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2.魔法学院2年生

(47).陛下への報告と作戦決行

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 誕生祭を終えた翌日、ホスウェイト家の邸では勢揃いで昼食をとっていた。夜会の最中は皆それぞれ別々に動いていたため、情報収集のための報告会である。いつものメンバーで談話室へ向かうと、早速話を切り出す。


「カルレイ国のシンシア皇女はどうだった?私は遠目で見ていただけだが、お前たちは会話してただろう?」


…お互いに視線で譲り合い、結局アルフレッドから話す。


「わがままに育てられた1人っ子そのままだよ。周りを見下すような態度をしてたね。関わるとロクなことにならない。」

「学院で魔法を学ぶ意欲は感じられなかったです。王太子妃になりたい、と強く言っていました。」


「ふむ。なるほど。王子たちとはもう話したのか?」

「ランベール様は極力避けておられましたね。ジル先輩はエスコートもしてたので、ある程度は一緒におられたかと。」

「両親は全く害のない人たちだった。動くとしたら彼女1人か、国内の味方を見つけてからかな。」


お茶のおかわりを淹れながら、エマとマルクも会話に参加する。


「帰り際、クレバリー伯爵が接触してましたね。」

「おそらく、今日あたり自宅へ招待したのではないでしょうか?」

「これまた面倒な奴が出てきたな…マルク、誰か向かわせれるか?どんな会話をしてるのか探らせたい。」

「かしこまりました。すぐに。」


ひと息ついた所で、アルフレッドは確認した。



「ソフィー、昨日ランと何かあったか?様子が違うように見えたけど?」

アルフレッドの言葉にハロルドも反応する。
2人に見つめられ、ソフィーは動揺してくる。

(何て説明するのが良いのかな?思い出すと恥ずかしいんだけど。)


「ランベールとソフィーは両思い。」

「成人したらランベールからピアス貰う予定。」

「わぁーああぁあ」

まさかのエンギルたち大暴走??ソフィアが言えずにいたことを正直にそのまま漏らしてしまう。


「そうなのか?約束済み??」

「まだ婚約を受けた訳じゃないんだよな?」


(あぁ、やっぱり面倒だゎ…でも、隠せないし。)



「ランベール様の思いに応えたいな、と思って。そう、お話しました。」


ソフィー自身の言葉に父兄、一時停止する。
本人からの言葉は強力だった。


「…なるほど。ソフィーがそう決めたのなら準備しないとな。」

「ランベールは、やっと堕とせたのか。結構かかったよなー」


(あれ?意外と普通??)


「ランベール様からはだいぶ前から聞いていたんだよ。ソフィーの気持ちを優先したいから、見守ってて欲しいと言われてな。私たちが動き出したらソフィーは嫌でも受けるだろうから、それじゃ意味がないとな。」

「ランはだいぶ本気で動いていたよ。ソフィーが攻撃される事のないように貴族回りに働きかけて、俺や父上にも釘刺してな。昨日の夜会ではご令嬢たち大人しかっただろう?大半が応援する側だからな。弟に負けるかもって弱音吐いてたけど、上手くいったようで安心したよ。」


始めて聞いた事実に開いた口が塞がらない。
自分の気持ちにやっと気づいた所なのに、ランベール様の気持ちとどれだけ差があるんだろう…。
もっともっと、距離を縮めたい。
そう感じたソフィアだった。



 翌日、ハロルドは陛下に報告と共にソフィアの婚約了承の意思も伝える。まだ正式にではないが、成人と共に発表できるよう準備していかなければならない。
 陛下は大喜びなので問題はないだろう。ジルベールの耳にもすぐにこの話は伝わってきた。


(フィアの決めた事なら、受け入れなくちゃな。せめて近くで守れるよう、力をつけよう。)

 そう決めたジルベールは、自らの思いにケリをつけるため、未来の王太子妃としてソフィアを見ることに切り替えたのだった。



 そうとは知らないシンシアは、ジルベールを味方に引き入れるため離宮を出て、彼の居る建物内まで来ていた。
確実に味方に出来るよう、手には薬品も隠し持っている。侍女にはお金を握らせた。昼食のお膳の中に密かに入れ、薬が効く頃に尋ねてくる予定だ。


(入れるのは上手くいったわ。これで彼も味方よ。)

晴れ晴れとした様子で離宮へと戻る。
彼さえ味方につければ、ここからの作戦は成功したようなものだ。離宮へと戻る彼女の足取りはとても軽くなっていた。
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