鏡。
あたしの視界は亜紀しか見えていない。じっとこちらを見つめてきている。
「今日はカップルだもんね」
小さく亜紀が囁いてきた。
「カップルが観覧車の頂上で何するか知ってる?」
あたしの心音が更にスピードを上げた。
観覧車の頂上。上昇中や下降中は周りのゴンドラから中が見えたりするが、頂上になると誰にも見られる事はない。
そんな中、カップルがすることと言えば……キス
「えっ!?………」
更に近寄ってくる亜紀。
鼻が触れ合うんじゃないかと思うような距離。
後ろにこれ以上下がれなくて、あたしは亜紀に追い詰められている。
「ま、マジで言ってる?」
「うん」
更に近寄ってくる亜紀。
「ちさき。目閉じて?」
目を閉じたら……え?するの?
あたしは目を閉じれなかった。何ならびっくりしすぎて目を見開いてしまった。
カシャ
「え………」
2人だけの空間に機械音が鳴った。
音がしたであろう方向に目を向けると、あたしと手を繋いでいない亜紀のもう片方の手に携帯が握られていた。
カメラモードである。
すっと亜紀が離れていった。
携帯を確認して今撮ったであろう写真を見せてきた。
あと数センチで唇が触れ合いそうな距離の2人。
「頂上は1番景色が良いから自撮りするカップルも多いんだって」
「…………」
「キス、すると思った?」
亜紀の口元がニヤと微笑んだ。
「あ、あ、あ、」
「あ?」
「亜紀!!からかったなぁ!?!?」
あたしは亜紀のおでこにペシンと平手をかました。良い音が響いた。
「でもキスするカップルも多いし………本当にする?」
「するかぁぁ」
揺れるゴンドラの中でペシンという音とあたしの叫びと亜紀の笑い声が響いた。
下降中はなんだかんだ亜紀と色々あって景色どころではなかった。
まぁ、ずっと景色だけというのも飽きるし、こうやって楽しく笑っている方が良い思い出にもなるんだよな、という事は亜紀には言わない。
ゴンドラから降りて観覧車の出口に向かう。
後から乗った悠木涼と凪沙を待ちつつあたしは息を整えていた。
「最後はやっぱりこれだ!!」
と、あたしは観覧車の前で両手を広げた。
4人で遊園地に遊びに来て乗り物や食べ歩きなど遊びまくった締めくくりに訪れたのが観覧車。
遊園地の最後といったらやっぱりこれでしょ。
いい感じに日が沈んで夜景が綺麗になっていく時間帯。
周りはカップルカップルカップルではあるが、4人友達同士でも観覧車くらい乗る!
観覧車に乗っていく人たちは大体が二人組が多い。
あたし達も多分このままいけば、あたしと亜紀、悠木涼と凪沙という組み合わせで観覧車に乗ることになるだろう。
ちらっと亜紀の方を見る。
亜紀と2人で観覧車とか危険な匂いしかしない。
あたしは右手をみんなの前に差し出した。
「それじゃ、グーチーして2人ずつに別れよ――」
「ダブルデートなんだから、私とちさき、凪沙さんと涼さんで決定してるから」
話してる途中で私が差し出した右腕を亜紀が引っ張っていく。
「4人みんなで乗ってもいいんだぞ!?」
「却下」
あたしの意見は全て却下され観覧車の方に連れて行かれる。
「な、何もするなよ!?触るなよ!?」
2人きりになると暴走気味な亜紀に注意をするが全く気にする様子もなく、ゴンドラの中に放り込まれ15分という途中下車のできない亜紀と2人きりのドキドキな旅に出かけるのだった。
「お、おい。バランス悪くないか?」
「大丈夫だよこれくらい」
大丈夫か大丈夫じゃないかの問題ではない。
傾いていると体の重心が悪いと言っているんだが……
観覧車に乗車早々。亜紀は私の隣に座った。
円形の形をしているゴンドラに片方だけに2人で座ったらどうなるか。
当然傾く。
何となく後に倒れそうになる体を保ちつつ座っている。
「今日はダブルデートだから私たちもカップルだからね?」
「それは初耳だなぁ!!」
亜紀はずっとあたしと手を繋いで嬉しそうに外を眺めたりして楽しんでいる。
他に何かしてくる気配がないのであたしも外を眺めたりして楽しむことにした。
徐々に上昇していく箱は眺めの良い風景へと変わっていき、街の明かりが輝きだしていて意外と見応えのある綺麗な街並みに目を奪われていった。
「あ、あれ!亜紀!あそこ高校かな!?」
亜紀とは反対側の景色を楽しんでいると、高校と思わしき建物が見えてつい興奮して亜紀に振り返った。
間近でメガネの奥の瞳と目が合った。
「ちっか!!!」
振り向いたら文字通り目と鼻の先に亜紀がいてびっくりして体を引いた。
亜紀はとぼけた表情をするけど、絶対わざとだ。あたしにはわかる。幼馴染だからな!
