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3.魔法学院3年生 前編
(54).留学生とソフィア
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学院長室へきたソフィア。
留学生との初顔合わせである。
合格者は3人と聞いているが、男の子ばかりだったのが少し残念。
「失礼します。」
中に入ると、学院長エリクと向かい側に3人真新しい制服に身を包んだ学生がいる。エリクの横に座ると、紹介が始まった。
「彼女が君たちのお世話役、3年生のソフィア嬢じゃ。彼女はこの学院でも1番の魔法の使い手でな、精霊も味方につけておる。王太子の婚約者だから、パーティーでの顔合わせも打ち合わせしとくと良い。先輩なんじゃから、くれぐれも失礼のないようにな。」
「ホスウェイト家の1人娘ソフィアです。何かあれば気軽に声をかけて下さい。」
「ほれ、自己紹介じゃ。そっちから。」
「ガンダルグ国から来ました、リュディガーです。正直受かると思ってなかったので、死ぬ気で頑張ります。」
(なんとも元気な自己紹介。やんちゃ少年ってイメージだな。)
「同じくガンダルグ国のイアンです。リュディガー様の付き人として来ました。魔法が勉強できるのは楽しみです。」
(うん。この子なら少年の暴走も止めてくれそう、安心だ。)
「ヴィリスのダレン。よろしくお願いします。」
(ミステリアスな子だな。1人で大丈夫かしら?)
「リュディガー君は新ガンダルグ国の王太子じゃ。新国王のもと、国が落ち着いてきた所で、ジルベール王子との交換留学で友好を深めていければと思ってな。」
「なるほど。社交界ではそちらのお手伝いも必要ですね。」
「留学生は3人じゃが、新入生と一緒のクラスじゃ。仲良くみんなで学ぶと良い。」
ニコニコと笑いながら話すエリクと、緊張している様子の留学生たち。
自分も1年生の頃はこんな感じだったんだろうな、とソフィアは懐かしく思っていた。
コンコン、とノックで学生が入室してくる。ソフィアと同郷の2年生クレイグである。
「2年生のクレイグ君だ。女性じゃ難しいことも出るじゃろうて、世話役を頼んでおいた。3人はこのまま彼に寮まで案内してもらうと良い。午後の入学式を済ませたら勉強が始まるのでな。」
クレイグと目配せで挨拶すると、3人を連れて出て行った。
「どうじゃ?留学生は??」
「何か初々しいですね。ワクワクしてる感じが伝わって来ました。」
「リュディガー君じゃな。今の国王は元騎士団長なのでな、おそらく平民のように生活しておったのだろう。貴族としてのマナーや社交はまだ未熟に見受けられた。イアン君が補っている感じじゃな。学院では問題なかろう。社交界でサポートしてやるかな。心配なのは、ダレン君じゃ。あの様子だと周りと打ち解けれるのか、不安なトコじゃ。魔法の実力も高いのでな、孤立せねば良いが。本人もあまり気にしないように思われるが。」
「1人の方が楽ってタイプかもしれないですね。ジル先輩みたいに。注意して見てみます。」
「まあ、ソフィア嬢は王太子妃教育もあるから、無理せぬようにな。友達や後輩に協力を仰ぐと良い。クレイグ君は世話役兼護衛じゃ。王宮の連中が心配しよるのでな。学院から王宮に行く時は彼も一緒に連れてくようにとのことじゃ。」
楽しそうに笑うエリクの姿に、ソフィアは恥ずかしくなる。
「王宮の連中とは、父ですか?ランベール様?」
「ん?正しくは皆じゃな。ランベール様からも連絡があったが、似たような文は陛下も皇后も魔法師団長からも来ておるよ。ふぉっふぉっふぉ。」
(皆過保護すぎる。私にはノアやみんなが付いてるって知ってるハズなのに)
「王太子妃の立場とはそういうものよ。1人での行動は出来ぬのでな、慣れるためじゃ。クレイグ君は正式に近衛騎士団に配属予定なのでな、彼にとっても練習なのだよ。レイモンド氏に扱かれてだいぶ鍛えられているようじゃよ。」
「近衛に?そうなんですね。良かった。分かりました。私も慣れるように頑張ります。」
「その意気じゃ。魔法師団に入りたい者たちにも同じように付き添うように命が出るじゃろうて。去年の見学会で良い繋がりが出来てるようじゃ。」
それにはソフィアも気づいていた。
クレイグだけでなく、自分の周りの友達はハロルドだったり、アルフレッドだったりどこかに繋がりを持ち、連絡を取っている。
この繋がりが将来の道に繋がるのだと皆感じているので、見学会以降士気が上がっているというか、皆しっかりしてきていた。
「学院の中だけではなかなか出来ない繋がりよ。ソフィア嬢とランベール王子が広げていく繋がりは、将来きっと君にとっても役に立つ。大事にすると良い。」
ニコニコ伝えてくれるエリクに、ソフィアはありがたく思う。相変わらず、この部屋ではポカポカとした気分になれるようだ。
留学生との初顔合わせである。
合格者は3人と聞いているが、男の子ばかりだったのが少し残念。
「失礼します。」
中に入ると、学院長エリクと向かい側に3人真新しい制服に身を包んだ学生がいる。エリクの横に座ると、紹介が始まった。
「彼女が君たちのお世話役、3年生のソフィア嬢じゃ。彼女はこの学院でも1番の魔法の使い手でな、精霊も味方につけておる。王太子の婚約者だから、パーティーでの顔合わせも打ち合わせしとくと良い。先輩なんじゃから、くれぐれも失礼のないようにな。」
「ホスウェイト家の1人娘ソフィアです。何かあれば気軽に声をかけて下さい。」
「ほれ、自己紹介じゃ。そっちから。」
「ガンダルグ国から来ました、リュディガーです。正直受かると思ってなかったので、死ぬ気で頑張ります。」
(なんとも元気な自己紹介。やんちゃ少年ってイメージだな。)
「同じくガンダルグ国のイアンです。リュディガー様の付き人として来ました。魔法が勉強できるのは楽しみです。」
(うん。この子なら少年の暴走も止めてくれそう、安心だ。)
「ヴィリスのダレン。よろしくお願いします。」
(ミステリアスな子だな。1人で大丈夫かしら?)
