41 / 67
第二章 死竜の砦
第五話「高くそびえる死竜の砦」
しおりを挟む
ウルズ剣術学院の敷地内にそびえ立つ高い建造物がある。
全体の形状は、いびつな砦のように見える。
それを拠点にしているのが死竜クラス。
学院外から建築士や職人を呼んで建造したその建物には、一年生から六年生まで百人あまりの生徒が出入りしているそうだ。
問題は学院側に一切の許可を取っていないということと、教師さえうかつに手が出せないという事実。
この建物は、誰が言ったか死竜の砦と呼ばれていた。
仕切っているのはウルズ剣術学院一の問題児、六年死竜クラスのジェラルド・セダム。
六年生を三度も繰り返しているという札付きのワルだ。
全学年の死竜クラスの生徒をまとめ上げ、一大勢力を築いている。
ただでさえ一癖も二癖もある死竜クラスをまとめたのは、ジェラルドの圧倒的な暴力。
剣術の腕前は上級以上と噂されるが、初級試験すら受けていないので、真偽のほどは定かではない。
「はあ、面倒なことになったな……」
俺はため息をついた。
ジェラルドとは面識があった。
俺が一年死竜クラスの時に、仲間にならないかと勧誘されたことがある。
もちろん断ったし、それ以降ジェラルドと関わることはなかった。
学院長としてはこの無法を許すわけにはいかないが、総勢百人もいる死竜クラス相手にうかつに手が出せないでいる。
何せ教師ですら恐れている者がいるらしい。
冒険者や軍に頼んで実力行使に出るのは学院の面子に関わるし、何より大事にしたくない学院長と教師たちの保身もあるのだろう。
そこで今回、ツテを使い極秘で剣聖に依頼したようだが、彼は学院内の問題は学院内で解決すべきだと断った。
そりゃ、そうだろう。
そこで、剣聖が指名したのが俺だ。
剣聖が言うのならと、学院長は死竜の砦の解体および徒党を組んでいる死竜クラスを解散させるようにと、なんと俺に命じた。
サイーダ森林での野外授業の件は、ブランドン先生とダリア先生を通して学院長に伝わっていたようで、森の主を倒した俺ならば解決できると信じているなどと言われた時には苦笑いするしかなかった。
勘弁してくれ。
俺の平穏がどんどん遠ざかっていく。
サイーダ森林で思い出したが、禁止区域の警備がさらに厳重になったとブランドン先生から聞かされた。
警備に配置されていた兵士たちが亡くなったことが表向きの理由となっている。
何も知らない者は、森の奥には近づいてはいけないと再認識しただろう。
そして、森の主と呼ばれたゴーレムがどうしてあの場所にいたのかは、いまだに不明だ。
真相を知っているのは警備を担当している軍か、あるいは冒険者ギルドか。
どっちみち、俺には関係ないことだ。
俺はいま広大な学院の敷地を、死竜の塔に向かって歩いている。
ここまで来ると、辺りの景色はまるで町の外のようにも見える。
草原地帯を思わせる草地の中にいくつかの道が通っていた。
違うのは魔物がいないことだけだ。
俺は道すがら、剣聖との会話を思い出していた。
◆ ◆ ◆
面倒な話を押しつけられて、学院長室を出た俺の足取りは重かった。
すると背後から二つの足音が追いかけてきた。
誰だか予想はついていたが振り返ってみると、そこにいたのは剣聖と従者だった。
「アルバート、ちょっと話そうか」
「はあ……」
剣聖は……というか従者のほうが、俺の魔眼について教えてくれた。
十七年前、俺に埋め込まれた魔眼の話だ。
親父から、いつか俺と会うようなことがあれば話してやって欲しいと言われたそうだ。
もっともウルズ剣術学院で会えるとは思ってなかったらしいが。
魔眼の話はだいたい親父や爺さんから聞かされていたが、あまり気分のいい話じゃなかった。
俺が赤ん坊の頃、ある組織に誘拐された時の話だ。
〈神器〉の一つ〈風竜の魔眼〉。
剣聖の話どおりなら十二の神竜の一角。その風竜の目玉だという。
