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4.魔法学院3年生 後編

聖女ソフィア

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「誕生日おめでとう!」

「おめでとう!」

 ランベールと共に扉をくぐると、父兄を始め、エリクやデニスたち学院関係者、陛下や皇后、ジルベール、さらにはジェシカたち友人の姿も見えた。
 たくさんの人に、おめでとうと言ってもらえる事がこんなに嬉しいとは…ソフィアは嬉しさで胸がいっぱいになっていた。


「ランベール様が声かけて下さったの。せっかくならみんなで祝おうって。」

ジェシカ、アンナ、イネスは王家主催のパーティーに参加することはなかったので、この場にいるとは想像していなかった。みんな慣れないドレスに緊張しつつも、華やかな空気とパーティーの雰囲気に興奮しているようだ。


「ランベール様、ありがとうございます。」

「いえいえ。フィーのためなら。」

ニコニコ笑うランベールを見て、ソフィアの側にいたジェシカたちまで頬を赤らめている。

(きっとまた、溺愛だのなんだのからかわれるんだろうな。)


女の子たちの共通話題はいつでも恋バナが1番なのである。




 パーティー中盤になり、楽しい音楽が途切れたタイミングで陛下が壇上に上がる。ソフィアも手招きされ、壇上へと向かった。


「みなのもの、今日は集まってくれて感謝する。ソフィア嬢のお祝いも勿論なのだが、彼女と近しい者の集まりであるからこそ、伝えるべき事がある。」

ゆっくりと周りを見ながら言葉を選ぶ陛下の表情に、パーティーに集まっていた人たちの視線が集まる。

「かねてから、この世を救う存在として聖女のことは皆も知っておろう。長年、この国だけでなくどの国にも現れず、幻ともされていた。だが、ここにいるソフィア嬢。皆も彼女の実力は知っているだろう?誰よりも精霊に愛され、底知れぬ魔力を持っておる。まだ幼く、安全のために公に出来ずにいたが、彼女も今日成人を迎えた。ランベールの婚約者として、王家の一員となることに変わりはない。今日ここで宣言しよう。聖女ソフィアの誕生だ。」

 パチパチパチ。

会場内が大きな拍手に包まれる。

 言葉の抑揚、声量、威厳のある陛下の姿に、側にいるソフィアですら聞き入ってしまった。パーティー会場にいる全ての人が陛下の言葉に注目し、その視線はソフィアへと向けられた。

(イソール、お願い。)

 キラキラと会場に金色の光が舞う。祝福の証であるきらめきを会場にいる全ての人が目撃していた。

(みんな集まって。)


  ソフィアの腕にあるブレスレットから、光とともに精霊たちが現れる。どこからともなく現れたノアは、フクロウ姿のままソフィアの肩にのる。
 陛下とソフィアの後ろには、幻想的な光とともに精霊王たちか浮かんでいた。

(人間姿だと誤解されちゃうからね。今日は神々しく。)

 それぞれ属性の色の光に包まれ、輝きを放っている。いつも可愛らしいエンギルやイソールでさえ、今日は本来の成人姿で他の精霊王たちに引けを取らない。


わぁ~。
凄い迫力…


 会場内からヒソヒソと聞こえる驚きの声と、興奮がソフィアの元にも届いてきていた。


「ソフィア嬢の聖女証人のために、今日は協力して頂いた。普段なら見ることも叶わぬだろう。」

陛下の言葉に続き、ニコッと微笑んでからソフィアは口を開く。

「いつも力を貸して下さっている皆様です。
風の精霊王カルディナ様。火の精霊王アグニス様。
水の精霊王ユーティリア様。土の精霊王ヴォルグ様。
闇の精霊王エンギル様。光の精霊王イソール様です。」

ソフィアの紹介の声に合わせて、精霊王たちは動く。威厳がなくなると困るので、声出し、手振りは事前に禁止した。それでも、表情や仕草で個性が出るので、素直に凄いなと感じた。


「ソフィアの精霊ってフクロウたちじゃなかった??」

純粋なアンナの声に、エンギルに目配せする。スーッと後退したかと思うと、いつものフクロウ姿でとんできて、ヴォルグの肩に乗る。

「彼らは自由に姿を変えれます。私の相棒に合わせて、フクロウ姿でいつもは側にいてくれたんです。」

ノアの頭には、小さい妖精姿に変えたイソールが乗っていた。

「あ、確かに。見覚えある。」

冷静なイネスの声が聞こえ、友人たちのおかげでスムーズに説明出来ていることに感謝した。

(戻っていいよ。みんなありがと。)

小さい姿のエンギルとイソールを除いて、皆精霊界に戻っていく。魔道具を作ったアルフレッドは満足そうに微笑んでいた。

「聖女ソフィアの証人はここにいる全員だ。これから外に向けて、公表するにあたり、彼女を狙う輩が出てくるであろう。だが、王家として、義理の父として彼女を守ることを約束しよう。皆にも協力して欲しい。」


 当然だ、とでも言うかのように再び拍手が湧き起こる。皆が了承を表していた。聖女ソフィアの誕生である。
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