「リュディガー君は新ガンダルグ国の王太子じゃ。新国王のもと、国が落ち着いてきた所で、ジルベール王子との交換留学で友好を深めていければと思ってな。」
「なるほど。社交界ではそちらのお手伝いも必要ですね。」
「留学生は3人じゃが、新入生と一緒のクラスじゃ。仲良くみんなで学ぶと良い。」
ニコニコと笑いながら話すエリクと、緊張している様子の留学生たち。
自分も1年生の頃はこんな感じだったんだろうな、とソフィアは懐かしく思っていた。
コンコン、とノックで学生が入室してくる。ソフィアと同郷の2年生クレイグである。
「2年生のクレイグ君だ。女性じゃ難しいことも出るじゃろうて、世話役を頼んでおいた。3人はこのまま彼に寮まで案内してもらうと良い。午後の入学式を済ませたら勉強が始まるのでな。」
クレイグと目配せで挨拶すると、3人を連れて出て行った。
「どうじゃ?留学生は??」
「何か初々しいですね。ワクワクしてる感じが伝わって来ました。」
「リュディガー君じゃな。今の国王は元騎士団長なのでな、おそらく平民のように生活しておったのだろう。貴族としてのマナーや社交はまだ未熟に見受けられた。イアン君が補っている感じじゃな。学院では問題なかろう。社交界でサポートしてやるかな。心配なのは、ダレン君じゃ。あの様子だと周りと打ち解けれるのか、不安なトコじゃ。魔法の実力も高いのでな、孤立せねば良いが。本人もあまり気にしないように思われるが。」
「1人の方が楽ってタイプかもしれないですね。ジル先輩みたいに。注意して見てみます。」
「まあ、ソフィア嬢は王太子妃教育もあるから、無理せぬようにな。友達や後輩に協力を仰ぐと良い。クレイグ君は世話役兼護衛じゃ。王宮の連中が心配しよるのでな。学院から王宮に行く時は彼も一緒に連れてくようにとのことじゃ。」
楽しそうに笑うエリクの姿に、ソフィアは恥ずかしくなる。
「王宮の連中とは、父ですか?ランベール様?」
「ん?正しくは皆じゃな。ランベール様からも連絡があったが、似たような文は陛下も皇后も魔法師団長からも来ておるよ。ふぉっふぉっふぉ。」
(皆過保護すぎる。私にはノアやみんなが付いてるって知ってるハズなのに)
「王太子妃の立場とはそういうものよ。1人での行動は出来ぬのでな、慣れるためじゃ。クレイグ君は正式に近衛騎士団に配属予定なのでな、彼にとっても練習なのだよ。レイモンド氏に扱かれてだいぶ鍛えられているようじゃよ。」
「近衛に?そうなんですね。良かった。分かりました。私も慣れるように頑張ります。」
「その意気じゃ。魔法師団に入りたい者たちにも同じように付き添うように命が出るじゃろうて。去年の見学会で良い繋がりが出来てるようじゃ。」
それにはソフィアも気づいていた。
クレイグだけでなく、自分の周りの友達はハロルドだったり、アルフレッドだったりどこかに繋がりを持ち、連絡を取っている。
この繋がりが将来の道に繋がるのだと皆感じているので、見学会以降士気が上がっているというか、皆しっかりしてきていた。
「学院の中だけではなかなか出来ない繋がりよ。ソフィア嬢とランベール王子が広げていく繋がりは、将来きっと君にとっても役に立つ。大事にすると良い。」
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