なお、見つからなかったもう一つの〈風竜の魔眼〉は、いまだに発見されていないらしい。
「というわけで、結局俺が受けたその仕事は達成できずに終わってしまった。依頼した国も取り戻すことをもう諦めてしまったようだしな。もちろん、アルバートの右目がその一つだという話は俺の仲間と、きみの家族しか知らない。公には〈風竜の魔眼〉は二つとも行方不明とされている」
俺の右目が〈風竜の魔眼〉だというのを隠している理由は、俺自身が狙われるかもしれないからだそうだ。
なんせ、どこぞの国の国宝が俺の体の一部になっているんだからな。
俺の右目が〈神器〉だとは、間違っても人に言える話ではない。
もし人に知れることになれば、攫って目玉を抉り出そうなんて考える輩もいるだろう。
考えるだけで恐ろしい。
「何か質問はあるかい? 俺が知っている範囲なら答えよう」
「……いや、特にないです。親父から聞いた話とほとんど同じだったんで、別に驚くようなこともないですし」
「そうか。それはすまないことをしたな」
「あ、でも……親父がこの目は風竜のものだって話してくれたのを、話半分で聞いていたんですが、あなたがそう言うのなら信じられそうです」
「俺も本物の風竜は見たことはないが、ドラゴンとの戦いは何度も経験している。いままで出会ったどのドラゴンよりも、力強い何かをその目から感じたからな。たとえ風竜でなくても、ドラゴンの上位種で間違いないと思う」
ちなみに、従者だと思っていた銀髪の女性は、剣聖と同じパーティーの仲間らしい。
魔法の知識に詳しく、魔力を節約した魔眼の使い方など彼女が教えてくれた。
それにしても、未発動状態だった俺の魔眼を見抜くあたりでその凄さがうかがえるというものだ。
そして彼女は、俺には魔術の才能がないので切り札として使えと言っていた。
「質問はないですが、一つお願いがあります」
「なんだい?」
「あの……俺と試合をしてくれませんか?」
見た目は俺と同じような体格。
引き締まった体をしているが、そこまで実力差があるとは正直思わない。
もちろん、見た目だけで強さを測ることなんてできはしない。
魔術の才能がないと断言されたので、剣術ならどこまでやれるのか試してみたいという気持ちもあった。
「いや、やめておこう」
「……理由を訊いてもいいですか?」
「いま戦ったら俺が勝つだろう」
断言するか。
しかし、ただの自信過剰からくる言葉ではないようだ。
年齢的にいまの剣聖はとっくに全盛期を過ぎているだろう。
それを差し引いても、俺じゃ相手にならないと言うことか。
親父じゃ手も足も出ないと言っていたからな。
俺でさえ親父には苦戦する。
どうやら親父が誇張して言ったわけではないようだ。
「だけどもし、きみが力をつけていまより強くなったなら俺に会いにくるといい。俺の故郷は海の向こう、はるか遠い大陸にある」
剣聖は夕日に染まる東の空に目をやった。
それから、視線を俺に戻す。
「じゃあ、約束ってことでいいですか? ――剣聖への挑戦を」
「ああ、その時は受けて立とう。楽しみにしておくよ」
そして俺と剣聖は握手をして別れた。
◆ ◆ ◆
銀髪の女性の話だと、剣聖に腕試しを挑む冒険者や騎士がたまにいるらしい。
そして、いずれ戦うことを約束したのは俺が初めてだと教えてくれた。
剣聖との会話を思い返しながら、俺は随分と長い距離を歩いていた。
見えてきたのは死竜の砦だ。
近づくと、数人の生徒が砦の入口にたむろしていた。
剣を打ち合っているので剣術の稽古でもしているのだろう。
俺に気付くと三人の生徒がやってきた。
顔も名前も知らないが、ここにいるということは恐らく死竜クラスの生徒で間違いないだろう。
「なんだお前は? ここは死竜クラスしか入れない場所だぞ」
口を開いたのは三人の真ん中にいた生徒だ。
俺より少し背が高く、痩せぎすの男だった。
