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苦肉の策
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「平民に紛れていれば、王家の捜索の手も伸びないのでは?しばらくは騒動の名残で状況変化もないでしょうし、このまま婚約者が決まらないようなら修道院も探さなくてはなりません。それまでに、ある程度は1人で生活出来るようになっていたいです。」
「待て待て待て。シャルは修道院に行く必要なんてないぞ。何も悪いことはしてないんだから。落ち着けば婚約者なんてすぐに見つかる。」
「その、落ち着けば、の間に王家が乗り出してこないとも限らないが…王女たちは諦めていないハズだ。たとえ王子を排することになっても、シャルと王家の繋がりを維持しようとしてくるハズ。」
兄の厳しい意見に、皆同意していた。
「再びバルド様の婚約者にはなりたくありません。それならば、王女たちが王配を見つけて立太子するか、男爵令嬢と共に王子が立太子するか、王家の行先が決まるまででも。しばらく身を隠すことを考えていました。」
「うむ…確かに王家に取り込まれない為には策を練らねばならんが、辺境の地にも目が届くとなれば容易ではないな。身を隠すか…。」
父アルトはあまり良い顔をしていない。反対されるのだろうか…。
「王家主催のものはしばらくないと思うので社交界から離れていても問題ありません。何か呼び出しを受けても、体調不良で断りを入れれば時間が稼げると思います。その間に行方をくらませれば、見つかる可能性は下がるかと?」
「お前、平民と同じ生活出来るのか?」
兄リュカが心配そうに聞いてくる。
「やってみなければ出来るかも分かりません。けれど、強制されていた王宮通いよりは気楽にいられますし、はるかにましかと。」
(相当嫌だったんだな。バズの元に行って、少し自我が出てきたかな?)
シャルノアの変化を好ましく思い始めたリュカだった。
「父上、どうですか?僕は時間稼ぎには良いかと思いますけど。」
(おっ、リュカ兄が味方についた。)
シャルノアはあとひと押し、と気合いを入れて父アルトを見つめる。
「ナナを一緒に連れて行くこと、これは絶対だ。行き先は私たちには必ず知らせてくれ。王家に見つからずに様子を見に行くくらいはモンティ家の人間であれば問題ない。無理をせず、何かあれば必ず知らせること。修道院へは向かわないこと。守れるか?」
「はい。守ります。」
(ふぅ。せっかく家族で過ごせると思ったのにな。あいつに文句言いに行ってやる。)
その後、ナナも呼ばれ、状況説明と計画を立てる。なるべく治安が良い土地を地図を見ながら何ヶ所かリストアップし、事前に調べることとなった。
「この家にもちゃんと帰ってくるんだぞ。月1で顔見せないと、心配して迎えに行くからな。様子を見て必要な夜会があれば知らせるし、モンティ家の令嬢としての顔は保たねば。」
娘が世俗を捨てやしないか心配なのだろう。父アルトの小言は続く。
ボフッ。
部屋に戻ったシャルノア。ベットに直行、ダイブした。
(ナナとシェアハウス。平民の生活は大変だと聞くけれど、自分の意思でやりたいように出来る。これこそ、本当の自由だわ。)
王家のお茶会からの帰り道、思いついた苦肉の策だった。伯爵令嬢が平民に紛れて生活しているなど、多くの人は想像しないハズ。思いついた途端、実は良い案なんじゃないかという気がしてきて、ナナに相談する間もなく意見してしまった。
コンコンッ。
「お嬢様、急で、びっくりしましたよ。突然思いついたんですか?」
「王妃様や王女たちが面倒だったんだもの。何とか逃げれないかなぁと思って。」
「思って、じゃないですよ。いつもなら相談してくれるのに、当主に呼ばれたのが先なんて驚きます!」
普段は主人とメイドではあるが、ナナは幼馴染のようなもの。シャルノアに対してもはっきりとモノを言う。
「ごめんって。ちょっと口走っちゃってさ。反対だった?」
