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続.ホウ レン ソウ は大事です

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「それで、兄様はあまり危機感がないけど、シャルノア様とはどうなの?進展してるの?」

「進展は、まぁ、してないかもだけど…ほら、シャルロッテから貰ったチケットあるだろ?あれ一緒に行って、お互いすごく楽しめたと思う。シャルノア嬢の笑顔も見れたし。」

((⁈⁈⁈))

「そ、それはどんな風に楽しめたの?単純に歌劇が楽しかっただけじゃないでしょ?」

「面白かったよ?王都の劇場じゃなくて、ソラリスだったのが余計に。並んでても苦じゃないし、ドレスコードもなかったから気楽で。」


うんうん。。続けて? って聞こえてきそうな反応…

「気になる所が似てて、興味がある所って言うのかな?同じ所を見てるから、自然と話も弾むし、話しやすくて。王宮だとお互い緊張してたみたいだねって話して、また行こうって、今計画してるとこ。」


ん?
なんだこれ…?

「「順調な感じ⁈」」

「だと、私は思っているんだが…」

かたや、あんなに不器用だった弟が…好きな人と同じ時間を共有して楽しんでいるなんて…と、感動に打ちひしがれ。

もう片方は、兄様がまともな恋愛してる⁈話が合って、興味が似てるなんて、もうお似合いじゃない?なんでもっと強気で攻めないの…と、悔しがる。


 そんな2人に挟まれたバルドは、思い切って聴いてみる。

「どうやったらもっと仲良くなれるかな?シャルノア嬢を捕まえるには何が足りない?」


 真剣な表情で悩みを口にした王子に、姉も妹も驚きつつも応援したくなる気持ちでいっぱいである。


「兄様、次はどこに誘うつもりなの?」

「街デートか、一緒に乗馬で出かけるのもアリかなーって、今考えてる。」

 シャルノアは宝石や煌びやかな服よりも、身体を動かしたり、自然豊かな場所が好きそうだな、とは思っているのだが。


「仲良くなるには、もっと距離を詰めないとね。バルド、次の時に名前で呼んでもいいか聞いてみるのよ。」

「そうね、愛称とか決めても良いかも。自分だけの呼び方って結構特別感あるし。」

「愛称か…嫌がられない?」

「嫌がられたらまたの機会にすれば良しでしょ。聞いてみなきゃ分かんないんだから。」

「シャルノア様は乗馬もお得意のハズだから、遠駆けしてピクニックからの夕焼けボートとか?夕暮れは恋が進展しやすい時間帯だから。」

「ボート?定番なのか?」

「「恋人同士ならね。」」


(まだ早いっ!)

盛り上がる2人に、こちらまで恥ずかしくなってくる。でも、バルド自身、ブランシェに通い続け、歌劇へのお出かけは良かったと感じている。先へ進むのに躊躇したくはない。

(この人たちの言っていた、店長との関係も気になる所だし…)

毎日会っている人には敵わないだろう。それでも、異性として意識してもらいたいし、甘えたり頼ったりもして欲しい。何より、まだ見たことない彼女の表情が見てみたい。


 贈り物もしてみたら?
 手を繋ぐ、とか?
 ランチしたあとのお昼寝、とか?
 膝枕してもらったり、とかね?
 出先のハプニングはチャンス到来だからね?


 色気もカッコ良さもフィアーノさんには負けている気がする。それならば、仲の良さで勝負でしょう。


 しっかりもののシャルノア様が、ちょっとした失敗しちゃうから可愛いかったりするでしょ?ギャップ萌えよ!
兄様には普段感じない雰囲気を、シャルノア様が感じとってくれたら心も動くわ。

 姉、妹も共に、どうしたらいいか案を出してくれる。数打てば当たる、ではないけれど…積極的にブランシェを訪れたバルドは、以前よりもシャルノアに近づいていると褒められた。彼自身もシャルノア嬢に会いたくてたまらないからなのだが。

(前ならこんな恋焦がれることも、それを自覚することもなかったからな…)
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