「そんな規則はないと思うんだけどな。ちょっと散歩していただけなんだけど、それでも駄目なのか?」
「何が散歩だ。ふざけやがって! 学年とクラス、それから名前を言え!」
「五年風竜クラスのアルバート・サビア」
「五年……ちっ、先輩様かよ」
俺に名乗らせておいて、自分は名乗らないらしい。
しかもいまの言葉から、五年より下の学年だとわかった。
「知らないのなら教えてやる。ここは死竜クラスの縄張りだ。他のクラスのやつが足を踏み入れていい場所じゃないんだ。わかったら、さっさと向こうへ行け!」
「わかった、稽古の邪魔をして悪かったな」
今日のうちにどうこうしようと来たわけじゃない。
俺が踵を返して帰ろうとした、――その時。
「よお、後輩。久し振りだな」
背後から呼びかけられた。
振り返った先には見知った生徒がいた。
浅黒い肌に鋭い目つき、長い赤髪を後ろで結んでいる。
制服は着ているが、胸をはだけている。
その胸には剣で斬られたような大きな傷痕があった。
腰のベルトには年季の入った剣をさしている。
ウルズ剣術学院一の問題児、六年死竜クラスのジェラルドだ。
「しばらく見なかったが、元気か?」
「ええ。先輩も、元気そうで何よりです」
「後輩よ。以前は見どころがあったが、随分と変わったな。風竜クラスまで上がっていい子ちゃんになったのか? 教師に尻尾を振るのがそんなに楽しいか?」
「そんなつもりはないですよ」
「はん、まあいい。散歩に来たのなら歓迎してやる。まあ見ていけよ。オレの城――死竜の砦をな」
ジェラルドは誇らしげに言った。
全体の形状は、いびつな砦のように見える。
それを拠点にしているのが死竜クラス。
学院外から建築士や職人を呼んで建造したその建物には、一年生から六年生まで百人あまりの生徒が出入りしているそうだ。
問題は学院側に一切の許可を取っていないということと、教師さえうかつに手が出せないという事実。
この建物は、誰が言ったか死竜の砦と呼ばれていた。
仕切っているのはウルズ剣術学院一の問題児、六年死竜クラスのジェラルド・セダム。
六年生を三度も繰り返しているという札付きのワルだ。
全学年の死竜クラスの生徒をまとめ上げ、一大勢力を築いている。
ただでさえ一癖も二癖もある死竜クラスをまとめたのは、ジェラルドの圧倒的な暴力。
剣術の腕前は上級以上と噂されるが、初級試験すら受けていないので、真偽のほどは定かではない。
「はあ、面倒なことになったな……」
俺はため息をついた。
ジェラルドとは面識があった。
俺が一年死竜クラスの時に、仲間にならないかと勧誘されたことがある。
もちろん断ったし、それ以降ジェラルドと関わることはなかった。
学院長としてはこの無法を許すわけにはいかないが、総勢百人もいる死竜クラス相手にうかつに手が出せないでいる。
何せ教師ですら恐れている者がいるらしい。
冒険者や軍に頼んで実力行使に出るのは学院の面子に関わるし、何より大事にしたくない学院長と教師たちの保身もあるのだろう。
そこで今回、ツテを使い極秘で剣聖に依頼したようだが、彼は学院内の問題は学院内で解決すべきだと断った。
そりゃ、そうだろう。
そこで、剣聖が指名したのが俺だ。
剣聖が言うのならと、学院長は死竜の砦の解体および徒党を組んでいる死竜クラスを解散させるようにと、なんと俺に命じた。
サイーダ森林での野外授業の件は、ブランドン先生とダリア先生を通して学院長に伝わっていたようで、森の主を倒した俺ならば解決できると信じているなどと言われた時には苦笑いするしかなかった。
勘弁してくれ。
俺の平穏がどんどん遠ざかっていく。
サイーダ森林で思い出したが、禁止区域の警備がさらに厳重になったとブランドン先生から聞かされた。
警備に配置されていた兵士たちが亡くなったことが表向きの理由となっている。
何も知らない者は、森の奥には近づいてはいけないと再認識しただろう。