「連れてってくれるなら賛成です。私たち2人だけでですよね⁈楽しみです。」
ワクワクした様子のナナを見てひと安心である。どんな街でしょう?どんなお部屋でしょう?と話は弾み、女の子トークは盛り上がるのだった。
「待て待て待て。シャルは修道院に行く必要なんてないぞ。何も悪いことはしてないんだから。落ち着けば婚約者なんてすぐに見つかる。」
「その、落ち着けば、の間に王家が乗り出してこないとも限らないが…王女たちは諦めていないハズだ。たとえ王子を排することになっても、シャルと王家の繋がりを維持しようとしてくるハズ。」
兄の厳しい意見に、皆同意していた。
「再びバルド様の婚約者にはなりたくありません。それならば、王女たちが王配を見つけて立太子するか、男爵令嬢と共に王子が立太子するか、王家の行先が決まるまででも。しばらく身を隠すことを考えていました。」
「うむ…確かに王家に取り込まれない為には策を練らねばならんが、辺境の地にも目が届くとなれば容易ではないな。身を隠すか…。」
父アルトはあまり良い顔をしていない。反対されるのだろうか…。
「王家主催のものはしばらくないと思うので社交界から離れていても問題ありません。何か呼び出しを受けても、体調不良で断りを入れれば時間が稼げると思います。その間に行方をくらませれば、見つかる可能性は下がるかと?」
「お前、平民と同じ生活出来るのか?」
兄リュカが心配そうに聞いてくる。
「やってみなければ出来るかも分かりません。けれど、強制されていた王宮通いよりは気楽にいられますし、はるかにましかと。」
(相当嫌だったんだな。バズの元に行って、少し自我が出てきたかな?)
シャルノアの変化を好ましく思い始めたリュカだった。
「父上、どうですか?僕は時間稼ぎには良いかと思いますけど。」
(おっ、リュカ兄が味方についた。)
シャルノアはあとひと押し、と気合いを入れて父アルトを見つめる。
「ナナを一緒に連れて行くこと、これは絶対だ。行き先は私たちには必ず知らせてくれ。王家に見つからずに様子を見に行くくらいはモンティ家の人間であれば問題ない。無理をせず、何かあれば必ず知らせること。修道院へは向かわないこと。守れるか?」
「はい。守ります。」
(ふぅ。せっかく家族で過ごせると思ったのにな。あいつに文句言いに行ってやる。)
その後、ナナも呼ばれ、状況説明と計画を立てる。なるべく治安が良い土地を地図を見ながら何ヶ所かリストアップし、事前に調べることとなった。
「この家にもちゃんと帰ってくるんだぞ。月1で顔見せないと、心配して迎えに行くからな。様子を見て必要な夜会があれば知らせるし、モンティ家の令嬢としての顔は保たねば。」
娘が世俗を捨てやしないか心配なのだろう。父アルトの小言は続く。
ボフッ。
部屋に戻ったシャルノア。ベットに直行、ダイブした。
(ナナとシェアハウス。平民の生活は大変だと聞くけれど、自分の意思でやりたいように出来る。これこそ、本当の自由だわ。)
王家のお茶会からの帰り道、思いついた苦肉の策だった。伯爵令嬢が平民に紛れて生活しているなど、多くの人は想像しないハズ。思いついた途端、実は良い案なんじゃないかという気がしてきて、ナナに相談する間もなく意見してしまった。
コンコンッ。
「お嬢様、急で、びっくりしましたよ。突然思いついたんですか?」
「王妃様や王女たちが面倒だったんだもの。何とか逃げれないかなぁと思って。」
「思って、じゃないですよ。いつもなら相談してくれるのに、当主に呼ばれたのが先なんて驚きます!」
普段は主人とメイドではあるが、ナナは幼馴染のようなもの。シャルノアに対してもはっきりとモノを言う。
「ごめんって。ちょっと口走っちゃってさ。反対だった?」
「連れてってくれるなら賛成です。私たち2人だけでですよね⁈楽しみです。」
ワクワクした様子のナナを見てひと安心である。どんな街でしょう?どんなお部屋でしょう?と話は弾み、女の子トークは盛り上がるのだった。
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