「本当だ。高校みたいだね」
視線を窓の外に移した亜紀は、じりっとあたしに近づいてあたしが見ていた方向を見る。
「だ、だから!近いって!」
気づけば椅子の隅まで追いやられていたあたしは肩に亜紀の体温を感じているし、右手はずっと握られたまま……
トクトクと鼓動はいつの間にかスピードを上げているし、ゆっくりと上昇しているゴンドラはいつの間にか頂上近くまで到達している。
窓の外を見ていた亜紀があたしと視線を合わせた。
目の前に亜紀が視界いっぱいまで広がっていて、あたしは目を見開いた。
ちょっと眠そうな瞳。長いまつ毛。薄い唇。薄く化粧が施されている。
肩口の髪、目の上で切り揃えられた前髪。昔から変わってないように見えてたまに新調されている眼鏡。
あたしの視界は亜紀しか見えていない。じっとこちらを見つめてきている。
「今日はカップルだもんね」
小さく亜紀が囁いてきた。
「カップルが観覧車の頂上で何するか知ってる?」
あたしの心音が更にスピードを上げた。
観覧車の頂上。上昇中や下降中は周りのゴンドラから中が見えたりするが、頂上になると誰にも見られる事はない。
そんな中、カップルがすることと言えば……キス
「えっ!?………」
更に近寄ってくる亜紀。
鼻が触れ合うんじゃないかと思うような距離。
後ろにこれ以上下がれなくて、あたしは亜紀に追い詰められている。
「ま、マジで言ってる?」
「うん」
更に近寄ってくる亜紀。
「ちさき。目閉じて?」
目を閉じたら……え?するの?
あたしは目を閉じれなかった。何ならびっくりしすぎて目を見開いてしまった。
カシャ
「え………」
2人だけの空間に機械音が鳴った。
音がしたであろう方向に目を向けると、あたしと手を繋いでいない亜紀のもう片方の手に携帯が握られていた。
カメラモードである。
すっと亜紀が離れていった。
携帯を確認して今撮ったであろう写真を見せてきた。
あと数センチで唇が触れ合いそうな距離の2人。
「頂上は1番景色が良いから自撮りするカップルも多いんだって」
「…………」
「キス、すると思った?」
亜紀の口元がニヤと微笑んだ。
「あ、あ、あ、」
「あ?」
「亜紀!!からかったなぁ!?!?」
あたしは亜紀のおでこにペシンと平手をかました。良い音が響いた。
「でもキスするカップルも多いし………本当にする?」
「するかぁぁ」
揺れるゴンドラの中でペシンという音とあたしの叫びと亜紀の笑い声が響いた。
下降中はなんだかんだ亜紀と色々あって景色どころではなかった。
まぁ、ずっと景色だけというのも飽きるし、こうやって楽しく笑っている方が良い思い出にもなるんだよな、という事は亜紀には言わない。
ゴンドラから降りて観覧車の出口に向かう。
後から乗った悠木涼と凪沙を待ちつつあたしは息を整えていた。
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