そして、森の主と呼ばれたゴーレムがどうしてあの場所にいたのかは、いまだに不明だ。
真相を知っているのは警備を担当している軍か、あるいは冒険者ギルドか。
どっちみち、俺には関係ないことだ。
俺はいま広大な学院の敷地を、死竜の塔に向かって歩いている。
ここまで来ると、辺りの景色はまるで町の外のようにも見える。
草原地帯を思わせる草地の中にいくつかの道が通っていた。
違うのは魔物がいないことだけだ。
俺は道すがら、剣聖との会話を思い出していた。
◆ ◆ ◆
面倒な話を押しつけられて、学院長室を出た俺の足取りは重かった。
すると背後から二つの足音が追いかけてきた。
誰だか予想はついていたが振り返ってみると、そこにいたのは剣聖と従者だった。
「アルバート、ちょっと話そうか」
「はあ……」
剣聖は……というか従者のほうが、俺の魔眼について教えてくれた。
十七年前、俺に埋め込まれた魔眼の話だ。
親父から、いつか俺と会うようなことがあれば話してやって欲しいと言われたそうだ。
もっともウルズ剣術学院で会えるとは思ってなかったらしいが。
魔眼の話はだいたい親父や爺さんから聞かされていたが、あまり気分のいい話じゃなかった。
俺が赤ん坊の頃、ある組織に誘拐された時の話だ。
〈神器〉の一つ〈風竜の魔眼〉。
剣聖の話どおりなら十二の神竜の一角。その風竜の目玉だという。
なお、見つからなかったもう一つの〈風竜の魔眼〉は、いまだに発見されていないらしい。
「というわけで、結局俺が受けたその仕事は達成できずに終わってしまった。依頼した国も取り戻すことをもう諦めてしまったようだしな。もちろん、アルバートの右目がその一つだという話は俺の仲間と、きみの家族しか知らない。公には〈風竜の魔眼〉は二つとも行方不明とされている」
俺の右目が〈風竜の魔眼〉だというのを隠している理由は、俺自身が狙われるかもしれないからだそうだ。
なんせ、どこぞの国の国宝が俺の体の一部になっているんだからな。
俺の右目が〈神器〉だとは、間違っても人に言える話ではない。
もし人に知れることになれば、攫って目玉を抉り出そうなんて考える輩もいるだろう。
考えるだけで恐ろしい。
「何か質問はあるかい? 俺が知っている範囲なら答えよう」
「……いや、特にないです。親父から聞いた話とほとんど同じだったんで、別に驚くようなこともないですし」
「そうか。それはすまないことをしたな」
「あ、でも……親父がこの目は風竜のものだって話してくれたのを、話半分で聞いていたんですが、あなたがそう言うのなら信じられそうです」
「俺も本物の風竜は見たことはないが、ドラゴンとの戦いは何度も経験している。いままで出会ったどのドラゴンよりも、力強い何かをその目から感じたからな。たとえ風竜でなくても、ドラゴンの上位種で間違いないと思う」
ちなみに、従者だと思っていた銀髪の女性は、剣聖と同じパーティーの仲間らしい。
魔法の知識に詳しく、魔力を節約した魔眼の使い方など彼女が教えてくれた。
それにしても、未発動状態だった俺の魔眼を見抜くあたりでその凄さがうかがえるというものだ。
そして彼女は、俺には魔術の才能がないので切り札として使えと言っていた。
「質問はないですが、一つお願いがあります」
「なんだい?」
「あの……俺と試合をしてくれませんか?」
見た目は俺と同じような体格。
引き締まった体をしているが、そこまで実力差があるとは正直思わない。
もちろん、見た目だけで強さを測ることなんてできはしない。
魔術の才能がないと断言されたので、剣術ならどこまでやれるのか試してみたいという気持ちもあった。
「いや、やめておこう」
「……理由を訊いてもいいですか?」
「いま戦ったら俺が勝つだろう」
断言するか。
しかし、ただの自信過剰からくる言葉ではないようだ。
