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旅立ち。

魔王ルーカス

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北の最果て
そこに住んでいる魔王ルーカス。
人間世界に聖人である救世主が召喚されたのを、人間世界の王子ノイシュの通信で知った。

「ほう。聖人を喚んだという事は、君は僕に死んでもらいたいんだね?」

どうして魔王であるルーカスと人間世界の王子が通信をしているのか。
ルーカスは、元々は人間だ。
しかも王家と婚姻を結ぶ家系に生を受けた。
生まれながらにしてノイシュの婚約者であった彼は、しかしながら闇に落ちた。

自ら魔物を配下に置く為に、そして人間界を救う為に生贄として、新たな魔王になった。
そうしなければ、一緒に来た者達が無惨に殺される。
それならば、自身を闇にと染めた。
ルーカスには、世界中の誰よりも強い魔力が有ったからできた事だ。
本当ならばその魔力の強さは、魔王を倒せる勇者並み。
聖人を喚ぶより先に、勇者が国を救う筈だった。
その勇者はルーカスになる筈だった。
だが、闇堕ちによりルーカスは魔王になった。
魔族を粛清する為には、聖人を召喚するしかなかったのだ。

「違う。俺は‥君に生きて欲しい‥。」

ノイシュは、婚約者であるルーカスを弟の様に可愛がっていた。
男同士でも結婚できる世界であるが、ノイシュもルーカスも恋心を抱いた事はない。
貴族社会であるから、家柄で婚約者が決まるのは、仕方が無い事である。
出会いは物心付く前からであるが、それなりに仲が良かった。
婚約者同士というよりも兄弟の様に、もしくはそれ以上に仲が良かった。
その仲を引き裂いたのは、強くなっていく魔族達。
このままでは、人間世界が崩壊する。
ルーカスの家系は、古くは初代魔王を倒した勇者の家系だった。
王命により、勇者として北の最果てに魔族討伐に向かった。
帰ってくると信じていた。
誰よりも強い魔力を秘めたルーカスと一緒に行った精鋭部隊は帰らなかった。
何度か部隊を派遣し調査に向かわせたが、全て帰って来なかった。
そんなある日、魔王城からの通信が王城に届いた。
魔道具である通信機に映っていたのは、ルーカスだった。

「私は、魔王になった。これからは、貴様等を私が滅する。」

王城にいた者達は、驚きと畏怖に戸惑い、そうして決断された。
救世主を喚んで魔族の殲滅を。

救世主だけが持ち得る加護の力。
それによりルーカスを救えるのではないのかと。
僅かな希望に皆が、まだ見ぬ救世主に想いを託した。





そうして、救世主として招ばれた俺、有栖川佑は、王子と騎士団長、魔術師団長、以下その他を従えて隣国に救援に向かった。

いざ行かん。魔王ルーカスを救うルートへ!!!

あれ?倒すんじゃなかったんだー。。。

「ふふふっ。迎えに来てくれるのを楽しみにしているよ。」

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