年齢的にいまの剣聖はとっくに全盛期を過ぎているだろう。
それを差し引いても、俺じゃ相手にならないと言うことか。
親父じゃ手も足も出ないと言っていたからな。
俺でさえ親父には苦戦する。
どうやら親父が誇張して言ったわけではないようだ。
「だけどもし、きみが力をつけていまより強くなったなら俺に会いにくるといい。俺の故郷は海の向こう、はるか遠い大陸にある」
剣聖は夕日に染まる東の空に目をやった。
それから、視線を俺に戻す。
「じゃあ、約束ってことでいいですか? ――剣聖への挑戦を」
「ああ、その時は受けて立とう。楽しみにしておくよ」
そして俺と剣聖は握手をして別れた。
◆ ◆ ◆
銀髪の女性の話だと、剣聖に腕試しを挑む冒険者や騎士がたまにいるらしい。
そして、いずれ戦うことを約束したのは俺が初めてだと教えてくれた。
剣聖との会話を思い返しながら、俺は随分と長い距離を歩いていた。
見えてきたのは死竜の砦だ。
近づくと、数人の生徒が砦の入口にたむろしていた。
剣を打ち合っているので剣術の稽古でもしているのだろう。
俺に気付くと三人の生徒がやってきた。
顔も名前も知らないが、ここにいるということは恐らく死竜クラスの生徒で間違いないだろう。
「なんだお前は? ここは死竜クラスしか入れない場所だぞ」
口を開いたのは三人の真ん中にいた生徒だ。
俺より少し背が高く、痩せぎすの男だった。
「そんな規則はないと思うんだけどな。ちょっと散歩していただけなんだけど、それでも駄目なのか?」
「何が散歩だ。ふざけやがって! 学年とクラス、それから名前を言え!」
「五年風竜クラスのアルバート・サビア」
「五年……ちっ、先輩様かよ」
俺に名乗らせておいて、自分は名乗らないらしい。
しかもいまの言葉から、五年より下の学年だとわかった。
「知らないのなら教えてやる。ここは死竜クラスの縄張りだ。他のクラスのやつが足を踏み入れていい場所じゃないんだ。わかったら、さっさと向こうへ行け!」
「わかった、稽古の邪魔をして悪かったな」
今日のうちにどうこうしようと来たわけじゃない。
俺が踵を返して帰ろうとした、――その時。
「よお、後輩。久し振りだな」
背後から呼びかけられた。
振り返った先には見知った生徒がいた。
浅黒い肌に鋭い目つき、長い赤髪を後ろで結んでいる。
制服は着ているが、胸をはだけている。
その胸には剣で斬られたような大きな傷痕があった。
腰のベルトには年季の入った剣をさしている。
ウルズ剣術学院一の問題児、六年死竜クラスのジェラルドだ。
「しばらく見なかったが、元気か?」
「ええ。先輩も、元気そうで何よりです」
「後輩よ。以前は見どころがあったが、随分と変わったな。風竜クラスまで上がっていい子ちゃんになったのか? 教師に尻尾を振るのがそんなに楽しいか?」
「そんなつもりはないですよ」
「はん、まあいい。散歩に来たのなら歓迎してやる。まあ見ていけよ。オレの城――死竜の砦をな」
ジェラルドは誇らしげに言った。
0
お気に入りに追加
230
あなたにおすすめの小説
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
旦那様、どうやら御子がお出来になられたようですのね ~アラフォー妻はヤンデレ夫から逃げられない⁉
Hinaki
ファンタジー
「初めまして、私あなたの旦那様の子供を身籠りました」
華奢で可憐な若い女性が共もつけずに一人で訪れた。
彼女の名はサブリーナ。
エアルドレッド帝国四公の一角でもある由緒正しいプレイステッド公爵夫人ヴィヴィアンは余りの事に瞠目してしまうのと同時に彼女の心の奥底で何時かは……と覚悟をしていたのだ。
そうヴィヴィアンの愛する夫は艶やかな漆黒の髪に皇族だけが持つ緋色の瞳をした帝国内でも上位に入るイケメンである。
然もである。
公爵は28歳で青年と大人の色香を併せ持つ何とも微妙なお年頃。
一方妻のヴィヴィアンは取り立てて美人でもなく寧ろ家庭的でぽっちゃりさんな12歳年上の姉さん女房。
趣味は社交ではなく高位貴族にはあるまじき的なお料理だったりする。
そして十人が十人共に声を大にして言うだろう。
「まだまだ若き公爵に相応しいのは結婚をして早五年ともなるのに子も授からぬ年増な妻よりも、若くて可憐で華奢な、何より公爵の子を身籠っているサブリーナこそが相応しい」と。
ある夜遅くに帰ってきた夫の――――と言うよりも最近の夫婦だからこそわかる彼を纏う空気の変化と首筋にある赤の刻印に気づいた妻は、暫くして決意の上行動を起こすのだった。
拗らせ妻と+ヤンデレストーカー気質の夫とのあるお話です。
婚約破棄と領地追放?分かりました、わたしがいなくなった後はせいぜい頑張ってくださいな
カド
ファンタジー
生活の基本から領地経営まで、ほぼ全てを魔石の力に頼ってる世界
魔石の浄化には三日三晩の時間が必要で、この領地ではそれを全部貴族令嬢の主人公が一人でこなしていた
「で、そのわたしを婚約破棄で領地追放なんですね?
それじゃ出ていくから、せいぜいこれからは魔石も頑張って作ってくださいね!」
小さい頃から搾取され続けてきた主人公は 追放=自由と気付く
塔から出た途端、暴走する力に悩まされながらも、幼い時にもらった助言を元に中央の大教会へと向かう
一方で愛玩され続けてきた妹は、今まで通り好きなだけ魔石を使用していくが……
◇◇◇
親による虐待、明確なきょうだい間での差別の描写があります
(『嫌なら読むな』ではなく、『辛い気持ちになりそうな方は無理せず、もし読んで下さる場合はお気をつけて……!』の意味です)
◇◇◇
ようやく一区切りへの目処がついてきました
拙いお話ですがお付き合いいただければ幸いです
虐げられた令嬢、ペネロペの場合
キムラましゅろう
ファンタジー
ペネロペは世に言う虐げられた令嬢だ。
幼い頃に母を亡くし、突然やってきた継母とその後生まれた異母妹にこき使われる毎日。
父は無関心。洋服は使用人と同じくお仕着せしか持っていない。
まぁ元々婚約者はいないから異母妹に横取りされる事はないけれど。
可哀想なペネロペ。でもきっといつか、彼女にもここから救い出してくれる運命の王子様が……なんて現れるわけないし、現れなくてもいいとペネロペは思っていた。何故なら彼女はちっとも困っていなかったから。
1話完結のショートショートです。
虐げられた令嬢達も裏でちゃっかり仕返しをしていて欲しい……
という願望から生まれたお話です。
ゆるゆる設定なのでゆるゆるとお読みいただければ幸いです。
R15は念のため。
殿下から婚約破棄されたけど痛くも痒くもなかった令嬢の話
ルジェ*
ファンタジー
婚約者である第二王子レオナルドの卒業記念パーティーで突然婚約破棄を突きつけられたレティシア・デ・シルエラ。同様に婚約破棄を告げられるレオナルドの側近達の婚約者達。皆唖然とする中、レオナルドは彼の隣に立つ平民ながらも稀有な魔法属性を持つセシリア・ビオレータにその場でプロポーズしてしまうが───
「は?ふざけんなよ。」
これは不運な彼女達が、レオナルド達に逆転勝利するお話。
********
「冒険がしたいので殿下とは結婚しません!」の元になった物です。メモの中で眠っていたのを見つけたのでこれも投稿します。R15は保険です。プロトタイプなので深掘りとか全くなくゆるゆる設定で雑に進んで行きます。ほぼ書きたいところだけ書いたような状態です。細かいことは気にしない方は宜しければ覗いてみてやってください!
*2023/11/22 ファンタジー1位…⁉︎皆様ありがとうございます!!
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる